諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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srsr:safir2:methodology

SAFIR2 (ベルギー)

安全評価の方法論について

(SAFIR2 - 安全評価・実現可能性第2次中間報告書: 2001年)



安全評価はどのように行っているのですか…

安全評価の進め方


図7 長期安全評価の実施手順

 方法論的研究段階にあるベルギーでは、放射性廃棄物処分に係る長期安全評価は、一度限りの実施ではなく、反復的に行われる。処分システムの各実施各段階において、この安全評価はその時点での知識レベルを反映したものとなる。プロセスの段階が進むにつれて、知識レベルは高まることから、安全性のレベルはより高い精度で評価することができる。 各段階における安全評価は、その後の研究プログラムにおける研究の優先度を決定するための、また処分システムに対して必要な調整を明らかにするための重要なツールでもある。 SAFIR2では、第2段階の研究成果に基づく評価として、次に示す段階により安全評価を実施している(図7参照)。

  ① シナリオの作成
   - FEPsの特定と分類
   - FEPのスクリーニング
   - FEPの組み合わせによる基本シナリオの作成
   - FEPの組み合わせによる代替シナリオの作成
  ② 概念モデルの作成
  ③ 数値モデルの作成
  ④ 影響の解析(ZAGALC、ZAGALS及びHAGALC2について別々に、線量計算を実施)
  ⑤ 不確実性解析及び感度解析
  ⑥ 解析結果の評価、及び解析結果の信頼性の確立


FEP

評価するシナリオを作成するために、OECD/NEAが作成した国際的包括的FEPカタログ(FEPリスト)を基に、高レベル放射性廃棄物・長寿命低中レベル放射性廃棄物のBoom粘土層中への地層処分に関連性のない全てのFEPsを削除し(合計134項目中58項目が無関係と判断された)、またそのリストに対して粘土層への処分に関連する3個の代表的なFEPsを追加して処分場の長期安全性に影響を及ぼすFEPsを編集している。

処分場の長期安全性に影響を及ぼすFEPsは、

  1. 自然現象
  2. 人間活動
  3. 処分場内の廃棄物に直接関係する影響

の3つの主要カテゴリに分類され、それぞれサブカテゴリにより細分化されている。

FEPのスクリーニングは以下の基準に対して行われている。スクリーニングは専門家が到達した判断を用いて行われた。

  • 10-8年を下回る発生の確率であるもの
  • 無視できる影響であるもの
  • モル・デッセルのホスト地層と無関係であるもの。
  • 検討中の廃棄物または処分施設の設計に無関係であるもの。
  • 他のFEPと同じ影響であるもの


シナリオ

シナリオは、FEPs及びそれらを組み合わせることにより作成している。

絶対もしくはほぼ確実に起きる全てのFEPsは基本シナリオで取り扱い、基本シナリオで考慮できない全てのFEPは代替シナリオで取り扱われる。安全評価では、基本シナリオに加えて、8種類の以下の代替シナリオ(AES)を挙げている。

  • AES 1:資源開発ボーリング
  • AES 2:温室効果*1
  • AES 3:処分場のシーリング不良
  • AES 4:断層活動
  • AES 5:厳しい氷河期
  • AES 6:人工バリアの破損*1
  • AES 7:ガス移行(放射性ガスによる移行)
  • AES 8:探査ボーリング

注)*1: 「AES2温室効果」と「AES6人工バリアの破損」については、安全評価では検討されていない。温室効果シナリオはBoom粘土やニアフィールドに直接的な影響を与えないこと、また最初の5,000年間は帯水層中に核種が放出されないことから更に検討を加える必要がないとしている。また人工バリアの破損シナリオは、SAFIR2の安全評価では廃棄体マトリクスとオーバーパックのみに安全機能を与えており、このシナリオの主要なサブシナリオは発熱性廃棄物のオーバーパックの早期欠陥、あるいは廃棄体マトリクスの早期劣化となり、オーパーパックの早期欠陥は既に取り扱われていること、廃棄体マトリクスの早期劣化は(他のシナリオで)種々の寿命を網羅的に仮定することで取り扱うことができるとしている。


モデル


図8 処分坑道周辺のモデル化

基本シナリオの例では、核種移行計算は以下の計算に区別している。

  • ニアフィールドとBoom粘土層中の核種移行
  • 帯水層中の核種移行
  • 核種の生物圏への移行と線量計算

ニアフィールドとBoom粘土層中の核種移行では、処分坑道とその周辺のBoom粘土は対称性を利用して簡略化し、処分坑道の掘削方向に垂直な2次元断面モデルを適用している(図8参照)。


図9 ローカルモデルの第三層について計算された水頭分布

帯水層中及び井戸中の核種濃度を計算するための帯水層中の核種移行では、サイトを含むローカルモデルを用いている(図9参照)。線量計算では、河川への核種フラックス、並びにWitte Nete川とDesselse Nete川の合流点付近の井戸水中及び帯水層上部中の核種濃度に、それぞれ対応する生物圏換算係数を乗ずることによって被ばく線量が計算されている。


不確実性の取り扱い

安全評価における不確実性を以下のように分類している。

  1. シナリオ記述の不確実性
    (シナリオの網羅性、代替シナリオの対象構成要素、発生確率、発生時期、気候変動等外的要因)
  2. モデルの不確実性
    (プロセス、モデルの空間構造、媒体の表現方法、初期条件、境界条件)
  3. パラメータ値の不確実性
    (パラメータ値に関する知識不足、パラメータ値の変動)

これらの不確実性について、以下の様に対処している。

シナリオの不確実性については、以下のように取り扱っている。

  • 関連する研究分野の専門家が選択したプロセス、事象の選定理由を正しく理解するための構造化された透明性のあるシナリオ開発
  • 様々な時間における異なるタイプの計算、推論、および安全指標を用いた処分システムの解析
  • 国際FEPデータベースの利用
  • シナリオ開発についての国際的ピアレビュー

モデルの不確実性については、以下のように取り扱っている。

  • 起こり得るプロセスや現象に不確実性がある場合には、異なる概念モデルの使用と説明

パラメータ値の不確実性に対しては、以下のように取り扱っている。

  • 追加の測定、試験の実施
  • パラメータ値の統計学的な確率分布の作成
  • 推論的手法および決定論的手法を用いた不確実性解析と感度解析の実施

また、解析コードについては代替解析コードとの比較、INTERCOIN、HYDROCOIN、INTERVALプロジェクト等の国際共同研究への参加により検証している。




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