諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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sa:dossier2005:methodology

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sa:dossier2005:methodology [2011/03/08 21:12] – [安全評価の進め方] sahara.satoshisa:dossier2005:methodology [Unknown date] (現在) – 外部編集 (Unknown date) 127.0.0.1
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-[size=160%]**Dossier 2005 Argile (フランス)**[/size]+<fs 160%>**Dossier 2005 Argile (フランス)**</fs>
  
-====== 安全評価の方法論について ======+====== 安全評価の進め方 ======
 (Dossier 2005 粘土-地層処分の安全評価: 2005年) (Dossier 2005 粘土-地層処分の安全評価: 2005年)
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 +* 以下コンテンツにおいて、フランス語の見出しを付した図は Dossier 2005 Argile より引用。
 +
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   * 1. [[start|安全評価書の位置付けとレビュー]]   * 1. [[start|安全評価書の位置付けとレビュー]]
-  * 2. [[sysdesc|処分システムと安全要件]]  | <wrap smaller>対象廃棄物 / 想定処分地 / 処分概念 / 放射線防護基準 </wrap> <- :!: NOW You are Here! +  * 2. [[sysdesc|処分システムと安全要件]]  | <wrap smaller>対象廃棄物 / 想定処分地 / 処分概念 / 放射線防護基準 </wrap> 
-  * 3. [[methodology|安全評価の進め方]] | <wrap smaller>FEP / シナリオ / モデル / 不確実性の取り扱い</wrap>+  * 3. [[methodology|安全評価の進め方]] | <wrap smaller>FEP / シナリオ / モデル / 不確実性の取り扱い</wrap> <- :!: NOW You are Here!
   * 4. [[showcase|評価結果]]   * 4. [[showcase|評価結果]]
  
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-{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif}}安全評価はどのように行っているのですか...+{{http://www2.rwmc.or.jp/images/misc/faq01/q02.gif?nolink}}安全評価はどのように行っているのですか...
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 ===== 安全評価の進め方 ===== ===== 安全評価の進め方 =====
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 </WRAP> </WRAP>
  
-安全評価は、図5に示す反復プロセスの枠内で実施ている。SENについては、ANDRAが遵守することが求められる安全指針(当時のRFS Ⅲ.2.f)は「確実または極めて可能性が高い」と判断る状の全てをカバーすることを目的としたモデル化や計算に基づ実施することを規定している。また、安全指針では通常以外の経時変化に対して安全性を判断する閾値を規定していないが、適切な概念設計があればそれを用いて通常以外の経時変化による放射線学的影響を低減する方法を追求することを要求している。このため、Dossier 2005の安全評価のシナリオでは、レファレンスシナリオとしての通常変遷シナリオ(SEN)とそれを補うための代替変遷シナリオ(SEA)を用いている。+安全評価は、図5に示す反復プロセスによる解析フローの枠内で実施されている。ANDRAが遵守することが求められる安全指針(当時のRFS Ⅲ.2.f)は「確実または極めて可能性が高い」と判断されレファレンスの全てをカバーすることを目的としたモデル化や計算に基づいた評価を実施することを規定している。また、レファレンス状態以外の経時変化に対して安全性を判断する閾値を規定していないが、適切な概念設計があればそれを用いてレファレンス状態以外の経時変化による放射線学的影響を低減する方法を追求することを要求している。このため、Dossier 2005の安全評価のシナリオでは、レファレンスシナリオとしての通常変遷シナリオ(SEN)とそれを補うための代替変遷シナリオ(SEA)を用いている。
  
-SEAにはレファレンス計算と感度解析の2種類の計算があり、感度解析ではレファレンス計算において採用したパラメータ(データ等の不確実性)及びモデルの変更に伴う評価結果への影響の検討等を含む計算ケースを設定している。+SENにはレファレンス計算と感度解析の2種類の計算があり、感度解析ではレファレンス計算において採用したパラメータ(データ等の不確実性)及びモデルの変更に伴う評価結果への影響の検討等を含む計算ケースを設定している。
  
 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
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 </WRAP> </WRAP>
  
-SEAでは人間侵入シナリオを含む4つのシナリオを設定し、それぞれのシナリオで感度解析実施している(これらの関係を図6に示す)。+SEAでは人間侵入シナリオを含む4つのシナリオを設定しており、更に、それぞれのシナリオで感度解析実施している(これらの関係を図6に示す)。
 RFS Ⅲ.2.fにおいて変動状態の枠組みで規定された自然現象に起因するシナリオは、Dossier2005では評価の不確実性評価とあわせて通常変遷シナリオ(SEN)の感度解析として扱っている。具体的には、これらの幾つかのシナリオを、その発生の結果として影響を受ける幾つかのパラメータの変化で表現し、そのパラメータの感度解析により影響範囲を評価している。 RFS Ⅲ.2.fにおいて変動状態の枠組みで規定された自然現象に起因するシナリオは、Dossier2005では評価の不確実性評価とあわせて通常変遷シナリオ(SEN)の感度解析として扱っている。具体的には、これらの幾つかのシナリオを、その発生の結果として影響を受ける幾つかのパラメータの変化で表現し、そのパラメータの感度解析により影響範囲を評価している。
  
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 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
  
-Dossier2005が評価対象としている核種は16核種である(半減期が1,000年を超える15の核種とNb-93m(Zr-93の孫核種))。これは計算量の合理化等を目的としたもので、当初検討していた144核種から、粘土層の特性等や最終的な線量評価での重要度等から事前評価と絞り込みが行われた結果である。性能評価における最終的な入力となった核種インベントリ表2-4のとおりである。+Dossier2005が評価対象としている核種は16核種である(半減期が1,000年を超える15の核種とNb-93m(Zr-93の孫核種))。これは計算量の合理化等を目的としたもので、当初検討していた144核種から、粘土層の特性等や最終的な線量評価での重要度等から事前評価と絞り込みが行われた結果である。性能評価における最終的な入力となった核種は、Be-10、C-14、Cl-36、Ca-41、Ni-59、Se-79、Zr-93、Nb-93m、Nb-94、Mo-93、Tc-99、Pd-107、Sn-126、I-129、Cs-135、Ho-166m である。
  
  
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 ===== FEPの取り扱い ===== ===== FEPの取り扱い =====
  
-Dossier 2005の安全評価は、現象の網羅性を追及するために行っているものではない。このため、ANDRAはDossier 2005の安全評価において、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が示した国際FEPデータベースと比較により、現象の抜け落ちがないことを確認している。+Dossier 2005の安全評価は、現象の網羅性を追及するために行っているものではない、ANDRAはDossier 2005の安全評価において、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が示した国際FEPデータベースと比較することにより、現象の抜け落ちがないことを確認している。
  
  
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 APSSの結果から発生確率が高い経時変化と発生確率は低いが安全目標に対する影響度が高い経時変化を整理し、前者は包括的評価を実施するために概念化し通常変遷シナリオとして整理している。 APSSの結果から発生確率が高い経時変化と発生確率は低いが安全目標に対する影響度が高い経時変化を整理し、前者は包括的評価を実施するために概念化し通常変遷シナリオとして整理している。
-通常変遷シナリオには、リファレンス計算と総合的な評価への影響度が高いパラメータやモデルを特定して実施される感度解析が含まれる。+通常変遷シナリオ(SEN)には、リファレンス計算と総合的な評価への影響度が高いパラメータやモデルを特定して実施される感度解析が含まれる。
  
-また発生確率が低い経時的変化のうち安全目標に対して影響度が高いと判断される経時変化については、AQSにおいて通常変遷シナリオでの網羅性が検討され、通常変遷シナリオとその感度解析によって不確実性をカバーできない経時変化を代替変遷シナリオで取り扱っている。 +また発生確率が低い経時的変化のうち安全目標に対して影響度が高いと判断される経時変化については、AQSにおいて通常変遷シナリオでの網羅性が検討され、通常変遷シナリオ(SEN)とその感度解析によって不確実性をカバーできない経時変化を代替変遷シナリオ(SEA)で取り扱っている。
- +
-通常変遷シナリオと代替変遷シナリオは、現象の網羅性を追及するものではないため、ANDRAは経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が示した国際FEPデータベースとの比較により、現象の抜け落ちがないことを確認している。+
  
  
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 <WRAP clear></WRAP> <WRAP clear></WRAP>
  
-上記の計算全体体系は、個々のコンパートメント・モデルで構成されており、その一例としてSENに関する個々のモデルを以下に示す。+上記の計算全体体系は、個々のコンパートメント・モデルで構成されており、その一例として通常変遷シナリオ(SENに関する個々のモデルを以下に示す。
  
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行 193: 行 195:
 ===== 不確実性の取り扱い ===== ===== 不確実性の取り扱い =====
  
-Dossier2005では、安全評価に関連する不確実性を理解するために以下を実施している。+安全規則は、処分施設閉鎖後の安全性の立証(安全評価)において、不確性の考慮と感度解析の実施を要求している。具体的には、不確性の評価及びその考慮をどの程度可能にしたかを明確に特定し、更に、残された不確性について、その性質に応じて定性的または定量的に評価することを要求している(この点については、専門家の判断に頼ることも可能であるが、その場合は、これらの判断の追跡性を確保しなければならない)。 
 + 
 +Dossier2005では、この感度解析の実施に関して、①処分場がどのように機能するかについての理解が深まる、②不確実性を取り扱うことによって、入力データの変動に応じた処分場影響の計算結果のばらつきが明らかになるとしており、次のようにこれらの不確実性を類型・分類するとともに、不確実性と時間スケール及び空間スケールの関連について検討を行っている。  
 +  * 処分プロジェクトの初期データに関する不確実性 
 +  * 処分場の構成要素に固有な特性の不確実性 
 +   - 測定技術の不正確さ \\  
 +   - 直接測定することのできない値 \\  
 +   - 構成要素の空間的変動の可能性に伴う不確実性 \\  
 +   - 特性調査の対象スケール定義の前提モデルに関連した不確実性 
 +  * 処分場の経時的変化を決定するプロセスに関する不確実性 
 +   - 短期間の観察結果の外挿 \\  
 +   - モデル検証の限界に伴う不確実性 
 +  * 技術的な不確実性(将来採用される技術的な措置の不確かさ) 
 +  * 外的な事象による不確実性(気象面での事象や構造地質学的な事象に関する、大きな不確実性を伴う可能性) 
 + 
 +\\  
 + 
 +より具体的には、安全評価に関連する不確実性を理解するために以下を実施している。
   * 現状の利用可能な知識を理解するためのリファレンス文書の作成   * 現状の利用可能な知識を理解するためのリファレンス文書の作成
   * 可能な限り体系的な手法の採用(処分場の変遷に関連した現象論的分析(APSS))   * 可能な限り体系的な手法の採用(処分場の変遷に関連した現象論的分析(APSS))
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 を評価する。通常変遷シナリオ(SEN)とその感度解析でカバーできない不確実性は、どの代替変遷シナリオ(SEA)に含まれるかを判断し、代替変遷シナリオ(SEA)とその感度解析内で処分システムの安全性への影響を評価している。 を評価する。通常変遷シナリオ(SEN)とその感度解析でカバーできない不確実性は、どの代替変遷シナリオ(SEA)に含まれるかを判断し、代替変遷シナリオ(SEA)とその感度解析内で処分システムの安全性への影響を評価している。
  
-Dossier2005のシナリオ作成はFEPに基づくものではないが、不確実性の取りこぼしがないことをFEPCAT、NEA国際FEPデータベースとの比較を行うことにより網羅性を確認している。 
  
  
sa/dossier2005/methodology.1299586345.txt.gz · 最終更新: 2011/03/08 21:12 (外部編集)