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米国

米国において、民間組織が使用済燃料の中間貯蔵施設の建設を計画している。この計画は、エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)がニューメキシコ州のカールスバッド市の近郊に使用済燃料の中間貯蔵施設を立地するというものであり、フランス・AREVA社の米国法人の2012年10月5日付のプレスリリースでは、AREVA社を中心とする企業体が本計画のパートナーとして選定されたとしている。

ELEAは、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体で構成される企業体である。かつてELEAは、計画が中止された国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)での統合使用済燃料リサイクル施設の立地調査に応募しており、ELEAが提案したサイトが選定された経緯がある。また、カールスバッド市では、軍事用の超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)が1999年より順調な操業を続けている。

高レベル放射性廃棄物等の管理政策を定めた1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、ユッカマウンテンでの地層処分場開発とともに、エネルギー長官に対して、監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設1と呼ばれる中間貯蔵施設の立地・建設・操業を行う権限を認めている。ただし、エネルギー長官による高レベル放射性廃棄物等の中間貯蔵は、処分地が決定する目処が立つまで中間貯蔵施設のサイト選定を実施できないこと、地層処分施設の建設の許認可が発給されるまで中間貯蔵施設の建設を開始できないなど、地層処分計画が進まないと実施できないような規定内容となっている。

今回のELEAの計画の他、民間の使用済燃料の中間貯蔵施設の建設計画としては、原子力発電事業者が共同で設立した民間燃料貯蔵(PFS)社が、1997年6月に原子力規制委員会(NRC)に対して、ユタ州ソルトレイクシティの近傍であるスカルバレーバンドにおいて、使用済燃料の中間貯蔵施設の建設許可申請を提出していたものがある。NRCは2006年2月に建設許可を発給したものの、PFS社とスカルバレーバンドとの土地貸借契約、輸送のための国有地の使用に関する許可が内務省から得られず、プロジェクトは無期限に延期されている。

現政権によるユッカマウンテン計画を中止し、代替案を検討するとの方針に従って、エネルギー長官が設置した「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」は、2012年1月に提出した最終報告書において、中間貯蔵施設の建設を重要な課題と位置付け、以下の点を指摘している。

  • 中間貯蔵は、廃止措置された原子炉サイトからの使用済燃料の撤去を可能にする
  • 中間貯蔵によって連邦政府の廃棄物受入れ義務の履行開始を可能にする
  • 中間貯蔵は、福島及びその他の事象から学んだ教訓に対応するための柔軟性をもたらす
  • 中間貯蔵は、処分場プログラムをサポートする
  • 中間貯蔵は、廃棄物管理システムのための技術的機会をもたらす
  • 中間貯蔵は、貯蔵機能及び将来の廃棄物取扱い機能の柔軟性及び効率性の向上のための選択肢を提供する

なお、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)での高レベル放射性廃棄物等の中間貯蔵施設のサイト選定・建設と、地層処分場の計画の進捗とをリンクさせて制限する条項については、ブルーリボン委員会の最終報告書において、この制限を撤廃するための法改正などの必要性が指摘されている。

【出典】

【2013年1月7日追記】

米国のユタ州ソルトレイクシティ近傍のスカルバレーバンドにおいて、使用済燃料の中間貯蔵施設の建設を計画していた民間燃料貯蔵(PFS)社は、2012年12月20日付で原子力規制委員会(NRC)に書簡を提出し、NRCに対して中間貯蔵施設の建設許可の終了を要求した。PFS社は、2006年2月21日に、NRCより中間貯蔵施設の建設許可の発給を受けていたが、今回の書簡により、PFS社による中間貯蔵施設の建設に向けたプロジェクトは中止されることとなる。
今回の書簡においては、プロジェクトを中止させる理由として、以下の3点が示されている。

  • 建設許可証の条件19において、施設の操業開始当初の貯蔵容量としてNRCに提示した量の使用済燃料を貯蔵できる施設を建設するのに十分な資金を確保しなければ建設を開始できないと規定されていたが、資金確保はなされず、建設は行われなかったこと。
  • 建設許可証の条件20において、使用済燃料に関する全費用を顧客に転嫁する契約を締結して、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)に提出して承認を受けなければ施設の操業を開始できないと規定されていたが、こうした契約が締結されなかったこと。
  • PFS社とスカルバレーバンドとの土地貸借契約に関する許可が、内務省(DOI)によって承認されなかったこと。

【出典】

 

【2015年5月8日追記】

米国のエネルギー関連企業であるホルテック・インターナショナル社は、2015年4月30日のプレスリリースにおいて、ニューメキシコ州のカールスバッド市近郊で使用済燃料の半地下の中間貯蔵施設を建設することについて、エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)と覚書を締結したことを公表した。ELEAのホームページには、ホルテック・インターナショナル社などとの2015年4月29日の記者会見に関するライブストリームの情報が記されている。

本建設計画については、ELEAの構成員であるニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体の支持に加えて、ニューメキシコ州知事も2015年4月10日にエネルギー長官宛てに書簡を送付しており、その中で、ELEAの計画を支持することが記されている。

ELEAとホルテック・インターナショナル社との覚書では、ホルテック・インターナショナル社が原子力発電所で建設実績のある使用済燃料のサイト内貯蔵システムであるHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)を拡張した中間貯蔵システムの設計、許認可、建設及び操業を行い、ELEAがサイト特性調査に係るデータの取得・整備、地元への働き掛けを行うとしている。

計画している中間貯蔵施設は、100年間の供用が可能な施設とし、貯蔵キャニスタを取り出して移送できるように設計される。施設の規模に制約はなく、ユッカマウンテン処分場の処分容量に相当する施設の広さは32エーカー(約13万平方メートル)としている。

なお、記者会見にも参加していた原子力エネルギー協会(NEI)が本建設計画を支持するプレスリリースを出している一方で、ニューメキシコ州選出・民主党のユーダル、ハインリッヒ両上院議員は、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業再開に注力すべきであること、地層処分計画の存在しない状態ではどのような場所での中間貯蔵計画も支持できないとの声明を出している。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background []

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2012年9月6日のプレスリリースにおいて、使用済燃料の中間貯蔵に関する「廃棄物保証」に関する決定及び規則の改定、環境影響評価書(EIS)の作成をNRCスタッフに指示したことを明らかにした。これは、「廃棄物保証」規則の2010年改定を無効とした2012年6月8日の米国連邦控訴裁判所判決へ対応するものであり、EISの作成及び規則等の再改定を今後24ヵ月以内に完了することとしている。なお、NRCは、2012年8月7日の覚書及び命令において、上記の無効判決への対応が完了するまでは、原子炉の一括許認可(COL)等の審査は継続するものの、新たな許認可は発給しないとする決定を行っていた。

具体的なNRCの指示が示された2012年9月6日付けの委員会指示文書は、2012年7月9日付のNRCスタッフ提案文書に対応する形で出されているが、スタッフ提案文書においては、連邦控訴裁判所判決が指摘した不足事項を以下の3つと整理している。

  • 不足事項A:必要な時期に十分な容量の処分場が設置されなかった場合の環境影響の考察
  • 不足事項B:将来的に発生が想定される潜在的な使用済燃料の貯蔵プールの漏洩による環境影響の解析
  • 不足事項C:貯蔵プールにおける火災の確率及び影響の解析

また、上記の不足事項への対応策について、NRCのスタッフは、以下の4つのオプションによる対応が考えられるとしていた。

  1. NRCでは、既に原子炉の操業停止後60年以降の期間を対象とした「長期廃棄物保証プロジェクト」において、環境影響評価書(EIS)の作成及び規則の策定の取り組みを開始しており、その中で不足事項に対応すること。
  2. 判決で指摘された不足事項に対応して「廃棄物保証」規則を再改定する。
  3. 「廃棄物保証」規則の再改定が完了するまでは、不足事項についての一般的解析を行った上で、個別の許認可手続での環境影響評価において一般的解析の結果を適合させながら使用する。
  4. 判決への対応の進め方を示した委員会の計画に関する政策文書を発行する。

NRCスタッフ提案文書においては、上記の2.と3.とを並行的に進める案を提案していたが、委員会指示文書では、2.による環境影響評価書(EIS)の作成を指示しており、実施中の原子炉許認可手続きでサイト個別のEISを実施する3.適用については、止むを得ない場合に限定すべきとしている。

また、委員会指示文書では、NRCのスタッフは、可能な限り2010年の「廃棄物保証」規則の改定におけるNRCによる環境アセスメント(EA)を活用すべきであり、連邦控訴裁判所判決が指摘した不足事項に対する追加的な分析に焦点を当てるべきとしている。

【出典】

米国の連邦控訴裁判所1 は、2012年6月1日に、全米公益事業規制委員協会(NARUC)などが放射性廃棄物基金への拠出金の徴収の停止を求めていた訴訟に関して、現時点でエネルギー省(DOE)に対して徴収の停止は指示しないとする一方で、6カ月以内に拠出金額の妥当性の評価を実施するよう指示するとの判決を行った。

1982年放射性廃棄物政策法では、民間で発生する使用済燃料、高レベル放射性廃棄物の処分については、発生者が費用を負担する責任を有すことが規定されており、廃棄物発生者である原子力発電事業者は原子力発電1kWh当たり1ミル(0.001ドル)を放射性廃棄物基金に拠出している。また、1982年放射性廃棄物政策法では、エネルギー長官が拠出金額の妥当性について毎年評価することを規定している。

DOEは、2008年にユッカマウンテン処分場での処分に基づいて評価を行い、放射性廃棄物基金への拠出金額が妥当であるとの判断を示していた。その後、DOEは、ユッカマウンテン計画を中止する方針を示した後、2010年に過剰、または不十分な拠出金額を徴収していると判断する合理的証拠はないなどとする覚書を示し、この覚書に基づいて拠出金額の変更をしないとする決定を示していた。この覚書では、具体的な処分費用の見積りや処分費用を賄うために必要とされる拠出金額などは示されていなかった。

NARUCなどは、訴訟において、DOEが高レベル放射性廃棄物の処分費用の評価を実施していないなどとし、1982年放射性廃棄物政策法に規定された義務を履行していないとしていた。また、ユッカマウンテン計画が中止されたため、処分計画は不確実で処分費用を見積ることができないとして、新たな処分計画の策定まで拠出金の徴収を停止するよう求めていた。

今回の連邦控訴裁判所の判決では、2010年にDOEが示した拠出金額に関する決定について法的に不適切であるとしたが、拠出金の徴収を停止することは時期尚早であるとしている。そのうえで、DOEに対して拠出金の妥当性の評価を実施するという法的な義務を6カ月以内に果たすよう指示している。

【出典】

【2013年1月22日追記】

エネルギー省(DOE)は2013年1月16日に、連邦控訴裁判所の指示に従い、放射性廃棄物基金への拠出金額の妥当性に関する評価報告書(以下「妥当性評価報告書」という。)を公表した。
エネルギー長官は、妥当性評価報告書で示された評価結果に基づいて、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)の規定により連邦政府が負担する費用を賄うために徴収されている金額に過不足はなく、現時点で放射性廃棄物基金への拠出金額の変更は提案しないとしている。
妥当性評価報告書においては、DOEが2013年1月11日に公表した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」において示した処分システムの構成及びスケジュールを前提として用いており、地層処分場の操業開始は2048年と想定している。また、妥当性評価のための費用見積りでは、集中中間貯蔵施設のサイト選定、建設、操業、廃止措置等のための費用も考慮されている。

【出典】

【2013年2月1日追記】

全米公益事業規制委員協会(NARUC)は、2013年1月31日に、連邦控訴裁判所に対して、訴訟手続を迅速に再開し、放射性廃棄物基金への拠出金額の妥当性に関するエネルギー省(DOE)による決定を審理すること、DOEに対する拠出金の徴収停止の命令を求めることを内容とする申立書を提出した。
申立書において、2013年1月16日にDOEが公表した拠出金額の妥当性評価報告書は、検討で前提とされた「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」が1982年放射性廃棄物政策法の規定に沿ったものではなく、今後の連邦議会の承認が必要であること、追加での拠出金の必要性が十分に示されていないことなどから、妥当性評価報告書には欠陥があり、拠出金の徴収は停止されるべきであるとしている。

【出典】


  1. 連邦控訴裁判所のうち、コロンビア特別区(D.C.)巡回区控訴裁判所が担当(米国の首都ワシントンD.C.地区における訴訟事件を取り扱う)。 []

2012年2月14日に、米国で2013会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表されるとともに、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表された。DOEの予算要求資料では、2012年1月26日に公表されたブルーリボン委員会の勧告への対応に関連した研究開発が含まれる「使用済燃料処分等プログラム」(UFD、Used Nuclear Fuel Disposition)について、5,966万8,000ドルが要求されたことが示されている。また、ユッカマウンテン処分場関連予算については要求されていない。

DOEの予算要求資料では、オバマ政権は連邦議会やステークホルダーと協力してブルーリボン委員会の勧告を十分に検討し、使用済燃料などの管理の実施シナリオを評価していくとしている。さらに、2012会計年度の歳出法に示されたように、6カ月以内に検討結果を連邦議会に対して報告するとしている(2011年12月20日追記参照)

DOEの予算要求資料では、ブルーリボン委員会の研究開発に関連した短期的な優先事項に基づいて、2012会計年度のUFDにおいて予算配分を調整しているとしており、以下のような活動を行っているとしている。

  • 標準的な輸送・貯蔵・処分コンテナの開発及び許認可のサポート
  • 処分場の地層の特性調査
  • サイトに依存しない地層処分に関する研究開発
  • 貯蔵オプション及びそれぞれの利点の評価
  • 有力なパートナーシップの仕組みを含め、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の代替管理方策の評価の開始
  • 使用済燃料の貯蔵の安全性に関連した課題へのDOEの評価能力の強化

また、2013会計年度の予算要求では、2012会計年度の活動を踏まえ、高レベル放射性廃棄物処分などに関連した活動では、以下に焦点を当てるとしている。

  • 集中中間貯蔵及び輸送の課題の評価(最初は廃止措置された原子炉サイトを対象)
  • 産業界と協力して使用済燃料管理アプローチの標準化
  • 使用済燃料貯蔵の長期化をサポートするため材料試験の実施
  • 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全輸送に関する全米科学アカデミー(NAS)レポートのレビューによって特定された実施作業の開始
  • 代替環境での地層処分の研究の開始(システムモデル化、天然バリア、人工バリア、設計概念の評価及び試験)

なお、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を担当している原子力規制委員会(NRC)の予算要求資料では、2012会計年度に引き続き、2013会計年度の高レベル放射性廃棄物処分関連の予算要求はゼロとなっている。NRCは、2011年9月にユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査手続きを停止している。

【出典】

【2012年2月16日追記】

エネルギー省(DOE)は、2012年2月15日付けのプレスリリースにおいて、エネルギー長官がジョージア州のヴォーグル原子力発電所を訪問した際の発言の内容を公表した。この中でエネルギー長官は、ブルーリボン委員会の最終報告書での勧告の評価を行うとともに、勧告に基づいて使用済燃料などの長期管理戦略を策定するためのワーキンググループをDOE内に設置することを明らかにした。

なお、エネルギー長官の発言の中で、ヴォーグル原子力発電所の3・4号機は、2012年2月10日に原子力規制委員会(NRC)が建設・運転の一括許認可(COL)を発給したものであり、DOEは、融資保証、新たな原子炉の炉型(AP 1000)の承認においてサポートを行ったとしている。

【出典】

【2012年9月25日追記】

2012年9月22日、米国の連邦議会上院は、9月13日の下院での可決に引き続いて、2013会計年度2 のうち、2012年10月1日~2013年3月27日を対象とした継続歳出決議を可決した。これは、2012会計年度のエネルギー・水資源歳出法などを含む、2012会計年度の歳出法での予算と同レベルの歳出を認めるものである。継続歳出決議による予算では、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の指定が無い限りは前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。
2012会計年度のエネルギー・水資源歳出法の予算においては、エネルギー省(DOE)に対して、ブルーリボン委員会の最終報告書を受けた使用済燃料などの管理戦略の策定、「使用済燃料処分等プログラム」(UFD、Used Nuclear Fuel Disposition)が認められており、継続予算の下でも実施可能となる。
一方、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場に係る許認可審査関連費用については、2012会計年度のエネルギー・水資源歳出法で予算が割り当てられていなかったため、継続予算においても予算はゼロとなる。

【出典】

【2012年11月8日追記】

1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)に基づいて高レベル放射性廃棄物処分に係る勧告等を連邦議会及びエネルギー長官に対して行う目的で設置された放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2012年10月17日に、NWTRBの全体会議を開催しているが、今般、エネルギー省(DOE)による「使用済燃料処分等プログラム」(UFD)の取組状況の資料が公開された。
DOEの資料によると、UFDにおける処分に関する研究開発の目標は、以下の3点とされている。

  • 実施可能な複数の処分オプションが存在しているという点についての確かな技術的根拠の提示
  • 一般的な条件での処分概念のロバスト性(頑健性)に対する信頼性の向上
  • ボアホール処分の概念を立証するための短期的な計画を策定すべきとする「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下、「ブルーリボン委員会」という。)の勧告の評価

また、DOEの資料では、UFDの枠組みにおいて進められている研究開発として、以下の2点が示されている。

  • 一般的な条件での処分概念の開発(岩塩、結晶質岩、粘土/頁岩)
  • 共同研究開発の実施(スイス・モンテリ岩盤研究所及びグリムゼル試験サイト、韓国原子力研究所(KAERI)地下研究トンネル(KURT)における研究計画への参画、「熱-水-応力-化学連成モデルの開発・確証に関する国際共同プロジェクト」(DECOVALEX)の2012年春に開始された計画への参画)

なお、ブルーリボン委員会の最終報告書の公表後6カ月以内に策定するよう連邦議会が指示していた使用済燃料などの管理戦略については、現在、DOEで検討を実施中としている。

【出典】

【2013年3月26日追記】

米国の連邦議会は、2013年3月21日に、2013年包括・再継続歳出法を可決した。2013年包括・再継続歳出法は、既に可決している2012年10月1日~2013年3月27日を対象とした継続歳出決議を補うものとして、2013年9月30日までの2013会計年度全体に対して、2012会計年度のエネルギー・水資源歳出法などを含む、2012会計年度の歳出法での予算と同レベルの歳出を認めるものである。

2013年包括・再継続歳出法による予算は、原則として2012会計年度予算に計上されていた事業・プログラム等に同率で比例配分される。したがって、2012会計年度のエネルギー・水資源歳出法においてエネルギー省(DOE)に対して認められていた「使用済燃料処分等プログラム」(UFD、Used Nuclear Fuel Disposition)などは、2013年包括・再継続歳出法による予算の下でも実施可能となる。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2013会計年度の予算は2012年10月からの1年間に対するものである。
    []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、本来、2013会計年度の予算は、2012年10月からの1年間に対するものである。しかし、今回のような継続歳出決議は、歳出法案が成立しないなどの場合、期限を切って予算を立てるために上下院で決議が行われる。 []

カナダでの低・中レベル放射性廃棄物処分場の計画

カナダの低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場プロジェクトについては、許認可申請の前段階として、環境影響を審査する段階に入っている。カナダ環境評価局(CEAA)は、2月3日に、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が提出した環境影響評価書(EIS)及び予備的安全評価書等について、合同評価パネル(JRP)がパブリックコメントの募集を開始することを公表した。コメントの募集期間は最大で6カ月とされ、必要に応じ延長するとしている。

合同評価パネル(JRP)は、審査の開始に当たり、EIS等の概要についてOPG社などから説明を受けるためのオリエンテーション会議を2月21日に開催することとしている。オリエンテーション会議では、OPG社の他、カナダ原子力安全委員会(CNSC)によるプレゼンテーションも予定されている。

OPG社は、オンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトで低・中レベル放射性廃棄物処分の実施を計画しており、地下約680mの石灰岩層に建設される地層処分場において、OPG社の原子力発電所から発生する約20万m3の低・中レベル放射性廃棄物を処分することとしている。また、OPG社が2011年4月に提出したEIS、予備的安全評価書等については、CNSCとCEAAが合同評価パネル(JRP)を設置して審査することとされ、2012年1月にはJRPの委員3名が任命されていた(2012年1月26日追記参照)。

米国での新たな低レベル放射性廃棄物処分場の操業開始

米国では、2011年11月10日に、テキサス州アンドリュースで低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場が操業を開始した。WCSテキサス処分場の操業者は、ウェースト・コントロール・ スペシャリスト(WCS)社であり、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法で州または州が共同で処分を実施するとされた以降、初めて建設された低レベル放射性廃棄物処分場となる。

WCSテキサス処分場は、テキサス州とバーモント州で構成されるテキサス・コンパクト1 のクラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物2 と、エネルギー省(DOE)などの連邦政府の低レベル放射性廃棄物の処分を行うこととなっている。なお、WCSテキサス処分場では、テキサス・コンパクトを構成する州の他、現状でクラスB・Cの低レベル放射性廃棄物の処分ができない州でも、テキサス低レベル放射性廃棄物処分コンパクト委員会(TLLRWDCC)の特別な承認を受けることを前提として、クラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物を処分することが可能となっている。

なお、米国ではこの他に、以下の3カ所の民間低レベル放射性廃棄物処分場が操業されているが、処分可能廃棄物や受け入れ可能な州に制限がある。

処分可能廃棄物 受け入れ可能な州
バーンウェル処分場
(サウスカロライナ州)
クラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物 アトランティック・コンパクト(サウスカロライナ州、コネティカット州、ニュージャージー州)
リッチランド処分場
(ワシントン州)
クラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物 ノースウェスト・コンパクト(アラスカ州、ハワイ州、アイダホ州、モンタナ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州、ワイオミング州)及びロッキーマウンテン・コンパクト(コロラド州、ネバダ州、ニューメキシコ州)
クライブ処分場
(ユタ州)
クラスAの低レベル放射性廃棄物 全ての州

【出典】


  1. 1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法では、低レベル放射性廃棄物は州が単独またはコンパクトと呼ばれる共同協定グループを形成し、コンパクトに加盟する州からの廃棄物の処分に責任を持つこととされている。 []
  2. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法及び原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61)において、浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA・B・Cの分類が定められている。また、クラスCを超える低レベル放射性廃棄物(GTCC廃棄物)は、連邦政府が処分を行うこととなっている。 []

「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2012年1月26日に、米国の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分に係る安全かつ長期的な解決策のための包括的な提案を示した最終報告書をエネルギー長官に提出した。ブルーリボン委員会は2011年7月にドラフト報告書を公表しており、最終報告書は、その後の意見募集を経て、委員会設置から2年以内という期限に合わせ、最終報告・提言が取りまとめられたものである。

最終報告書では、概ねドラフト報告書の内容が踏襲されているが、勧告された戦略の重要な要素として、「集中貯蔵施設や処分場が利用可能となった際に開始される使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の大規模な輸送のための迅速な取組」が追加され、8つのポイントが示されている(他の7点については既報参照)。ブルーリボン委員会のプレスリリースでは、最終報告で示した戦略における極めて重要な要素として、以下の3点の勧告が挙げられている。

  1. 州などの地元の意に反して強要する試みは成功しておらず、将来の放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分場の立地選定は同意に基づくアプローチとすること。
  2. 米国での高レベル放射性廃棄物管理プログラムの責任は、DOEから独立で、安全な貯蔵及び処分の確保に専念する新しい組織へ移すこと。
  3. 毎年約7.5億ドルの放射性廃棄物基金への拠出金の連邦予算上の取扱いを変更し、連邦議会の当初の意図通りに使用できるよう確保すること。

ブルーリボン委員会は、エネルギー長官に宛てた書簡において、勧告の多くは政府及び連邦議会による行動が必要とした上で、勧告の実施においてエネルギー省(DOE)に関連する全ての要素を調整するため、十分な権限を有する上級担当官を速やかに指名するよう要請している。また、最終報告書では、放射性廃棄物の安全かつ恒久的な解決策の決定は現世代の義務であるとして、新たな戦略の必要性は緊急課題としている。

なお、ブルーリボン委員会は最終報告書においても、ユッカマウンテンの適性について見解を示すこと、放射性廃棄物管理に係る特定サイトを提案すること、米国の将来のエネルギー供給上の原子力発電の役割について見解を示すことは、委員会の検討対象とされていなかったとしている。ブルーリボン委員会のプレスリリースでは、これらは何れも重要な課題ではあるが、放射性廃棄物管理のための戦略の変更・改善の緊急性を変えるものではなく、ブルーリボン委員会が成し遂げようと努力したのは、サイトに関わらず適用可能であり、現状の行き詰まりの解決につながる確実な放射性廃棄物管理アプローチの勧告であるとしている。

【出典】

【2012年2月9日追記】

米国連邦議会では、2012年1月26日のブルーリボン委員会の最終報告書の公表後、同報告書に関する公聴会が以下の委員会において開催された。これらの公聴会では、ブルーリボン委員会の2名の共同委員長などが出席して証言を行った。

  • 下院エネルギー・商務委員会、環境・経済小委員会(2012年2月1日開催)
  • 上院エネルギー・天然資源委員会(2012年2月2日開催)
  • 下院科学・宇宙・技術委員会(2012年2月8日開催)

このうち、2012年2月8日に行われた下院科学・宇宙・技術委員会の公聴会では、ブルーリボン委員会の共同委員長の他、エネルギー省(DOE)の原子力担当次官補が証言を行っており、2012会計年度のDOEの研究開発計画である「使用済燃料処分等プログラム」(UFD)における以下の処分関連の活動を紹介した。

  • 放射性廃棄物の発熱に対する岩塩の挙動を理解する最適なアプローチを決定するためのワークショップの開催
  • 産業界とともに、超深孔処分概念のための研究開発・実証計画やロードマップの策定の開始
  • 花崗岩及び粘土層での処分についての国際的なパートナーとの協力を拡大

さらに、原子力担当次官補は、2012会計年度の歳出法案に関する両院協議会報告書において、ブルーリボン委員会の最終報告書の公表後の6カ月以内に、使用済燃料などの管理戦略を策定するよう指示されていることを挙げ(2011年12月20日追記参照)、上記のDOEの研究開発活動は、DOEが進めている作業での重要な部分となるとした。

【出典】

【2012年3月9日追記】

ブルーリボン委員会が設置していた処分小委員会、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会、輸送・貯蔵小委員会の3つの小委員会は、各々の最新版報告書を公表した。これらの小委員会は、2011年5月から6月にかけて、それぞれの勧告案を含むドラフト報告書を公表し、2011年7月15日までを最終締切として意見募集を行っていた(2011年6月21日追記参照)。また、2011年7月29日にブルーリボン委員会の委員会自体のドラフト報告書が公表され、2011年10月31日まで意見募集が行われていた

今回公表された3つの小委員会の最新版報告書は、小委員会及びブルーリボン委員会のドラフト報告書に対して寄せられた情報や意見を反映して改訂したものとされている。また、輸送・貯蔵小委員会の最新版報告書によると、2012年1月時点での小委員会の成果及び結論を中心に示しており、将来の使用済燃料等の輸送及び貯蔵に関する勧告の詳細を示しているとしている。このため、小委員会の最新版報告書は、ブルーリボン委員会の最終報告書を補完するものとしている。

【出典】

【2012年4月17日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2012年4月10日、ブルーリボン委員会の最終報告書に関するブリーフィングを開催した。本ブリーフィングでは、ブルーリボン委員会の共同委員長が最終報告書で示された8つの勧告について説明するとともに、NRCからこれらの勧告のNRCの活動への影響などについて説明が行われた。

本ブリーフィングにおいてNRCのヤツコ委員長は、ブルーリボン委員会の最終報告書での提案に関連し、一般的な地層処分場に適用する連邦規則である10 CFR Part 60「地層処分場における高レベル放射性廃棄物の処分」の改定作業を検討することを示した。なお、10 CFR Part 60は、1982年放射性廃棄物政策法においてNRCが策定することを求められているものであり、これに先立って1981年に最終版が策定された後、数度にわたって改定が行われている。

【出典】

【2012年9月14日追記】

連邦議会上院エネルギー天然資源委員会は、2012年9月12日、「2012年放射性廃棄物管理法案」に関する公聴会を開催した。この公聴会においてエネルギー省(DOE)の原子力担当次官補は、使用済燃料などの管理戦略が策定期限を過ぎた現在も提出されていないことについて、策定作業は終盤を迎えているが、現在も継続しており、終了する日を明確に示すことはできないなどと証言した。この使用済燃料などの管理戦略については、ブルーリボン委員会の最終報告書の公表後6カ月以内に策定するよう連邦議会が指示していたものである(2011年12月20日追記参照)

なお、今回の公聴会の主題である「2012年放射性廃棄物管理法案」は、ブルーリボン委員会の勧告を実施に移すための法案であり、新たな放射性廃棄物管理実施主体の設置や資金確保制度を変更する規定などを含んでいる。同法案は、現在の会期中での成立は見込まれておらず、今後の検討に資するためにエネルギー天然資源委員会委員長が提出していたものである。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)の委員は、2011年9月9日付けの覚書及び命令において、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取下げ申請を認めないとしたNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)の決定について、NRC委員の判断が分かれていることを示した上で、ASLBによる許認可申請書の審査活動は予算制約のため2011年9月末までに終結させることを指示した。

今回のNRCの覚書及び命令では、先ず、DOEによる許認可申請の取下げは認めないとした2010年6月29日のASLB決定を覆すか支持するかについて、委員の投票結果が賛否同数であることが示された。

その上でNRCの委員は、許認可支援ネットワーク(LSN)の閉鎖など、ASLBが予算上の制約から、許認可申請書の審査手続に係る情報保存のための措置を行ったことを示し、これをさらに強化するものとして、ASLBが本会計年度末(2011年9月末)までに全ての許認可申請書の審査活動を終結し、審査手続に係る全ての経緯を記録することを委員会の監督権限に基づき指示した。

このNRCの覚書及び命令について、連邦議会上院の実質トップであるリード上院議員(民主党、ネバダ州選出)は、2011年9月9日のプレスリリースにおいて、ユッカマウンテン計画はさらに終末に近づいたとの声明を出している。一方、連邦議会下院エネルギー・商務委員会のプレスリリースでは、ユッカマウンテンの許認可申請は引き続き有効であることが確認されたとして、下院本会議ではDOEとNRCの許認可活動手続に予算を増額する法案が超党派で可決されたことを含め、ユッカマウンテン計画への支持を表明している。

なお、米国における処分場開発について規定する1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)では、NRCはDOEによる許認可申請を原則として3年間で審査することが規定されている(最大で4年間に延長することが可能)。NRCは、2008年9月8日に、DOEによる許認可申請書を受理していた

【出典】

 

【2011年9月15日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2011年9月13日付プレスリリースにおいて、2011年9月末のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続きの停止に向けた作業が計画通りに進んでいることを公表した。また、NRCは、停止に向け行われてきた具体的な作業として、以下を示している。

  • NRCの核物質安全・保障措置局(NMSS)、及び支援機関である放射性廃棄物規制解析センター(CNWRA)が46本のレポートを作成(25年間の許認可前フェーズ、許認可フェーズで得られた情報(溶岩流の冷却プロセス、アロイ22及びチタン製ドリップシールドの腐食、マグマと廃棄物コンテナとの相互影響など))
  • ネバダ州ラスベガスのヒアリングルームを廃止。機器の移管、寄贈。
  • 許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)の閉鎖。保存文書等の光学メディアによるNRCへの提出。
  • 原子炉安全・許認可委員会(ASLB)での審議内容の経過についての編纂

【出典】

【2011年10月5日追記】

原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)は、2011年9月30日付けの覚書及び命令において、高レベル放射性廃棄物のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続きについて、一時停止することを指示した。

2010年6月29日にASLBがDOEによる許認可申請の取下げ申請を認めないとしたASLB決定については、これに対するNRC委員の投票結果が賛否同数であったため、現在もASLB決定が有効であるとしている。その上で、ASLBは、今後の許認可手続きのための予算措置や人員確保が定かではないため、NRCの委員による2011年9月9日付けの覚書及び命令に従って、許認可申請書の審査手続きを一時停止するとしている。

【出典】

【2012年5月22日追記】

原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は、2012年5月21日付のプレスリリースにおいて、委員長を辞する意向を表明した。ヤツコ委員長は、後任が決定次第、委員長を辞任するとしており、また、委員を辞任することも示唆している。したがって、後任の決定まではその職に留まることとなる。なお、ヤツコ委員長の5年間の委員としての任期は2013年6月30日まで残っている。

NRCの委員は、大統領の指名の後、連邦議会上院の承認により任命される。また、大統領は委員の1名を委員長として指名することとなっている。

【出典】

【2012年7月2日追記】

米国の連邦議会上院は、2012年6月29日に、2012年5月に辞意を表明していた原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長の後任となるマクファーレン氏を承認した。今後、大統領の指名を受けてNRCの委員長にも就任する予定である。マクファーレン氏は、ジョージメイソン大学環境科学政策准教授であり、エネルギー長官が設置した「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の委員も務めていた。

【出典】

米国の核燃料サイクルのバックエンド政策の包括的な評価を行う「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年7月29日に、設立趣意書において18ヶ月以内に提出が求められていたドラフト報告書を公表した。ブルーリボン委員会では、2011年5月13日の全体会合において、3つの小委員会の勧告案を公表し、その後、各小委員会のドラフト報告書をパブリックコメントに付しており、今回のドラフト報告書は、ここで得られた意見を反映するなどにより作成されたものである。

ブルーリボン委員会のドラフト報告書では、核燃料サイクルのバックエンドの管理に関して、新たに包括的な戦略が必要であり、特に放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地のための新たなアプローチが必要としている。勧告された戦略には、以下の7つの重要な要素が含まれているとしている。

  1. 適応性があり、段階的で、同意に基づき、透明性があり、基準及び科学に基づいて、放射性廃棄物管理及び処分施設を立地し、開発するためのアプローチ
  2. 米国での放射性廃棄物の輸送、貯蔵及び処分のため、集中的で、統合されたプログラムを開発し、実施するための新しい、単一目的の組織
  3. 放射性廃棄物管理プログラムによる、放射性廃棄物基金の残高と毎年の放射性廃棄物拠出金の利用の保証
  4. 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための1つまたは複数の恒久的な地層処分施設の開発のための、可能な限り迅速な取組
  5. 核燃料サイクルのバックエンドの管理のための統合された包括的な計画の一部として、1つまたは複数の集中中間貯蔵施設の開発のための、可能な限り迅速な取組
  6. 現在の利用可能な技術に比較してかなりの利点を提供し、関連した人的ニーズ及びスキル開発の可能性がある、先進的な原子炉及び核燃料サイクル技術に関する研究開発・実証のための安定した長期的なサポート
  7. 地球規模の核不拡散に対応し、全世界の原子力施設及び核物質の安全性及びセキュリティを向上させるための国際的なリーダーシップ

また、ブルーリボン委員会の報告書では、これらの勧告の実現のため、1982年放射性廃棄物政策法及び他の関連法令の改正などの立法措置が必要であるとしている。

  • 新たな処分施設のサイト選定プロセスを確立する
  • 複数の集中中間貯蔵施設のサイト選定、許認可及び建設を認める
  • 新たな廃棄物管理組織を設立する
  • 専用の資金の利用を可能とする
  • 安全な放射性廃棄物管理をサポートするための国際的な取組の推進

一方、放射性廃棄物管理プログラムを再び軌道に乗せるため、放射性廃棄物管理施設のサイト選定に関して、以下に示す事項については、立法措置を待たずに迅速な行動が可能であるとしている。

  • 基本的な初期サイト選定基準を開発すること
  • サイト選定の初期において、一般的な基準を開発し、規制要件のサポートとすること
  • 潜在的な適性を有するサイトを持つような様々な地域からの関心表明を奨励すること
  • サイト選定プログラムの初期のマイルストーンを設定すること

なお、ブルーリボン委員会は、以下の点については検討対象でなかったため、取り扱わなかったとしている。

  • ユッカマウンテンサイトの適性、またはユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請に対する意見
  • 放射性廃棄物管理システムの構成施設のための特定サイトの提案
  • 米国の将来のエネルギーミックスにおける原子力発電の適切な役割についての判断

ブルーリボン委員会は、今回公表したドラフト報告書に対する意見募集を2011年10月31日まで行うこととしている。なお、ブルーリボン委員会は、設置から24ヶ月以内(2012年1月29日まで)に最終報告書を作成することとされている

【出典】

米国の連邦控訴裁判所1 は、2011年7月1日に、エネルギー省(DOE)によるユッカマウンテン処分場の許認可申請の取下げ申請の可否について、サウスカロライナ州エイケン郡、民間人3名、サウスカロライナ州、ワシントン州が起こした訴訟を併合して手続きを進めきたが、今般、これらの訴えを却下する判決を行った

今回の却下の判決において連邦控訴裁判所は、2010年6月29日に、原子力規制委員会(NRC)の原子力安全・許認可委員会(ASLB)が、DOEによる許認可申請の取下げ申請を認めないと決定したことについて、NRCの委員会がASLBの決定の再審理を行わない場合、またはNRCの委員会が再審理を行い、ASLBの決定を支持した場合に争訟性は失われるとしている。また、NRCの委員会がASLBの決定を再審理し、決定を覆す判断を行った場合にのみ争訟性があるとしている。このため、許認可申請の取下げ申請の可否に関する訴えについて、予測されたように起こらない可能性のある、または全く起こらない可能性のある将来の不確定な事象に基づいているとして、司法判断に適していないとしている。

【出典】

DC巡回区控訴裁判所、判決(2011年7月1日)


  1. 連邦控訴裁判所のうち、コロンビア特別区(DC)巡回区控訴裁判所が担当(米国の首都ワシントンDC地区における訴訟事件を取り扱う)。 []

「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年5月13日に、全体会合を開催し、処分小委員会、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会、輸送・貯蔵小委員会からの各々の勧告案の検討を行った。

処分小委員会は、「技術的、社会的、経済的及び政治的に受け入れられる方法及び時間枠の中で、高レベル放射性廃棄物の恒久的な処分のための1つまたは複数の施設を設置することについて、如何に取り組むことができるか」との設問に対して、以下のような7項目からなる勧告案を提示した。

勧告1
  • 米国は、速やかに、高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための1つまたは複数の恒久的な地層処分施設の開発を進めるべきである。
    • 恒久的な処分は、すべての合理的に予見できるシナリオの下で必要とされる。
  • 掘削された処分場での地層処分が、高レベル放射性廃棄物を長期間安全に隔離するために利用可能であり、最も有望で技術的に受入可能なオプションである。
勧告2
  • 放射性廃棄物の輸送、貯蔵及び処分のための焦点が絞られ、統合された計画の開発及び実施のため、新しい、単一の目的の組織が必要である。
  • この新しい組織は以下を有するべきである。
    • 焦点を絞り、適切に定義された使命
    • 任務を果たすための財政及び制度化された手段
    • 長期間にわたり制度的及び計画的な安定性を提供するため、十分に独立した権限(財政上、技術上、規制上の適切な監督を受ける)
  • 連邦議会は、新しい廃棄物管理組織の説明責任の確保に対して中心的な役割を担う。
勧告3
  • 放射性廃棄物基金の積立金及び料金支払者や電気事業者からの毎年の基金への拠出金による収入へのアクセスを保証することは、新しい放射性廃棄物管理組織にとって不可欠であり、提供されなければならない。
勧告4
  • 将来において放射性廃棄物管理及び処分施設を立地し、開発するためには、新しいアプローチが必要である。すべての当該施設のためのサイト選定プロセスは、以下のような場合、成功する可能性が高いと確信する。
    • 同意に基づく
    • 透明性が高い
    • 段階的な
    • 適応性のある
    • 基準及び科学に基づく
勧告5
  • 原子力規制委員会(NRC)と環境保護庁(EPA)との規制責任に係る現在の分担は、適切であり維持すべきである。
  • 加えて、これら2つの組織により、サイトに依存しない新しい安全基準が、すべての関連する団体を関与させてインプットを求め、公式に調整された共同プロセスの中で開発されることを要請する。
勧告6
  • 放射性廃棄物処分施設の立地及びその他の側面において、地方、州及び先住民族政府の役割、責任、権限は、連邦政府と処分施設の設置により影響を受ける自治体との間の交渉での一つの要素となる。
  • 地方、州、先住民族等の影響を受けるすべての階層の政府は、最低限、重要な意思決定において意味のある協議上の役割を持つべきである;加えて、州及び先住民族は、連邦より下の階層での監督が効果的に、かつ影響を受ける自治体及び市民の利益を守り、信頼を獲得する上で助けとなるように実施できる場合は、規制、許認可、操業の面にわたる直接的な権限を保持(または適切な場合、委任)すべきである。
勧告7
  • 放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、独立した技術的な助言及びレビューの貴重な組織として維持されるべきである。
  • 構成員は、慎重に考慮された、関連のある様々な専門性を有す科学者及びエンジニアを代表すべきである。

また、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会は、以下のような勧告案を提示した。

  • 米国政府は、先進炉や核燃料サイクル技術に対する長期的に安定した研究、開発及び実証のための支援を行うべきである。
  • 連邦レベルでのエネルギー政策やプログラムをよりよく調整する必要がある。
  • 連邦の原子力研究、開発及び実証のための資源の一部は、NRCによる先進原子力システムの新しい要素に対する規制枠組みの開発の促進及び予測される研究の支援に向けられるべきである。
  • 米国は、世界的な核不拡散の懸念に対応するための国際的な取り組みにおいて、リーダーとしての役割を継続すべきである。

さらに、輸送・貯蔵小委員会は、以下のような勧告案を提示した。

  • 米国は、速やかに、一つまたは複数の集中中間貯蔵施設を設置すべきである。
  • 既存サイトでの貯蔵方法に関連し、管理不能となるような、安全、またはセキュリティ面でのリスクは存在しない。
  • 現在、廃止措置された原子力発電サイトで貯蔵されている使用済燃料は、利用可能となり次第、最優先で集中貯蔵施設に移すべきである。
  • 米国の放射性廃棄物プログラムを活性化するため、新たな統合された国家レベルのアプローチが必要である。
  • 処分施設のサイト選定及び開発の原則は、中間貯蔵施設、及び輸送の必要性に関する計画策定に対しても適用すべきである。

なお、ブルーリボン委員会は、設置から1年半以内(2011年7月末まで)にエネルギー長官に対してドラフト報告書の提出を行い、2年以内(2012年1月末まで)に最終報告書を提出することとされている

【出典】

【2011年6月21日追記】

ブルーリボン委員会では、2011年5月13日の全体会合において、3つの小委員会からの勧告案が示されていたが、今般、これらの勧告案を含めた各々の小委員会のドラフト報告書が公表された。今後、2011年7月29日には、ブルーリボン委員会全体としてのドラフト報告書を出す予定となっている。
ブルーリボン委員会全体のドラフト報告書の取りまとめに当たって、各小委員会のドラフト報告書をパブリックコメントに付すこととしており、パブリックコメントの期限は、処分小委員会及び輸送・貯蔵小委員会のドラフト報告書については2011年7月1日まで、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会のドラフト報告書については2011年7月15日までとされている。

【出典】