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米国:廃棄物保証(waste confidence)/使用済燃料の継続貯蔵(continued storage of spent nuclear fuel)

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米国:廃棄物保証(waste confidence)/使用済燃料の継続貯蔵(continued  storage of spent nuclear fuel)の概要

廃棄物保証(waste confidence)とは、米国における原子力発電所から発生する使用済燃料が、その原子炉の運転が停止された後においても環境に重大な影響を与えることはないことを、原子力規制委員会(NRC)が一般的な判断として決定したものである。米国では、原子炉の運転許可の発給に際しては、許可終了後の使用済燃料の環境影響についても評価が必要との判決が確定している。NRCは、廃棄物保証の決定を規則に織り込み、原子炉の運転許可においては許可終了後の使用済燃料に係る個別の環境影響評価は不要とすることを、NRCの環境影響評価規則の中で定めている(10 CFR Part 51.23、以下「廃棄物保証規則」という。)。なお、2014年9月19日告示の規則改定により、廃棄物保証の枠組みは変更され、名称についても従来の「廃棄物保証」(waste confidence)から「使用済燃料の継続貯蔵」(continued storage of spent nuclear fuel)へと改められている

 

「廃棄物保証」を巡る経緯

廃棄物保証の枠組みは、米国で商業再処理が廃止された1970年代後半に提起された様々な訴訟を受けて、策定された。原子炉の運転許可を巡るミネソタ州らの訴訟1 において、コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所は1979年5月に、サイト外での使用済燃料貯蔵や処分が許可終了までに利用可能か、もし可能でない場合はそれまでサイト内で安全に貯蔵可能かについて評価すべきとして、NRCに差し戻す判決を行った。この判決を受けてNRCは、使用済燃料のサイト外での貯蔵・処分の実現可能性やサイト内貯蔵の安全性等について、一般的な評価を行うこととして規則策定手続を開始した。

1984年8月にNRCの環境影響評価規則の一部(10 CFR Part 51.23)として規定された廃棄物保証規則は、放射性廃棄物は適時に安全に貯蔵・処分が可能との合理的な保証(reasonable assurance)があるとするNRCの一般的な決定(以下「廃棄物保証決定」(waste confidence decision)という。)に基づく形で制定された。廃棄物保証規則と同日に連邦官報で告示された廃棄物保証決定は、①地層処分の技術的可能性、②処分場の実現時期、③処分実現までの安全な管理、④運転許可終了後に貯蔵可能な期間、⑤貯蔵施設の確保の可能性の5項目についてのNRCの所見(findings)として示されている。NRCの所見では、1カ所以上の地層処分場が2007~2009年には利用可能となり、運転許可終了から30年以内には十分な処分容量が利用可能となること、運転許可終了から少なくとも30年間は使用済燃料の貯蔵による重大な環境影響は見込まれないことなどについて、合理的な保証があるとされた。

廃棄物保証規則では、この廃棄物保証決定を条文として規定した上で、原子炉の運転許可の発給に係る環境影響評価では運転許可終了後の使用済燃料の環境影響に関する議論は不要であることが規定された。

なお、NRCの規則策定作業が続けられる中で、米国の高レベル放射性廃棄物等の処分の基本法となる1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)が1983年1月に制定されたことも、NRCの判断を支えるものとなっている。

 

廃棄物保証規則の変遷と無効判決

1984年の廃棄物保証決定においてNRCは、予期せぬ重要な事象が発生した場合、または最低5年ごとに、廃棄物保証に係る結論について見直しを行うものとした。NRCは、1990年の見直しで処分場の実現時期を2025年までと変更した後は、見直し間隔を延ばし、1999年の見直しでは変更無しとの結論を示していた。その後、ユッカマウンテン処分場開発が遅れる中で、NRCは2007年に廃棄物保証の見直しを開始した。2009年に誕生したオバマ政権下でユッカマウンテン処分場計画の廃止が決定され、廃棄物保証の見直しの最終化は遅れたが、2010年12月に、処分場の具体的な実現時期を削除するなど廃棄物保証決定の所見の②と④を見直す形で、廃棄物保証規則の改定が行われた。

この2010年の廃棄物保証規則改定は、コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所(以下「連邦控訴裁判所」という。)の2012年6月8日の判決により、無効として差し戻された。本判決では、廃棄物保証決定の所見の②で「必要な時期に利用可能」とされた処分場の利用可能性、及び④で「原子炉許可の終了後60年間は安全な貯蔵が可能」とされた判断について、十分な環境影響の評価が行われていないことなどが指摘された。NRCは、2012年8月に、本判決への対応が完了するまでは原子炉新設・運転延長に係る許可発給は行わないことを決定し、廃棄物保証規則の改定に向けて包括的環境影響評価書(GEIS)の策定作業が進められた。

 

「使用済燃料の継続貯蔵」に関する規則改定

連邦控訴裁判所の無効判決に対応した最終規則、及びその基盤となる包括的環境影響評価書(GEIS)は、2014年9月19日に連邦官報で告示された。GEISは、地層処分場が建設されない場合の使用済燃料の継続貯蔵が環境に影響を与える可能性について、60年(短期)、短期シナリオ終了後の100年(長期)、及び無期限の3つの時間枠で分析するなど、2012年6月の連邦控訴裁判所の判決に対応するものとされた。なお、本改定において、それまで使用されていた「廃棄物保証」という名称は「使用済燃料の継続貯蔵」と改められた。改定後の「使用済燃料の継続貯蔵の規則」(10 CFR Part 51.23)では、GEISで得られた知見を採用する形で、使用済燃料の継続貯蔵による一般的な環境への影響は、個別の許認可における環境に関する審査においては、再度分析する必要はないものと規定している。

出典

  • NRC規則10 CFR Part 51.23「原子炉運転許可終了後の使用済燃料の継続貯蔵に係る環境影響」の制定・改定に係る連邦官報告示
    • 規則策定開始の通知(1979年10月25日)
    • 廃棄物保証決定、廃棄物保証の最終規則(1984年8月31日)
    • 使用済燃料の継続貯蔵の最終規則(2014年9月19日)
  • コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所、ニューヨーク州対NRC事件判決(681 F.3d 471、2012年6月8日)
  • 使用済燃料の継続貯蔵の包括的環境影響評価書(GEIS)(NUREG-2157)(2014年9月)

 


  1. ミネソタ州対NRC事件、602 F.2d 412 []