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放射性廃棄物管理研究法制定までの背景・経緯
1991年の放射性廃棄物管理研究法は、フランスにおける高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の管理方針の決定のために、地層処分、長寿命核種の分離・変換、長期地上貯蔵の3つの分野に関する15年にわたる研究を行い、その研究成果を踏まえて最善な管理方策を定める新たな法律を制定することを定めた法律である。
フランスでは、 1987年に放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によって、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分サイトの選定を目的として、岩塩、粘土、頁岩、花崗岩という4つの地質媒体のサイトで地質調査が開始された。しかし、地元で反対運動が起こり、1990年2月に政府は一時的に現地活動を停止することとなった。
この事態の打開のため、政府は議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に、反対運動が生じた理由についての包括的な調査を依頼し、OPECSTは1990 年12月に国民議会および政府に調査結果報告書を提出した。政府はこの報告書を基に放射性廃棄物管理研究法の法案を作成、国民議会に提出し、1991年 12月30日に同法が制定された。
放射性廃棄物管理研究法の主な内容
放射性廃棄物管理研究法では、可逆性のある、または可逆性のない地層処分、長寿命核種の分離・変換、長期地上貯蔵の3つの分野における放射性廃棄物管理研究の進捗状況について、政府が毎年、議会に報告することとされた。政府は、2006年末までに、議会に研究の総括評価報告書を提出しなければならず、必要があれば、地層処分場の建設などに関する法律案をあわせて提出することも定められた。議会は、政府によって提出された報告書のレビューを議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に委託し、政府が提出する報告書の作成は国家評価委員会(CNE)が行うこととされていた。
同法では、地層処分の研究に当たって、地下研究所を設置することが定められており、設置に向けて地元との協議を行わなければならないことも定められている。 また、地下研究所を設置する地元との関係については、地下研究所設置地域の経済開発に資することを目的とした公益事業共同体(GIP)や、放射性廃棄物処分に関する研究進捗等のフォローアップ、情報提供及び協議に関する地域での全般的使命を担う地域情報フォローアップ委員会(CLIS)を設けることが規定されている。なお、地下研究所では、実験を目的とした一時的な放射線源の利用は可能とされているが、放射性廃棄物の中間貯蔵ならびに処分は禁止されている。