米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会の委員長などは、2013年12月11日に、エネルギー長官に対して、ユッカマウンテン計画に係る連邦控訴裁判所判決等へのエネルギー省(DOE)の対応を問う書簡を送付した。本書簡では、ユッカマウンテン処分場の許認可申請の審査の再開を命じた2013年8月13日の連邦控訴裁判所判決 、2013年8月13日の判決を受けて原子力規制委員会が決定した2013年11月18日の「覚書及び命令」 、放射性廃棄物基金への拠出金の徴収停止を命じた2013年11月19日の連邦控訴裁判所判決 について、DOEの具体的な対応計画などの質問が示されている。
書簡では、エネルギー長官やDOE高官が判決への適切な対応や法律の遵守を約束した証言を委員会の公聴会で行っているにも拘わらず、許認可手続再開についてはNRC指示への適合という限定的な対応を示唆したことに失望したとしている。また、2013年11月19日の連邦控訴裁判所判決においても、DOEは法律上の義務を未だに実施していないとされている状況を指摘した上で、質問に対する回答・情報を2014年1月2日までに提出するように要求している。なお、2013年11月19日の連邦控訴裁判所判決では、ユッカマウンテン計画を中止し、代替案を検討するのは1982年放射性廃棄物政策法に違反しているとの判断が示されていた。
書簡では、以下の7つの質問が示されている。
- 2013年11月19日の連邦控訴裁判所判決への対応について、DOEは、拠出金額をゼロに変更する提案を行うのか、あるいは、1982年放射性廃棄物政策法の遵守に着手するのか、いずれの意向であるかを示すこと。
- 仮に、DOEが拠出金額をゼロにする提案を連邦議会に提出するのであれば、提案の提出期限を示すこと。
- 仮に、DOEが1982年放射性廃棄物政策法の遵守に着手するのであれば、処分実施の担当部署である民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)の再設置及び処分場プログラム再開の計画(スケジュールと必要リソースの推定を含む)、関連する契約者の業務委託リストを提出すること。
- NRCの2013年11月18日の「覚書及び命令」で要求された、地下水の影響に対応する補足環境影響評価書(SEIS)の完成のための計画(費用・スケジュールの詳細を含む)を提出すること。
- NRCにおける許認可手続を完結させるために必要なDOEの推定リソースを提出すること(現状の推定が無い場合は、最も最近の推定)。
- DOE次官の月次状況報告書(2013年12月2日)で示された放射性廃棄物基金からの支出59万3,000ドル(約5,810万円)の活動項目別の詳細な明細及び今後2年間の推定支出を提出すること(元ユッカマウンテン従事者の年金債務の関連情報、同年金を放射性廃棄物基金から支給する基準なども提出)。
- 上記の月次状況報告書で示されたように、当面の拠出金の徴収継続を含めて放射性廃棄物基金の管理をDOEが行う中で、放射性廃棄物基金の状況に係るOCRWM月次報告書を2010年に廃止した理由を説明すること(以下を含む)。
- ある州の電力消費者による放射性廃棄物基金への拠出状況などを公衆が知り得る上記のような報告書の作成・公表を再開する時期
- 使用済燃料の発生者(使用済燃料引取り、放射性廃棄物基金への拠出金支払いに係る標準契約を締結した者)における使用済燃料発生日・発生量をDOEが把握している方法及びその公表可能性の説明
- これら情報の公表を中止した決定がDOEの公開性・透明性の考え方にどう適合するかの説明
【出典】
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-12 )