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《フランス》原子力安全規制機関を新設する法案が議会に提出

フランス原子力安全当局(ASN)の2006年2月22日付けプレスリリースによると、原子力安全・情報開示法案に原子力安全高位機関を設置するための規定を織り込む修正案の内容が、エコロジー・持続可能開発相によって閣議に提出されたとのことである。同法案は、3月上旬には上院で審議されることとなっている。新設される原子力安全高位機関は、独立行政機関とされ、原子力安全監督、放射線防護、国民への情報提供に責任を有するとされている。

同プレスリリースによると、今回の修正案は、2006年1月5日の大統領の声明を受けたもので、原子力の安全確保体制に対する国民からの信頼の醸成を図るためとされている。原子力安全高位機関の新設の目的は、現在の原子力安全当局(ASN)の地位を明確にするとともに、原子力活動の促進、推進、実施を担当している各主体に対する独立性を強化することとなっている。なお、ASNは、環境担当省、産業担当省、保健担当省の下にあり、原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)と全国11ヵ所の地方原子力安全局(DSNR)とを総称するもので、今回の修正案では、原子力安全高位機関はASN(DGSNRとDSNR)を統轄するとされている。

また、2006年2月22日付けの政府のプレスリリースによれば、今回の修正案では、政府と原子力安全高位機関との責任分担が定められるとのことである。政府は、引き続き原子力活動の枠組、大規模な原子力施設(原子力基本施設(INB))の設置許可に関する諸規則を定めることとなる。原子力安全高位機関は、原子力安全に関する法令等についての諮問を受けることになる。原子力安全高位機関は、INB、放射性物質輸送、身近にある原子力施設(放射線源利用の研究または産業施設、放射線治療や放射線医学施設など)全般を含む原子力活動を監督するほか、原子力活動に適用する技術規定を定めることもできるとされている。また、原子力安全高位機関は原子力安全及び放射線防護に関する情報提供も行うことになっている。

今回の修正案では、原子力基本施設(INB)の規制・監督体制を刷新し、INBの安全を、事実上のみならず法律上においても最高水準に高めることによって、INBの安全に関する規定を補完するものになると政府のプレスリリースは伝えている。なお、原子力安全高位機関は、5名の合議体で構成され、3名(うち1名は議長)は大統領によって任命され、1名が下院議長、1名が上院議長によって任命され、任期は6年とされている。

【出典】

  • フランス原子力安全当局(ASN)の2006年2月22日付けプレスリリース、http://www.asn.gouv.fr/data /information/08_2006_HASN.asp
  • 政府の2006年2月22日付けのプレスリリース、http://www.premier-ministre.gouv.fr /acteurs/gouvernement/conseils-ministres_35/conseil-ministres-22-fevrier_791/lettre-rectificative-projet-loi_55391.html

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )