ユッカマウンテン処分場開発の主研究所であるサンディア国立研究所(SNL) がまとめた「アロイ22の一様腐食による質量減の解析」と題する2008年3月5日付けの資料が、このほどエネルギー省(DOE)によって許認可支援ネットワーク(LSN)に登録された。
同資料によると、ユッカマウンテンの許認可申請で提出されるトータルシステム性能評価(TSPA-LA)において、廃棄物パッケージで用いられる予定のニッケル基合金であるアロイ22の腐食速度については、ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の長期腐食試験施設(LTCTF)で実施された5年間の腐食試験に基づいて得られたデータを基にしているが、このデータ及びその取得方法について評価を行った結果、脆弱性が見つかったとしている。
同資料では、LTCTFでの腐食試験における試験片の洗浄過程が、米国材料試験協会(ASTM)のガイドラインに準拠していないとされ、不完全な洗浄によって、既存の腐食速度のデータが過小評価されている可能性があるとしている。また、別途実施されている9.5年間の腐食試験、及び文献などによる既存データでは、LTCTFが得た腐食速度よりも高い値が示唆されているとしている。
同資料においてSNLは、このような点を踏まえ、TSPA-LAで用いている腐食速度が保守的ではない可能性があり、その結果としてユッカマウンテン処分場に関する環境影響評価書(EIS)及びピーク線量の結果に重大な影響を及ぼす場合があるとして、LTCTFの5年間の腐食試験のデータの見直しと再評価、及び9.5年間の腐食試験によるデータの準備などの検証データの収集の開始及びその促進を求めている。また、専門家の判断として、今回の問題でTSPA-LAの腐食速度が不適切とされる可能性は50%未満との見解が示されている。
今回の問題に関して同資料では、DOEによる許認可申請がNRCに受理される前に、保守性の確認に資するデータを準備できれば、申請自体への影響は生じないとの見通しを示している。
なお、廃棄物パッケージの腐食に関しては、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)が2008年4月22日にエネルギー省(DOE)に宛てた書簡報告の中で、TSPA-LAでの評価対象から潮解による局部腐食の発生の可能性を除外するとしたDOEの技術的な根拠に疑問があるとして、さらなる実験の実施などを勧告している。
【出典】
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-12 )