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- | * 放射性廃棄物を安全かつ効率的に管理することを目的とする放射性廃棄物管理法が2009年1月に施行され、韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)が設立。2013年6月より組織名が韓国原子力環境公団(KORAD)に変わりました。 | + | * 放射性廃棄物を安全かつ効率的に管理することを目的とする放射性廃棄物管理法が2009年1月に施行され、同法に基づいて韓国原子力環境公団(KORAD)が放射性廃棄物管理を実施しています。 |
- | * 韓国では、使用済燃料の処理・処分の方針は未定です。2012年11月に策定された「使用済燃料管理対策推進計画」では、2014年までに使用済燃料管理方策を含む「放射性廃棄物管理基本計画」を策定する予定です。 | + | *2016年7月に「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」が策定され、許認可用の地下研究所、中間貯蔵施設、最終処分施設を同一のサイトにおいて段階的に建設する方針が示されました。 |
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===== 使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理) ===== | ===== 使用済燃料の発生と貯蔵(処分前管理) ===== | ||
- | 韓国には、原子力発電所が4カ所あり、使用済燃料は各発電所内で貯蔵されています。 | + | 運転中の発電用原子炉は2016年末で計25基あり、その内訳は加圧水型原子炉(PWR)が21基、加圧重水型原子炉(PHWR、カナダ型重水炉)が4基です。使用済燃料は各発電所内で貯蔵されています。 |
- | 運転中の発電用原子炉は2012年末で計23基あり、その内訳は加圧水型原子炉(PWR)が19基、加圧重水型原子炉(PHWR、カナダ型重水炉)が4基です。 | + | |
韓国の原子力発電事業者は、韓国電力公社(KEPCO)の子会社である**韓国水力原子力発電株式会社**(KHNP)だけです。 | 韓国の原子力発電事業者は、韓国電力公社(KEPCO)の子会社である**韓国水力原子力発電株式会社**(KHNP)だけです。 | ||
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===== 実施体制 ===== | ===== 実施体制 ===== | ||
- | 2009年に施行された放射性廃棄物管理法に基づき、国内の全ての放射性廃棄物の管理事業(主に最終処分に関連する業務)の実施を担う唯一の管理公団として韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)が設立されました。2013年6月に名称が「韓国原子力環境公団」(KORAD)に変更されました。 | + | 放射性廃棄物管理法(2009年施行)に基づき、国内の全ての放射性廃棄物の管理事業(主に最終処分に関連する業務)の実施を担う唯一の管理公団として韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)が設立されました。2013年6月に名称が「韓国原子力環境公団」(KORAD)に変更されました。 |
- | KORADは、低中レベル放射性廃棄物の処分施設を含む「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」を建設中です。 | + | KORADは「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」において、2015年7月より低中レベル放射性廃棄物の処分を開始しています。 |
原子力・放射性廃棄物行政に関係する省庁について、韓国産業通商資源部(MOTIE)は、原子力エネルギー開発、放射性廃棄物の管理、処理・処分の長期計画等の政策の立案などを担当しています。 | 原子力・放射性廃棄物行政に関係する省庁について、韓国産業通商資源部(MOTIE)は、原子力エネルギー開発、放射性廃棄物の管理、処理・処分の長期計画等の政策の立案などを担当しています。 | ||
- | 韓国未来創造科学部(MSIP)は、放射性廃棄物の管理関連施設を含む原子力施設の安全全般に関わる規制を担当しています。 | ||
なお韓国の「部」は、わが国の「省」に相当します。 | なお韓国の「部」は、わが国の「省」に相当します。 | ||
+ | また、放射性廃棄物の管理関連施設を含む原子力施設の安全全般に関わる規制については、原子力安全委員会(NSSC)が担当しています。 | ||
KORAD が実施する放射性廃棄物の管理に要する費用は、放射性廃棄物基金として確保することになっています。 | KORAD が実施する放射性廃棄物の管理に要する費用は、放射性廃棄物基金として確保することになっています。 | ||
放射性廃棄物の発生者は、廃棄物を KORAD に引き渡す際に、低中レベル放射性廃棄物の管理費用及び使用済燃料の負担金等をKORADに納付します。放射性廃棄物基金の運用管理はKORAD が行っています。 | 放射性廃棄物の発生者は、廃棄物を KORAD に引き渡す際に、低中レベル放射性廃棄物の管理費用及び使用済燃料の負担金等をKORADに納付します。放射性廃棄物基金の運用管理はKORAD が行っています。 | ||
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===== 処分方針(使用済燃料の管理方針) ===== | ===== 処分方針(使用済燃料の管理方針) ===== | ||
- | 韓国では、使用済燃料の処理・処分の方針策定を進めている途上にあり、それらを含む「放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」)を2014年までに策定することを目標としています。 | + | <WRAP rss right box 320px> |
+ | **「使用済燃料公論化委員会」の概要**\\ | ||
+ | 使用済燃料公論化委員会は、放射性廃棄物管理法に基づき、「公論化」と呼ばれる社会的コンセンサスを得るための議論を実施するため、政府から独立した民間の諮問機関として設置されました。 | ||
- | 放射性廃棄物管理法において、放射性廃棄物の管理事業に関する実施体制や資金確保制度が整備されました。この法律において、産業通商資源部(MOTIE)の長官が「基本計画」を策定することが定められました。 | + | 2013年11月の発足後、使用済燃料の管理方針に関して市民や関係機関から幅広く意見収集を行いました。 |
- | 基本計画の策定には、原子力振興委員会の審議・議決を必要とするほか、重要事項については大統領令として施行することも規定されています。 | + | そして、意見の集約結果を2015年6月末に韓国産業通商資源部(MOTIE)長官に「使用済燃料の管理に関する勧告」として提出することで役割を終え、解散しました。 |
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+ | 韓国では、2016年7月に「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」)が策定され、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)管理について基本方針が示されました。この基本計画は、2015年6月末に「使用済燃料公論化委員会」から提出された勧告を踏まえ、韓国産業通商資源部(MOTIE)により案が策定され、公聴会等を経て、原子力振興委員会にて承認されたものです。 | ||
- | ==== 放射性廃棄物管理基本計画の策定に向けて ==== | + | 基本計画では、高レベル放射性廃棄物の管理について、国民の安全の最優先や現世代による管理責任の負担、廃棄物発生者による管理費用の負担等の原則を示した上で、以下の方針を示しています。 |
- | 2012年11月に韓国知識経済部(現・韓国産業通商資源部)は、原子力発電所の立地自治体代表、人文科学系や理工系の専門家で構成される「使用済燃料政策フォーラム」を設置し、韓国における使用済燃料の管理政策や、その政策決定に向けた公衆協議の方法を検討しました。このフォーラムでの議論を踏まえ、政府は「使用済燃料管理対策推進計画」(以下「推進計画」)を策定し、基本計画を2014年までに策定することを目標に、「公論化」と呼ばれる社会的コンセンサスを得るための議論の枠組みやスケジュール等を定めました。 | + | * 許認可用の地下研究所、中間貯蔵施設、最終処分施設の同一のサイトへの段階的建設 |
- | この内容を下に示します。 | + | * 科学的サイト調査と民主的方式によるサイト選定 |
+ | * サイト選定後の中間貯蔵施設の建設と許認可用地下研究所の建設・実証研究の同時進行 | ||
+ | * 許認可用地下研究所における実証研究を10年以上実施後、最終処分施設へと拡張 | ||
+ | * 中間貯蔵施設の操業までの、原子力発電所サイト内での使用済燃料管理 | ||
+ | * 国内での処分サイト選定と併行した、国際協力による国際共同貯蔵・処分施設の確保への取組 | ||
+ | * 許認可申請用地下研究所とは、別途建設する地下研究所での、処分施設のサイト選定、設計、建設、操業等のための研究実施 | ||
+ | * 安全性と経済性を両立した管理技術の確保 | ||
+ | * 管理施設の操業に関する情報公開と、地域住民との持続的コミュニケーション | ||
- | 今後本格的な議論が行われる使用済燃料の管理方策として、推進計画においては、サイト内における暫定貯蔵施設の設置のほか、サイト外での中間貯蔵施設の設置などを挙げています。 | ||
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- | <fs 85%> | + | ==== 使用済燃料管理サイトの選定について ==== |
- | </ | + | |
- | <WRAP clear></ | + | |
+ | 基本計画では、使用済燃料の中間貯蔵施設と処分施設の両方を立地するサイトの選定手続きを以下のステップで進めるとしており、 | ||
+ | 全体で12年間の所要期間を見込んでいます。 | ||
- | <WRAP rss 600px center> | + | <poem> |
- | {{ : | + | (1)不適合な地域の除外 |
- | <wrap right>< | + | (2)サイトの公募 |
- | <WRAP clear></ | + | (3)基本調査 |
- | + | (4)住民の意思の確認 | |
- | <fs 85%> | + | (5)詳細調査 |
- | また、公論化支援団体として、韓国原子力環境公団(KORAD)、韓国水力原子力株式会社(KHNP)、韓国原子力安全技術院(KINS)、韓国原子力研究所(KAERI)、韓国原子力文化財団(KNEF)などが参加します。</ | + | </poem> |
- | </WRAP> | + | |
- | + | ||
- | <WRAP clear></ | + | |
+ | [{{ : | ||
+ | <fc # | ||
+ | 基本計画では、各工程の所要期間の見込みを示しているが、処分場の操業開始年は明示していない。 | ||
+ | }}] | ||
- | ==== 「使用済燃料管理対策推進計画」のスケジュール概要 ==== | ||
- | * 1)公論化の事前準備(2012 年12 月~ 2013 年3 月):\\ 公論化推進に係る詳細な方策を策定し、公論化支援団体を設置する。 | ||
- | * 2)公論化委員会の設置・運営(2013年4月~2014年):\\ 中間貯蔵の方法(位置、運営期間、方法など)、サイト選定手順、誘致地域の支援方策などを含む政府への勧告案を作成する。(公論化委員会の権限と役割については、上図を参照のこと) | ||
- | * 3)「 放射性廃棄物管理基本計画」の策定(2014年):放射性廃棄物管理施設のサイト選定計画及び投資計画などを含めた、放射性廃棄物管理法に基づく基本計画を策定する。 | ||
- | * 4)公論化委員会の勧告を反映して、必要に応じてサイト選定などの放射性廃棄物管理関連施策に着手する。(2015 年以後) | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
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<WRAP note> | <WRAP note> | ||
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- | * <wrap lo> | + | * <wrap lo> |
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- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
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行 122: | 行 121: | ||
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===== 韓国の原子力発電利用状況 ===== | ===== 韓国の原子力発電利用状況 ===== | ||
- | {{section>: | + | {{section>: |
+ | /* | ||
===== 原子力関連施設 ===== | ===== 原子力関連施設 ===== | ||
韓国の主要な原子力関連施設の立地点 | 韓国の主要な原子力関連施設の立地点 | ||
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*/ | */ | ||
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hlw/kr.txt · 最終更新: 2024/04/02 15:49 by ss12955jp