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《カナダ》使用済燃料処分場のサイト選定の状況-8地域において第3段階を開始

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2012年6月付のニュースレターにおいて、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスにおいて、2012年6月末時点で、11地域で詳細な情報提供及び初期スクリーニングを実施する第2段階が進められており、8地域で第3段階1 が進められていることを公表した。

カナダでは、NWMOが、2010年5月から、9段階で進められる使用済燃料処分場のサイト選定を開始しており、2012年5月14日までに16地域が関心を表明し、10地域について初期スクリーニング結果が良好であることが示されていた。また、地域によるサイト選定プロセスへの関心表明の期限は2012年9月末に設定されていた。

今回のニュースレターにおいては、新たに第2段階が進められている地域として以下の4地域が示されている。

  • ホワイトリバー・タウンシップ(オンタリオ州)
  • アラン=エルダースリー自治体(オンタリオ州)
  • ソーギーンショアーズ町(オンタリオ州)
  • ヒューロン=キンロス・タウンシップ(オンタリオ州)

これまでにカナダにおける使用済燃料処分場のサイト選定に対して関心表明したのは、以下の20地域であり、それらのサイト選定における検討状況を下表に示す。

地域 サイト選定における検討状況
①イングリッシュリバー先住民族保留地 サスカチュワン州 第3段階実施中
②パインハウス村 サスカチュワン州 第3段階実施中
③クレイトン・タウンシップ サスカチュワン州 第3段階実施中
④イアーフォールズ・タウンシップ オンタリオ州 第3段階実施中
⑤イグナス・タウンシップ オンタリオ州 第3段階実施中
⑦シュライバー・タウンシップ オンタリオ州 第3段階実施中
⑧ホーンペイン・タウンシップ オンタリオ州 第3段階実施中
⑩ワワ自治体 オンタリオ州 第3段階実施中
⑥ニピゴン・タウンシップ オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果公表済み(良好)
⑰ブロックトン自治体 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果公表済み(良好)
⑨ホワイトリバー・タウンシップ オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑪ブラインドリバー町 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑫エリオットレイク市 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑬ノースショア・タウンシップ オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑭スパニッシュ町 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑮アラン=エルダースリー自治体 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑯ソーギーンショアーズ町 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑱ヒューロン=キンロス・タウンシップ オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
⑲サウスブルース自治体 オンタリオ州 第2段階
初期スクリーニング結果は未公表
●レッドロック・タウンシップ オンタリオ州 初期スクリーニング結果公表済み(不適)
サイト選定プロセスの検討から排除

サイト選定の第2段階(青文字)及び第3段階(黒文字)が進められている地域

2012年6月付のニュースレターによると、サイト選定の第3段階であるフィージビリティ調査は、複数年にわたって実施され、各地域が使用済燃料の処分プロジェクトを受け入れる適性を有するかどうかが評価される。第3段階で主に検討されるのは、人間及び環境に対する安全性とセキュリティ、地域の福祉、地域がプロセスに残留する可能性、及び周辺地域の福祉の4点である。第3段階は、2つの連続するフェーズに区分され、それぞれ1年ないしそれ以上の期間が見込まれている。現在すでに着手されている第1フェーズは、机上調査として行われるものであるが、第2フェーズでは現地でのフィールド調査も実施され、また、調査対象には周辺地域も含められる。
第3段階の第1フェーズでは、地層科学的な評価2 と、処分プロジェクトが地域や周辺地域の福祉に及ぼしうる影響の評価が実施される。地層科学的な評価の目的は、各地域において地層処分場の設置に適する可能性のある特定の立地エリア3 が選定可能かを評価することであり、以下の項目が実施される。

  1. 地質学、構造地質学や天然資源、水文地質学及び土壌に関する、利用可能な情報の詳細な評価及び解釈
  2. 利用可能な物理探査の調査結果の収集と解釈
  3. 利用可能な衛星画像を活用したリニアメント調査、地形学及び物理探査の調査結果を活用した、候補となりうる岩盤の特性(破砕帯、断層、貫入等)についての配置や方向、及び出現頻度
  4. リモートセンシングのデータ収集と評価、及び地形分析と排水解析4 に関する結果の収集
  5. 必要に応じて、机上調査で特定された地質学的特徴の限定的な地上調査による視覚的な確認

また、第3段階では、地域連絡委員会が組織されるとしている。地域連絡委員会は、地元のボランティアによって組織されるものであり、住民に対する情報提供や地域の要望の反映などにおいて、重要な役割を果たすとされている。
2012年6月付のニュースレターによると、第3段階の第1フェーズの調査の一部は、2013年中に完了するものと見込まれている。また、第1フェーズの完了時点で、適性を有するサイトが存在する可能性が低いことや、地域の意向によって、いくつかの地域は除外されることが見込まれている。第3段階の第2フェーズにおけるより詳細な調査により、最も高い適性を有する1カ所または2カ所の地域、または立地エリアを絞り込む予定とされている。なお、これまでのサイト選定の進捗と同様に、地域は次の段階に進むに当たって、正式に関心を表明することが必要とされている。

【出典】

 

【2012年9月27日追記】

核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2012年9月19日付けでソーギーンショアーズ町(オンタリオ州)に対して初期スクリーニング結果を通知する書簡と報告書を公表した。初期スクリーニング結果に係る書簡と報告書によると、ソーギーンショアーズ町に関して、サイト選定手続きに関する今後の検討から除外するような明らかな条件は見つからなかったとしている。

NWMOは、これまでに11地域の初期スクリーニング結果を公表しており、今回公表されたソーギーンショアーズ町で12地域目となる。そのうち初期スクリーニング結果が良好であることが示されたのは、今回のソーギーンショアーズ町を含めて11地域である。

【出典】

  1. サイト選定プロセスの第3段階では、関心のある自治体に対して、潜在的な適合性の予備的評価を実施する。NWMOは自治体との協力の下で、自治体内のサイトが処分事業の詳細要件を満たす可能性があるかについてのフィージビリティ調査を行う。 []
  2. geoscientific assessments []
  3. siting areas []
  4. drainage analysis []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )