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諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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Dossier 2005 Argile (フランス)

安全評価の進め方

(Dossier 2005 粘土-地層処分の安全評価: 2005年)

* 以下コンテンツにおいて、フランス語の見出しを付した図は Dossier 2005 Argile より引用。



q02.gif安全評価はどのように行っているのですか…

安全評価の進め方

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図5 全体解析フロー

安全評価は、図5に示す反復プロセスによる解析フローの枠内で実施されている。ANDRAが遵守することが求められる安全指針(当時のRFS Ⅲ.2.f)は、「確実または極めて可能性が高い」と判断されるレファレンス状態の全てをカバーすることを目的としたモデル化や計算に基づいた評価を実施することを規定している。また、レファレンス状態以外の経時変化に対して安全性を判断する閾値を規定していないが、適切な概念設計があればそれを用いてレファレンス状態以外の経時変化による放射線学的影響を低減する方法を追求することを要求している。このため、Dossier 2005の安全評価のシナリオでは、レファレンスシナリオとしての通常変遷シナリオ(SEN)とそれを補うための代替変遷シナリオ(SEA)を用いている。

SENにはレファレンス計算と感度解析の2種類の計算があり、感度解析ではレファレンス計算において採用したパラメータ(データ等の不確実性)及びモデルの変更に伴う評価結果への影響の検討等を含む計算ケースを設定している。

図6 解析ケースの分類

SEAでは人間侵入シナリオを含む4つのシナリオを設定しており、更に、それぞれのシナリオで感度解析も実施している(これらの関係を図6に示す)。RFS Ⅲ.2.fにおいて変動状態の枠組みで規定された自然現象に起因するシナリオは、Dossier2005では評価の不確実性評価とあわせて通常変遷シナリオ(SEN)の感度解析として扱っている。具体的には、これらの幾つかのシナリオを、その発生の結果として影響を受ける幾つかのパラメータの変化で表現し、そのパラメータの感度解析により影響範囲を評価している。

Dossier2005が評価対象としている核種は16核種である(半減期が1,000年を超える15の核種とNb-93m(Zr-93の孫核種))。これは計算量の合理化等を目的としたもので、当初検討していた144核種から、粘土層の特性等や最終的な線量評価での重要度等から事前評価と絞り込みが行われた結果である。性能評価における最終的な入力となった核種は、Be-10、C-14、Cl-36、Ca-41、Ni-59、Se-79、Zr-93、Nb-93m、Nb-94、Mo-93、Tc-99、Pd-107、Sn-126、I-129、Cs-135、Ho-166m である。


FEPの取り扱い

Dossier 2005の安全評価は、現象の網羅性を追及するために行っているものではないが、ANDRAはDossier 2005の安全評価において、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が示した国際FEPデータベースと比較することにより、現象の抜け落ちがないことを確認している。


シナリオ

シナリオ(解析ケース)の設定手順

シナリオは、廃棄体のインベントリ、廃棄体パッケージ、当該サイトの特性等に基づく処分場設計案に対して、

  • 時間的・空間的な現象論的分析(APSS:処分場状況で発生する様々な状況の現象論的分析)
  • 経時変化に関して存在する不確実性に関して、影響を受ける処分場の構成構造物とその安全機能、問題となる時間についての調査に基づく定性的な安全解析(AQS)

に基づき検討している。

APSSの結果から発生確率が高い経時変化と発生確率は低いが安全目標に対する影響度が高い経時変化を整理し、前者は包括的評価を実施するために概念化し通常変遷シナリオとして整理している。通常変遷シナリオ(SEN)には、リファレンス計算と総合的な評価への影響度が高いパラメータやモデルを特定して実施される感度解析が含まれる。

また発生確率が低い経時的変化のうち安全目標に対して影響度が高いと判断される経時変化については、AQSにおいて通常変遷シナリオでの網羅性が検討され、通常変遷シナリオ(SEN)とその感度解析によって不確実性をカバーできない経時変化を代替変遷シナリオ(SEA)で取り扱っている。


モデル

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図7 計算の全体体系

安全評価の線量計算には、ANDRAとCEAの共同プロジェクト(後にフランス電力株式会社(EDF)も参加)で開発した解析コードAllianceを利用している。Allianceは、複数の現象(水理・物質移行・化学)、異なったパッケージを取り扱える総合的な解析プラットフォームであり、感度解析や不確実性の処理を実施すること可能である。計算の全体体系は図7に示す概念で構成され、次の2つの移行経路を考慮しており、SENでは①のみを、SEAでは①及び②の双方を考慮している。

  • ①健全な地質バリアを介した移行経路(図8)
  • ②人工構造物を介した移行経路(図9)

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図8 健全な地質バリアを通じた移行経路

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図9 人工構造物を通じた移行経路

上記の計算全体体系は、個々のコンパートメント・モデルで構成されており、その一例として通常変遷シナリオ(SEN)に関する個々のモデルを以下に示す。


1) 廃棄体パッケージからの放出のモデル化

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図10 パッケージからの放出に関する設定

廃棄体パッケージからの放出モデルは、図10のように廃棄体毎(B、C、CU)に設定している。


2) 処分場構造物における移行のモデル化

処分場構造物内及び周辺域での核種移行については図11a-dに示すように、①ガラス固化体から人工バリア(水平坑道)、②廃棄物Bから人工バリア(水平坑道)、③使用済燃料(CU廃棄物)から人工バリア(水平坑道)、④人工バリア内での移行の4つを考慮している。

処分場構造物は、ニアフィールドの核種移行では「処分空洞」コンパートメント、ファーフィールドの核種移行では「処分場」コンパートメントに含まれる。「処分空洞」コンパートメントは、処分空洞全体を6個の処分空洞で構成される計算単位で代表し、シナリオや廃棄体の種類に応じて欠陥を伴うパッケージが含まれない計算単位と欠陥を含むパッケージが含まれる計算単位を区別している。処分場はパッケージ、プラグおよび処分空洞本体の等価多孔質媒体により表現し、更に掘削影響領域(EDZ)と空洞周辺の健全な母岩を含む高さ15mの平行六面体で表現している。「処分空洞」コンパートメントは、「廃棄体パッケージ」コンパートメントから核種のモル流量を入力値として受取り、ファーフィールドの「処分場」コンパートメントに核種のモル流量を入力データとして与える。


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図11a カテゴリCにおける移行モデル概要

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図11b カテゴリBにおける移行モデル概要

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図11c カテゴリCUにおける移行モデル概要

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図11d 人工バリア材における移行モデル概要


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図11e 「処分場」コンパートメントの「計算モジュール」

「処分場」コンパートメントの処分場は、「処分空洞」コンパートメントと同じく処分空洞を含む高さ15mの平行六面体で表現し、幾つかの「計算モジュール」を組み合わせてモデル化している(図11e)。廃棄物Bの処分空洞は1つの「計算モジュール」として取扱い、廃棄物C(ガラス固化体)と使用済燃料CUの「計算モジュール」は最低限50m離れた複数の「サブモジュール」の組み合わせている。
ニアフィールドとファーフィールドの核種移行計算では処分空洞周辺の母岩中の移行を重複して考慮することになる。この点については、ニアフィールド側の母岩中の核種移行計算において核種の移行時間を最小限短くする設定(核種の拡散係数を自由水中の拡散係数と同じ値とする)をしている。


3) 天然バリアのモデル化

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図12 処分坑道から地表までの地層図

処分坑道から地表までの地層図を図12に示す。カロボ・オックスフォーディアン粘土層内での核種移行については、次のように設定している。

  • カロボ・オックスフォーディアン粘土層を均質多孔質媒体と仮定し、そこでの移流/分散、拡散、溶解度制限、及び吸着による移行遅延を考慮。
  • リファレンス・シナリオ(SEN)では、コロイド形態による核種移行を考慮しない。

なお、同粘土層の周囲地層での核種移行については、次のように設定している。

  • 同粘土層の周囲の各地層を均質多孔質媒体と仮定し、そこでの移流/分散、拡散による核種移行を考慮。但し、溶解度の制限や吸着などの核種移行遅延機能は考慮しない。
  • リファレンス・シナリオでは、100万年後のカロボ・オックスフォーディアン粘土層の周囲地層もモデル化


4) 生物圏のモデル化

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図13 生物圏モデル

地圏(天然バリア)と生物圏のインターフェース(GBI)については、次のように設定している。

  • 決定グループのメンバーが、飲用水または農業用水として水を汲み上げる井戸をGBIとする。
  • GBIとなる井戸は、処分場設置場所に最も近い湧出域とし、その領域内にある最初の帯水層から揚水する。
  • 生物圏に放射性核種が到達するのはかなり将来になると思われるため、現在と100万年後の水理学モデルを用いて、湧出域を選定する。

生物圏そのものについては、ANDRAは氷河気候においては遊牧民の行動様式が支配的となる可能性が高く、その場合は線量が低くなることから現在の気候(温暖気候)を想定して図13のようにモデル化している。核種移行計算はAquabiosと呼ばれる解析コードを使用し、人間の食習慣についてはフランス国立統計経済研究所(INSEE)の調査結果に基づき設定している。大部分の核種についてはコンパートメント間の移行係数を定義したモデルを用いている。Cl-36については自然界に安定元素がかなりの量で存在することから同位体平衡を考慮している。


不確実性の取り扱い

安全規則は、処分施設閉鎖後の安全性の立証(安全評価)において、不確性の考慮と感度解析の実施を要求している。具体的には、不確性の評価及びその考慮をどの程度可能にしたかを明確に特定し、更に、残された不確性について、その性質に応じて定性的または定量的に評価することを要求している(この点については、専門家の判断に頼ることも可能であるが、その場合は、これらの判断の追跡性を確保しなければならない)。

Dossier2005では、この感度解析の実施に関して、①処分場がどのように機能するかについての理解が深まる、②不確実性を取り扱うことによって、入力データの変動に応じた処分場影響の計算結果のばらつきが明らかになるとしており、次のようにこれらの不確実性を類型・分類するとともに、不確実性と時間スケール及び空間スケールの関連について検討を行っている。

  • 処分プロジェクトの初期データに関する不確実性
  • 処分場の構成要素に固有な特性の不確実性

  - 測定技術の不正確さ
  - 直接測定することのできない値
  - 構成要素の空間的変動の可能性に伴う不確実性
  - 特性調査の対象スケール定義の前提モデルに関連した不確実性

  • 処分場の経時的変化を決定するプロセスに関する不確実性

  - 短期間の観察結果の外挿
  - モデル検証の限界に伴う不確実性

  • 技術的な不確実性(将来採用される技術的な措置の不確かさ)
  • 外的な事象による不確実性(気象面での事象や構造地質学的な事象に関する、大きな不確実性を伴う可能性)


より具体的には、安全評価に関連する不確実性を理解するために以下を実施している。

  • 現状の利用可能な知識を理解するためのリファレンス文書の作成
  • 可能な限り体系的な手法の採用(処分場の変遷に関連した現象論的分析(APSS))
  • 処分場で発生する主要なプロセスを表現する概念モデルを確立する際に利用したパラメータ、モデルおよびデータを体系的なやり方でリストアップ

APSSは、処分場の長期的変遷を時間軸と空間軸の両方で考え、それぞれの軸を適切に細分化し、各時間、空間で生じる事象、プロセスを定性的、必要な場合には数値モデルを使用して評価する方法である。APSSでは処分場の長期的変遷を描写するとともに、その期間に含まれる不確実性を抽出する。通常起こり得る事象、プロセスの不確実性は、モデルもしくはパラメータ値に「現象論的」、「保守的」、「不利」、「代替的」のいずれかの種類を設定して通常の変遷シナリオもしくはその感度解析に組み込み評価している。

発生する可能性が低いが、処分システムの安全機能に影響を及ぼす可能性があると判断された事象、プロセスに関しては、定性的な安全解析(AQS)により、

  • 不確実性によって影響を受ける構成要素、構成要素間の相互関係
  • 影響を受ける構成要素の安全機能
  • 必要な場合には、有益となる場合には問題となる時間の長さ

を評価する。通常変遷シナリオ(SEN)とその感度解析でカバーできない不確実性は、どの代替変遷シナリオ(SEA)に含まれるかを判断し、代替変遷シナリオ(SEA)とその感度解析内で処分システムの安全性への影響を評価している。




srsr/dossier2005/methodology.txt · 最終更新: 2013/09/27 14:00 (外部編集)

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