Learn from foreign experiences in HLW management

《米国》2018会計年度の予算要求-ユッカマウンテン許認可手続の再開等に係る予算を要求

米国で2017年5月23日に、2018会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。また、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表され、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「使用済燃料等」という。)の管理については、新たに「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムが設けられ、120,000千ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)が要求されている。また、原子力規制委員会(NRC)のウェブサイトでも予算要求資料が公表され、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査手続の継続のための予算として、30,000千ドル(約33億9,000万円)が要求されている。

DOEの予算で新たに設けられた「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムは、使用済燃料等に対する連邦政府の責務を満足するとともに、国家安全保障を強化し、将来の納税者の負担の軽減に資するものとされている。本プログラムは、ユッカマウンテン許認可申請書の審査手続を復活させるという現政権の決定を実施に移すものであり、処分場が開発されるまでの近い将来については、中間貯蔵の体制を確立するものとしている。本プログラムでは、2018会計年度の実施事項として、以下が示されている。

ユッカマウンテン(110,000千ドル(約124億円))2

  • 高度に技術的・詳細な質問への対応のため、処分場の閉鎖前・閉鎖後の解析活動を実施
  • 訴訟対応として技術的・科学的・法的支援を提供
  • 争点の解決に係る成果を反映して許認可申請書及び関連文書を更新・維持
  • 許認可申請書の支援文書との一貫性等を確保
  • 証言書の準備・レビュー
  • NRCの原子力安全許認可委員会(ASLB)の裁決手続によるヒアリングにおけるDOE側の証人・証言の準備
  • 裁決手続での証拠開示手続の準備
  • 裁決手続での質問書への対応・準備
  • 裁決手続での動議その他法的手続の支援
  • 許認可手続の支援に必要な地質学的試料・施設の維持
  • 他の政府機関、地方政府、公衆等に対する効果的なコミュニケーション提供の義務を支援する包括的なコミュニケーション戦略の構築

中間貯蔵(10,000千ドル(約11億3,000万円))3

  • 商業的な使用済燃料中間貯蔵サービスの競争的調達の計画・策定の開始
  • 使用済燃料等の将来における輸送を支援する、輸送計画・調達・国家環境政策法(NEPA)分析を加速する活動の開始
  • 将来の使用済燃料等の輸送に備えるため、地域・州等の輸送当局との関係の維持
  • 物流上の要件や解析能力に対する最低限の支援の維持

DOEの予算要求資料では、現在は停止されている原子力発電事業者からの放射性廃棄物基金への拠出金について、2020会計年度から徴収を再開することが示されている。拠出金の徴収には、金額の妥当性評価報告書が必要であることが1982年放射性廃棄物政策法で規定されており、DOEは2018会計年度において、拠出金の妥当性評価報告書の策定を開始するとしている。

なお、DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の活動としては、前政権ではDOE原子力局(NE)の燃料サイクル研究開発プログラムの下で、「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)及び「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)として、研究開発活動、同意に基づくサイト選定プロセスの構築、超深孔処分フィールド試験などが実施されてきたが、今回公表されたDOEの予算要求文書では、両プログラムとも廃止が提案されている。ただし、中間貯蔵及び輸送計画に関する活動については、新設された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムに移管するものとされている。

一方、NRCの予算要求資料では、高レベル放射性廃棄物の予算として30,000千ドル(約33億9,000万円)が計上されており、主な活動として、処分場建設認可に係る許認可申請書の審査活動の継続、裁判形式の裁決手続再開の準備、関連訴訟への参加と準備が挙げられている。これまでNRCにおけるユッカマウンテン処分場の許認可申請書に係る審査活動は、過年度の歳出予算の未使用残高の範囲内で限定的に行われていた

また、2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、2016~2017会計年度と比較して約18,000千ドル(約20億円)増の323,041千ドル(約365億円)の予算が要求されている。要求額には換気システムや排気立坑の費用が含まれているが、主な増加要因として、2017年に操業が再開されたこと、是正活動の維持、輸送回数増加のための対応などが挙げられている。

【出典】

 

【2017年6月23日追記】

米国の連邦議会において、2017年6月20日~23日に、エネルギー省(DOE)の2018会計年度の予算要求に関するヒアリングが実施された。ヒアリングは、以下に示す日程で上下両院の関連委員会が開催したものであり、エネルギー長官が証人として出席して2018会計年度の予算要求について説明するとともに、各委員会の委員による質疑が行われた。

開催日 開催委員会

2017年6月20日

下院歳出委員会(エネルギー・水資源小委員会)

2017年6月21日

上院歳出委員会(エネルギー・水資源小委員会)

2017年6月22日

上院エネルギー・天然資源委員会

エネルギー長官が各委員会に提出した証言書では、高レベル放射性廃棄物処分に係る前進が必要との認識の下、ユッカマウンテン処分場に係る許認可活動の再開及び使用済燃料の中間貯蔵プログラムの開始のために1億2,000万ドル(約136億円、1ドル=113円で換算)の予算を要求していることが示されている。その上で、長期にわたり停止していたユッカマウンテン処分場の許認可活動の再開及び中間貯蔵施設の確保を明確に示した2018会計年度の予算要求は、高レベル放射性廃棄物に対応する連邦政府の義務を満足し、国家安全保障を強化し、将来の米国納税者の負担を軽減するものとしている。これはまた、原子力安全・安全保障に対する公衆の信任を増し、原子力が米国のエネルギー需要に貢献し続けることを支援するものとしている。

エネルギー長官は、各委員会の質疑での回答においても、ユッカマウンテン計画の再開と中間貯蔵プログラムの開始に強い意欲を示している。これに対し、ネバダ州知事及びネバダ州選出の連邦議会議員は、ネバダ州はユッカマウンテン処分場計画に一貫して反対を続けており、DOEは同意に基づくサイト選定の取組を継続すべきであるなどの主旨で、エネルギー長官が一連のヒアリングで示した見解を批判するプレスリリースを発出している。

【出典】

 

【2017年7月13日追記】

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2017年7月12日に開催した法案策定会合において、2018会計年度1 のエネルギー・水資源開発歳出法案の草案(以下「歳出法案草案」という。)を承認した。本歳出法案草案では、エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)と、いずれもエネルギー省(DOE)等の予算要求と同額が割り当てられている。

歳出法案草案では、DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして補助金等を財政支給することが規定されている。ただし、これらの資金は、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できないことなどが規定されている。また、2017会計年度の下院歳出法案と同様に、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じることも規定されている。

また、歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書では、「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)が計上されている。DOEが2017年5月23日に公表した予算要求では、同プログラムの予算は要求されていなかった。

なお、2017年7月12日に開催された下院歳出委員会の法案策定会合において技術的な事項に係る修正案が承認されているが、これらの修正事項を反映して、法令番号を付した歳出法案は2017年7月12日時点では公表されていない。

【出典】

 

【2017年7月25日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2017年7月20日に、2018会計年度1 のエネルギー・水資源開発歳出法案(S.1609)を承認し、上院本会議に提出した。本歳出法案では、使用済燃料の中間貯蔵について、前年度に上院で可決された2017会計年度の歳出法案と同様に、中間貯蔵施設のパイロットプログラムの実施等をエネルギー長官に命じる規定が置かれている。また、本歳出法案では、エネルギー省(DOE)の予算要求では廃止とされた予算として、使用済燃料処分等(UNFD)研究開発及び統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラムの予算が計上されている。なお、ユッカマウンテン関連の予算及び記述は盛り込まれていない。

下表は、2018会計年度の歳出法案での高レベル放射性廃棄物関連予算について、上下両院で提出された歳出法案における予算計上金額及びポイントを示したものである。

項目 連邦議会上院の歳出法案 連邦議会下院の歳出法案
研究開発 65,000千ドル(73億4,500万円、1ドル=113円で換算) 45,000千ドル(50億8,500万円)
  • 使用済燃料処分等(UNFD)研究開発として、処分及び貯蔵に係る一般的な研究開発活動を継続するための予算を計上
地層処分 【予算計上なし】 120,000千ドル(135億6,000万円)
  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • ユッカマウンテン処分場計画の再開のため許認可活動予算等を計上
中間貯蔵 35,000千ドル(39億5,500万円) 【予算計上なし】
  • 統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)として集中中間貯蔵計画の実施のための予算を計上
  • 予算金額のうち10,000千ドル(11億3,000万円)については、集中中間貯蔵に係る民間事業者との契約締結をエネルギー長官に許可
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラムの実施をエネルギー長官に命じる規定(第307条)
  • 集中中間貯蔵プログラムの実施に関する記述はなし
高レベル放射性廃棄物の規制 【予算計上なし】 30,000千ドル(33億9,000万円)
  • ユッカマウンテンに関する記述はなし
  • 原子力規制委員会(NRC)における許認可手続予算を放射性廃棄物基金から引き出す

今回、上院本会議に提出された歳出法案に盛り込まれた中間貯蔵関連の条項では、以下のような内容が規定されている。

集中中間貯蔵のパイロットプログラム(歳出法案第307条)

  • 使用済燃料等を中間貯蔵するため、1つまたは複数の連邦政府の集中中間貯蔵施設の許認可取得、建設、操業のためのパイロットプログラムを実施することをエネルギー長官に許可
  • エネルギー長官は、歳出法の施行後120日以内に、集中中間貯蔵施設の建設許可取得や輸送等の協力協定についてのプロポーザルを公募
  • 集中中間貯蔵施設の立地決定前に、立地サイト周辺等での公聴会の開催、地元州知事、地方政府等との書面による同意協定の締結をエネルギー長官に義務付け
  • エネルギー長官は、上記プロポーザル公募から120日以内に、推定費用、スケジュール等を含むパイロットプログラム計画を連邦議会に提出
  • 集中中間貯蔵のパイロットプログラム活動に係る資金の放射性廃棄物基金からの支出を許可

今回、上院本会議に提出された歳出法案にユッカマウンテン計画再開のための予算が含まれなかったことについて、ネバダ州選出の連邦議会議員からは、これを評価した上で、今後も闘いを継続する旨のプレスリリースが発出されている。また、ネバダ州選出の連邦議会下院議員は、ユッカマウンテン計画の再開を図る下院の歳出法案に対して、ユッカマウンテン関連の予算を削除するなどの修正案を提出している。

下院では、2017年7月12日の歳出委員会会合での承認を経て、2017年7月17日にエネルギー・水資源開発歳出法案(H.R.3266)が本会議に提出されているが、安全保障に関連する4つの歳出法案をまとめた「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219)として下院本会議で審議を行うことが予定されている。

【出典】

 

【2017年8月2日追記】

米国の連邦議会下院は、2017年7月27日の本会議において、2018会計年度1 「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219、以下「本歳出法案」という。)を、235対192で可決した。本歳出法案は、2018会計年度の国防歳出法案(H.R.3219)に「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.3266)などを統合し、安全保障に関連する4つの歳出法案をまとめたものである。本歳出法案での高レベル放射性廃棄物管理に係る予算については、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認された内容から変化はなく、歳出法案に付随する委員会報告書についても、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認されたものとなっている。

本歳出法案及び付随する下院歳出委員会報告書では、2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算について、以下のとおり規定されている。

  • エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)を計上
  • DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして支給(ただし、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できない)
  • ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項(第507条)を規定
  • 「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)を計上

本歳出法案で計上された予算のうち、ユッカマウンテン関連の予算金額についてはDOE等の予算要求と同額が割り当てられているが、使用済燃料処分等(UNFD)プログラムとしての一般的な研究開発予算については、DOEの予算要求では要求されていなかった。

なお、本歳出法案の下院本会議での審議において、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じた第507条を削除する修正案がネバダ州選出の下院議員から提出されたが、発声投票により否決された。

本歳出法案の下院本会議での可決及びネバダ州選出議員提出の修正案の否決について、ネバダ州選出の連邦議会の上院議員及び下院議員からは、これを非難し、今後も反対を続けることなどを表明するプレスリリースが発出されている。

【出典】

 

【2017年9月11日追記】

米国の連邦議会では、上院が2017年9月7日に、下院が2017年9月8日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2017年10月1日から2017年12月8日を対象とした継続歳出法案をそれぞれ可決し、2017年9月8日に大統領の署名を得て継続歳出法として成立した。かねてから検討されていたユッカマウンテン許認可手続の再開等については、今回の継続歳出法では予算が付かないものとなった。

2018会計年度の継続歳出法は、エネルギー・水資源分野を含めて、2017年12月8日までの期間について、2017会計年度の予算を規定した包括歳出予算法での予算と同じレベルでの歳出を認めるものである。継続歳出法による予算は、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の規定が無い限り、前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回制定された2018会計年度の継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物貯蔵・処分に関する特別な規定は無い。

【出典】

 

【2017年9月25日追記】

米国の連邦議会下院は、2017年9月14日の下院本会議において、2018会計年度の全期間(2017年10月1日~2018年9月30日)を対象とした「米国安全保障・繁栄歳出法案」(H.R.3354、以下「包括歳出法案」という。)を211対198で可決した。本包括歳出法案は、2018会計年度の内務省・環境分野の歳出法案(H.R.3354)に対して、すべての他分野の歳出法案を統合して、包括歳出法案としてまとめたものである。
エネルギー関連については、2017年7月12日に下院歳出委員会で承認された「エネルギー・水資源歳出法案」(H.R.3266)、及び同法案を統合して2017年7月27日に下院本会議で可決された「米国安全保障歳出法案」(H.R.3219)から変更はなく、2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算は以下のとおり規定されている。

  • エネルギー省(DOE)のユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算として120,000千ドル(135億6,000万円、1ドル=113円で換算)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として30,000千ドル(33億9,000万円)を計上
  • DOEに計上されたユッカマウンテン関連の高レベル放射性廃棄物処分予算の一部について、ネバダ州及び影響を受ける自治体等に対し、許認可活動への参加に係る費用などとして支給(ただし、訴訟費用や中間貯蔵活動等には使用できない)
  • ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項(第507条)を規定
  • 「使用済燃料処分等(UNFD)プログラム」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として45,000千ドル(50億8,500万円)を計上

2018会計年度の高レベル放射性廃棄物関連予算に関して、連邦議会上院の歳出委員会で2017年7月20日に承認された上院版歳出法案(S.1609)では、ユッカマウンテン関連の予算及び関連する記述は盛り込まれず、集中中間貯蔵計画の実施のための予算が計上されるなど、今回下院で可決された包括歳出法案とは内容が大きく異なっている。包括歳出法案が法律として成立するためには、上院で同じ内容の法案が可決されることが必要であり、上院で異なる内容の歳出法案が可決された場合には両院協議会等で調整が行われることとなる4

【出典】

 

【2017年12月11日追記】

米国の連邦議会は2017年12月8日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2017年12月22日までを対象とした継続歳出決議(CR)を可決し、また、同日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-90)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601)が2017年9月8日に成立していたが、今回、上下両院合同で可決された継続歳出決議は、前回の継続歳出法で設定された継続予算の期限を2017年12月22日まで延長するものとなっている。

なお、今回可決された2018会計年度のうちの2017年12月22日までの継続歳出決議では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2017年12月25日追記】

米国の連邦議会は2017年12月21日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2018年1月19日までを対象とした継続歳出法案(H.R.1370)を可決し、2017年12月22日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-96)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No.115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、2017年12月8日に成立した継続予算決議(CR)で継続予算の期限が2017年12月22日まで延長されていたが、今回成立した継続歳出法(Public Law No.115-96)は、この継続予算の期限を2018年1月19日までさらに延長するものとなっている。

なお、今回可決された2018会計年度のうちの2018年1月19日までの継続歳出法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2018年1月25日追記】

米国の連邦議会は2018年1月22日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2018年2月8日までを対象とした「2018会計年度の継続歳出延長法」(H.R.195)を可決し、同日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-120)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No: 115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、2017年12月8日に成立した継続予算決議(CR)、及び2017年12月22日に成立した継続歳出法(H.R.1370、Public Law No: 115-96)によって継続予算の期限が2018年1月19日まで延長されていたが、今回成立した2018会計年度の継続歳出延長法は、この継続予算の期限を2018年2月8日までさらに延長するものとなっている。

なお、2018会計年度歳出予算については、2018年1月19日までとなっていた期限内に継続予算の期限の延長が行われなかったため、連邦政府機関の一部は2018年1月20日から閉鎖されることとなっていた。

今回可決された2018会計年度の継続歳出延長法では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

 

【2018年2月13日追記】

米国の連邦議会は2018年2月9日に、2018会計年度(2017年10月1日~2018年9月30日)のうち、2018年3月23日までを対象とした「2018会計年度の継続歳出追加延長法」(H.R.1892)を可決し、同日に大統領の署名を得て公法(Public Law No.115-123)として成立した。2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No.115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、2017年12月8日に成立した継続予算決議(CR)、2017年12月22日に成立した継続歳出法(H.R.1370、Public Law No.115-96)、及び2018年1月22日に成立した継続歳出延長法(H.R.195、Public Law No.115-120)によって継続予算の期限が2018年2月8日まで延長されていたが、今回成立した「2018会計年度の継続歳出追加延長法」(Public Law No.115-123)は、この継続予算の期限を2018年3月23日までさらに延長するものとなっている。

なお、2018会計年度歳出予算については、2018年2月8日までとなっていた期限内に予算が成立しなかったため、連邦政府機関の一部は数時間ながら閉鎖される状態となっていた。

今回可決された「2018会計年度の継続歳出追加延長法」では、ユッカマウンテン処分場関連、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)関連、使用済燃料の中間貯蔵施設関連を含め、放射性廃棄物の貯蔵・処分に関する特別な規定はない。

【出典】

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【2018年3月27日追記】

米国の連邦議会は2018年3月23日に、2018会計年度1 包括歳出法案(H.R.1625)を可決し、同日に大統領の署名を得て法律(Public Law No.115-141)として成立した。これまで2018会計年度の歳出予算については、2017年12月8日までを対象とした継続歳出法(H.R.601、Public Law No.115-56)が2017年9月8日に成立し、その後、数次にわたる期限の延長を経て、2018年3月23日までを期限とする継続予算が執行されていた。

高レベル放射性廃棄物関連の予算については、2018会計年度包括歳出法の条文には規定されていないが、2018会計年度包括歳出法案説明文書において、「使用済燃料処分等プログラム」(UNFDプログラム)の歳出予算として、2017会計年度歳出予算から微増の86,415千ドル(約97億6,490万円、1ドル=113円で換算)が計上されている。UNFDプログラムの予算の内訳も2017会計年度歳出予算と同様であり、「研究開発活動」が63,915千ドル(約72億2,220万円)、「統合放射性廃棄物管理システム」(IWMS)が22,500千ドル(約25億4,250万円)の歳出予算とされているが、IWMSに対して国防勘定の歳出予算は認められていない。

一方、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、トランプ政権は、審査手続を再開させる方針を示していた。しかし、トランプ政権の決定を実施に移すものとして、エネルギー省(DOE)の予算において120,000千ドル(約136億円)が計上された「ユッカマウンテン及び中間貯蔵」プログラムについては、今回制定された2018会計年度包括歳出法では予算が計上されなかった。ユッカマウンテン許認可審査手続の再開については、原子力規制委員会(NRC)も30,000千ドル(約33億9,000万円)の予算を要求していたが、2018会計年度包括歳出法では予算が計上されなかった。

2017年1月に操業を再開した廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、換気システムの建設に係る予算などがDOE予算要求比で増額されており、2017会計年度の歳出予算を3割近く上回るものとして、376,571千ドル(約425億5,250万円)の予算が計上されている。

なお、今回成立した2018会計年度包括歳出法については、ネバダ州選出の連邦議会議員から、ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算の計上を阻止したことなどを伝えるプレスリリースが出されている。また、DOEからも、2018会計年度包括歳出法の成立を歓迎するプレスリリースが出されているが、高レベル放射性廃棄物管理関連の言及はなかった。

【出典】

  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2018会計年度の予算は2017年10月1日からの1年間に対するものである。 [] [] [] [] []
  2. プログラム管理費用(19,600千ドル(約22億1,000万円))を含む []
  3. プログラム管理費用(3,400千ドル(約3億8,000万円))を含む []
  4. なお、上院では本会議での歳出法案の審議は進んでおらず、上院版の歳出法案を審議・可決することなく下院との調整が行われる可能性もある。 []
  5. H.R.1370は、元々は2002年国土安全保障法を改正するための法案であったが、継続歳出法の成立に向けて内容が置き換えられ、第A編(Division A)が「2018会計年度のさらなる追加の継続歳出法」とされている。ここでは簡略化のため、H.R.1370を継続歳出法として記載している。 []
  6. H.R.195は、元々は連邦官報の印刷物の無償配布を制限する法案であったが、継続歳出法の成立に向けて内容が追加され、第B編(Division B)が「2018会計年度の継続歳出延長法」とされている。ここでは簡略化のため、H.R.195を2018会計年度の継続歳出延長法として記載している。 []
  7. H.R.1892は、元々は殉職警官等への半旗掲揚などに関する法案であったが、継続歳出法等の成立に向けて内容が追加され、第B編の一部(Division B Subdivision 3)が「2018会計年度の継続歳出追加延長法」とされている。ここでは簡略化のため、H.R.1892を継続歳出追加延長法として記載している。 []
  8. H.R.1625は、元々は人身売買根絶に関連した法案であったが、包括歳出法成立に向けて内容が置き換えられた。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )