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以前のリビジョンの文書です
カナダにおける高レベル放射性廃棄物処分
2002年の核燃料廃棄物法において、核燃料廃棄物の長期管理に必要な資金を確保する仕組みが導入されました。使用済燃料の発生者である原子力発電事業者3社(オンタリオ・パワージェネレーション社、ニューブランズウィック・パワー社、ハイドロ=ケベック社)とカナダ原子力公社(AECL)は、それぞれ独自に信託基金を設立し、この基金に毎年預け入れることになっています。これらの信託基金からの引き出しは、処分実施主体であるカナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)だけができると定められています。
2011年12年末時点で、4社の信託基金の残高合計は約25億カナダドル(約2,000億円)となっています。
使用済燃料の長期管理アプローチの選択肢別コスト比較
(出典:NWMO『進むべき道の選択』2005年11月)
NWMO が使用済燃料の長期管理アプローチを研究した際(2002~2005年)には、4つの選択肢について実施開始から1,000年間を対象とした費用比較をおこなっています。4つの選択肢は次のものです。
①地層処分
②原子力発電所のサイト内貯蔵の継続
③集中貯蔵の継続
④適応性のある段階的管理(APM)…集中中間貯蔵を折込みつつ、最終的に地層処分
選択肢の②と③では、貯蔵施設は300 年ごとに建て替えると仮定しています。選択肢①では、30年後から地層処分を開始し、100年後から処分場を閉鎖するスケジュールを仮定したものです。
選択肢④はカナダの長期管理アプローチとして決定したものであり、30年後から30年間の集中中間貯蔵を組み込み、60年後から地層処分を開始、最大300年後まで処分場の閉鎖を延期するスケジュールを仮定しています。その後、処分場の閉鎖には25年を要するとしています。
「適応性のある段階的管理」(APM、選択肢④)の実施において必要となる費用は、処分の前段階である地下浅部での集中中間貯蔵施設を建設する場合には244億カナダドル(1兆9,500億円)、建設しない場合には226億カナダドル(1兆8,100億円)と推定されています。
備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート(平成24年12月中において適用)を使用しています。