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諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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米国 米国における高レベル放射性廃棄物処分

米国における高レベル放射性廃棄物処分

全体構成(章別)


3. 処分事業に係わる制度/実施体制

3.1 実施体制

  • 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条等によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体となっていますが、ブルーリボン委員会の勧告なども受けて新しい実施主体のあり方が検討されています。
  • 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関としては、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設等の許認可の審査、許認可に係る技術要件・基準の策定を担い、環境保護庁(EPA)が高レベル放射性廃棄物の処分に適用する環境放射線防護基準の策定の役割を担っています。

実施体制の枠組み

下の図は、米国における高レベル放射性廃棄物処分に係る実施体制を示したものです。高レベル放射性廃棄物に係る規制行政機関として、処分基準については、民間の原子力利用の規制、施設関連の許認可を行う原子力規制委員会(NRC)、その処分基準に組み込まれる環境放射線防護基準の策定については環境保護庁(EPA)が担っており、NRC及びEPAが規則を制定するに当たっては全米科学アカデミー(NAS)の勧告に従わなければならないことが1992年エネルギー政策法で定められています。また、諮問機関については、技術面についての独立の評価機関として放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)の設置が1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)の第501条以下で定められています。

米国の処分実施体制
米国の処分実施体制


実施主体

米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体として定められ、特に同法第304条によりDOE内部に設置された民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が施策の実施に当たることとされています。

しかし、現政権のユッカマウンテン計画中止の方針に伴ってOCRWMは廃止されており、DOEの原子力局(NE)がその責任を引き継いでいます。


安全規則・・・安全評価による安全性の確認(許認可申請)

米国では、高レベル放射性廃棄物の処分の安全基準として、ユッカマウンテンの処分場に適用される基準と、ユッカマウンテン以外の処分場に適用される一般基準とがあります。後者の一般基準には、原子力規制委員会(NRC)によって策定されているもの(10 CFR Part 60「地層処分場における高レベル放射性廃棄物の処分」)と、環境保護庁(EPA)によるもの(40 CFR Part 191「使用済燃料、高レベル放射性廃棄物及びTRU放射性廃棄物の管理と処分のための環境放射線防護基準」)の2種類があります。

一方、ユッカマウンテンについては、EPAは全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいてユッカマウンテンのみに適用する処分の安全基準を策定すること、NRCはこの基準に適合するように技術要件基準を変更することが1992年エネルギー政策法によって規定されました。これを受けて、EPAの「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)、NRCの「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)が、それぞれ2001年6月、2001年11月に策定されました。EPAの40 CFR Part 197では、個人に対する防護や人間侵入に対しての安全基準の他に、地下水についても保護基準を設けています。

EPAの40 CFR Part 197及びNRCの10 CFR Part 63は、2004年7月に、1992年エネルギー政策法の規定を満たしていないため、1万年の遵守期間が設定されている限りにおいて一部無効であるとの連邦控訴裁判所判決が出されました。 これを受けて、EPAは2005年8月に、NRCは2005年9月に、地質学的に安定な期間(処分後100 万年間で終了すると定義されている)までの性能評価を求めるとした改定案を公表していましたが、EPAは2008年10月に、処分後の1万年から100万年後までの期間について線量基準値を1mSv/年とする連邦規則最終版を連邦官報に掲載しました。NRCは、2009年3月に、EPAの連邦規則に整合させた10 CFR Part 63の最終版を連邦官報に掲載しています。


ブルーリボン委員会が勧告した実施体制

ブルーリボン委員会が2012年1月26日に公開した最終報告書においては、過去60年間の米国の放射性廃棄物政策の歴史を検討して、輸送、貯蔵及び処分のための集中的、統合的なプログラムを実施するため、新たな、単一目標の組織が必要であるとの結論が示されています。 具体的な法人形態としては、議会によって設立を許可される連邦公社が最も期待できるとされ、1933年に設立されたテネシー渓谷開発公社(TVA)が既存の有用な事例とされています。 連邦公社のような法人形態の場合、①政治的な管理の影響を受けにくい、②外部条件の変化に対応するための柔軟性などの性質をより多く有し、③費用やスケジュールを管理するための能力がより大きくなると指摘されています。また、新たな廃棄物管理法人には強力な最高経営責任者(CEO)のリーダーシップが必要とするとともに、CEOは、上院の助言及び同意によって大統領によって指名される取締役会の自己裁量で選ばれ、7年間の任期で1回の更新が可能などの具体的な提案がなされています。

組織の責任の範囲については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において連邦政府に割当てられている機能に限定することが勧告されています。

なお、連邦議会の上院で検討されている「2013年放射性廃棄物管理法」の法案では、実施主体はブルーリボン委員会が勧告する公企業ではなく、行政府に置かれる独立の連邦政府機関とすること、その長官は長期在任が可能なこと、独立の監視委員会を設置することなどが提案されています。


3.2 処分に関わる法制度

事業規制

  • 高レベル放射性廃棄物処分に関する基本的な枠組みは、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)によって定められています。
  • 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)は、高レベル放射性廃棄物処分についての連邦政府の責任及び明確な政策の確立を目的として、処分場の選定等における連邦政府内の手続や、連邦政府と処分場立地の可能性のある州政府との関係について規定しています。
  • 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)は、処分事業の実施をエネルギー長官が行い、そのための実施主体としてDOE の内部に民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)を設置することを定めています。
  • 放射性廃棄物処分場としてのサイトの適合性評価に使用する規定としては、「放射性廃棄物処分場のサイト推薦のための一般指針」(10 CFR Part 960)が定められており、全ての選定段階に適用することを規定しています。ただし、1982年放射性廃棄物政策法の1987年の修正によって、ユッカマウンテンがサイト特性調査を実施する唯一の処分候補地となったのを受け、ユッカマウンテンサイトの処分場サイトとしての適合性を判定するためにDOE が適用する手法及び基準を規定した、「ユッカマウンテン・サイト適合性指針」(10 CFR Part 963)が定められています。
  • なお、ブルーリボン委員会の最終報告書で示された勧告を受けて、同意に基づくサイト選定プロセスによる処分場及び中間貯蔵施設の開発、新たな実施主体の設置などを図る「2013年放射性廃棄物管理法」の法案の検討が連邦議会上院で行われています。

安全規制

  • 高レベル放射性廃棄物処分場の安全性・安全基準については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)の下に、地層処分場の建設、操業等の許認可要件、条件を規定する「地層処分場における高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 60)と、「使用済燃料、高レベル及びTRU 放射性廃棄物の管理と処分のための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 191)が定められています。
  • ただし、ユッカマウンテンに関する許認可要件及び環境放射線防護基準としては、1992年エネルギー政策法に基づいて、「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場の高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)及び「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)が適用されることになっています。
  • 2004年7月、連邦控訴裁判所によって環境放射線防護基準を一部無効とする判決が出されたことを受け、2005年に環境保護庁(EPA)及び原子力規制委員会(NRC)により、40 CFR Part 197 及び10 CFR Part 63 の規則案がそれぞれ公表されました。EPA の40 CFR Part 197 は2008年10月に、NRC の10 CFR Part 63 は2009年3月にそれぞれ最終規則が発行されています。

資金確保

  • 高レベル放射性廃棄物処分に関する資金確保については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)によって定められています。
  • 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、高レベル放射性廃棄物の発生者が処分に必要な資金を負担すること、そのために放射性廃棄物基金を設立することが規定されています。
  • また、「使用済燃料または高レベル放射性廃棄物の処分のための標準契約」(10 CFR Part 961)によって、契約により、発生者が負担する費用を特定することを規定しています。

環境

  • 高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定、建設等における環境影響評価については、1969年国家環境政策法によって定められています。
  • 1969年国家環境政策法では、人間環境に影響を与える法案、その他の連邦政府の主要な行為に当たっては、事前に環境影響評価を実施することを規定しています。評価では、提案されている行為に代わる代替案を研究、開発、説明することも要求しています。環境影響評価手続については、1969年国家環境政策法の施行手続(40 CFR Part 1500 ~ 1508、10 CFR Part 1021)に定められています。

原子力責任

  • 高レベル放射性廃棄物処分に関する原子力損害賠償については、1954年プライス・アンダーソン法(2005年修正)によって定められています。
  • 1954年プライス・アンダーソン法(2005年修正)では、高レベル放射性廃棄物処分に関して、DOEと管理・運営契約者との補償契約を締結することを規定しているほか、放射性廃棄物基金から資金供給されるものに起因する公的責任は、限度額内で放射性廃棄物基金から賠償することを定めています。





全体構成
米国
hlw/us/chap3.txt · 最終更新: 2015/10/19 13:35 (外部編集)

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