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《米国》連邦控訴裁判所がユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査の再開を命令

米国の連邦控訴裁判所 1 は、2013年8月13日付けの職務執行令状において、原子力規制委員会(NRC)に対して、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を再開するように命令した。

NRCは予算制約を理由として、この審査手続きを2011年9月に停止していたが、これを不服として、ワシントン州などが審査手続きの再開を求めて連邦控訴裁判所に提訴していた。裁判での口頭弁論においてNRCは、許認可申請書の審査の停止理由について、審査を完了するには十分な予算が連邦議会により割り当てられていないことなどを主張していた。このため、当初、連邦控訴裁判所は、2012年8月3日に、連邦議会における2013会計年度の歳出法案での許認可申請書の審査予算の検討動向などを踏まえるため、一時的に訴訟手続を停止し、2012年12月14日までに、2013会計年度の予算に関する最新の情報を提出するよう求める決定を行っており、最終的な決定を先送りした形となっていた。

一方、2013会計年度の歳出法については、継続予算決議として成立したため、2012会計年度の予算が継続されることとなり、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書のNRCによる審査予算はゼロとなっていた。

今回の判決において連邦控訴裁判所は、NRCが許認可申請書の審査を停止したことは、NRCに対してユッカマウンテンの許認可申請書の審査を行うように規定する法律に違反していると判決した上で、連邦議会が他の決定を下すか、残存している歳出予算を使い切るまで、NRCは即座に法的に命令された許認可プロセスを継続しなければならないとする命令を行った。

なお、NRCのユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査予算は、2012会計年度以降ほぼゼロとされていたが、NRCには、それ以前に割り当てられた許認可申請書の審査予算のうち、約1,100万ドル(約10億円)が未使用で残っていることが認識されている。

【出典】

【2013年9月2日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2013年8月30日付けのプレスリリースにおいて、連邦控訴裁判所が2013年8月13日の職務執行令状によって、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を再開するよう命令したことを受け、2013年9月30日までに、どのように審査を再開するかを関係者に問うための意見の収集を開始したことを公表した。なお、連邦裁判所の命令は、2013年9月3日に発効するとされている。

今回の意見収集は、2011年に停止した許認可審査の手続きを再開するに当たって、約1,100万ドル(約10億円)の未使用の審査予算を効率よく生産的に使用するために実施するものとしている。具体的には、予算を適切に編成するための情報収集をNRC職員に指示するとともに、職員からの情報とともに関係者から出される意見を分析することにより、許認可審査の手続きを進める方法を決定するとしている。

一方、連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2013年8月23日のプレスリリースにおいて、NRCの委員長に対して書簡を送り、2013年9月10日に開催する公聴会での証言を求めるとともに、この証言に先立ち、連邦控訴裁判所の命令に従うためにNRCが実施した活動の内容、安全性評価報告(SER)の各分冊の公表に向けたスケジュールに関する情報を2013年9月6日までに提出するよう求めたことを明らかにした。また、本書簡においてエネルギー・商務委員会は、利用可能な予算やこれまでに行われたSERの策定作業を考慮に入れた場合、裁判所の命令に従うための最初の行動として、許認可申請書の審査を再開すること、及びSERを完成させ公表することをNRCに対して期待するとしている。なお、今回の措置は、2013年2月28日のエネルギー・商務委員会の環境・経済小委員会の公聴会において、NRCの委員長が裁判所の判決を尊重するなどと証言したことによるものとしている。

【出典】

【2013年10月31日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2013年10月23日に、連邦控訴裁判所の2013年8月13日の職務執行令状を受け、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係るNRCの許認可活動の対応状況についての月次状況報告書を連邦議会に提出した。月次状況報告書は、2013年9月10日開催の連邦議会下院エネルギー・商務委員会の公聴会において、NRCの委員長が連邦議会の関連委員会幹部への提出を約束していたものである。

今回提出された月次状況報告書は、2013年8月13日から9月30日までを対象とするものであり、完了した事項として、2013年8月30日付けの関係者への意見提出命令及び本命令を受けた関係者の意見提出、NRCスタッフへの費用推定作業の指示が挙げられている。また、実施中の事項としては、関係者から提出された意見とNRCスタッフによる費用・スケジュール見積りを検討した上で、以下を含む活動について委員会で審議を行って連邦控訴裁判所の職務執行令状による命令への対応を決定することが示されている。

  • 安全性評価報告(SER)の完成
  • ユッカマウンテン処分場の補足環境影響評価書(SEIS)の完成
  • 裁決手続(原子力安全・許認可委員会(ASLB)によるヒアリングの実施)
  • 許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)の再構築
  • 再開があり得るNRCに対する訴訟への対応

関係者から寄せられた意見でのNRCが優先して実施すべき事項としては、NRCスタッフやネバダ州を含め、安全性評価報告(SER)の完成が挙げられている。裁決手続の再開については、原子力エネルギー協会(NEI)は、SERの完成後に改めて検討すべきとしているが、地元自治体らは原子力安全・許認可委員会(ASLB)の再立上げを含めた迅速な再開を求めている。なお、ネバダ州は、許認可支援ネットワーク(LSN)の再構築を対応事項の筆頭に掲げており、SERの完成に向けた作業と同時に進めるべきとしているほか、ラスベガス地域でのヒアリング施設再整備なども必要としている。また、エネルギー省(DOE)は、対応事項の判断はNRCに委ねるとした上で、自らの予算として約3,000万ドル(約28億円)以上が使用可能との見込みを示している。

NRCの月次状況報告書では、放射性廃棄物基金(NWF)からの予算の使用状況も開示されており、2013年9月末までの報告対象期間で約5万ドル(約500万円)が使われ残額は約1,100万ドル(約10億円)であることなどが報告されている。

【出典】


  1. 連邦控訴裁判所のうち、コロンビア特別区(D.C.)巡回区控訴裁判所が担当(米国の首都ワシントンD.C.地区における訴訟事件を取り扱う)。[]

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )