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《米国》民間での使用済燃料の中間貯蔵施設の計画を巡る動き

米国において、民間組織が使用済燃料の中間貯蔵施設の建設を計画している。この計画は、エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)がニューメキシコ州のカールスバッド市の近郊に使用済燃料の中間貯蔵施設を立地するというものであり、フランス・AREVA社の米国法人の2012年10月5日付のプレスリリースでは、AREVA社を中心とする企業体が本計画のパートナーとして選定されたとしている。

ELEAは、ニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体で構成される企業体である。かつてELEAは、計画が中止された国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)での統合使用済燃料リサイクル施設の立地調査に応募しており、ELEAが提案したサイトが選定された経緯がある。また、カールスバッド市では、軍事用の超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)が1999年より順調な操業を続けている。

高レベル放射性廃棄物等の管理政策を定めた1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、ユッカマウンテンでの地層処分場開発とともに、エネルギー長官に対して、監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設 1と呼ばれる中間貯蔵施設の立地・建設・操業を行う権限を認めている。ただし、エネルギー長官による高レベル放射性廃棄物等の中間貯蔵は、処分地が決定する目処が立つまで中間貯蔵施設のサイト選定を実施できないこと、地層処分施設の建設の許認可が発給されるまで中間貯蔵施設の建設を開始できないなど、地層処分計画が進まないと実施できないような規定内容となっている。

今回のELEAの計画の他、民間の使用済燃料の中間貯蔵施設の建設計画としては、原子力発電事業者が共同で設立した民間燃料貯蔵(PFS)社が、1997年6月に原子力規制委員会(NRC)に対して、ユタ州ソルトレイクシティの近傍であるスカルバレーバンドにおいて、使用済燃料の中間貯蔵施設の建設許可申請を提出していたものがある。NRCは2006年2月に建設許可を発給したものの、PFS社とスカルバレーバンドとの土地貸借契約、輸送のための国有地の使用に関する許可が内務省から得られず、プロジェクトは無期限に延期されている。

現政権によるユッカマウンテン計画を中止し、代替案を検討するとの方針に従って、エネルギー長官が設置した「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」は、2012年1月に提出した最終報告書において、中間貯蔵施設の建設を重要な課題と位置付け、以下の点を指摘している。

  • 中間貯蔵は、廃止措置された原子炉サイトからの使用済燃料の撤去を可能にする
  • 中間貯蔵によって連邦政府の廃棄物受入れ義務の履行開始を可能にする
  • 中間貯蔵は、福島及びその他の事象から学んだ教訓に対応するための柔軟性をもたらす
  • 中間貯蔵は、処分場プログラムをサポートする
  • 中間貯蔵は、廃棄物管理システムのための技術的機会をもたらす
  • 中間貯蔵は、貯蔵機能及び将来の廃棄物取扱い機能の柔軟性及び効率性の向上のための選択肢を提供する

なお、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)での高レベル放射性廃棄物等の中間貯蔵施設のサイト選定・建設と、地層処分場の計画の進捗とをリンクさせて制限する条項については、ブルーリボン委員会の最終報告書において、この制限を撤廃するための法改正などの必要性が指摘されている。

【出典】

【2013年1月7日追記】

米国のユタ州ソルトレイクシティ近傍のスカルバレーバンドにおいて、使用済燃料の中間貯蔵施設の建設を計画していた民間燃料貯蔵(PFS)社は、2012年12月20日付で原子力規制委員会(NRC)に書簡を提出し、NRCに対して中間貯蔵施設の建設許可の終了を要求した。PFS社は、2006年2月21日に、NRCより中間貯蔵施設の建設許可の発給を受けていたが、今回の書簡により、PFS社による中間貯蔵施設の建設に向けたプロジェクトは中止されることとなる。
今回の書簡においては、プロジェクトを中止させる理由として、以下の3点が示されている。

  • 建設許可証の条件19において、施設の操業開始当初の貯蔵容量としてNRCに提示した量の使用済燃料を貯蔵できる施設を建設するのに十分な資金を確保しなければ建設を開始できないと規定されていたが、資金確保はなされず、建設は行われなかったこと。
  • 建設許可証の条件20において、使用済燃料に関する全費用を顧客に転嫁する契約を締結して、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)に提出して承認を受けなければ施設の操業を開始できないと規定されていたが、こうした契約が締結されなかったこと。
  • PFS社とスカルバレーバンドとの土地貸借契約に関する許可が、内務省(DOI)によって承認されなかったこと。

【出典】

 

【2015年5月8日追記】

米国のエネルギー関連企業であるホルテック・インターナショナル社は、2015年4月30日のプレスリリースにおいて、ニューメキシコ州のカールスバッド市近郊で使用済燃料の半地下の中間貯蔵施設を建設することについて、エディ・リー・エナジー・アライアンス(ELEA)と覚書を締結したことを公表した。ELEAのホームページには、ホルテック・インターナショナル社などとの2015年4月29日の記者会見に関するライブストリームの情報が記されている。

本建設計画については、ELEAの構成員であるニューメキシコ州南東部のエディ郡、リー郡、カールスバッド市及びホッブズ市の4自治体の支持に加えて、ニューメキシコ州知事も2015年4月10日にエネルギー長官宛てに書簡を送付しており、その中で、ELEAの計画を支持することが記されている。

ELEAとホルテック・インターナショナル社との覚書では、ホルテック・インターナショナル社が原子力発電所で建設実績のある使用済燃料のサイト内貯蔵システムであるHI-STORM UMAX(Holtec International STORage Module Underground MAXimum securityの頭字語)を拡張した中間貯蔵システムの設計、許認可、建設及び操業を行い、ELEAがサイト特性調査に係るデータの取得・整備、地元への働き掛けを行うとしている。

計画している中間貯蔵施設は、100年間の供用が可能な施設とし、貯蔵キャニスタを取り出して移送できるように設計される。施設の規模に制約はなく、ユッカマウンテン処分場の処分容量に相当する施設の広さは32エーカー(約13万平方メートル)としている。

なお、記者会見にも参加していた原子力エネルギー協会(NEI)が本建設計画を支持するプレスリリースを出している一方で、ニューメキシコ州選出・民主党のユーダル、ハインリッヒ両上院議員は、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の操業再開に注力すべきであること、地層処分計画の存在しない状態ではどのような場所での中間貯蔵計画も支持できないとの声明を出している。

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが、安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。http://energy.gov/downloads/monitored-retrievable-storage-background[]

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )