諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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sa:psc2009i:sysdesc

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[size=160%]Posiva Safety Case 2009 Interim (フィンランド)[/size]

処分システムと安全要件

(セーフティケース中間概要報告書2009:2010年)




処分システムの概要

どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか…

対象廃棄物


図2 銅―鋳鉄製キャニスタ

5基の発電用原子炉で使用される3種類(BWR、VVER440、EPR)の異なる型の使用済燃料の処分を対象に設定され、廃棄物の最大処分量は約6,500tUとされている。しかし、新規原子炉の建設計画に対応して最大処分量の拡大が計画されており、最終的な使用済燃料の仕様および核種インベントリは2010年~2011年のプラン状況に基づき決定されることになっている(※)。

(※:2010年5月の政府による原則決定、及び同年7月のフィンランド国会による承認により、オルキルオト処分場にて処分可能な使用済燃料の最大処分量は9000トンとなっている)

「放射性核種の放出および移行」報告書の線量評価では、核種インベントリは、燃料の燃焼度を40MWd/kgU、濃縮度は現在が最大であるとし、冷却期間を30年間と仮定している。

使用済燃料は、鋳鉄製インサートおよび厚さ50mmの銅製オーバーパックに封入される(図2)。ポシヴァ社は、予想される処分場の環境の中でキャニスタが少なくとも10万年にわたって耐漏洩性を維持することを設計基準としている。

FIXME (以下のバラグラフは、しかるべき別の箇所へ移動する)中間概要報告書では、主に単一のキャニスタが破損した事象の線量解析が検討され、複数のキャニスタが破損する場合の影響が検討されている事象は、岩石剪断に起因するキャニスタの破損の場合のみとなっている。複数のキャニスタが破損する可能性の取り扱いは、今後のセーフティケースの概念化と方法論の開発における鍵となっている。


処分場の地質環境・立地条件(評価上の設定)


図3 オルキルオト島の位置図

フィンランドでは、2000年の政府による原則決定、2001年の議会の承認により、使用済燃料の最終処分地をユーラヨキ自治体のオルキルオト(図3参照)とすることが決定された。オルキルオトは面積が約12km2の島であり、平均海抜は5mとなっている。

オルキルオトの詳細な情報を得るために、2004年より地下特性調査施設(ONKALO)の建設が開始されている。最終的に処分場の一部となるとなる予定のONKALO周辺の岩盤は、強い褶曲を受けた18~19億年前の片麻岩が主体となる結晶質岩盤である。オルキルオトでは後氷期の影響により、年間約6mmの速度で土地が隆起している。地下水中の塩分濃度は深度が深くなるにつれ高くなる傾向にあり、処分場深度(約400m)の塩分濃度は1リットル当たり10~20 gである。


処分概念(処分場の設計)


安全評価の方法論に向けた事前知識としては、ここで、この程度の説明が必要。

深度は約420m。パネルA,B,C


最終処分場の処分概念は、スウェーデンのSKB社が1983年に提案したKBS-3処分概念に基づいている。KBS-3処分概念には、キャニスタを縦置きに定置するKBS-3V概念と横置きに定置するKBS-3H概念があるが、中間概要報告書ではKBS-3V概念をレファレンス概念としている。

KBS-3処分概念では、使用済燃料を鋳鉄製インサートと銅製オーバーパックからなるキャニスタに封入することによって核種の閉じ込め性を期待する。キャニスタは、その周囲をベントナイト製の緩衝材で取り囲むようにして、地下深部(評価上の深度は約420m)に掘削した処分孔に縦置きで定置する処分概念である。

ポシヴァ社は、予想される処分場の環境の中でキャニスタが少なくとも100,000年にわたり耐漏洩性を維持することを設計基準としている。


図5 結晶質基盤岩における使用済燃料向けKBS-3タイプ処分場に関する安全概念の概略図

KBS-3法による安全概念は、処分の長期安全性を、使用済燃料を地下深部に隔離し、その放射性核種を多重バリアシステム(人工バリア・天然バリア)によって閉じ込めることによって達成するとしている。多重バリアシステムはいずれか単一の有害な事象またはシステムの不備によって安全性の確保が危険にさらされるようなことがないようにするためのものとしている。使用済燃料に含まれる放射性核種の閉じ込めは、何よりも使用済燃料を水密性及び気密性を備えたシーリングの施されたキャニスタに封入することによりもたらされるとしている。図5には安全機能の働きを支援するシステムの鍵となる特性が赤色の柱及びブロックとして表されている。また、緑色の柱及びブロックは、キャニスタに破損が生じた場合に、放射性核種の放出を制限し、核種移行を遅延させる役割を果たす、安全システムの二次的な特徴を示している。「二次的」という側面は、これらの特性がキャニスタの破損が生じた場合のみ重要となるためである。


図6 KBS-3V(左上)及びKBS-3H(右上)処分場設計の原則と、KBS-3H設計(下)及びスーパーコンテナ(右上)の詳細な具体例

中間概要報告書では、KBS-3Vの代替概念であるKBS-3H概念による処分場の安全性調査の要約についても取り上げている。KBS-3H概念による処分システムでは、パンチングされた鋼鉄製シェル・シリンダ内にキャニスタをベントナイトで取り囲むように予めしてパッケージングする。これを「スーパーコンテナ」と呼んでいる。スーパーコンテナをベントナイトブロックで隔るようにして、長さ100~300 mの処分横坑に水平に定置する(図6)。


放射線防護基準 (安全評価の法令・規制要求事項)

フィンランドの廃棄物処分に関する放射線防護の規制要件は、2008年に制定された「原子力廃棄物の処分の安全性に関する政令」、及び規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による指針により与えられている。STUKは2010年現在、原子力廃棄物処分に関する詳細安全規則を改訂中であるが、中間概要報告書では、改訂中の指針「原子力廃棄物の最終処分」のドラフトに示されている放射線防護基準を引用している。政令及びドラフト版の指針では下記の規制要件が定められている。なお、処分場閉鎖後から少なくとも数千年間の期間とそれ以降の期間で、異なる評価基準を用いることが規定されている。

○最低でも数千年間の期間(線量率に係る基準を規定)

  • 最も高い被ばくを受ける人々の年間線量の拘束値: 0.1 mSv/y。最も高い被ばくを受ける個人の年間線量は、最も高い放射線被ばくが様々な経路を通じて起こる処分サイトの近くで生活する自給自足が可能な家族または小さな村落共同体等に起こる平均量に対応。
  • より大きなグループに含まれる人々が受ける年間の平均被ばく線量が、最大被ばくを受ける個人に関する拘束値の1/100~1/10を超えない(0.001~0.01mSv/y)

○上記の期間以降(地圏から生物圏への核種放出率に係る基準を規定)

  • 核種の比放射能の放出量とそれぞれの拘束値との間の比率の合計が1を下回ること。なお、放射能の放出率は最大で1000年間にわたり平均することが出来る。また、具体的な放射能放出率との比較に用いられる規制拘束値はドラフト版の指針の中で定められているとしている。
  • 偶発的な事象の安全面から見た重要性の評価は、実行可能な場合に、それによって得られた年間線量または放射能放出を計算した上で、見積もられた発生確率をそれに乗じる、としている。




sa/psc2009i/sysdesc.1299865101.txt.gz · 最終更新: 2011/03/12 02:38 (外部編集)