諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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sa:posiva_rnt2008

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sa:posiva_rnt2008 [2011/01/07 10:28] sahara.satoshisa:posiva_rnt2008 [Unknown date] (現在) – 外部編集 (Unknown date) 127.0.0.1
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-====== フィンランド(RNT-2008)====== +====== RNT-2008 (フィンランド) ====== 
-{{:sa:posiva_2008-06.png?120 |}}+{{:sa:posiva_2008-06_150.png |}}
  
 放射性核種の放出および移行 ― RNT-2008、 Posiva report 2008-06、ポシヴァ社(2008年) 放射性核種の放出および移行 ― RNT-2008、 Posiva report 2008-06、ポシヴァ社(2008年)
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 ===== 安全評価書の位置付け ===== ===== 安全評価書の位置付け =====
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 +{{gallery>:sa:iscsr2009_f01.png}}
 +図 セーフティケース・ポートフォリオを構成する主要報告書(青色)と、技術的及び科学的な支援活動からの主な入力情報(白色)
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 TILA-99以降の安全評価研究は、2005年の初版公表後、2008年に更新されたセーフティケース計画に基づき実施されており、最終処分場の建設許可申請の準備のための研究の実施、および研究結果の文書化としてセーフティケース を構成する技術報告書が順次公開されており、最終的な生物圏評価までを含む性能評価書は2012年に公開される予定である。 TILA-99以降の安全評価研究は、2005年の初版公表後、2008年に更新されたセーフティケース計画に基づき実施されており、最終処分場の建設許可申請の準備のための研究の実施、および研究結果の文書化としてセーフティケース を構成する技術報告書が順次公開されており、最終的な生物圏評価までを含む性能評価書は2012年に公開される予定である。
 セーフティケースにおける核種移行解析の基本となる報告書「放射性核種の放出および移行 ― RNT-2008」が2008年に発表されている。同報告書では、キャニスタから核種が放出され、地圏を経て生物圏に達するまでの過程に関する評価を行っている。 セーフティケースにおける核種移行解析の基本となる報告書「放射性核種の放出および移行 ― RNT-2008」が2008年に発表されている。同報告書では、キャニスタから核種が放出され、地圏を経て生物圏に達するまでの過程に関する評価を行っている。
  
 +2012年に提出されるセーフティケースは、8つの報告書等からなるセーフティケース・ポートフォリオの構造から成っており、RNT-2008は、生物圏評価報告書2009(Posiva report 2010-03)とともに「シナリオの解析」報告書の暫定版として位置づけられている。
  
 +2010年には、ポートフォリオ報告書群の「概要」報告書の暫定版にあたる、「[[:sa:psc2009i:start|セーフティケース中間概要報告書 2009 (Posiva report 2010-02)]]」が公開されている。
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 ===== 対象廃棄物 ===== ===== 対象廃棄物 =====
 5基の発電用原子炉で使用される3種類(BWR、VVER440、EPR)の異なる型の使用済燃料の処分を対象に設定され、廃棄物の最大処分量は約6,500tUとされている。 5基の発電用原子炉で使用される3種類(BWR、VVER440、EPR)の異なる型の使用済燃料の処分を対象に設定され、廃棄物の最大処分量は約6,500tUとされている。
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 ===== 放射線防護基準 ===== ===== 放射線防護基準 =====
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 放射線・原子力安全センター(STUK)による安全指針YVL8.4は、長期にわたる放射線影響に関して以下に示される事項を規定している。 放射線・原子力安全センター(STUK)による安全指針YVL8.4は、長期にわたる放射線影響に関して以下に示される事項を規定している。
   * 適切に予測できる将来の最大被ばくを受ける公衆に対する平均年間実効線量の拘束値:10<sup>-4</sup>Sv/y   * 適切に予測できる将来の最大被ばくを受ける公衆に対する平均年間実効線量の拘束値:10<sup>-4</sup>Sv/y
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 ===== 処分概念 ===== ===== 処分概念 =====
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 <WRAP right 190px box> <WRAP right 190px box>
 {{gallery>:sa:rnt2008_f01.jpg}} {{gallery>:sa:rnt2008_f01.jpg}}
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 図2 KBS-3V処分概念の構成要素 図2 KBS-3V処分概念の構成要素
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 フィンランドでは、2000年の政府による原則決定、2001年の議会の承認により、使用済燃料の最終処分地としてユーラヨキ州のオルキルオト(図1参照)が選定された。同地の詳細な情報を得るために、2004年より地下特性調査施設(ONKALO)の建設が開始されている。 フィンランドでは、2000年の政府による原則決定、2001年の議会の承認により、使用済燃料の最終処分地としてユーラヨキ州のオルキルオト(図1参照)が選定された。同地の詳細な情報を得るために、2004年より地下特性調査施設(ONKALO)の建設が開始されている。
 最終的に処分場の一部となるとなる予定のONKALO周辺の岩盤は、強い褶曲を受けた片麻岩が主体となる結晶質岩盤である。 最終的に処分場の一部となるとなる予定のONKALO周辺の岩盤は、強い褶曲を受けた片麻岩が主体となる結晶質岩盤である。
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 ===== シナリオ ===== ===== シナリオ =====
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 表1 ポシヴァ社による評価シナリオ 表1 ポシヴァ社による評価シナリオ
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 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
  
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 ===== モデル ===== ===== モデル =====
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 「放射性核種の放出および移行」報告書では、決定論的解析により評価を実施している。 「放射性核種の放出および移行」報告書では、決定論的解析により評価を実施している。
  
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 ===== 線量結果 ===== ===== 線量結果 =====
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 線量評価結果(線量率:Sv/年)は、生物圏まで移行する核種放出率(Bq/年)に様式化された飲用水井戸シナリオ「WELL-2008」の線量換算係数(Sv/Bq)を乗じることにより計算している。 線量評価結果(線量率:Sv/年)は、生物圏まで移行する核種放出率(Bq/年)に様式化された飲用水井戸シナリオ「WELL-2008」の線量換算係数(Sv/Bq)を乗じることにより計算している。
  
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 ===== 結論 ===== ===== 結論 =====
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 様式化された飲用水井戸シナリオ「WELL-2008」の線量換算係数を使用した線量結果は、一部の完全に仮想的な想定問題におけるSr-90のピークを除けば全ての計算ケースで線量拘束値0.1mSv/yを満足している。 様式化された飲用水井戸シナリオ「WELL-2008」の線量換算係数を使用した線量結果は、一部の完全に仮想的な想定問題におけるSr-90のピークを除けば全ての計算ケースで線量拘束値0.1mSv/yを満足している。
 この様な事象は、事象の発生確率を考慮し、より正確な線量予測を行うことにより線量拘束値を満足する。 この様な事象は、事象の発生確率を考慮し、より正確な線量予測を行うことにより線量拘束値を満足する。
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 これらの核種は、比較的長い半減期で燃料からの高い放出速度を有し、バリア材に吸着しにくい特徴があるため、キャニスタおよびキャニスタ周辺の部材が重要である。 これらの核種は、比較的長い半減期で燃料からの高い放出速度を有し、バリア材に吸着しにくい特徴があるため、キャニスタおよびキャニスタ周辺の部材が重要である。
 またファーフィールドは処分場への人間の侵入を防止し、核種の移行経路の延長上にあって安定で良好な物理化学的条件を人工バリアシステムに提供する。最終的な線量の規制遵守は、以上のことを補完して、生物圏評価の報告書において報告される。 またファーフィールドは処分場への人間の侵入を防止し、核種の移行経路の延長上にあって安定で良好な物理化学的条件を人工バリアシステムに提供する。最終的な線量の規制遵守は、以上のことを補完して、生物圏評価の報告書において報告される。
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sa/posiva_rnt2008.1294363684.txt.gz · 最終更新: 2011/01/07 10:28 (外部編集)