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《米国》ブルーリボン委員会がドラフト報告書を公表

米国の核燃料サイクルのバックエンド政策の包括的な評価を行う「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年7月29日に、設立趣意書において18ヶ月以内に提出が求められていたドラフト報告書を公表した。ブルーリボン委員会では、2011年5月13日の全体会合において、3つの小委員会の勧告案を公表し、その後、各小委員会のドラフト報告書をパブリックコメントに付しており、今回のドラフト報告書は、ここで得られた意見を反映するなどにより作成されたものである。

ブルーリボン委員会のドラフト報告書では、核燃料サイクルのバックエンドの管理に関して、新たに包括的な戦略が必要であり、特に放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地のための新たなアプローチが必要としている。勧告された戦略には、以下の7つの重要な要素が含まれているとしている。

  1. 適応性があり、段階的で、同意に基づき、透明性があり、基準及び科学に基づいて、放射性廃棄物管理及び処分施設を立地し、開発するためのアプローチ
  2. 米国での放射性廃棄物の輸送、貯蔵及び処分のため、集中的で、統合されたプログラムを開発し、実施するための新しい、単一目的の組織
  3. 放射性廃棄物管理プログラムによる、放射性廃棄物基金の残高と毎年の放射性廃棄物拠出金の利用の保証
  4. 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための1つまたは複数の恒久的な地層処分施設の開発のための、可能な限り迅速な取組
  5. 核燃料サイクルのバックエンドの管理のための統合された包括的な計画の一部として、1つまたは複数の集中中間貯蔵施設の開発のための、可能な限り迅速な取組
  6. 現在の利用可能な技術に比較してかなりの利点を提供し、関連した人的ニーズ及びスキル開発の可能性がある、先進的な原子炉及び核燃料サイクル技術に関する研究開発・実証のための安定した長期的なサポート
  7. 地球規模の核不拡散に対応し、全世界の原子力施設及び核物質の安全性及びセキュリティを向上させるための国際的なリーダーシップ

また、ブルーリボン委員会の報告書では、これらの勧告の実現のため、1982年放射性廃棄物政策法及び他の関連法令の改正などの立法措置が必要であるとしている。

  • 新たな処分施設のサイト選定プロセスを確立する
  • 複数の集中中間貯蔵施設のサイト選定、許認可及び建設を認める
  • 新たな廃棄物管理組織を設立する
  • 専用の資金の利用を可能とする
  • 安全な放射性廃棄物管理をサポートするための国際的な取組の推進

一方、放射性廃棄物管理プログラムを再び軌道に乗せるため、放射性廃棄物管理施設のサイト選定に関して、以下に示す事項については、立法措置を待たずに迅速な行動が可能であるとしている。

  • 基本的な初期サイト選定基準を開発すること
  • サイト選定の初期において、一般的な基準を開発し、規制要件のサポートとすること
  • 潜在的な適性を有するサイトを持つような様々な地域からの関心表明を奨励すること
  • サイト選定プログラムの初期のマイルストーンを設定すること

なお、ブルーリボン委員会は、以下の点については検討対象でなかったため、取り扱わなかったとしている。

  • ユッカマウンテンサイトの適性、またはユッカマウンテン処分場の許認可申請の取り下げ申請に対する意見
  • 放射性廃棄物管理システムの構成施設のための特定サイトの提案
  • 米国の将来のエネルギーミックスにおける原子力発電の適切な役割についての判断

ブルーリボン委員会は、今回公表したドラフト報告書に対する意見募集を2011年10月31日まで行うこととしている。なお、ブルーリボン委員会は、設置から24ヶ月以内(2012年1月29日まで)に最終報告書を作成することとされている

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )