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§ 2016年12月6日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フランスで規制機関がANDRAによる地層処分場の「安全オプション意見請求書」に関する国際レビュー結果報告書を公表

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フランスの原子力安全機関(ASN)は2016年12月1日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2016年3月に提出した地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 について、国際レビューチームのレビュー報告書を公表した。「安全オプション意見請求書」についてASNは、審査の一環として国際原子力機関(IAEA)にレビューを要請していた。

ASNの委託を受けたIAEAは、9名で構成される国際レビューチーム2 を組織し、2016年11月6~15日にかけてレビューを実施し、レビュー報告書を取りまとめた。国際レビューチームは、研究・開発戦略、知見の取得、操業及び閉鎖後の安全評価のためのシナリオ設定に関するアプローチ、福島第一原子力発電所事故を踏まえた対応という観点からレビューを行っており、以下のような評価・勧告を示している。

  • 地層処分プロジェクトの段階的かつ双方向的な進め方、特にパイロット操業フェーズを導入することや「安全オプション意見請求書」を事前に作成する決定がなされたことは高く評価できる。
  • プロジェクトマネジメントの観点から見て、「処分操業基本計画」3 は有効なツールであり、ASN、公衆、その他のステークホルダーとのコミュニケーションやコンサルテーションに役立つ。
  • プロジェクトマネジメントを強化し、ASNやステークホルダーの間での信頼醸成のため、ANDRAは以下のような取組みを行うべきである。
    • 地層処分場開発のフェーズが次フェーズへと移行する際に、それまでに得られた新たな知見の活用方法、前フェーズとのつながりや一貫性を明示すること。
    • 100年超の地層処分場の供用期間にわたって、操業や閉鎖後の安全確保のために重要なデータや情報が更新・維持され、適切に理解されることを担保すること。
    • 研究開発について、その内容、意図、地層処分場開発の各フェーズとの関連性を特定し、優先順位を検討することにより、地層処分場開発と研究開発計画間の整合性を明確にすること。
    • 操業中のモニタリング計画内容の検討をさらに進める:モニタリングのパラメータと処分場閉鎖後の安全性の関連、モニタリング機器の保守・交換等も含めた操業期間中を通じたモニタリング活動のフィージビリティ等を検討すること。
  • 地層処分場のロバスト性の立証を補強するため、ANDRAは以下のような取組みを行うべきである。
    • カロボ・オックスフォーディアン粘土層4 における地下水の挙動に関わる特徴(割れ目など)を考慮すべきである。
    • 標準シナリオにおいて、高レベル放射性廃棄物の処分容器に当初から欠陥があること、あるいは定置後の早い段階で不備が発生することが考慮されていない理由の妥当性について説明すること。
    • 地層処分場のスリーブ5 について、微生物活動による影響をセーフティケースに含めること。
  • 地層処分場の操業時の安全性を評価するためのANDRAの方法論は包括的で体系立てられている。福島第一原子力発電所事故との関連では、ANDRAはASNのガイドラインに従って、補完的安全性評価(フランス版ストレステスト)を実施している。さらにANDRAは、地下施設からの排ガスのフィルタ装置の導入や、斜坑から流入した水を除去する際の地層処分場の設計のロバスト性を評価すべきである。

ASNは、今回の国際レビュー結果を公開するとともに、「安全オプション意見請求書」に関する審査において支援を受ける放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)やASN内の常設専門家グループにも周知する方針である。また、ASNはANDRAが取りまとめた「安全オプション意見請求書」に関する見解を2017年夏頃に表明する予定である。

なお、2016年7月に成立した「高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の可逆性のある地層処分場の設置について規定する法律」に基づいて、ANDRAは2018年に、地層処分場の設置許可申請を行う方針である。ANDRAは、「安全オプション意見請求書」に関して今後ASNが表明する見解を踏まえて、設置許可申請書の作成を行うことになる。

 

《参考》 フランスにおける地層処分場の設置許可申請の段階的な審査プロセス

フランスでは、原子力施設の設置許可申請に先立って、施設の「安全オプション意見請求書」を原子力安全機関(ASN)に提出し、安全確保に関する見解を求めることができる。放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2013年5月から約7カ月間にわたって開催された地層処分プロジェクトに関する公開討論会の結果を受けて、2014年5月に地層処分場プロジェクトの継続に関する方針を公表し、地層処分場の設置許可申請の審査プロセスとスケジュールに関する提案を行っていた。ANDRAは、地層処分場の設置許可申請書類の提出を段階的に進める方針とし、今回レビューを受けた「安全オプション意見請求書」を先行してASNに提出することを提案していた。ANDRAが「安全オプション意見請求書」をASNに提出することにより、地層処分場の設置許可申請書類の一部を成す下記の内容を前もって示すことになる。

  • 施設の設計とその建設に確保されたオプション及び基本原則
  • リスクインベントリ及びリスク予防に関する技術オプション
  • 予備リスク解析及び影響評価 - 操業期間及び閉鎖後期間を対象

これに対し、ASNは、2014年12月19日付けの書簡において、「安全オプション意見請求書」の提出に係るANDRAの決定を承諾し、ANDRAに対し、「安全オプション意見請求書」において示される地層処分場の基本設計の内容が2008年の地層処分に関するASN指針に整合していることを説明するとともに、全ての操業段階での安全確保のために採用された安全目標、設計、原則について網羅的に提示すること等を要請していた。

【出典】

 

【2016年12月08日追記】

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2016年12月6日に、ANDRAが2016年3月に原子力安全機関(ASN)へ提出した地層処分場の「安全オプション意見請求書」に関して、国家評価委員会(CNE)が行った分析と勧告を取りまとめた報告書「CIGEO2016文書の分析及び勧告」を公表した。CNEは2006年の放射性廃棄物等管理計画法等に基づいて、ANDRAが予定する地層処分場の設置許可申請に関する評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出することになっており、今回の「安全オプション意見請求書」に関する分析と勧告は、設置許可申請を見据えたものである。
CNEは今回の報告書において、以下のような意見を示している。

  • 廃棄物の定置が完了した処分孔は、開放状態にせず、隔離すべきである。
  • 地層処分場の操業に関わる作業員の訓練や、操業手順を決定するために、3次元のインタラクティブなシミュレーションを実施することを勧告する。
  • 工事中の区域と操業中の区域における作業員の安全を同時に確保する措置を明確化し、事故が発生した場合の状況分析を行うべきである。
  • 高レベル放射性廃棄物の処分孔、長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道、さらにはニアフィールドで生じる現象について、処分場の閉鎖前後に着目した経時変化ダイアグラムを示すべきである。
  • 地層処分場の安全性の立証は、地層処分場の構造物及び地質環境における放射性化学種の放出と移行のモデルに基づいているため、異なるレベルの現象を再現する様々なモデルを明確に区別することを勧告する。また、放射性物質のパラメータの変動がシミュレーション結果に与える影響を評価する感度解析を行うことを要請する。
  • 地層処分場の建設によって影響を受けた岩盤に関するパラメータを、より適切に根拠づけて選択できるようにするため、カロボ・オックスフォーディアン粘土層の過剰な圧力上昇や熱-水-応力連成現象等に関する理解を深め、岩盤の長期的な応力挙動に関する包括的な定量化を行う必要がある。
  • 熱-水-応力連成メカニズム及び複雑な化学メカニズムによって、処分場の閉鎖後にその構成要素が影響を受けるおそれがある。特に、水とガスによる影響が生じる過渡的なフェーズに特に注意すべきである。

    【出典】
    •    CNE、「CIGEO2016文書の分析及び勧告」、ANALYSE DES DOCUMENTS CIGEO 2016 ET RECOMMANDATIONS
    https://www.cne2.fr/telechargements/avis/Analyse-DOS-DOREC-PDE-Vfinal.pdf
    •    ANDRA、2016年12月6日付プレス
    http://www.andra.fr/index.php?id=actualite_1_1_1&art=6101


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に関する意見を原子力安全機関(ASN)に請求することができる。 []
  2. フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)の放射性廃棄物及び放射性物質規制部長を長とし、英国、スイス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、米国とIAEAの9名の専門家で構成 []
  3. 処分事業に関する最新の進捗状況を、操業開始、パイロット操業フェーズから本格操業フェーズへの移行、処分施設の閉鎖等に関する主要な課題と決定の時期を伝え続ける書類であり、5年毎に更新 []
  4. 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分が想定されている地層 []
  5. 高レベル放射性廃棄物の処分孔(水平に掘削、全長約40m)の内部に設置される金属製の筒であり、廃棄体の設置及び回収を容易にする []

(post by eto.jiro , last modified: 2016-12-08 )