Learn from foreign experiences in HLW management

《英国》放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が最近の活動の進捗状況を公表 -専門家による放射性廃棄物管理オプションの技術評価が終了

英国の放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2006年1月12日、プレスリリースにおいて、2005年8月から開始されている、活動プログラムの第3段階における実施項目の一つである専門家による放射性廃棄物管理オプションの技術評価が終了したことを公表した。この評価では、200人近い専門家が、7つの一連のワークショップにおいて、11の主要な基準(27の下位基準)に関して、地層処分、段階的地層処分、短寿命放射性廃棄物の浅地中処分及び中間貯蔵の4つの管理オプションの各々の評価を行ったとしている。なお、CoRWMの活動プログラムは、当初、5段階からなるとされていたが、第1段階終了時に4段階へ(既報)、第2段階終了時に3段階へと減らすことが決定されている。

プレスリリースによると、専門家によって示された評価は、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)によって精査され、利害関係者との協議の次のステップへと進められる。その上で、公衆や利害関係者の見解によって、専門家が用いた基準のどれが最も重要であるかということを決定することとなっている。専門家によって用いられた11の評価基準は以下の通りである。

  1. 公衆の安全性(300年までの短期間)
  2. 公衆の安全性(300年を超える長期間)
  3. 作業員の安全性
  4. 安全保障
  5. 環境
  6. 社会経済
  7. 快適な空間
  8. 将来の世代への負担
  9. 実施可能性
  10. 柔軟性
  11. 費用

また、同プレスリリースによると、専門家による評価では、ほとんどの放射性廃棄物について、どの基準においても同一もしくは同様な結果であったことが示されている。

今回の評価の実施は、活動プログラムの第2段階の最終報告書において、第3段階における活動の一部として示されていたものである。放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、活動プログラムの第2段階を「放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定と管理オプション候補リスト作成」段階として、2004年10月から2005年7月まで活動を行い、第2段階の最終報告書では主に以下の項目についての報告がなされている。

  • 放射性廃棄物インベントリ
  • 放射性廃棄物管理オプションリストの絞込み結果及びその理由
  • 管理オプションの評価及び最善の方法を勧告するための計画(第3段階の詳細)

また、第2段階の最終報告書によると、第3段階では、各管理オプションを評価し、好ましいオプション、またはオプションの組合せを見出し、政府への勧告に向けた準備を行い、2006年7月に管理オプションの最終勧告を行うことこととされている。なお、オプションの評価は、多基準意思決定分析(MCDA)及び全体論的な分析の二つの手法が用いられ、分析結果を統合して行うことが示されている。以下にこれら二つの評価手法及び分析結果の統合に関する概要を示す。

多基準意思決定分析(MCDA)
各管理オプションの性能を評価基準に対して、専門家によるワークショップによってスコア付けすることにより、また、市民パネルを通して行われた重み付けを放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)がこれらの評価基準に対して適用することによって、各管理オプションの評価を実施する。
全体論的分析
全体論的分析は、管理オプションの性能を全体的にとらえて検討するために実施される。この分析によって、管理オプション間の選択肢等を完全に検討することが可能となる。放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、勧告を準備する際に、この分析によって得られた結果を多基準意思決定分析のさまざまな段階と統合する。
統合
放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、上記の活動等から得られた情報を管理し、CoRWMによる検討を公衆に対して公開し、意思決定の準備のために利用する。これには、以下のような活動が含まれている。

  1. 多基準意思決定分析を完了するために、専門家によるスコア付けと市民による重み付けの結果を統合する。
  2. CoRWMの勧告するオプションを準備するために多基準意思決定分析の結果と全体論的評価の結果を統合する。
  3. CoRWMが勧告を行う際の作業を含むその他の成果を統合する。

更に、第2段階の最終報告書では、第3段階における活動は、次の3つの作業プログラムで実施されることが示されている。

  1. 他のプログラムの成果の統合や意思決定を行うCoRWM自身のプログラム
  2. 専門家によるワークショップや管理オプションの評価に必要なデータの収集のための技術的及び専門家プログラム
  3. 管理オプションの評価等に際して公衆や利害関係者と共に作業をする公衆・利害関係者参画プログラム(PSE)

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org.uk、2006年1月
  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)、第2段階報告書、http://www.corwm.org/PDF/1210%20-%20Phase%202%20report%20July%202005.pdf

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )