諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:de:chap2 [2013/03/11 17:53] – 2013年版発行を反映 sahara.satoshihlw:de:chap2 [2018/05/02 16:18] – [処分事業の実施計画] sahara.satoshi
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-~~bc:2.地層処分計画と技術開発~~+~~ShortTitle:2.地層処分計画と技術開発~~
 <WRAP pagetitle> <WRAP pagetitle>
 ==HLW:DE:chap2== ==HLW:DE:chap2==
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   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>
   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>
-  *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</fs>+  *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</fs>
   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>
-  *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</fs> +  *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</fs>
-  *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</fs>+
 </WRAP> </WRAP>
  
行 33: 行 32:
 ====== 2.1 処分計画 ====== ====== 2.1 処分計画 ======
  
-<WRAP tip round box> +<WRAP round box> 
-  * ドイツでは、ニーダーザクセン州ゴアレーベン岩塩ドームにいて、ガラス固化体及び使用済燃料の処分場としての適性を調査するために1979年から探査活動行われて探査の結果処分場ての適性確認された場合には2017年から処分場建設に向け許認可手続きが開始される予またゴアレーベンの探査活動と並行して、代替処分サイト選定手続検討作業行われています。+{{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} 
 +  * ドイツでは1979年からゴアレーベン岩塩ドームにいて高レベル放射性廃棄物の処分場候補地として探査が続けられてしたし、2013年に高レベル放射性廃棄物処分場サイト選定に関する新い法律制定され、公衆参加型手続きによりサイト選をやり直ことになり。これに伴い、ゴアレーベンの探査は2012年11月に中断されまた。ゴアレーベンについ今後のサイト選定手続きで再度検討対象となる可能性は否定されていません、その際も他のサイトと同列に扱うこととされています。
 </WRAP> </WRAP>
  
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 ==== 処分形態 ==== ==== 処分形態 ====
  
-<WRAP rss right 350px+<WRAP rss right 300px
-{{zoom>:hlw:de:pollux-cask.png?340|}} +{{zoom>:hlw:de:pollux-cask.png?300|Polluxキャスク}} 
-{{popup>:hlw:de:pollux-cask.png|使用済燃料用に予定されているキャスク}}\\+<fc #080>使用済燃料用に予定されているPolluxキャスク</fc>\\
 <fs 70%>source: DBE</fs> <fs 70%>source: DBE</fs>
 </WRAP> </WRAP>
  
-使用済燃料は右図に示したような複合構造の「Polluxキャスク」に収納して処分する方法が検討されています。この方法では、原子炉から取り出した使用済燃料集合体を解体し、燃料棒だけをPolluxキャスクに収納します。1999年にゴアレーベンにパイロット・コンディショニング施設が建設され、Polluxキャスクへの収納が試験的に実施さています。ただし、処分前の工程が複雑時間もかかるため、代替の処分形態の検討も進められています。+使用済燃料は右図に示したような複合構造の「Polluxキャスク」に収納して処分する方法が検討されています。この方法では、原子炉から取り出した使用済燃料集合体を解体し、燃料棒だけをPolluxキャスクに収納します。1999年にパイロット・コンディショニング施設がゴアレーベンに建設されており燃料棒のPolluxキャスクへの封入試験が行わる予定です。
  
 またガラス固化体は、処分用のキャスクに収納して処分する方法が検討されています。 またガラス固化体は、処分用のキャスクに収納して処分する方法が検討されています。
  
  
 +[310px{{:hlw:de:pka-piliot-konditionierungsanlage-gorleben.jpg?150|使用済燃料のパイロット・コンディショニング施設|
 +<fs 90%>//__P__iliot-__K__onditionierungs__a__nlage (PKA)//</fs>\\
 +<fc #080>使用済燃料のパイロット・コンディショニング施設</fc>\\
 +(1999年にゴアレーベンに建設)
 +}}]
 +
 +
 +/*
 <WRAP rss> <WRAP rss>
-{{:hlw:de:pka-piliot-konditionierungsanlage-gorleben.jpg?200|}}\\+{{:hlw:de:pka-piliot-konditionierungsanlage-gorleben.jpg?200&nodirect|使用済燃料のパイロット・コンディショニング施設}}\\
 <fs 90%>//__P__iliot-__K__onditionierungs__a__nlage (PKA)//</fs>\\ <fs 90%>//__P__iliot-__K__onditionierungs__a__nlage (PKA)//</fs>\\
-使用済燃料のパイロット・コンディショニング施設\\+<fc #080>使用済燃料のパイロット・コンディショニング施設</fc>\\
 (1999年にゴアレーベンに建設) (1999年にゴアレーベンに建設)
 </WRAP> </WRAP>
 +*/
 +
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
 +
 \\ \\
 ===== 処分場の概要(処分概念) ===== ===== 処分場の概要(処分概念) =====
  
-<WRAP rss right 350px> +[48%{{ :hlw:de:gorleben-disposal-image.png|ゴアレーベンでの処分概念イメージ| 
-{{:hlw:de:gorleben-disposal-image.png?340&nolink|}} +<fc #080>ゴアレーベンでの処分概念イメージ</fc>\\
- +
-{{popup>:hlw:de:gorleben-disposal-image.png|ゴアレーベンでの処分概念イメージ}}\\+
 <fs 70%>DBE社等,Final disposal and released waste management より引用</fs> <fs 70%>DBE社等,Final disposal and released waste management より引用</fs>
-</WRAP>+}}]
  
-放射性廃棄物を隔離する上で天然バリアが最も重要な役割を果たすとの考えから、1970年代から岩塩層での処分可能性が注目されました。ドイツでは100年以上の採掘経験があり、岩塩の特性が良く知らていまし。ドツの岩塩層では特別な支保なしで数十年間自立する地下空間を掘削できること、長期的は自然の働で開削空間が閉じられていくこと(クリープ現象)が知られています。また岩塩は熱伝導度が高いため、発熱性放射性廃棄物から発生した熱周囲に逃がすことができるためような廃棄物適しると考えられています。こうしたことから右図示すように、放射性廃棄物をキャスク等の金属製容器の人工バリアで包んだ上で、岩塩層という地質構造を天然バリアとして利用す多重バリアシステムを検討しています。 +ドイツでは2013年新たに制定された法律「サト選定法」基づき、サイト選定手続やり直すことが決まっており処分場サイト母岩ついも再検討すになっています。従来はに岩塩層における処分概念検討が進められていました。
- +
-ゴアレーベンでの処分深度は地下約840mから1,200m範囲で考えられています。右の図はゴアレーベンでの処分概念を示したものです。図では地下840mの深さの岩塩ドームの中に処分坑道がレイアウトされており、その面積は約3km<sup>2</sup>となっています+
  
  
 +右の図は1979年~2011年までサイト特性調査が行われていたゴアレーベンでの処分概念を示したものです。地下840mの深さの岩塩ドームの中に処分坑道をレイアウトしており、その面積は約3km<sup>2</sup>となっています。
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
  
-<WRAP rss right 350px> +[48%{{ :hlw:de:design-variation.png|定置方式のバリエーション
-{{:hlw:de:emplacement-horiz.png?170&nolink|}} +<fc #080>定置方式のバリエーション</fc>\\ 
-{{:hlw:de:emplacement-vert.png?170&nolink|}} +(左)処分坑道横置き方式)処分孔縦置き方式\\
- +
-{{popup>:hlw:de:emplacement-horiz.png|処分坑道横置き方式}}、{{popup>:hlw:de:emplacement-vert.png|処分孔縦置き方式}}(右)\\+
 <fs 70%>source: DBE社資料</fs> <fs 70%>source: DBE社資料</fs>
-</WRAP>+}}]
  
-廃棄物の定置方式は、の種類などによって2通りが考えられています。右図の左側は処分坑道横置き方式、右側は処分孔縦置き方式のイメージをそれぞれ示したものです。廃棄物の定置後に残る空間は、砕いた岩塩で埋め戻されます。+ゴアレーベンでは、放射性廃棄物をキャスク等金属製容器の人工バリアで包んだ上で、岩塩層という地質構造を天然バリアとして利用する多重バリアシステムの適用が検討されてきました。定置方式は、廃棄物の種類などによって2通りが考えられています。右図は処分坑道横置き方式処分孔縦置き方式のイメージを示したものです。廃棄物の定置後に残る空間は、砕いた岩塩で埋め戻されます。
  
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
  
-==== 処分場の建設予定地の地質構造 ==== 
  
-<WRAP rss right 350px> + 
-{{:hlw:de:salt-rock-distribution.png?340&nolink|}}\\ +==== ドイツ北部における岩塩の分布 ==== 
-{{popup>:hlw:de:salt-rock-distribution.png|ドイツ北部における岩塩ドーム・鉱床の分布状況}}\\+ 
 +[48%{{ :hlw:de:salt-rock-distribution.png|ドイツ北部における岩塩ドーム・鉱床の分布状況| 
 +<fc #080>ドイツ北部における岩塩ドーム・鉱床の分布状況</fc>\\
 <fs 70%>DBE社資料より引用</fs> <fs 70%>DBE社資料より引用</fs>
 +}}]
  
-\\ +放射性廃棄物を隔離する上で天然バリアが最も重要な役割を果たすとの考えから、1970年代から岩塩層での処分可能性が注目されました。ドイツでは、岩塩の採掘経験が100年以上あり、その特性が良く知られていました。ドイツの岩塩層では特別な支保なしで数十年間自立する地下空間を掘削できること、長期的には自然の働きで開削空間が閉じられていくこと(クリープ現象)が確認されています。また、岩塩は熱伝導度が高く、廃棄物から発生した熱を周囲に逃がすことができるため、発熱性放射性廃棄物に適していると考えられていました。 
-{{:hlw:de:salt-dome.png?340&nolink|}} + 
-岩塩構造のタイプ\\  +[48%{{ :hlw:de:salt-dome.png?nolink|岩塩構造のタイプ| 
-<fs 90%>北部ドイツには地中で大きく盛り上がった形に発達した岩塩ドームと、枕のような構造の岩塩鉱床が数多く分布しています。</fs>\\+<fc #080>岩塩構造のタイプ</fc>\\  
 +<fs 90%>ドイツ北部には地中で大きく盛り上がった形に発達した岩塩ドームと、枕のような構造の岩塩鉱床が数多く分布しています。</fs>\\
 <fs 70%>source:BfS, The Gorleben Salt Dome</fs> <fs 70%>source:BfS, The Gorleben Salt Dome</fs>
-</WRAP>+}}]
  
 +ドイツ北部のゴアレーベンでは、最終処分地としての適性確認を目的とした地下探査活動が1979年から続けられてきました。ゴアレーベンの地表から約260mより深い部分には「岩塩ドーム」が形成されています。岩塩自体は約2億6千万年前に出来たものです。この岩塩層の上部に堆積した地層との比重差によって、長い年月をかけてドーム状に盛り上がって形成された構造です。ゴアレーベンの岩塩ドームの規模は長さ約14km、幅が最大約4kmあり、岩塩層は一番深いところでは地下約3,500mまで続いています。
  
-ドイツ北部におけるのゴアレーベンでは、現在、最終処分地としての適性確認を目的とした地下探査活動が1979年から続けられています。 +ゴアレーベンで処分深度は地下約840~1,200m範囲で考えられていました。
- +
-ゴアレーベン地表か約260mより深い部分には「岩塩ドーム」が形成されています。岩塩自体は約2億6千年前に出来たものです。この岩塩層の上部に堆積した地層との比重差によって、長い年月をかけてドーム状に盛り上がることで形成された構造です。ゴアレーベンの岩塩ドームの大きさは長さ約14km、幅が最大約4kmあり、岩塩層は一番深いところでは地下約3,500mまで続いています+
  
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
 \\ \\
-===== 探査活動の現状 =====+===== ゴアレーベンでの探査活動の歴史 =====
  
-<WRAP rss right 350px+<WRAP rss right 300px
-{{zoom>:hlw:de:gorleben-site-view.png?340|}} +{{:hlw:de:ptb1983-report.png?150&nolink|ゴアレーベンのサイト調査の総括的中間報告書(PTB,1983年)}}\\  
- +ゴアレーベンサイト調査総括的中間報告書\\ 
-{{popup>:hlw:de:gorleben-site-view.png|ゴアレーベンサイトの概観}}\\ +<fs 90%>1983年に、当時の実施主体であった連邦物理技術研究所(PTB)は、ゴアレーベンが処分場の建設地として適切であると評価しました。</fs>
-<fs 70%>BMUBfS資料より引用</fs>+
 </WRAP> </WRAP>
  
  
-ゴアレーベンの地下探活動は、連邦政府1998年からの脱原子力政策の影響受けて、2000年10月から10年間にわたり、新規に始る活動が凍結されていました。凍結解除後2011年11月から、処分場適性確認を目的として探査活動が再開しました。この結果次第では適性否定する結論に至る可能性もあるとされいましたがBMU大臣は、2012年11月にゴアレでの探査活動を一時停止すること決定しました。一方で、ゴアレーベンに代わるサイトの選定手続きの検討も行われています+1983年5月、当時の最終処分事業の実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)は『ゴアレーベンのサイト調査の総括的中間報告書』まとめました。報告書ではゴアレーベンに地層処分場を建設た場合安全解析が行われ、ゴアレーベンが処分場建設地として適切であると評価されました。この評価結果を受けて、ダーザクセ州が地下探査に関する許可発給、1986年から探査坑道の建設が始まりました。
  
-右の図は、ゴアレーベンの地下探査坑道の概観を示したものです。ゴアレーベンの岩塩ドームには、933m 及び 840m の立坑2本が掘削されており、処分予定深度の840mに探査用の水平坑道(総延長約7km)が展開されています。 
  
-探査活動は処分事業実施主体であるBfS委託を受けて、ドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が中心なって実施してこうした探査活動自体は連邦鉱山法基づく規制下でており、原子力法に基づく許可必要とされていせん+ゴアレーベンの地下探査活動は、連邦政府1998年から脱原子力政策の影響を受けて、2000年10月から10年間にわたり、新規の活動が凍結されていました。凍結解除後の2010年11月から、探査の目的を処分としての適性確認に改め、探査活動が再開されした。しかし、サイト選定手続きを見直す方針となっことから、2012年11月にゴアレーベンでの探査活動の一時停止が決定されました。その後2013年7月た新たな律「サイト選定法」より、探査一旦終了しした
  
 +サイト選定法では、ゴアレーベンは次の場合には検討対象から除外されるとして、他の候補サイトと同列に扱うことを規定しています。
  
-<WRAP clear></WRAP> +  *検討対象となるサイト地域に含まれない場合 
-\\ +  *地表からの探査を行うサイト(地上探査対象サイト)に選ばれなかった場合 
-===== 処分事業の実施計画 =====+  *地下での探査を行うサイト(地下探査対象サイト)に選ばれなかった場合 
 +  *最終的に処分場を立地するサイトとして選定されなかった場合
  
-<WRAP rss right 350px> +したがって、ゴアレーベンが同法基づく今後の手続きで改めて探査サイトとして指定されまで、同地で探査は実施さません。
-{{:hlw:de:licensing-process-de.png?340&nolink|}}\\ +
-{{popup>:hlw:de:licensing-process-de.png|ドイツおけ処分事業}} +
-</WRAP>+
  
 +[48%{{ :hlw:de:gorleben-site-view.png|ゴアレーベン・サイトの概観|
 +<fc #080>ゴアレーベン・サイトの概観</fc>\\
 +<fs 70%>BMU・BfS資料より引用</fs>
 +}}]
  
-処分事業を管轄する連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)及び処分実施主体連邦放射線防護庁(BfS)は、ゴアレーベンの探査活動再開に向けて、2010年3月に今後のスケジュール案公表しました。今後実施予定ついて、以下ような考えを紹介しています。+は、ゴアレーベンの地下探査坑道概観したものですゴアレーベン岩塩ドームは2本の立坑(933mと840m)が掘削されおり処分予定深度とされていた840mに探査用水平坑道(総延長約7km)が展開されています。
  
-  * BMUが策定中「発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件」のゴアレーベンサイトへの適用につい、ニーダーザクセン州を含む各州の合意を得て、探査活動を再開 +これまで探査活動は処分事業の実施主体であるBfSの委託を受けて、ドイツ廃棄物処分施設建設運転会社(DBE社)が中心となっ実施しいました。なおこうした探査活動自体は、連邦鉱山法に基づく規制下で行われいました。こうした探査活動自体は連邦鉱山法に基づく規制下で行われていました。
-  * 探査活動再開まで得られたデータ及び知見をに、2012年末まに予備的安全評価をい、2013年前半に評価結果及び処分概念につい国際ピアレビューを実施 +
-  * 探査の結果等から最終処分サイトとての適性が確認され場合2017年頃から原子力法に基づく計画確定手続(許認可手続)を開始+
  
-BMUは上記のスケジュールに沿って許認可手続き及び処分場建設を進めた場合、処分場の操業開始は2035頃になる見込みとしています。 +なお20137月に制定されサイト選定法るゴアレーベンでの探査終了を受け、地下探査坑道は一部を除き閉鎖されることが決まっています
- +
-2010年9月に、BMUと州政府はゴアレーベンへの安全要件の適用について協議しましが、安全要件幾つかの課題があことから協議を継続することとし、並行して安全要件の一部を見直すことになりました。なお、ゴアレーベンでの探査活動については、許認可当局であるニーダーザクセン州により連邦鉱山法上の許認可が発給したことを受け、2010年11月に再開していました。その後、2012年11月に探査活動は一時停止されることが決定しした+
  
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
 \\ \\
-==== 計画確定手続き ==== +===== 処分事業の実施計画 =====
-<WRAP rss right 350px> +
-{{:hlw:de:planfeststellung.png?340&nolink|}} +
-{{popup>:hlw:de:planfeststellung.png|原子力法に基づく計画確定手続き}} +
-</WRAP>+
  
-ドイツでは、処分場建設のためには「計画確定」と呼ばれる手続が必要となっています。計画確定とは、さまざまな分野、段階に及ぶプロジェクトについて許認可を個々規制法毎個別に許認可を給するのはなく、一つ計画確定の声明によって各法の要求を踏上での事業承認を与える許認可の仕組みです。計画確定を行うための手続きは、行政手続法で定められています+<WRAP rss right box 320px> 
 +**[1] BMUB** \\ 2013年9月総選挙後同年12月に発足した新政権での省庁改編によ連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が「連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省」(BMUB)に名称が変わりた。
  
-原子力法では、放射性廃棄物の処分場の建設に当たって、計画確定の手続きを行うことが必要となっており、この手続きの中で、環境適合性審査を行うことを義務づけています。+|<fs 90%>旧名称</fs>|<fs 90%>連邦環境・自然保護・原子炉安全省</fs> 
 +|<fs 90%>新名称</fs>|<fs 90%>連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省</fs>  |
  
-計画確定を所管する当局は、放射性廃棄物処分場の場合には、州の環境省であり、ゴアレーベンの場合にはニーダーザクセン州環境省です。+</WRAP>
  
 +ドイツでは、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)のもと、
 +連邦放射線防護庁(BfS)が実施主体として処分実施主体として事業に携わってきました。
 +しかし、2016年に法改正が行われ、実施主体として連邦放射性廃棄物機関(BGE)が設置されました。
 +BGE は、2017年4月から活動を開始しています。
  
 +また、従来、処分場の設置・操業に関する許認可手続は州当局の所管でしたが、2014年に新たに、BMUB[1]の下に放射性廃棄物処分に関する規制機関として「連邦放射性廃棄物処分庁」(BfE)が設置され、今後はこの連邦官庁が、サイト選定手続きの管理からサイト決定後の設置・操業・閉鎖に至るまでの規制を一貫して担うことになります。
 +なお、BfE の組織名称は、2016 年に法改正により「連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)」に変更されています。
  
 +<WRAP clear></WRAP>
  
  
 +[48%{{ :hlw:de:waste-disposal-steps.png|ドイツにおける処分事業の流れ|
 +<fc #080>ドイツにおける処分事業の流れ</fc>\\
 +(2013 年サイト選定法以降の計画)
 +}}]
 +
 +2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選定法)では、はじめに「高レベル放射性廃棄物処分委員会」を設置して、処分概念やサイト選定に関する基準や選定手続きのありかたを検討することが求められています。
 +この委員会は2014年5月に正式に発足し、2016年6月末に検討結果をまとめた報告書を連邦議会・政府に提出しました。
 +高レベル放射性廃棄物処分委員会が勧告したサイト選定基準等は2017年3月にサイト選定法が改正され、連邦法として確定されました。
 +サイト選定法では2031年末までに処分場サイトを連邦法を制定し確定することが目標として示されています。
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
 \\ \\
 +
 {{anchor:a2}} {{anchor:a2}}
 ====== 2.2 研究開発・技術開発 ====== ====== 2.2 研究開発・技術開発 ======
  
-<WRAP tip round box> +<WRAP round box> 
-  * 地層処分事業の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)及び契約により実質的な作業をしているドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が、放射性廃棄物の最終処分のための研究開発をうこととされ。 +{{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} 
-  * また地層処分の研究は、地質関係の研究所である連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)のほか、国立の3研究所、施設・原子炉安全協会(GRS)等の機関によっても進められています。+  * 放射性廃棄物の最終処分のための研究開発は、地層処分事業の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)及び契約により実質的な作業をしているドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が行した。 
 +  * 地層処分の研究は、地質関係の研究所である連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)のほか、国立の3研究所、施設・原子炉安全協会(GRS)等の機関によっても進められています。
 </WRAP> </WRAP>
  
行 187: 行 208:
 ===== 研究機関 ===== ===== 研究機関 =====
  
-地層処分に関する研究開発は、サイト候補地として地下探査も行われてきたゴアレーベンを中心とする調査と、より一般的な調査・研究とに分けられます。ゴアレーベンに関わる調査・研究は、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)及び同庁との契約により実質的な実施主体としての作業を担当しているドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が行ってます。+地層処分に関する研究開発は、サイト候補地として地下探査も行われてきたゴアレーベンを中心とする調査と、より一般的な調査・研究とに分けられます。ゴアレーベンに関わる調査・研究は、実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)及び同庁との契約により実質的な実施主体としての作業を担当しているドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)が行ってきました。 
 +ゴアレーベンの岩塩ドームにおける地下探査坑道は、実質的に地下研究所としての機能を果たしてきたと言えます。
  
 一方、一般的な調査・研究は各種機関がそれぞれの専門領域の研究活動を行っています。中心的な機関としては、地質関係の研究所である連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)、その他ユーリッヒ、カールスルーエ、ロッセンドルフの各国立研究所(FZJ、FZK、FZR)、施設・原子炉安全協会(GRS)、大学研究室等が挙げられます。 一方、一般的な調査・研究は各種機関がそれぞれの専門領域の研究活動を行っています。中心的な機関としては、地質関係の研究所である連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)、その他ユーリッヒ、カールスルーエ、ロッセンドルフの各国立研究所(FZJ、FZK、FZR)、施設・原子炉安全協会(GRS)、大学研究室等が挙げられます。
行 194: 行 216:
 ===== 研究計画 ===== ===== 研究計画 =====
  
-ゴアレーベン・プロジェクトについては、1977年7月当時実施主体であった連邦物理・技術研究所(PTB)より、ゴアレーベン最終処分場開発・調査計画が開始されましたが、概要は、PTBとの契約により作業を行っていツ核燃料再処理会社(DWK)の報告書にまとめられています。 +ドイツにおける地層処分に関する研究開発については、サイト固有のものとサイト依存しない基礎研究とが存在しています。サイトに固有の研究開発ついては、ゴアレーベンにおいて行わてきましたが、2013年7月サイト選定によりにサト選定が行われることなった現在は行われていません
- +
-また、基礎研究は連邦経済・技術省(BMWi)、連邦教育・研究省(BMBF)を中心として行われています。高レベル放射性廃棄物の処分関しては、処分対象として考えられてい岩塩の他に結晶質岩及び堆積岩そして岩種に依存しない研究も行われていま+
  
 +また、サイトに依存しない基礎研究は、連邦経済・エネルギー省(BMWi)、連邦教育・研究省(BMBF)を中心として行われています。高レベル放射性廃棄物の処分に関しては、処分対象として考えられていた岩塩の他に結晶質岩及び堆積岩、そして岩種に依存しない研究も行われています。
  
 ===== 地下研究所 ===== ===== 地下研究所 =====
  
-<WRAP rss right 350px> +1965年に、放射性廃棄物の最終処分に関する調査・研究を実施するために、かつては岩塩鉱山であったアッセⅡ研究鉱山を当時の放射線・環境協会(GSF)(現在のミュンヘン・ヘルムホルツセンター)が取得しまし。ここで1967年から77年まで中低レベル放射性廃棄物の試的な処分が行われましたが、そ後は高レベル放射性廃棄物の岩塩層への処分等に関する地下研究所となりました。
-{{:hlw:de:asse-experiment.png?340&nolink|}}\\ +
-アッセⅡ研究鉱山での実規模キャスク用い験の模様\\ +
-<fs 70%>source: DBE</fs>+
  
-\\ +[48%{{ :hlw:de:asse-experiment.png|アッセⅡ研究鉱山での実規模キャスクを用いた実験の模様| 
- +<fc #080>ッセⅡ研究鉱山での実規模キャスクを用いた実験模様</fc>\\
-{{:hlw:de:gorleben-exploratory-mine.png?340&nolink|}} +
-レーベン施設全景\\+
 <fs 70%>source: DBE</fs> <fs 70%>source: DBE</fs>
-</WRAP>+}}]
  
-1965年に、放射性廃棄物最終処分関する調査・研究を実施するたに、かつては岩塩鉱山であったアッセⅡ研究鉱山を当時放射線・環境協会(GSF)(現在のミュンヘン・ヘルムホルツセンター)が取得した。ここで1967年から77年まで中低レベル放射性廃棄物の試験的な処分行われましたその後高レベル放射性廃棄物の岩塩層へ処分等に関する地下研究所なりました。+現在はアッセⅡ研究鉱山の研究所としての機能は実質的終了しています。2009年1月からは連邦放射線防護庁(BfS)が同鉱山閉鎖向けた手続きを実施主体として進めています。 
 +2010年1月、BfSはアッセⅡ研究鉱山の閉鎖に関て、試験的に処分した低レベル放射性廃棄物の回収最良であるとする評価結果を公表しました。また2013年には廃棄物の回収を優先オプションとしたうえで閉鎖促進を目的して原子力法が改正されました。
  
-現在はアッセⅡ研究鉱山の研究所としての機能は実質的に終了しています。2009年1月からは、連邦放射線防護庁(BfS)が同鉱山の閉鎖に向けた手続きを実施主体として進めています。2010年1月、BfSはアッセⅡ研究鉱山の閉鎖に関して、試験的に処分した低中レベル放射性廃棄物の回収が最良であるとする評価結果を公表しました。BfSは、現在廃棄物の回収措置の計画の策定に向けた準備作業(廃棄物を定置した処分室の試験的な掘削及び調査など)を行っています。+BfSは、現在廃棄物の回収措置の計画の策定に向けた準備作業(廃棄物を定置した処分室の試験的な掘削及び調査など)を行っています。
  
-また、ゴアレーベンの岩塩ドームにおける地下探査坑道も、実質的に地下研究所としての機能を果たしていると言えます。 
  
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   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>   *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</fs>
   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>   *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</fs>
-  *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</fs>+  *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</fs>
   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>   *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</fs>
-  *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</fs> +  *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</fs>
-  *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</fs>+
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hlw/de/chap2.txt · 最終更新: 2018/05/02 16:20 by sahara.satoshi