英国の原子力安全規制機関である原子力規制局(Office for Nuclear Regulation, ONR)とイングランドを所管する環境規制機関(Environment Agency, EA)は、高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)について、RWMの活動に対するレビュー報告書(2015年8月付)を2015年9月16日に公表した。RWMとONR及びEAとは、規制プロセスに入る前のRWMによる地層処分に関する活動について、RWMにアドバイスを行うことに合意しており、この合意に基づき今回のレビューが実施されている。
英国では、使用済燃料や放射性廃棄物の管理及び処分施設を含む、原子力施設の建設・操業などについては、原子力施設法に基づき、原子力規制局(ONR)から原子力サイトとしての許可を取得する必要がある。また、原子力サイトにおいて放射性廃棄物を処分するためには、イングランド及びウェールズでは環境許可規則、スコットランドと北アイルランドでは放射性物質法に基づいた許可をそれぞれの環境規制当局1から取得する必要がある。
また、英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、現在のところ高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を採用しているのは英国政府(イングランドを所管)とウェールズ政府のみ2である。なお、ウェールズ政府は、今回のレビューの実施期間(2013年4月から2015年3月)の後の2015年6月に地層処分する方針を決定したため 、レビュー報告書は原子力規制局(ONR)とイングランド所管の環境規制機関(EA)によって発行されている。
原子力規制局(ONR)とイングランド所管の環境規制機関(EA)は今回のレビューの目的を、放射性廃棄物管理会社(RWM)が将来提出する地層処分施設に関する許可申請書において、環境保護、安全、セキュリティ、放射性廃棄物輸送、保障措置等の規制要件を満足するようにするためとともに、RWMによる廃棄物発生者に対する廃棄物パッケージ方法に関するアドバイスが適切であることを規制機関が確証するためとしている。
原子力規制局(ONR)とイングランド所管の環境規制機関(EA)は、放射性廃棄物管理会社(RWM)の地層処分に関する活動を毎年レビューする意向であり、今回のレビュー報告書と同様、以下の8つの分野をレビュー対象として、規制機関からのコメントや改善点などを年次報告書として示していくとしている。
- 地層処分の実施に向けた計画策定
- 処分システムの仕様・設計
- セーフティケースの開発
- 持続可能性・環境アセスメント
- 研究開発(R&D)
- サイト評価・特性調査
- 廃棄物パッケージに関するアドバイス・評価
- 実施組織体制の整備
【出典】
- 英国政府ウェブサイト、Regulatory scrutiny of Radioactive Waste Management Limited’s work on geological disposal、2015年9月16日
https://www.gov.uk/government/publications/regulatory-scrutiny-of-radioactive-waste-management-limiteds-work-on-geological-disposal - 原子力規制局(ONR)及びイングランドの環境規制機関(EA)、Regulatory scrutiny of Radioactive Waste Management Limited’s work on geological disposal of radioactive waste Biennial report: April 2013 to March 2015、2015年8月
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/460971/LIT_10169.pdf
(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )