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HLW:UK:chap4
英国における高レベル放射性廃棄物処分
- 全体構成(章別)
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2. 地層処分計画と技術開発
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5. 処分事業の資金確保
目次
4. 処分地選定の進め方と地域振興
4.1 処分地の選定手続き・経緯
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2008年6月の白書『放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み』において、公募方式に基づく6段階から成るサイト選定プロセスや適用すべき基準が示されました。このサイト選定プロセスでは、政府が処分場を建設するために好ましいサイトを選定するまでは、自治体がこのプロセスから撤退する権利が認められています。白書の公表とともに、サイト選定が開始されています。
処分場サイト選定プロセス
英国におけるサイト選定プロセス英国におけるサイト選定プロセス
英国政府は2008年6月に白書『放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み』を公表し、地層処分場のサイト選定の進め方や初期スクリーニング基準(第2段階で使用)を明確化して、サイト選定を開始しました。英国のサイト選定プロセスは、地元の“主体的参加”と“地域とのパートナーシップ”を重視した公募方式です。サイト選定作業は、処分実施主体ではなく、英国政府が直接実施することになっており、エネルギー・気候変動省(DECC)が担当です。
サイト選定は、右に示す6段階で進められますが、大きく前半(第1~3段階)と後半(第4~6段階)にわかれています。
○第1~第3段階:
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最初の3段階までは、自治体と政府が議論する期間です。このためには、自治体がサイト選定プロセスへの参加を確約しなくても、その関心を表明する(関心表明)だけで十分であるという姿勢です。関心表明後に明らかに不適格である場所を選別するための調査は、処分実施主体ではなく、英国地質調査所(BGS)が実施します。自治体は、その情報を得てからプロセスへの参加を検討し、プロセスへの参加意思を正式に決定することができます。
○第4~第6段階:
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後半の段階では、実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)が調査を実施します。選定プロセスの開始時点では、各段階で実施される調査の内容は詳細には定められていません。少なくとも第4段階の前までに、地域立地パートナーシップが設立され、地元の意見を反映できる形で選定作業が進められることになっています。
このサイト選定プロセスでは、地下での調査及び建設が始まるまで(第5段階の終了まで)は、自治体が選定プロセスからの撤退権を行使できることを政府が保証しているのが特徴です。政府は各段階の終了期限は明確にしていません。逆に、これらの段階は関心表明を行った自治体がたどる段階を示した形となっており、選定を進める側のステップではないことも特徴です。
サイト選定の進捗状況
政府は、2008年6月に白書を公表するとともに、サイト選定の第1段階として政府との協議の開始を希望する、将来処分場を受け入れる可能性のある自治体の募集を開始しました。これに対して、2008年7月には、ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場やセラフィールド酸化物燃料再処理工場(THORP)など多くの原子力施設が立地しているカンブリア州のコープランド市が、地層処分場選定に関する政府との協議への関心表明を提出しました。また、2008年12月にはカンブリア州が、さらに2009年2月には同州のアラデール市が関心表明を行いました。
第2段階での調査:カンブリア州西部のケース
カンブリア州西部の自治体について、2010年6月からはサイト選定プロセスの第2段階である初期スクリーニングが英国地質調査所(BGS)によって行われました。調査結果は、同年10月に公表されました。
初期スクリーニングは、地層処分場の地下施設の設置場所を特定することが目的ではなく、所定の除外基準(白書で事前に公表していた基準)に基づいて、明らかに不適格な区域を事前に明らかにすることであり、以降の段階での不要な作業を避けることが狙いです。
BGSは、調査対象をアラデール市とコープランド市の全域、及び沖合5kmまでとし、既存の文献情報をもとに、深度200~1,000mの範囲の地下条件と所定の除外基準を比較して除外区域を評価しました。除外された区域は右図のようになっています。
2013年1月:カンブリア州議会が既に第4段階に進まないことを議決
[4]西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップは、パンフレットの配布やワークショップを開催して、地元住民の処分プロジェクトに関する知識・理解力の強化を図りました。約3年間にわたって世論調査や公衆やステークホルダーからの意見を求めるために公衆協議を行い、それらを反映した最終報告書を取りまとめました。このパートナーシップの活動については、chap6で紹介しています。
カンブリア州西部のケースでは、サイト選定プロセスの第3段階にあり、第4段階へ進むかどうかの検討を行っています。
3つの自治体(1州2市)は、各自治体がサイト選定プロセスへの参加是非を判断する際の助言組織として、2009年に「西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ」(West Cumbria Managing Radioactive Waste Safely Partnership)を発足させています。この組織は、地元住民の参画を得て関与プログラムを進め、3つの自治体に対する自身の意見及び勧告・助言をまとめた最終報告書を2012年8月に取りまとめました[4]。
3つの自治体は、この最終報告書などを参考にして、第4段階に進むかどうかの決定を行うため、2013年1月30日にカンブリア州議会、コープランド市議会、アラデール市議会で各々が議会投票を行いました。議会投票の結果は、コープランド市議会が賛成多数(賛成6、反対1)で第4段階に進むことを決議し、アラデール市議会も賛成多数(賛成5、反対2)でしたが、カンブリア州議会は反対多数(賛成3、反対7)となりました。第4段階に進むためには2市1州の合意が必要との覚書を締結していたため、サイト選定から撤退することとなりました。エネルギー・気候変動省(DECC)は、サイト選定の改善策を検討中です。
4.2 地域振興方策
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英国政府は、2008年6月の白書において、処分場の地元となった立地地域に対しては、地域振興のための方策については、地域のニーズ、金額の妥当性、支払う金額に見合った価値などを考慮しながら、協議の進展に合わせて地域社会、政府、NDA間で協議しながら策定すべきであるという認識を示しています。
白書でのコミットメント
白書『地層処分の実施の枠組み』(2008年6月)
白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」において政府は、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設を受け入れる地域社会は国家にとって不可欠な使命を自発的に引受けることになるとの認識を明示しています。処分場の立地地域の社会・経済的福利の発展に調和した振興方策を検討する必要性を認識する一方で、地層処分事業は処分場全体が最終的に閉鎖されるまで少なくとも100年かかり、地層処分施設の操業は数世代にわたる問題であることから、地域振興の問題も数世代にわたる要素を持っているとの認識です。
政府は、地域の短期的及び長期的なニーズは、施設を受け入れる地域社会ごとに異なる可能性があるので早まった判断を避け、地元地域、政府及び原子力廃止措置機関(NDA)などの協議により検討していく姿勢をとっています。
地層処分施設を受け入れることで地域社会が恩恵を受ける形の投資分野として、以下のものを例示しています。
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地域の訓練/技能開発/教育への投資
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地元サービス産業の活性化
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公共事業/住宅等への投資
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輸送インフラの強化
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福利厚生サービスの改善
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環境改善