(公財)原子力環境整備促進・資金管理センター

諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

Learn from foreign experience in HLW management

ユーザ用ツール

サイト用ツール


サイドバー

諸外国の状況

諸外国における高レベル放射性廃棄物処分の状況(あらまし)あらまし

一覧表

国別編(詳細情報)

スウェーデン

フィンランド

フランス

スイス

ドイツ

英国

米国

カナダ


その他の国(簡略情報)

スペインスペイン
ベルギーベルギー
ロシアロシア

アジア諸国(簡略情報)
中国中国
韓国韓国
日本日本


諸外国での原子力発電

関連情報
  • リンク集+1
諸外国トピカル情報


hlw:uk:chap6
HLW:UK:chap6

英国 英国における高レベル放射性廃棄物処分

英国における高レベル放射性廃棄物処分

全体構成(章別)


6. 安全確保の取り組み・コミュニケーション

6.1 地層処分の安全確保の取り組み

ポイント

  • 英国では、開発事業者に対して、地層処分事業を進めていく上で、人間及び環境の保護を確保するよう求めています。。

安全性の確認と知見の蓄積

英国政府は2008年の白書において、安全かつ持続可能であり、さらに公衆に容認される地層処分プログラムを実施するため、地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)に対し、環境アセスメントや持続可能性の問題を全体的に評価し、考慮するよう指示しています。また、環境規制機関(EA)などは、2009年2月に「地層処分施設の許可要件に関するガイダンス」を公表しました。このガイダンスでは、地層処分施設の開発者及び操業者に対して、地層処分施設が人間及び環境を適切に保護するものであることを立証するよう求めています。

英国政府は2014年の白書においても、人間及び環境の保護が確保される必要があるとしており、開発事業者(地層処分施設の実施主体である放射性廃棄物管理会社=RWM社)に対して、提案した施設のすべての側面に関する安全面での論拠を提示するよう求めています。RWM社は、地層処分施設がどのように安全性、セキュリティ及び環境保護に関する高度な基準を満たすのかを明示するために、セーフティケースを開発し、維持する必要があるとしています。

NDA及びRWMD(現RWM社)は2010年12月に、地層処分事業で行われる放射性廃棄物の輸送、処分場の操業及び長期安全性の3つを領域をカバーした一連の報告書「一般的な条件での処分システム・セーフティケース」を取りまとめています。これら報告書では、広範な環境及び処分場の設計を考慮に入れた処分概念の例を示しました。2014年の白書では、これら報告書及びIAEA の安全指針を、新たなサイト選定プロセスの初期活動(地質学的スクリーニング)の際に考慮に入れる必要があるとしています。


6.2 処分事業の透明性確保とコミュニケーション

ポイント

  • 2008年から始まった当初のサイト選定プロセスでは、自治体がプロセスへの参加を決定した場合、当該自治体において、地元関係者や処分実施主体も参加する「地域立地パートナーシップ」を組織することになっていました。この組織には、参加メンバーの連携や協議を主導し、意思決定を助ける役割を果たすような役割が期待されています。パートナーシップを支えるために、金額に見合った価値があることを前提に、英国政府が資金提供を行う意向を示していました。

地域立地パートナーシップの設立を予定

…自治体がサイト選定プロセスに参加決定以降の枠組みとして

2008年6月の政府白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」において、政府は、自治体がサイト選定プロセスへの参加を決定した後(自治体が第4段階に進む意思決定をした後)に「地域立地パートナーシップ」(Community Siting Partnership, CSP)を組織することを定めました。政府は、このパートナーシップが地元の利益を代表する性格を備えることを期待しており、少なくとも以下に示すメンバーを含むとの考えでした。

  • 自治体代表(公選議員または自治体職員)
  • 地元選出の国会議員
  • 地域の公共サービス部門(消防、警察、保健トラストなど)
  • 地域住民または住民グループ
  • 地域と密接に関わっている組織(例えば、地域の非政府組織など)
  • 広域の地元関係者
  • NDAの放射性廃棄物管理局(RWMD)

地域立地パートナーシップの役割は、具体的にはその設立時に参加メンバー間での協議で決めることになりますが、次のような役割を担うことが期待されていました。

  • 意思決定機関への助言と勧告を促進する。
  • 施設を設計、建設、操業するために実行組織と実施主体が行う作業を検討し、それに寄与する。
  • その諮問的役割を果たすとともに、地域社会の懸念に対処し、地域社会の福祉を充実させる方法を特定するため、専門家の助言を得る、あるいは研究を委託する。
  • 受け入れ自治体候補内の施設に関する立地選定プロセスが有効で、前進に向けて努力していることを確認する。
  • 地域立地パートナーシップの活動、見解、勧告についての情報を公開する。
  • 受け入れ自治体候補と広域の地元関係者と関わり合い、協議する。
  • 地域社会内部の多様な意見を識別し、それらに対処する。
  • 地域立地パートナーシップの使命に関係する権限を有する地方機関(例、地方の戦略的パートナーシップまたはサイトのステークホルダーグループ)と連携し、協議する。
  • 参加メンバーが自分の役割を効果的に実施できるように能力開発を行う。


カンブリア州西部での具体事例: 先行的なパートナーシップ作り

西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップの活動例
西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップの
活動例

source: www.westcumbriamrws.org.uk

カンブリア州、同州のアラデール市及びコープランド市の3つの自治体は、2009年にサイト選定プロセスへの関心表明を行った後、様々な側面から助言・支援活動を行う組織を立ち上げました。この組織は「西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ」と呼ばれています。この組織の活動は、自治体が参加是非を決めるまで(第3段階の終了まで)の期間に限って、3自治体が合同で設置しているもので、第4段階以降で設立される「地域立地パートナーシップ」(CSP)とは位置付けが異なります。

西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップには、両市議会、カンブリア州内の他の市議会、カンブリア州地方議会連合、全国農業者連盟(NFU)、地方労働組合などが参加しました。パートナーシップの会合は、約6週間に一回の頻度で開催され、意見交換や勉強会の場となりました。会合には、質問に答えるオブサーバーとして、CoRWM、DECC、EA、NDAのほか、地元の原子力施設に対して批判的立場のグループも参加しました。


関与を支えるための資金提供

地層処分場のサイト選定プロセスや研究開発や施設設計などに対して、地域社会が参加できるという可能性だけではなく、影響力をもって実質的に参加できる体制を整えられるようにするために、「関与のパッケージ」と呼ばれる政策支援が行われることになっていました。2008年6月の政府白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」では、関心表明を行った自治体、並びに参加表明後に自治体に設立される「地域立地パートナーシップ」の活動費用について、そのコストに見合った価値があるという前提のもとで、政府が負担することを明確にしていました。

カンブリア州、同州のアラデール市及びコープランド市が設立した「西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ」の場合には、エネルギー・気候変動省(DECC)が資金提供し、同省の代表がオブザーバーとしてパートナーシップに参加しました。


6.3 意識把握と情報提供

ポイント

  • 2008年から始まった当初のサイト選定プロセスに関心表明を行ったカンブリア州及び同州内の2市は、地層処分場立地に関する地元の多様な意見の実像を評価し、プロセスへの参加是非の判断材料とするために、助言組織としてパートナーシップ組織を立ち上げてました。住民や地元関係者に対する情報提供は、このパートナーシップ組織の活動を通じて行われました。

地元での広報(情報提供)活動:カンブリア州西部の事例

ディスカッション・パック
西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ
が作成した“ディスカッション・パック”

地層処分場を話題として10名程度の集まりで意見交換し、その結果をまとめるワークショップ・ツールです。背景情報として、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針が決まった経緯、地層処分場のサイト選定プロセスの進め方を簡単に紹介しています。

英国における地層処分場のサイト選定活動は、処分実施主体の原子力廃止措置機関(NDA)ではなく、英国政府が直接行っています。NDAが特定の地元を対象として調査を始める時期は、自治体がサイト選定プロセスへの参加を決定した後から(第4段階から)です。このため、地層処分場の立地に関する地元住民への主な情報提供は、関心表明を行った自治体が合同で設立した「西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ」の活動を通じて行われました。

このパートナーシップは、カンブリア州並びに州内のアラデール市とコープランド市がサイト選定プロセスに関心表明をおこなった直後の2009年11月に設立されました。地層処分場に関する情報を地元住民や関係者に周知し、サイト選定プロセスへの参加に対する多様な意見を評価することを活動目的の1つとしています。

西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップは、インターネットサイトでの情報提供、パネル討論やワークショップの企画・開催のほか、地層処分場のサイト選定に関する情報を住民向けに紹介する小冊子(リーフレット)を独自に作成し、カンブリア州のアラデール市及びコープランド市の全戸に配布しました。

また、初期スクリーニング結果が公表された後の2010年11月には「ディスカッション・パック」と名付けたDVD付き冊子を作成・配布し、アンケート調査などを実施しました。


国民意識と住民意識(主な世論調査結果)

世論調査(1)
source: Ipos MORI: Radioactive Waste Survey Wave 3, Research Report Prepared for West Cumbria Managing Radioactive Waste Safely Partnership (March 2011)

西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップは、地層処分場立地に関する地元の多様な意見の実像を評価するとともに、パートナーシップ自身の活動の改善を図るために、カンブリア州全体を対象とした世論調査を実施しました。外部調査会社を利用する形で、これまでに3回(2009年11月、2010年2月、2011年2月)の電話インタビューを実施しており、その結果をパートナーシップのインターネットサイトで公開しています。

2011年2月の調査結果では、西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップが地層処分場の立地可能性について、英国政府と話合いをしているという事実に対する認知度は、アラデールとコープランドの2市では70%を超えており、カンブリア州全体でも58%となっていました。

世論調査(2)
source: Ipos MORI: Radioactive Waste Survey Wave 3, Research Report Prepared for West Cumbria Managing Radioactive Waste Safely Partnership (March 2011)

カンブリア州西部に地層処分場を立地すべきかどうかの対する質問に対しては、2市では反対よりも賛成の立場の意見が多く、2市を除いた地域では賛成と反対が拮抗していました。





全体構成
英国
hlw/uk/chap6.txt · 最終更新: 2015/10/19 13:36 (外部編集)

経済産業省の委託により、(公財)原子力環境整備促進・資金管理センターが運用しています。