フランスの経済・財政・産業省は、2005年9月12日付けのプレスリリースにおいて、国民に対し、2005年9月12日から2006年1月13日にかけて公開討論国家委員会(CNDP)が開催する放射性廃棄物管理に関する公開討論会に参加することを要請している。政府は、この公開討論会を通じて、国民は放射性廃棄物管理問題についての情報を入手し、意見を表明することができるとしている。また、プレスリリースでは1991年の放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)で策定が定められている地層処分場の建設などに関する法案について、2006年第2四半期に議会での審議が示されている。
また、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)は今回の公開討論会用に開設したウェブサイトにおいて、「放射性廃棄物管理に関する公開討論に関するご案内」などの関連情報を公開している。同ウェブサイトによると、政府は産業相及びエコロジー・持続可能開発相を通じて、2005年2月にCNDPに放射性廃棄物管理に関する公開討論会の開催を要請し、CNDPは2005年7月に開催を決定したとのことである。また、「放射性廃棄物管理に関する公開討論に関するご案内」では、今回の討論内容の全体像を把握するための想定問答集、討論スケジュール、討論会の透明性・公平性・公開性、意見表明及び情報入手方法などが説明されている。
なお、CNDPによる公開討論会は、1991年の放射性廃棄物管理研究法の規定で定められたものではなく、2002年の「身近な民主主義に関する法律」により、高速道路・空港・鉄道・原子力施設などの改修及び設置のような社会経済、環境、国土整備に多大な影響を及ぼす事業を対象として開催が必要とされているものである。また、経済・財政・産業省のプレスリリースによると、政府による地層処分場などに関する法案の策定に当たっては、研究報告書、専門家の評価の他に今回の公開討論会の結果も考慮されるとしている。
公開討論国家委員会(CNDP)によると、公開討論会はCNDPが設置した公開討論特別委員会(CPDP)によって開催され、放射性廃棄物問題及び研究に関連する地域の住民の意見聴取、科学技術的テーマについての討論、民主主義と廃棄物についての討論を行った後、総括討論会を開催し、2006年1月に CPDPが総括報告書を公表するとしている。なお、15回開催される公開討論会の実施概要は以下の通りである。
地元住民の意見聴取
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開催期間・開催地(4回開催)
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2005年9月12日~19日 放射性廃棄物関連サイト(バール・ル・デュック、サン・ディジエ、ポン・デュ・ガール、シェルブール) |
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科学技術的テーマについて |
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開催期間・場所 (3回開催)
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討論テーマ
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2005年10月1日~22日 |
・放射性廃棄物問題 ・長期貯蔵 ・放射性廃棄物発生量の低減 ・核種分離・変換の長期シナリオ ・地層処分 ・管理方法の組合せ(選択とスケジュール) |
民主主義と廃棄物について |
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開催期間・開催地(4回開催)
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討論テーマ
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2005年11月9日~24日 ジョアンヴィル、カン、ナンシー、エクサンプロヴァンス |
・研究の地元経済への影響 ・情報提供と知識の共有 ・発電方法及び立地地域のバランス ・誰が何を、いつ、どのように決定するのか |
総括討論会 |
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開催期間・開催 地(4回開催)
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2005年12月~ 2006年1月13日 ダンケルク、ブロワ、トゥールーズ、リヨン |
【出典】
- 経済・財政・産業省、2005年9月12日付プレスリリース、 http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6029
- 放射性廃棄物に関する公開討論国家委員会(CNDP)ウェブサイト、 http://www.debatpublic-dechets-radioactifs.org/
- 公開討論国家委員会(CNDP)、放射性廃棄物管理に関する公開討論会に関するご案内
- 2005年7月25日付けの公開討論国家委員会(CNDP)の決定
- LOI n° 2002-276 du 27 fevrier 2002 relative a la democratie de proximite〔2002年2月27日の身近な民主主義に関する法律〕
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )