諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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sa:sr-can:methodology

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sa:sr-can:methodology [2011/02/19 01:14] – [サイト記述モデル(SDM):サイト条件(岩盤条件・地圏)のモデル化] sahara.satoshisa:sr-can:methodology [2012/03/07 16:14] (現在) – Approved sahara.satoshi
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-[size=160%]**SR-Can (スウェーデン)**[/size]+<fs 160%>**SR-Can (スウェーデン)**</fs>
  
 ====== 安全評価の方法論について ====== ====== 安全評価の方法論について ======
 (SR-Canプロジェクト:2006年) (SR-Canプロジェクト:2006年)
  
----- +/* ---- */ 
-[[start|SR-Can]] | [[sysdesc]] | [[methodology]] | [[showcase]] | [[gallery|gallery]] +  * 1. [[start|安全評価書の位置付けとレビュー]] 
- +  * 2. [[sysdesc|処分システムと安全要件]]  | <wrap smaller>対象廃棄物 / 想定処分地 / 処分概念 / 放射線防護基準 </wrap> 
-  * 1. 安全評価書の位置付け +  * 3[[methodology|安全評価の進め方]] | <wrap smaller>FEP シナリオ / モデル 不確実性の取り扱い</wrap<- :!: NOW You are Here! 
-  * 2. 対象廃棄物 +  * 4[[showcase|評価結果]]
-  * 3. 放射線防護基準 +
-  * 4処分概念 +
-  * 4a. <span fgred>安全評価の進め方  <- シナリオから分離する?(セーフティケースの国は特に…)</span> +
-  * 4b. <span fgred>FEP <- シナリオから分離する?</span> +
-  * 5. シナリオ +
-  * 6. モデル +
-  * 7. <span fgred>不確実性の取り扱い <- 入れどころに難。</span+
-  * 8. 評価結果 +
-  * 9. 規制機関によるレビュー+
  
 ---- ----
 +{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif?nolink}}安全評価はどのように行っているのですか...
 \\ \\
 ===== SR-Can安全評価の進め方 ===== ===== SR-Can安全評価の進め方 =====
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 ===== FEPの取り扱い ===== ===== FEPの取り扱い =====
-<WRAP right 150px box> +<WRAP right 300px box> 
-{{popup>skb-tr-06-09-fig3-2ja.png|{{ skb-tr-06-09-fig3-2ja.png?150 }}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-fig3-2ja.png|{{ skb-tr-06-09-fig3-2ja.png?300 }}}}\\
 //Figure 3-2// FEPの取り扱い //Figure 3-2// FEPの取り扱い
 </WRAP> </WRAP>
行 61: 行 52:
 ==== ==== ==== ====
  
-<WRAP right 150px box>+<WRAP right box 300px>
 表1 シナリオ選定の結果 表1 シナリオ選定の結果
 /* /*
行 67: 行 58:
 {{popup>:sa:srcan_t01.jpg|{{ :sa:srcan_t01.jpg?120 }}}} {{popup>:sa:srcan_t01.jpg|{{ :sa:srcan_t01.jpg?120 }}}}
 */ */
-{{popup>skb-tr-06-09-table11-1.jpg|{{skb-tr-06-09-table11-1.jpg?120|}}}}\\ +{{popup>skb-tr-06-09-table11-1.jpg|{{skb-tr-06-09-table11-1.jpg?300|}}}}\\ 
-//Table 11-1//+//Table 11-1// シナリオ選定の結果
 </WRAP> </WRAP>
  
-SR-Can安全評価は、SKIの一般勧告に従って、「処分場の将来の変遷に影響を与える可能性がある事象及び条件に関係するシナリオを確認し、記述する」ために使用された方法についての説明を試行したものである。SR-Can安全評価において、SKB社が選定したシナリオを表1に示す。+SR-Can安全評価は、SKIの一般勧告に従って、「処分場の将来の変遷に影響を与える可能性がある事象及び条件に関係するシナリオを確認し、記述する」ために使用た方法の説明を試行したものである。SR-Can安全評価において、SKB社が選定したシナリオを表1に示す。
  
 以下では、SKB社が用いたシナリオ導出方法について、以下の2つに分けて解説する。 以下では、SKB社が用いたシナリオ導出方法について、以下の2つに分けて解説する。
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 ===**安全機能 -> 安全機能指標 -> 安全機能指標基準**=== ===**安全機能 -> 安全機能指標 -> 安全機能指標基準**===
  
-<WRAP right 150px box> +<WRAP right 300px box> 
-{{popup>skb-tr-06-09-fig7-2ja.png|{{skb-tr-06-09-fig7-2ja_150.png|}}}}\\+/*{{popup>skb-tr-06-09-fig7-2ja.png|{{skb-tr-06-09-fig7-2ja_300.png|}}}}\\*/ 
 +{{popup>safety-functions|{{skb-tr-06-09-fig7-2ja_300.png|}}}}\\
 //Figure 7-2// 安全機能 → 安全機能指標 → 安全機能指標基準 //Figure 7-2// 安全機能 → 安全機能指標 → 安全機能指標基準
 </WRAP> </WRAP>
  
-SKB社は、KBS-3処分概念の主要安全機能は放射性物質の**隔離**と**核種移行遅延**であるとし、処分場システムの各構成要素がもつ役割(安全機能)、その役割を計るための指標(安全機能指標)、その指標がクリアすべき条件(安全機能指標基準)の検討結果を示している。+SKB社は、KBS-3処分概念の主要安全機能は放射性物質の**隔離**と**移行遅延**であるとし、処分場システムの各構成要素がもつ役割(安全機能)、その役割を計るための指標(安全機能指標)、その指標がクリアすべき条件(安全機能指標基準)の検討結果を示している。
  
   * 処分システムの構成要素: キャニスタ、緩衝材、埋め戻し材(処分坑道部分)、地圏 (計4つ)   * 処分システムの構成要素: キャニスタ、緩衝材、埋め戻し材(処分坑道部分)、地圏 (計4つ)
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 ==== 核種移行解析モデルの概要 ==== ==== 核種移行解析モデルの概要 ====
  
-<WRAP box right 400+<WRAP box right 300px
-{{popup>skb-tr-06-09-fig10-12.png|{{skb-tr-06-09-fig10-12.png?350|}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-fig10-12.png|{{skb-tr-06-09-fig10-12.png?300|}}}}\\
 //Figure 10-12// //Figure 10-12//
 </WRAP> </WRAP>
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 ==== キャニスタの損傷発生のモデル ==== ==== キャニスタの損傷発生のモデル ====
  
-<WRAP box right 150+<WRAP box right 300px0
-{{popup>skb-tr-06-09-fig10-2.png|{{skb-tr-06-09-fig10-2.png?150}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-fig10-2.png|{{skb-tr-06-09-fig10-2.png?300}}}}\\
 //Figure 10-2// //Figure 10-2//
 </WRAP> </WRAP>
  
-キャニスタの損傷発生形態(モード)として、以下の4つの形式(モード)を検討している。SR-Can安全報告書では、これらの損傷モードの概要を//Figure 10-2//で説明している。(※SR-Can安全報告書ではキャニスタ損傷モードを指す特別な略号は使われていないが、このページの説明では便宜上M1~M4と表記している。) +キャニスタの損傷発生形態として、以下の4つの形式(モード)を検討している。SR-Can安全報告書では、これらの損傷モードの概要を//Figure 10-2//で説明している。(※SR-Can安全報告書ではキャニスタ損傷モードを指す特別な略号は使われていないが、このページの説明では便宜上M1~M4と表記している。) 
  
 これらの損傷モードのうち、M2とM3は、主要シナリオ及び追加シナリオで解析しているシナリオで用いられている。シナリオを設定するにあたり、キャニスタ損傷の発生数や発生時期の推定には、サイト条件のモデル化に使用しているDFNモデル手法を利用している。 これらの損傷モードのうち、M2とM3は、主要シナリオ及び追加シナリオで解析しているシナリオで用いられている。シナリオを設定するにあたり、キャニスタ損傷の発生数や発生時期の推定には、サイト条件のモデル化に使用しているDFNモデル手法を利用している。
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-<WRAP right box 150+<WRAP right box 300px
-{{popup>skb-tr-06-09-fig9-103.png|{{skb-tr-06-09-fig9-103.png?150|}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-fig9-103.png|{{skb-tr-06-09-fig9-103.png?300|}}}}\\
 //Figure 9-103// //Figure 9-103//
 </WRAP> </WRAP>
行 258: 行 250:
  
  
-<WRAP right box 150+<WRAP right box 300px
-{{popup>skb-tr-06-09-table9-19.png|{{skb-tr-06-09-table9-19.png?150|}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-table9-19.png|{{skb-tr-06-09-table9-19.png?300|}}}}\\
 //Table 9-19// //Table 9-19//
 </WRAP> </WRAP>
行 290: 行 282:
 ==== ランドスケープモデル:生物圏のモデル化と線量換算係数の導出方法 ==== ==== ランドスケープモデル:生物圏のモデル化と線量換算係数の導出方法 ====
  
-<WRAP right box 150+<WRAP right box 300px
-{{popup>skb-tr-06-09-fig10-6.png|{{skb-tr-06-09-fig10-6_150.png|}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-fig10-6.png|{{skb-tr-06-09-fig10-6.png?300|}}}}\\
 //Figure 10-6// Forsmarkの\\ //Figure 10-6// Forsmarkの\\
 ランドスケープ・モデル ランドスケープ・モデル
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 === ランドスケープモデルを用いた線量換算係数(LDF)の評価方法 === === ランドスケープモデルを用いた線量換算係数(LDF)の評価方法 ===
  
-<WRAP right box 150+<WRAP right box 300px
-{{popup>skb-tr-06-09-fig10-4.png|{{skb-tr-06-09-fig10-4.png?150|}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-09-fig10-4.png|{{skb-tr-06-09-fig10-4.png?300|}}}}\\
 //Figure 10-4// //Figure 10-4//
 </WRAP> </WRAP>
行 317: 行 309:
 ランドスケープモデルとして模擬された生物圏に、地圏から放射性核種が1Bq/yで放出されると仮定する。この生物圏において最大被ばくを受けるグループの実効線量を計算することにより、線量換算係数(単位:Sv/y per Bq/y)を評価している。  ランドスケープモデルとして模擬された生物圏に、地圏から放射性核種が1Bq/yで放出されると仮定する。この生物圏において最大被ばくを受けるグループの実効線量を計算することにより、線量換算係数(単位:Sv/y per Bq/y)を評価している。 
  
-  - 処分場候補地域(フォルスマルクとラクセマル)について、BC.8000年(紀元前)~AC.10000年(西暦)まで(約2万年間)の地表景観(ランドスケープ)の変遷を1,000年単位でシミュレーションする。\\ このシミュレーション期間は、処分場候補地が氷期に積み重なった氷床が消失した時(BC.8000)から始まり、処分場候補地域は海面下にある(水没期)。氷床荷重が解放された結果としての隆起が続くことにより、処分場候補地域が海面上に現れる沿岸期、ボスニア湾(バルト海)が消失(AC.9000頃)して淡水湖沼が残る陸地期へと変遷する。シミュレーションの終わりは、気候が寒冷化して最初の永久凍土が生じると予想される直前まで(AC.10000頃)である。+  - 処分場候補地域(フォルスマルクとラクセマル)について、BC.8000年(紀元前)~AC.10000年(西暦)まで(約2万年間)の地表景観(ランドスケープ)の変遷を1,000年単位でシミュレーションする。\\ このシミュレーション期間は、氷期に積み重なった氷床が消失した時(BC.8000)から始まり、処分場候補地域は海面下にある(水没期)。氷床荷重が解放された結果としての隆起が続くことにより、処分場候補地域が海面上に現れる沿岸期、ボスニア湾(バルト海)が消失(AC.9000頃)して淡水湖沼が残る陸地期へと変遷する。シミュレーションの終わりは、気候が寒冷化して最初の永久凍土が生じると予想される直前まで(AC.10000頃)である。
   - 各コンパートメントに、生物圏オブジェクト(biosphere object)を割り当てる際には、すべての資源をそのコンパートメントから得ることができる人口グループの数も設定する(例えば、海の場合には1000人規模であり、陸地では1名未満のこともある)。   - 各コンパートメントに、生物圏オブジェクト(biosphere object)を割り当てる際には、すべての資源をそのコンパートメントから得ることができる人口グループの数も設定する(例えば、海の場合には1000人規模であり、陸地では1名未満のこともある)。
   - BC.8000年からAC.10000年まで、ランドスケープモデル内に1Bq/yでの核種放出が継続するとして計算する。地圏から生物圏への放出は、地表の水理地質モデルに基づく予想放出点をもとに、複数のコンパートメントに配分する。1000年単位で、各コンポーネントへの割り当て作業を行いつつ、当該コンポーネントですべての資源を得る人口グループが受ける実効線量を評価する。   - BC.8000年からAC.10000年まで、ランドスケープモデル内に1Bq/yでの核種放出が継続するとして計算する。地圏から生物圏への放出は、地表の水理地質モデルに基づく予想放出点をもとに、複数のコンパートメントに配分する。1000年単位で、各コンポーネントへの割り当て作業を行いつつ、当該コンポーネントですべての資源を得る人口グループが受ける実効線量を評価する。
行 333: 行 325:
 === LDFの設定 === === LDFの設定 ===
  
-<WRAP right box 150+<WRAP right box 300px
-{{popup>skb-tr-06-15-fig5-2.png|{{skb-tr-06-15-fig5-2.png?150|}}}}\\+{{popup>skb-tr-06-15-fig5-2.png|{{skb-tr-06-15-fig5-2.png?300|}}}}\\
 //Figure 5-2 (TR-06-15)// //Figure 5-2 (TR-06-15)//
 </WRAP> </WRAP>
行 427: 行 419:
 これら2つの事項を確実にすべく成された取り組みは、安全評価での不確実性への取り組みに関する説明と重なると認識されている。SKB社は「SR-Canでの評価は包括的なものである一方、厳密な意味での完全性は決して証明し得ない」と考えており、「完全性が達成されないとして、たとえば重要な有害プロセスの特定を保証するためのあらゆる努力にもかかわらず、それが特定されないまま残るとした場合の考えうる影響を議論するのが妥当である」という考え方を述べている。SR-Can安全評価の段階では、その最も極端な例として「安全機能が早期に、かつ完全に喪失する場合の影響を議論する」という案を提示しているにとどまっている。 これら2つの事項を確実にすべく成された取り組みは、安全評価での不確実性への取り組みに関する説明と重なると認識されている。SKB社は「SR-Canでの評価は包括的なものである一方、厳密な意味での完全性は決して証明し得ない」と考えており、「完全性が達成されないとして、たとえば重要な有害プロセスの特定を保証するためのあらゆる努力にもかかわらず、それが特定されないまま残るとした場合の考えうる影響を議論するのが妥当である」という考え方を述べている。SR-Can安全評価の段階では、その最も極端な例として「安全機能が早期に、かつ完全に喪失する場合の影響を議論する」という案を提示しているにとどまっている。
  
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 +  * 1. [[start|安全評価書の位置付けとレビュー]]
 +  * 2. [[sysdesc|処分システムと安全要件]]  | <wrap smaller>対象廃棄物 / 想定処分地 / 処分概念 / 放射線防護基準 </wrap>
 +  * 3. [[methodology|安全評価の進め方]] | <wrap smaller>FEP / シナリオ / モデル / 不確実性の取り扱い</wrap> <- :!: NOW You are Here!
 +  * 4. [[showcase|評価結果]]
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sa/sr-can/methodology.1298045654.txt.gz · 最終更新: 2011/02/19 01:14 (外部編集)