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《フランス》国家評価委員会(CNE)が第9回評価報告書を公表

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理に関する取組、研究・調査等の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第9回評価報告書を2015年6月18日にCNEウェブサイトで公表し、地層処分プロジェクトなどに対する見解を示した。

CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する研究・調査の進捗状況について、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に定める基本方針を基準として毎年評価し、その結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。なお、前回の第8回報告書は、2014年6月10日に公表されている

CNEは、第9回評価報告書の「要約と結論」において、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発状況について、以下のような見解を示している。

  • ANDRAが地層処分場の設置許可申請を行う時期は、放射性廃棄物等管理計画法で定められた期限の2015年ではなく、2017年頃になる予定である。CNEとしては新たなスケジュールが遵守されることを期待する。
  • ANDRAは、高レベル放射性廃棄物の処分坑道において発熱性のある廃棄物パッケージの定置の最適化作業を進めており、その一環でカロボ・オックスフォーディアン粘土層の熱・水・応力(THM)挙動に関する研究を実施している。その結果を反映してANDRAは、地下施設の高レベル放射性廃棄物の処分区域のレイアウトを大きく変更した。処分場のTHM挙動を精緻に把握し、カロボ・オックスフォーディアン粘土層における熱応力破壊の範囲をより明確にするとともに、熱応力破壊に関する判断基準が満たされないことによる安全性への影響を評価するためには、さらなる調査・研究が必要である。
  • ANDRAは、廃棄物発生者と共同で策定する廃棄物管理産業プログラム(PIGD)1 で示される全ての高レベル放射性廃棄物について、安全規則を遵守して処分を行うため、高レベル放射性廃棄物の処分区域の設計を十分慎重に行うべきである。また、今後の新たな知見により、地下空間をより効率的に利用できる可能性もある。
  • ANDRAは、地層処分場内での大規模火災を想定した熱条件下におけるビチューメン(アスファルト)固化体の挙動に関する研究を行い、これらのパッケージのロバスト性及びビチューメン固化体の化学的な不活性さを確認している。これらの新たなデータによって、火災が廃棄体に与える影響に関する懸念は払しょくされたとCNEは判断した。引き続きANDRAは、地層処分場の操業期間を通じて、ビチューメン固化体の化学的安定性に関する研究を継続すべきである。
  • ANDRAは現在も、処分場の操業開始後、最初に処分する廃棄物パッケージの仕様を確定するため、廃棄物発生者(事業者)と協議を行っている。CNEは、放射性廃棄物の管理プロセスにANDRAが可能な限り早い段階から関与できるようにすることを勧告する。
  • 地層処分場のコスト評価について、ANDRAと廃棄物発生者との間で意見が対立している。CNEは、コストが慎重に評価され、安全性の確保に必要なコストが削減されることがないよう改めて要望する。

【出典】

  1. 地層処分場の設計にあたって考慮すべき廃棄物インベントリ、中間貯蔵施設からの輸送手段や流れ等に関してANDRAと廃棄物発生者が共同で策定した計画 []

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-11 )