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hlw:fi:chap2 [2014/02/18 19:47] – [処分場の概要(処分概念)] sahara.satoshi | hlw:fi:chap2 [2017/05/06 15:31] – 2017年版へ更新 ss12955jp | ||
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- | * フィンランドでは、オルキルオトの地下約400~500mの結晶質岩中に使用済燃料を直接処分する計画です。使用済燃料を銅製容器と鋳鉄製容器の2重構造のキャニスタに封入して処分します。処分場の操業開始目標が2022年に設定されています。ポシヴァ社は2012年12月に政府に処分場の建設許可申請をしています。 | + | * フィンランドでは、オルキルオトの地下約400~500mの結晶質岩中に使用済燃料を直接処分する計画です。使用済燃料を銅製容器と鋳鉄製容器の2重構造のキャニスタに封入して処分します。処分場の操業開始目標が2020年代に設定されています。ポシヴァ社は2016年12月に処分場の建設を開始しました。 |
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===== 地層処分対象の放射性廃棄物 ===== | ===== 地層処分対象の放射性廃棄物 ===== | ||
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フィンランドで地層処分の対象となる高レベル放射性廃棄物は、原子力発電所から発生する使用済燃料です。使用済燃料は、右の写真に示すような、外側が銅製の容器、内側が鋳鉄製の容器という2重構造の容器(キャニスタ)に封入して処分されます。外側の銅製容器が腐食に耐える役割を、内側の鋳鉄製容器が荷重に耐える役割を各々担っています。 | フィンランドで地層処分の対象となる高レベル放射性廃棄物は、原子力発電所から発生する使用済燃料です。使用済燃料は、右の写真に示すような、外側が銅製の容器、内側が鋳鉄製の容器という2重構造の容器(キャニスタ)に封入して処分されます。外側の銅製容器が腐食に耐える役割を、内側の鋳鉄製容器が荷重に耐える役割を各々担っています。 | ||
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燃料種類別にキャニスタのサイズが異なります\\ | 燃料種類別にキャニスタのサイズが異なります\\ | ||
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キャニスタは3通りのサイズを考えています。これは、原子炉形式によって異なるサイズの使用済燃料が発生するためです。右下の図に示したのは、左がロヴィーサ原子力発電所のロシア型加圧水型原子炉(VVER)から発生する使用済燃料用、中央と右がオルキルオト原子力発電所の沸騰水型原子炉(BWR)と建設中の欧州加圧水型原子炉(EPR)から発生する使用済燃料をそれぞれ封入するキャニスタです。 | キャニスタは3通りのサイズを考えています。これは、原子炉形式によって異なるサイズの使用済燃料が発生するためです。右下の図に示したのは、左がロヴィーサ原子力発電所のロシア型加圧水型原子炉(VVER)から発生する使用済燃料用、中央と右がオルキルオト原子力発電所の沸騰水型原子炉(BWR)と建設中の欧州加圧水型原子炉(EPR)から発生する使用済燃料をそれぞれ封入するキャニスタです。 | ||
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===== 処分場の概要(処分概念) ===== | ===== 処分場の概要(処分概念) ===== | ||
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- | \\ | + | 処分実施主体であるポシヴァ社が検討している処分概念は、隣国のスウェーデンの処分実施主体SKB社が開発した**KBS-3概念**を採用しています。使用済燃料に含まれる放射性核種を、使用済燃料自身、キャニスタ、緩衝材(ベントナイト)、埋め戻し材、地層からなる多重バリアシステムにより長期にわたって隔離する方法です。キャニスタの定置の方法としては、地下の処分坑道の床面に掘削した処分孔に一本ずつ定置する「処分孔縦置き方式」が考えられています。キャニスタの周囲には緩衝材(ベントナイト)を充填する計画です。 |
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+ | 最終処分地は、**エウラヨキ自治体のオルキルオト**です。ポシヴァ社は、使用済燃料を最大6, | ||
- | </WRAP> | + | ポシヴァ社の計画では処分場の規模は、処分坑道の延長距離が42kmで、処分エリアの面積は2~3km< |
- | 処分実施主体であるポシヴァ社が検討している処分概念は、隣国のスウェーデンで考えられている概念(**KBS-3概念**)とほぼ同じです。使用済燃料に含まれる放射性核種を、使用済燃料自身、キャニスタ、緩衝材(ベントナイト)、埋め戻し材、地層からなる多重バリアシステムにより長期にわたって隔離する方法です。キャニスタの定置の方法としては、地下の処分坑道の床面に掘削した処分孔に一本ずつ定置する「処分孔縦置き方式」が考えられています。キャニスタの周囲には緩衝材(ベントナイト)を充填する計画です。なお、ポシヴァ社はスウェーデンの処分実施主体SKB社と共同で「処分坑道横置き方式」の研究開発も進めています。 | + | [100%{{:hlw:fi:オルキルオト処分場イメージ.png |オルキルオト処分場の設置イメージ| |
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- | 最終処分地は、**エウラヨキ自治体のオルキルオト**です。ポシヴァ社は、使用済燃料を最大9, | ||
- | ポシヴァ社の計画では処分場の規模は、処分坑道の延長距離が42kmで、処分エリアの面積は2~3km< | ||
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==== 処分場の建設予定地の地質構造 ==== | ==== 処分場の建設予定地の地質構造 ==== | ||
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オルキルオトはフィンランド南西部のサタクンタ地域の南部に位置しています。サタクンタ地域の基盤岩は先カンブリア紀のフェノスカンジア盾状地における約8億年間(19億年前~12億年前)の地質履歴を有しています。最も古い基盤岩は古原生代にあたる19~18億年前のスヴェコフェニアン造山運動によって変形と変成を受けた表成の変成堆積岩と変成火成岩から構成されています。その後、約16億年前の中原生代の非造山期に大きな貫入性のラパキビ花崗岩がこの地域の中心部に出現しました。このマグマ活動期以降はサタクンタ堆積岩が堆積し、さらに、これらの堆積岩やそれ以前の古い岩石は約12億年前にカンラン石輝緑岩の岩脈や岩床による貫入を受けています。 | オルキルオトはフィンランド南西部のサタクンタ地域の南部に位置しています。サタクンタ地域の基盤岩は先カンブリア紀のフェノスカンジア盾状地における約8億年間(19億年前~12億年前)の地質履歴を有しています。最も古い基盤岩は古原生代にあたる19~18億年前のスヴェコフェニアン造山運動によって変形と変成を受けた表成の変成堆積岩と変成火成岩から構成されています。その後、約16億年前の中原生代の非造山期に大きな貫入性のラパキビ花崗岩がこの地域の中心部に出現しました。このマグマ活動期以降はサタクンタ堆積岩が堆積し、さらに、これらの堆積岩やそれ以前の古い岩石は約12億年前にカンラン石輝緑岩の岩脈や岩床による貫入を受けています。 | ||
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オルキルオトにおける基盤岩は、主に19~18億年前のミグマタイト質の雲母片麻岩等の結晶質岩です。 | オルキルオトにおける基盤岩は、主に19~18億年前のミグマタイト質の雲母片麻岩等の結晶質岩です。 | ||
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===== 処分事業の実施計画 ===== | ===== 処分事業の実施計画 ===== | ||
- | 高レベル放射性廃棄物の最終処分地は、2001年にエウラヨキ自治体のオルキルオトに決定しています。今後、実施主体のポシヴァ社が最終処分を実施するためには、原子力法に基づき、処分施設の建設許可、操業許可を順次取得しなければなりません。 | + | 高レベル放射性廃棄物の最終処分地は、2001年にエウラヨキ自治体のオルキルオトに決定しています。実施主体のポシヴァ社が最終処分を実施するためには、原子力法に基づき、処分施設の建設許可、操業許可を順次取得しなければなりません。 |
- | ポシヴァ社は、2012年12月28日に処分場の建設許可申請書を政府に提出しました。同時に、ポシヴァ社は規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)に、処分の長期安全性の順守を立証する「セーフティケース」と呼ばれる文書を提出しています。STUK はセーフティケースを含む建設許可申請関連文書の評価を行い、それらの結果は政府による建設許可発給の判断材料となります。 | + | ポシヴァ社は、2012年12月に処分場の建設許可申請書を政府に提出しました。同時に、ポシヴァ社は規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)に、処分の長期安全性の順守を立証する「セーフティケース」と呼ばれる文書を提出しています。STUK はセーフティケースを含む建設許可申請関連文書の評価を行い、2015年2月に、キャニスタ封入施設及び地層処分場を安全に建設することが可能であると結論づけた審査意見書を雇用経済省に提出しました。その後、雇用経済省が建設許可の発給に向けて検討を行い、2015年11月にフィンランド政府はポシヴァ社に処分場の建設許可を発給しました。その後、STUKによる処分場建設の準備状況の確認を経て、ポシヴァ社は2016年12月に処分場の建設を開始しています。 |
- | 政府は1983年に策定した政策文書(2003年に一部修正)において、処分開始目標を2020年と設定しています。これは、使用済燃料を原子炉から取り出してから40年後に処分するという方針によるものです。ポシヴァ社は、このスケジュールに沿って処分事業の実施計画を進めており、2020年に最終処分場の操業許可申請を行う計画としています。 | + | 政府は1983年に策定した政策文書(2003年に一部修正)において、処分開始目標を2020年と設定しています。これは、使用済燃料を原子炉から取り出してから40年後に処分するという方針によるものです。ポシヴァ社は、このスケジュールに沿って処分事業の実施計画を進めており、2020年代は最終処分場の操業を開始する予定としています。 |
+ | 新規に原子力発電所建設を計画しているフェノヴォイマ社は、使用済燃料処分に関して、エウラヨキ自治体、及び発電所を立地予定のピュハヨキ自治体の2つの自治体から処分場サイトを選ぶことを計画しています。 | ||
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===== 研究計画 ===== | ===== 研究計画 ===== | ||
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- | 使用済燃料の最終処分のための研究・技術開発プログラム(TKS)報告書 | ||
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フィンランドでは、廃棄物管理責任者はその廃棄物管理計画(研究開発計画を含む)を3年毎に更新し、雇用経済省に提出することが義務付けられています。雇用経済省はこれらの計画書について、放射線・原子力安全センター(STUK)の見解書を得る必要があることが定められています。 | フィンランドでは、廃棄物管理責任者はその廃棄物管理計画(研究開発計画を含む)を3年毎に更新し、雇用経済省に提出することが義務付けられています。雇用経済省はこれらの計画書について、放射線・原子力安全センター(STUK)の見解書を得る必要があることが定められています。 | ||
- | 2000年以降の3カ年の短期計画を示すものとしては、3年毎に作成されている「使用済燃料の最終処分のための研究・技術開発プログラム(TKS)報告書」があります。 | + | 2003年以降、廃棄物管理義務者であるTVO社とFPH社は、3年毎に使用済燃料と低中レベル放射性廃棄物の廃棄物管理の現状と研究開発を含む将来の廃棄物管理計画に関する報告書をポシヴァ社と共に作成しています。 |
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===== 地下特性調査施設 ===== | ===== 地下特性調査施設 ===== | ||
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最終処分地に決定したオルキルオトの詳細なサイト特性調査のために、2004年6月から**< | 最終処分地に決定したオルキルオトの詳細なサイト特性調査のために、2004年6月から**< | ||
- | ONKALOのアクセス坑道は2010年6月に処分深度まで掘削され、2012年8月現在、坑道の全長は約5km、深度は455mに達しています。ポシヴァ社は建設作業と並行して、処分場の建設許可申請に必要な岩盤や地下水のデータを収集し、また、掘削がこれらの特性に及ぼす影響についての調査を行ってきました。今後、処分坑道やキャニスタ定置坑の掘削等の処分技術の検証も行われる予定です。 | + | ONKALOのアクセス坑道は2010年6月に処分深度まで掘削され、2014年7月現在、坑道の全長は約5km、深度は455mに達しました。ポシヴァ社はONKALOの建設作業と並行して、処分場の建設許可申請に必要な岩盤や地下水のデータを収集し、また、掘削がこれらの特性に及ぼす影響についての調査を行ってきました。処分場の建設開始後は、ONKALOは処分施設の一部として利用されますが、ONKALO でこれまで利用されてきた研究・実証用の坑道エリアでは、人工バリアの定置技術等の研究開発が今後も継続されます。 |
- | ONKALOにおける技術開発は、最終的な処分技術を実際の条件で試験できることが特徴です。ONKALOは、**将来的には処分施設の一部として利用される**予定ですが、処分場の建設許可が発給されるまでは処分施設ではなく調査施設として位置づけられています。 | + | なお、ONKALO |
- | なお、ONKALOの建設以前には、オルキルオト原子力発電所の敷地内の地下に設置されている低中レベル放射性廃棄物処分場内に、専用の坑道を設けて小規模な試験が行われていました。 | + | <WRAP clear/> |
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hlw/fi/chap2.txt · 最終更新: 2017/10/27 18:59 by 127.0.0.1