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§ 2016年6月1日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フランスで国家評価委員会(CNE)が第10回評価報告書を公表

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フランスにおいて放射性廃棄物等の管理に関する調査研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第10回評価報告書を2016年5月25日に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEのウェブサイトで公表した。CNEは、2006年放射性廃棄物等管理計画法による規定に基づいて、放射性廃棄物等管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を実施し、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。第1回評価報告書は2007年6月に取りまとめられており、今回の報告は10回目となる。

CNEの第10回評価報告書では、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトのほか、特に、極低レベル放射性廃棄物、技術的に濃度が高められた自然起源の放射性物質(TENORM)廃棄物及び長寿命低レベル放射性廃棄物の管理研究も取り上げている。これらの放射性廃棄物の処分実施主体はいずれも、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)である。CNEは、ANDRAが処分の実現に向けて実施している研究開発について、以下のような見解を示している。

高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクト

  • ANDRAは、地層処分場の機能の実証等を行うため、通常の操業フェーズに先立ち「パイロット操業フェーズ」(PIP)を導入する予定としており、CNEも地層処分事業を実証する上で「パイロット操業フェーズ」が不可欠であると考える。CNEは、ANDRAが処分場の建設及びパイロット操業フェーズの期間を通じて、公衆に情報提供しつつ経験をフィードバックするとともに、毎年、進捗報告書を提出することを勧告する。また、ANDRAが地層処分場の設置許可申請書とともに提出することになっている「事業計画」を策定するため、パイロット操業フェーズでの実証試験等が行われる地層処分場の最初の処分区画について、建設の技術オプションを可及的速やかに確定することを勧告する。
  • 設置許可申請前に、発熱量の大きな高レベル放射性廃棄物の処分区画の設計を行うためには、熱-水-応力連成現象の理解を深めなければならないが、ANDRAは設置許可申請時には、これらの現象の不確実性を考慮した設計を示す必要がある。発熱量の大きな高レベル放射性廃棄物の処分区画の建設が始まるのは数十年先であることから、CNEは、ANDRAが設計に柔軟性を持たせ、これらの処分区画の建設開始までの間に適切な規模で熱-水-応力連成モデルの試験を提案するよう勧告する。
  • ANDRAは地下研究所において多くの試験を行ってきたが、そこで得られた全ての試験結果を説明できる力学モデルを開発できていない。CNEは、ANDRAが100年単位での岩盤の力学挙動を説明する主要な特性を優先的に明らかにすべきであると考える。
  • ANDRAは、処分場の坑道のシーリングの有効性に関する実規模実証試験をパイロット操業フェーズで実施することを検討しており、このことは処分場の設置許可デクレ(政令)の発給前に、この実証試験の成果を利用できないことを意味している。CNEは、ANDRAが地下研究所での試験を活用し、地層処分場の全てのフェーズにおける坑道のシーリング機能に関するモデルを提示するとともに、処分場でのパイロット操業フェーズにおける実規模試験の詳細を確立するよう勧告する。
  • CNEは、地層処分場に輸送される廃棄物パッケージの輸送容器の仕様と検査体制について、設置許可申請の前に確定しておくべきと考える。
  • 地層処分プロジェクト全体をカバーするコストの目標額が、2016年1月のアレテ(省令)により250億ユーロ(約3兆3,500億円)と設定されたが、この額が過去にANDRAが見積った額よりも低いことにCNEは疑問を持っている。ANDRAと原子力事業者が合意して採用した地層処分場の技術オプションは維持されるべきであり、予算的な観点から見直されるべきではない。

極低レベル放射性廃棄物

  • 国内の原子力発電所の廃止措置に伴い、2080年までに大量の極低レベル放射性廃棄物が発生する見込みであり、極低レベル放射性廃棄物処分場の新設も検討されている。CNEは、現時点では放射性廃棄物とみなしているものの、ほとんど放射性物質に汚染されていない廃棄物の管理に関して、研究機関や事業者等が革新的な研究を継続することを奨励する。また、大量の廃棄物の中から、微量の放射性物質を検知する方法を開発するよう改めて勧告する。

TENORM廃棄物

  • 「電離放射線からの被ばくを防護するための基本安全原則を制定するEU指令2013/59/Euratom」が今後国内法化されると、「技術的に濃度が高められた自然起源の放射性物質」(TENORM)廃棄物は、フランスでは原子力活動から発生した廃棄物であるとみなされることとなる。このためCNEは、ANDRAに対し、同EU指令の国内法化によるTENORM廃棄物の管理への影響を評価するよう要請する。

長寿命低レベル放射性廃棄物

  • CNEは、長寿命低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種のインベントリをさらに精緻化すべきと考える。
  • 処分が想定されている長寿命低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種の挙動に関し、CNEは、現状得られている結果は、ANDRAが選定した処分場候補サイトの全ての地質学的パラメータを考慮した、現実的な安全解析を実施するには不十分であると考える。

 

【出典】

 

(post by eto.jiro , last modified: 2016-06-01 )