諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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-処分実施主体であるポシヴァ社が検討している処分概念は、隣国のスウェーデンで考えられている概念(**KBS-3概念**)とほぼ同じです。使用済燃料に含まれる放射性核種を、使用済燃料自身、キャニスタ、緩衝材(ベントナイト)、埋め戻し材、地層からなる多重バリアシステムにより長期にわたって隔離する方法です。キャニスタの定置の方法としては、地下の処分坑道の床面に掘削した処分孔に一本ずつ定置する「処分孔縦置き方式」が考えられています。キャニスタの周囲には緩衝材(ベントナイト)を充填する計画です。なお、ポシヴァ社はスウェーデンの処分実施主体SKB社と共同で「処分坑道横置き方式」の研究開発も進めています。+処分実施主体であるポシヴァ社が検討している処分概念は、隣国のスウェーデンの処分実施主体SKB社が開発した**KBS-3概念**を採用しています。使用済燃料に含まれる放射性核種を、使用済燃料自身、キャニスタ、緩衝材(ベントナイト)、埋め戻し材、地層からなる多重バリアシステムにより長期にわたって隔離する方法です。キャニスタの定置の方法としては、地下の処分坑道の床面に掘削した処分孔に一本ずつ定置する「処分孔縦置き方式」が考えられています。キャニスタの周囲には緩衝材(ベントナイト)を充填する計画です。なお、ポシヴァ社はSKB社と共同で「処分坑道横置き方式」の研究開発も進めています。
  
  
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-最終処分地は、**エウラヨキ自治体のオルキルオト**です。ポシヴァ社は、使用済燃料を最大9,000トン(オルキルオト1~4号機とロヴィーサ1,2号機の合計6基の原子炉で50~60年間運転する場合に発生する量)の受け入れに対応可能な処分場を、地下約400~500mの深さに設置する計画です。+最終処分地は、**エウラヨキ自治体のオルキルオト**です。ポシヴァ社は、使用済燃料を最大6,500トン(オルキルオト1~3号機とロヴィーサ1,2号機の合計5基の原子炉で50~60年間運転する場合に発生する量)の受け入れに対応可能な処分場を、地下約400~500mの深さに設置する計画です。
  
-ポシヴァ社の計画では処分場の規模は、処分坑道の延長距離が42kmで、処分エリアの面積は2~3km<sup>2</sup>です(5,500トン処分の場合。建設許可申請で設定している9,000トン処分の場合の坑道距離と面積情報は未出)。+ポシヴァ社の計画では処分場の規模は、処分坑道の延長距離が42kmで、処分エリアの面積は2~3km<sup>2</sup>です(5,500トン処分の場合。建設許可申請で設定している6,500トン処分の場合の坑道距離と面積情報は未出)。
  
  
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 ポシヴァ社は、2012年12月28日に処分場の建設許可申請書を政府に提出しました。同時に、ポシヴァ社は規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)に、処分の長期安全性の順守を立証する「セーフティケース」と呼ばれる文書を提出しています。STUK はセーフティケースを含む建設許可申請関連文書の評価を行い、それらの結果は政府による建設許可発給の判断材料となります。 ポシヴァ社は、2012年12月28日に処分場の建設許可申請書を政府に提出しました。同時に、ポシヴァ社は規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)に、処分の長期安全性の順守を立証する「セーフティケース」と呼ばれる文書を提出しています。STUK はセーフティケースを含む建設許可申請関連文書の評価を行い、それらの結果は政府による建設許可発給の判断材料となります。
  
-STUKは2015年2月11日に、キャニスタ封入施設及び地層処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出し、2015年2月末現在、雇用経済省が建設許可の発給に向けて検討を行っていま+STUKは2015年2月11日に、キャニスタ封入施設及び地層処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出しました。その後、雇用経済省が建設許可の発給に向けて検討を行い、2015年11月12日にフィンランド政府はポシヴァ社に処分場の建設許可を発給しした
  
 政府は1983年に策定した政策文書(2003年に一部修正)において、処分開始目標を2020年と設定しています。これは、使用済燃料を原子炉から取り出してから40年後に処分するという方針によるものです。ポシヴァ社は、このスケジュールに沿って処分事業の実施計画を進めており、2020年に最終処分場の操業許可申請を行う計画としています。 政府は1983年に策定した政策文書(2003年に一部修正)において、処分開始目標を2020年と設定しています。これは、使用済燃料を原子炉から取り出してから40年後に処分するという方針によるものです。ポシヴァ社は、このスケジュールに沿って処分事業の実施計画を進めており、2020年に最終処分場の操業許可申請を行う計画としています。
行 163: 行 163:
 フィンランドでは、廃棄物管理責任者はその廃棄物管理計画(研究開発計画を含む)を3年毎に更新し、雇用経済省に提出することが義務付けられています。雇用経済省はこれらの計画書について、放射線・原子力安全センター(STUK)の見解書を得る必要があることが定められています。 フィンランドでは、廃棄物管理責任者はその廃棄物管理計画(研究開発計画を含む)を3年毎に更新し、雇用経済省に提出することが義務付けられています。雇用経済省はこれらの計画書について、放射線・原子力安全センター(STUK)の見解書を得る必要があることが定められています。
  
-2000年以降の3カ年の短期計画を示すものしては、3年毎に作成されている「使用済燃料の最終処分のための研究・技術開発プログラム(TKS)報告書」があります。 +2003年以降、廃棄物管理義務者であるTVO社FPH社は、3年毎に使用済燃料と低中レベル放射性廃棄物廃棄物管理現状と研究開発を含む将来の廃棄物管理計画に関する報告書をポシヴァ社と共に作成しています。
  
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 最終処分地に決定したオルキルオトの詳細なサイト特性調査のために、2004年6月から**<abbr>ONKALO [オンカロ]</abbr>**と呼ばれる地下特性調査施設の建設が開始されています。ONKALOでの調査は、わが国の処分地選定プロセスにおける精密調査に相当します。 最終処分地に決定したオルキルオトの詳細なサイト特性調査のために、2004年6月から**<abbr>ONKALO [オンカロ]</abbr>**と呼ばれる地下特性調査施設の建設が開始されています。ONKALOでの調査は、わが国の処分地選定プロセスにおける精密調査に相当します。
  
-ONKALOのアクセス坑道は2010年6月に処分深度まで掘削され、20128月現在、坑道の全長は約5km、深度は455mに達しています。ポシヴァ社は建設作業と並行して、処分場の建設許可申請に必要な岩盤や地下水のデータを収集し、また、掘削がこれらの特性に及ぼす影響についての調査を行ってきました。今後、処分坑道やキャニスタ定置坑の掘削等の処分技術の検証も行われる予定です。 +ONKALOのアクセス坑道は2010年6月に処分深度まで掘削され、20147月現在、坑道の全長は約5km、深度は455mに達しています。ポシヴァ社は建設作業と並行して、処分場の建設許可申請に必要な岩盤や地下水のデータを収集し、また、掘削がこれらの特性に及ぼす影響についての調査を行ってきました。今後、処分坑道やキャニスタ定置坑の掘削等の処分技術の検証も行われる予定です。 
- +ONKALOは、**将来的には処分施設の一部として利用される**予定ですが、処分場の建設許可が発給されるまでは処分施設ではなく調査施設として位置づけられています。
-ONKALOにおける技術開発は、最終的な処分技術を実際の条件で試験できることが特徴です。ONKALOは、**将来的には処分施設の一部として利用される**予定ですが、処分場の建設許可が発給されるまでは処分施設ではなく調査施設として位置づけられています。+
  
 なお、ONKALOの建設以前には、オルキルオト原子力発電所の敷地内の地下に設置されている低中レベル放射性廃棄物処分場内に、専用の坑道を設けて小規模な試験が行われていました。 なお、ONKALOの建設以前には、オルキルオト原子力発電所の敷地内の地下に設置されている低中レベル放射性廃棄物処分場内に、専用の坑道を設けて小規模な試験が行われていました。
hlw/fi/chap2.txt · 最終更新: 2017/10/27 18:59 by 127.0.0.1