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《ドイツ》サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の設置に向けた検討状況

ドイツでは、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下、「サイト選定法」という)に基づいて、発熱性放射性廃棄物処分場の新たなサイト選定手続きの開始に向け、現在、連邦政府が「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の設置の準備作業を進めているところである。本委員会は、地層処分に代わる処分オプションの検討の必要性、それを踏まえたサイト選定に係る基準等の提案を2015年までに連邦政府に提出することになっている。サイト選定法においては、委員長を含む計33名の委員会を、科学者や連邦議会議員、州政府、環境団体、宗教団体、経済界、労働組合の各界代表で構成することが定められている。

連邦政府による高レベル放射性廃棄物処分委員会の設置に向けた準備作業が難航していることを受けて、サイト選定法制定以前の処分場候補サイトであったゴアレーベンを有するニーダーザクセン州は、2014年1月16日に、「高レベル放射性廃棄物処分委員会の設置」に関する州独自の討論会を同州のベルリン代表部事務所で開催した。

ニーダーザクセン州環境大臣は、討論会の開会のスピーチにおいて、ゴアレーベンが発熱性放射性廃棄物の地層処分場に適していないとした上で、新たなサイト選定手続きでゴアレーベンが候補から除外されたとしても、ドイツの地層分布を考慮すると、ニーダーザクセン州が再び検討対象となる可能性が高いとの考えを示した。また、同州にはすでに非発熱性放射性廃棄物の処分場に確定しているコンラッド処分場や、定置された放射性廃棄物の回収が検討されているアッセⅡ研究鉱山も存在している。こうしたことから同州は、新たに開始されるサイト選定手続きに特別な利害関心があるとしており、「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が可能な限り早期に活動を開始することを希望すると述べている。

今回のニーダーザクセン州の討論会では、州内で活動する各界の代表者3名による、連邦政府の「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の設置に関連した課題等を説明する講演のほか、この講演者3名と州環境大臣、連邦議会議員によるパネルディスカッションが実施された。

サイト選定法に基づく選定手続き

2013年7月に制定されたサイト選定法では、発熱性放射性廃棄物の処分場サイトのサイト選定を新たに実施するための手続きなどを定めている。同法に基づくサイト選定では、公衆の参加を得ながら、複数の候補地域から、地上探査、地下探査、最終的なサイトの比較へと段階的に絞り込みが行われる。サイト選定法に規定されたスケジュールでは、2031年までに最終的なサイトを決定することとなっている。処分の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が選定手続きを実施し、今後、新たに設置される「連邦放射性廃棄物処分庁」が、手続きの全体を管理・監督する。なお、処分場候補サイトであったゴアレーベンは、候補サイトとして再度検討される可能性は排除されておらず、他のサイトと同列に扱われることが規定されている。

新たなサイト選定手続を管理・監督する連邦放射性廃棄物処分庁は、サイト選定法と同時に制定された「連邦放射性廃棄物処分庁設置法」(2014年1月1日発効)に基づいて、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)1 の下に設置される放射性廃棄物管理に関する規制機関である。従来、処分場に係る許認可手続きは、連邦委任行政(詳細はこちら)に基づいて、各州当局によって行われていたが、サイト選定法制定に伴う原子力法改正により、今後は連邦放射性廃棄物処分庁がすべての処分場の許認可手続きからサイト決定後の処分場の建設・操業・閉鎖に至るまでの規制を一貫して担うことになった。なお、連邦放射性廃棄物処分庁設置法によると、連邦放射性廃棄物処分庁の構成、長官等の人事などは、2014年中に決定されることが規定されている。

【出典】

  1. 2013年12月に発足した新政権での省庁再編により、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)に改編された。 []

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-11 )