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§ 2016年3月22日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

米国で連邦議会下院がエネルギー省(DOE)にユッカマウンテン再開計画について質す書簡を送付

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米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会の委員長などは、2016年3月17日に、エネルギー長官に対して、エネルギー省(DOE)の放射性廃棄物管理政策に関する情報を求める書簡を送付した。同委員長らは、2016年2月29日に、DOEがユッカマウンテン許認可申請を完了するための必要事項の検証を米国説明責任院(GAO)に依頼しており、本書簡はそれに続くものとなる。本書簡では、DOEのユッカマウンテン支援活動や放射性廃棄物政策法遵守の状況など8つの項目についての合計14の質問事項が示されており、2016年4月14日までの回答を求めている。

本書簡では、DOEが2013年1月公表の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という)を実施に移すための活動を開始していることに対し、連邦政府は法律上の義務を可及的速やかに果たす必要があり、ユッカマウンテンの許認可申請に係る作業を迅速に再開することが求められているとしている。その上で、包括的な法的枠組みを構築するプロセスの一環として、DOE戦略の実施のために必要な法的権限についてのヒアリングを行う予定としている。

本書簡では、包括的な放射性廃棄物管理政策を検証するための情報として、以下のような質問が行われている。

ユッカマウンテン支援活動

  1. 有効な契約リストの最新状況を報告すること。
  2. DOEは、連邦議会が1982年放射性廃棄物政策法を修正する、またはDOEが放射性廃棄物処分勘定の予算をすべて費消するまで、有効な契約を維持するのか。
  3. DOEは、2013年8月30日付けのDOE次官から下院エネルギー・商務委員会環境・経済小委員会の委員長へ宛てた書簡において、命じられれば、予算がある限り許認可手続が再開できるよう手配していると伝えているが、ユッカマウンテン処分場プログラムの再開に必要な専門能力、インフラ、及び支援文書を維持しているのか。

1982年放射性廃棄物政策法の遵守

  1. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、ユッカマウンテン以外のサイト特定の活動をすべて終了したが、DOEは、テキサス州における中間貯蔵施設建設の提案のレビューや、中間貯蔵施設についての民間会社役員と既に面会していることをエネルギー長官は述べている。
    1. DOEは、どのような法的権限に基づいてサイト特定の議論を行っているのか。
    2. DOEが連邦以外のステークホルダーと中間貯蔵施設の立地について議論した会合について、日付と参加者を含めたリストを提出すること。
  2. 1982年放射性廃棄物政策法では、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設認可を発給するまでは監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設1 (集中中間貯蔵施設)の建設を禁じており、DOE戦略でも、中間貯蔵施設が事実上の処分場となることを避けるため、中間貯蔵施設の操業開始と処分場開発の間にはリンクが必要としている。
    1. 中間貯蔵施設が事実上の処分場とならないために、DOEはどのようなリンク設定を提案するのか。
    2. DOEは、立法措置の可能性を想定して、リンク設定に関する計画を既に準備しているのか。

集中中間貯蔵施設

  1. DOEは、1998会計年度2 に、集中中間貯蔵施設への使用済燃料等の輸送が法律で指示されると想定して、集中中間貯蔵施設の設計と安全解析を完了しているほか、2008年に提出されたユッカマウンテン許認可申請書には集中中間貯蔵施設の構成要素となる諸施設が含まれていたが、DOEは2016年3月4日にパイロット中間貯蔵施設の一般設計に関する公募を行っている。
    1. DOEは、公募に際し、1998年の集中中間貯蔵施設のトピカル安全解析報告書の要素を考慮したか。
    2. DOEは、公募に先立って、ユッカマウンテン許認可申請書の主要な設計要素を考慮したか。
    3. 今回の公募は、1998年のトピカル安全解析書やユッカマウンテン許認可申請書に含まれる諸施設とどのような点が異なるのか。
    4. 中間貯蔵施設に係る以前の研究成果のどのような点が今回の新たな公募に繋がったのか。
  2. DOEは、2008年に、連邦議会の指示により、廃止措置済みの原子力発電所の使用済燃料を既存のDOEサイトや運転中の原子力発電所、または競争プロセスで選定した中間貯蔵サイトに集中させることを検討した
    1. 2008年報告書では、廃止措置済み原子力発電所では既にサイト内貯蔵施設の費用が発生済みであり、限定的な使用済燃料引取り実証プログラムでは連邦政府債務3 は大きく変化せず、廃止措置済み原子力発電所を優先することで他事業者から訴訟の提起や引取り要求が行われる可能性もあると報告されていた。
      DOE戦略の開発の中で、DOEはパイロット中間貯蔵施設の開発コストと債務減少額を再評価したか。もし再評価したのであれば、評価結果を提出すること。
    2. 2008年報告書では、集中中間貯蔵施設の総コストは7億4,300万ドル(1ドル=120円として約892億円)と見積っていたが、DOE戦略の中でその費用見積りの再評価をしたか。もし再評価したのであれば、評価結果を提出すること。

原子力発電所向けの「標準契約」

  1. 1982年放射性廃棄物政策法は、発電用原子炉の許認可の新規発給・更新に際しては、事業者がDOEと使用済燃料処分のためのいわゆる「標準契約」を締結することが必要としている。
    1. 標準契約では、ユッカマウンテン処分場開発・操業のための放射性廃棄物基金への拠出金支払いについて定めているが、2013年の連邦控訴裁判所の判決により、有効な処分場プログラムが無いとして拠出金の徴収が差止められている。DOEは、この判決を踏まえても新たな標準契約を締結する権限があると評価したのか。
    2. 2013年の判決が出てから、DOEは、NRCは原子力法に基づく権限により原子炉の許認可を発給・更新できるか否か、NRCと協議したか。協議した場合は、関連文書を提出すること。
    3. DOEは、事業者と標準契約を締結する権限を有しているか司法省と協議したか。協議した場合は、司法省の法的判断を提出すること。

DOE戦略

  1. DOE戦略では、2021年までにパイロット規模の中間貯蔵施設の操業を開始し、廃止措置済み原子力発電所から使用済燃料を引き取ることが必要としているが、2015年8月の使用済燃料輸送の鉄道車両調達に関するDOEの公募では、鉄道車両の利用可能時期が7~9年後とされている。
    1. DOEは、鉄道車両の調達とパイロット規模の中間貯蔵施設操業開始に係る矛盾したスケジュールをどのように調和させるのか。
    2. DOEの監察官(IG)による使用済燃料関連の債務の監査は、DOE戦略の実施を前提としているが、直近の監査において、DOEはIGに調達の時間軸の情報を提供したのか。

放射性廃棄物基金及び予算要件

  1. 2016年2月12日に、全米公益事業規制委員協会(NARUC)らは、放射性廃棄物基金の正確で明確な年次報告書を全米の電力消費者と納税者に示すよう要求したが、年末前にこの財務報告書を発行することを確約するか。
  2. 今後10年間のDOE戦略の実施のための費用は45億ドル(5,400億円)と伝えられているが、処分場建設のための放射性廃棄物基金の妥当性に与える影響を評価したか。

軍事起源の高レベル放射性廃棄物の処分

  1. 下院エネルギー・商務委員会は、2015年4月に、軍事起源の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分を切り離す決定について追加情報を求めたが、その後、軍事起源の高レベル放射性廃棄物のみを処分する処分場の費用見積りや分析は行ったか。
  2. 最近、ノースダコタ州ピアス郡の郡政委員会が高レベル放射性廃棄物処分のための大深度ボーリング孔のフィールド試験プロジェクトに反対することを満場一致で議決した。エネルギー長官は、2016年3月2日の下院エネルギー・商務委員会のヒアリングで、フィールド試験は科学的実験を行うためのものであり、同意に基づくサイト選定の施設ではないと発言したが、ピアス郡で示されたように科学的実験でも地元ステークホルダーの同意が必要である。
    1. 大深度ボーリング孔掘削に対するピアス郡の決定は、DOEの軍事起源の高レベル放射性廃棄物処分プログラムにどのような影響を与えるか。
    2. DOEは、フィールド試験の公募結果の発表前に、ノースダコタ州やピアス郡の州及び地域のステークホルダーとコミュニケーションを取ったか。
    3. 超深孔処分のフィールド試験の公募への申請に添付された州・地域・先住民族のステークホルダーからの支持の書簡をすべて提出すること。

使用済燃料の輸送

  1. 下院エネルギー・商務委員会のエネルギー・環境小委員会では、DOEが州に対して、1982年放射性廃棄物政策法に基づく緊急時対応訓練のための技術支援と資金提供すべきとの証言を得ているが、DOEは、使用済燃料輸送に対する緊急時対応者の準備が最も早く整うように、州の組織とどのように関わっているか。過去3年間における放射性廃棄物政策法第180条(c)に基づく資金の分配先リストを提出すること。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background []
  2. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、1998会計年度は1997年10月1日からの1年間となる。 []
  3. 米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料引取りを開始することが定められおり、原子力発電事業者との間で処分実施のための契約が締結されている。ユッカマウンテン計画の遅れから、DOEは使用済燃料の引取りを行えないため債務不履行状態にあり、事業者からの訴訟により連邦政府の損害賠償義務が確定している。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2016-03-22 )