諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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sa:dossier2005:sysdesc

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sa:dossier2005:sysdesc [2011/03/07 13:42] – [評価における処分対象廃棄物の設定(物量、インベントリ、処分パッケージ)] sahara.satoshisa:dossier2005:sysdesc [Unknown date] (現在) – 外部編集 (Unknown date) 127.0.0.1
行 1: 行 1:
-[size=160%]**Dossier 2005 Argile (フランス)**[/size]+<fs 160%>**Dossier 2005 Argile (フランス)**</fs>
  
 ====== 処分システムと安全要件 ====== ====== 処分システムと安全要件 ======
 (Dossier 2005 粘土-地層処分の安全評価: 2005年) (Dossier 2005 粘土-地層処分の安全評価: 2005年)
 +\\
 +\\
 +* 以下コンテンツにおいて、フランス語の見出しを付した図は Dossier 2005 Argile より引用。
 +
 ---- ----
   * 1. [[start|安全評価書の位置付けとレビュー]]   * 1. [[start|安全評価書の位置付けとレビュー]]
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 ====== 処分システムの概要 ====== ====== 処分システムの概要 ======
  
-{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif}}どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか...+{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif?nolink}}どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか...
  
 ===== 対象廃棄物 ===== ===== 対象廃棄物 =====
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 <WRAP right box 300px> <WRAP right box 300px>
 {{popup>dossier2005-wasteclassfication_800.png|{{dossier2005-wasteclassfication_800.png?300|}}}}\\ {{popup>dossier2005-wasteclassfication_800.png|{{dossier2005-wasteclassfication_800.png?300|}}}}\\
-2-1 //Waste Classification in Dossier 2005//+図1 //Waste Classification in Dossier 2005//
 </WRAP> </WRAP>
  
-地層処分の対象廃棄物は、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物であり、それらの一般的特性はDossier2005での表現(名称)と併せて次のとおりである(図2-1に廃棄体パッケージの区分を示す)。+地層処分の対象廃棄物は、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物であり、それらの一般的特性はDossier2005での表現(名称)と併せて次のとおりである(図 1に廃棄体パッケージの区分を示す)。
  
 === B廃棄物:長寿命中レベル放射性廃棄物 === === B廃棄物:長寿命中レベル放射性廃棄物 ===
  
-  * 主として使用済燃料の再処理に由来し、燃料構造物の残滓(当初のセメント固化廃棄物と、ステンレス鋼製容器に収用されたハルとエンドピース等の圧縮固化廃棄物)から成る。これには雑固体廃棄物とビチューメン固化スラッジなどの流出物の処理で発生する残滓も含まれそれらの残滓の放射能レベルは1g当たり100万Bqから10億Bqまでの幅がある。発熱は全く無いか無視できる。+  * 主として使用済燃料の再処理に由来し、燃料構造物の残滓(当初のセメント固化廃棄物と、ステンレス鋼製容器に収用されたハルとエンドピース等の圧縮固化廃棄物)から成る。これには雑固体廃棄物とビチューメン固化スラッジなどの流出物の処理で発生する残滓も含まれる。それらの残滓の放射能レベルは1g当たり100万Bqから10億Bqまでの幅がある。発熱は全く無いか無視できる。 
 + 
 +/*
   * 図2-2にB廃棄物の1次パッケージの概要を示す。廃棄体1次パッケージはそのままでは処分されない。1次パッケージは、貯蔵・処分場所の集約性、管理のし易さ、更に可逆性のある管理等のため、処分用パッケージに封入して処分されることとなる(図2-3参照)。   * 図2-2にB廃棄物の1次パッケージの概要を示す。廃棄体1次パッケージはそのままでは処分されない。1次パッケージは、貯蔵・処分場所の集約性、管理のし易さ、更に可逆性のある管理等のため、処分用パッケージに封入して処分されることとなる(図2-3参照)。
 +*/
  
 === C廃棄物:高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)=== === C廃棄物:高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)===
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 === CU廃棄物: 使用済燃料 === === CU廃棄物: 使用済燃料 ===
  
-  * 現在フランスでは“使用済燃料”は廃棄物と見なされていない。ただし、安全評価において、将来における核燃料サイクル政策の取り得る幅を考慮することを目的として、「使用済燃料の一部を再処理せずに直接処分する政策オプション時に処分が必要となる使用済燃料を「CU廃棄物」と呼んでいる。+  * 現在フランスでは“使用済燃料”は廃棄物と見なされていない。ただし、Dossier2005の研究の枠内において、将来における核燃料サイクル政策の取り得る幅を考慮することを目的として、「使用済燃料の一部を再処理せずに直接処分する政策オプション」の選択時に処分が必要となる使用済燃料の直接処分扱っている。
  
  
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 Dossier2005における性能評価の入力データとなる、処分対象廃棄物量とインベントリは、2003年の処分費用評価で見積もられた想定処分廃棄物量及びインベントリの情報がインプットとなっている。処分費用評価では、将来の核燃料サイクル政策の4つのオプションを想定している。 Dossier2005における性能評価の入力データとなる、処分対象廃棄物量とインベントリは、2003年の処分費用評価で見積もられた想定処分廃棄物量及びインベントリの情報がインプットとなっている。処分費用評価では、将来の核燃料サイクル政策の4つのオプションを想定している。
  
-  * S1aシナリオ: +  * **S1aシナリオ**: ウラン燃料とMOX燃料を全量再処理(初期の発熱量ガラス固化体の製造計画織り込む 
-    UOX/URE燃料 -> 全量再処理(初期の発熱量くしたガラス固化体の製造を考慮)(C1廃棄物とC2廃棄物が発生) +    * UOX/URE燃料(42,300tHM) -> 再処理 ->(C1廃棄物とC2廃棄物が発生) 
-    * MOX燃料 -> 全量再処理 (C3廃棄物, C4廃棄物が発生) +    * MOX燃料(2,700tHM) -> 再処理 ->(C3廃棄物, C4廃棄物が発生) 
- +\\ 
-  * S1bシナリオ: +  * **S1bシナリオ**: ウラン燃料全量再処理(初期の発熱量いガラス固化体の製造計画織り込む、MOX燃料は直接処分 
-    * UOX/URE燃料 -> 全量再処理(初期の発熱量くしたC2廃棄物の製造を考慮)(C1廃棄物とC2廃棄物が発生) +    * UOX/URE燃料(42,300tHM) -> 再処理 ->(C1廃棄物とC2廃棄物が発生) 
-    * MOX燃料 -> 直接処分 +    * MOX燃料(2,700tHM) -> 直接処分(CU2廃棄物が発生) 
- +\\ 
-  * S1cシナリオ: +  * **S1cシナリオ**: ウラン燃料は全量再処理(現行条件でガラス固化体を製造)、MOX燃料は直接処分 
-    * UOX/URE燃料 -> 全量再処理(C2廃棄物を製造しないオプション)(C1廃棄物のみ発生) +    * UOX/URE燃料(42,300tHM) -> 再処理 ->(C1廃棄物のみ発生) 
-    * MOX燃料 -> 直接処分 +    * MOX燃料(2,700tHM) -> 直接処分(CU2廃棄物が発生) 
- +\\ 
-  * S2 シナリオ: +  * **S2 シナリオ**:2010年まで再処理を実施、以降は中止(初期の発熱量いガラス固化体の製造計画織り込む 
-    * UOX/URE燃料 -> 2010年以降は再処理中止(初期の発熱量くしたC2廃棄物の製造を考慮)(C1廃棄物とC2廃棄物が発生) +    * UOX/URE燃料(1,600tHM) -> 再処理 ->(C1廃棄物とC2廃棄物が発生) 
-    * MOX燃料 -> 直接処分+    * UOX/URE燃料(27,000tHM) -> 直接処分(CU1廃棄物が発生) 
 +    * MOX燃料(2,000tHM) -> 直接処分(CU2廃棄物が発生)
  
  
行 83: 行 91:
  
 <WRAP right box 300px> <WRAP right box 300px>
-2-1 \\+表1 \\
 {{popup>dossier2005a-va-p48.png|{{dossier2005a-va-p48.png?300|}}}}\\ {{popup>dossier2005a-va-p48.png|{{dossier2005a-va-p48.png?300|}}}}\\
 </WRAP> </WRAP>
行 89: 行 97:
  
  
-S1a~S2の政策オプションに対応した想定廃棄物発生量を表2-1に示す。B、C、CU廃棄物量の将来発生予測は本来1つの政策オプションによって導き出されるが、Dossier2005では安全側の評価(厳しい結果となる評価)を行うことを目的として、B、C、CU廃棄物量及びインベントリ設定において、個々に異なる政策オプション(S1a~S2)で得られた結果をインプットとしている。+S1a~S2の政策オプションに対応した想定廃棄物発生量を表1に示す。B、C、CU廃棄物量の将来発生予測は本来1つの政策オプションによって導き出されるが、Dossier2005では安全側の評価(厳しい結果となる評価)を行うことを目的として、B、C、CU廃棄物量及びインベントリ設定において、個々に異なる政策オプション(S1a~S2)で得られた結果をインプットとしている。
  
   * B廃棄物 :政策オプションS1bを採用   * B廃棄物 :政策オプションS1bを採用
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 \\ \\
-また、Dossier2005が評価対象としている核種は16核種である(半減期が1,000年を超える15の核種とNb-93m(Zr-93の孫核種))。これは計算量の合理化等を目的としたもので、当初検討された144核種から、粘土層の特性等や最終的な線量評価での重要度等から事前評価と絞り込みが行われた結果である。性能評価における最終的な入力となった核種インベントリは表2-4のとおりである。 +また、Dossier2005が評価対象としている核種は16核種である(半減期が1,000年を超える15の核種とNb-93m(Zr-93の孫核種))。これは計算量の合理化等を目的としたもので、当初検討された144核種から、粘土層の特性等や最終的な線量評価での重要度等から事前評価と絞り込みが行われた結果である。
  
  
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 <WRAP right box 300px> <WRAP right box 300px>
-{{popup>dossier2005a-figure2.2-1.png|{{dossier2005a-figure2.2-1.png?300|}}}}\\ +{{popup>dossier2005a-tes-figure2.2-1ja.png|{{dossier2005a-tes-figure2.2-1ja.png?300|}}}}\\ 
-4-1 //Figure 2.2-1//+//Figure 2.2-1//
 </WRAP> </WRAP>
  
-パリ盆地の東端に位置するビュール地下研究所所在地をレファレンスサイトとしている。深度約500mに位置する母岩となるカロボ・オックスフォーディアン粘土層は、その上下を石灰岩層に挟まれた一つの均質な地層(層厚:130~160m)を構成している。粘土層の透水性は非常に低く、また当該地層の間隙水のpHは、ほぼ中性(7程度)~還元性で天水起源のものである(図4-1参照)。+パリ盆地の東端に位置するビュール地下研究所所在地をレファレンスサイトとしている。深度約500mに位置する母岩となるカロボ・オックスフォーディアン粘土層は、その上下を石灰岩層に挟まれた一つの均質な地層(層厚:130~160m)を構成している。粘土層の透水性は非常に低く、また当該地層の間隙水のpHは、ほぼ中性(7程度)~還元性で天水起源のものである(図2参照)。
  
  
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 <WRAP right box 300px> <WRAP right box 300px>
-{{popup>dossier2005a-figure2.3-1.png|{{dossier2005a-figure2.3-1.png?300|}}}}\\ +{{popup>dossier2005a-tes-figure2.3-1ja.png|{{dossier2005a-tes-figure2.3-1ja.png?300|}}}}\\ 
-4-2 //Figure 2.3-1//+//Figure 2.3-1//
 </WRAP> </WRAP>
  
-Dossier2005で検討された処分場概念は、処分坑道の建設、廃棄体の定置、施設の管理に必要なアクセス及び換気に必要な4本の立坑、処分区域と立坑を繋ぐ連絡坑道、処分坑道と連絡坑道をつなぐアクセス坑道、および処分坑道により構成される。処分坑道は定置する廃棄物の種類に応じて、定置されるゾーンが区別されており、B廃棄物はゾーンB、C廃棄物(ガラス固化体)及びCU廃棄物(使用済燃料)はゾーンC、過去に作成された特性の異なるガラス固化体はゾーンC0に定置される(図4-2参照)。なお、Dossier2005では熱的影響の観点から、B廃棄物及びC廃棄物の両処分ゾーンの離間距離を250mとしている。+Dossier2005で検討された処分場概念は、処分坑道の建設、廃棄体の定置、施設の管理に必要なアクセス及び換気に必要な4本の立坑、処分区域と立坑を繋ぐ連絡坑道、処分坑道と連絡坑道をつなぐアクセス坑道、および処分坑道により構成される。処分坑道は定置する廃棄物の種類に応じて、定置されるゾーンが区別されており、B廃棄物はゾーンB、C廃棄物(ガラス固化体)及びCU廃棄物(使用済燃料)はゾーンC、過去に作成された特性の異なるガラス固化体はゾーンC0に定置される(図3参照)。なお、Dossier2005では熱的影響の観点から、B廃棄物及びC廃棄物の両処分ゾーンの離間距離を250mとしている。
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
行 131: 行 138:
  
 <WRAP right box 300px> <WRAP right box 300px>
-{{popup>repository-design|クリックして参照}}\\ +{{popup>repository-design|{{dossier2005a-tag-2.4-repository-design.png}}}}\\ 
-図4-3 +図4 
 </WRAP> </WRAP>
  
  
-廃棄物(処分パッケージ)は、以下のように定置する。(図4-3参照)+廃棄物(処分パッケージ)は、以下のように定置する。(図4参照)
  
   * ガラス固化体は処分坑道に横置きで定置する。   * ガラス固化体は処分坑道に横置きで定置する。
sa/dossier2005/sysdesc.1299472952.txt.gz · 最終更新: 2011/03/07 13:42 (外部編集)