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《スイス》NAGRAが地層処分場の地上施設の設置区域として20カ所を提案

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と連邦エネルギー庁(BFE)は、2012年1月20日付のプレスリリースにおいて、20カ所の地上施設の設置区域の案を公表した。これは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定手続の第2段階において、低・中レベル用(6カ所)、高レベル用(3カ所)の地層処分場の計6カ所の地質学的候補エリア(地下施設の設置が可能な区域)について、NAGRAが、今後の地域参加プロセスでの検討のために提案したものである。

特別計画による3段階のサイト選定手続の第1段階は、地質学的候補エリアが確定され、2011年11月に完了している。現在進められている第2段階は、4年の期間が必要と見込まれており、その目的は、低・中レベル用、高レベル用の地層処分場のそれぞれについて、最低2カ所の候補サイトを選定することとされている。この目的のため、特別計画により、NAGRAは、各々の地質学的候補エリアに対して、最低でも1カ所の地上施設の設置区域を提案することになっていた。

今後、6カ所のサイト地域 1 で実施されている地域参加プロセスにおいて、20カ所の地上施設の設置区域に対する検討が実施されることとなる。地域参加プロセスでは、NAGRAとも協力して、地上施設の構成やレイアウト等が検討され、また、NAGRAが提案した以外の地上施設の設置区域を独自に提案することも可能である。その後、これらの検討の成果も踏まえ、NAGRAは、2012年中を目途に、6カ所の地質学的候補エリアのそれぞれについて最低1カ所、地上施設の設置区域を指定する。さらに、NAGRAは、今後実施される予備的安全評価の結果も踏まえ、第2段階において低・中レベル用、高レベル用の地層処分場それぞれについて最低2カ所の候補サイトを提案することとなっている。提案された候補サイトは、連邦原子力安全検査局(ENSI)等の審査を受け、最終的に連邦評議会の承認によって、候補サイトが確定する。

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「提案された地上施設の設置区域」(NAGRA、技術報告書11-01「特別計画地層処分場第2段階 地層処分場の地上施設の設置区域の配置及びその開発 別冊」、2011年12月より))〔※クリックで拡大表示〕

今回NAGRAが提案した地上施設の設置区域は、右図の赤い点で示された20カ所である。緑、及び緑と橙色の縞模様で示されているのが、地下施設の設置が可能な地質学的候補エリアであり、それらを取り囲む灰色の部分が、地上施設の設置が可能な地点を含んだ「計画範囲」である。

NAGRAは、今回の地上施設の設置区域の提案に関して、報告書を公表しているが、それによると設置区域は以下の基準を考慮して提案したとしている。

  • 安全性及び技術的実現性:交通網との接続、地形や面積等の状況、地下施設へのアクセス、安全性
  • 土地利用に関する適合性及び環境との適合性:土地利用の法的制限、地表の水流、地下水流、鉱物及び温泉の利用、自然保護区域の回避
  • 地域との調和:今日の利用状況、都市計画上の状況、保養地の所在、景観の保護

BFEのプレスリリースによると、今回の地上施設の設置区域の提案については、関係する州と自治体や土地所有者に対して、直接通知したとしている。またBFEは、今後数週間にわたって関係自治体の住民に対する説明会を開催するとしている。

【出典】

 

【2012年10月15日追記】

連邦エネルギー庁(BFE)は2012年10月8日付のプレスリリースにおいて、今後の地上施設の設置区域の検討スケジュールを明らかにし、当初、2012年秋に検討が終了すると見込んでいたが、2013年4月末にずれ込むとしている。

スイスでは、地層処分場の地上施設を建設する可能性があるエリアは「計画範囲」と呼ばれており、地下施設が設置される可能性がある6つの「地質学的候補エリア」ごとに計画範囲が設定されている。地質学的候補エリアは、サイト選定手続きの第1段階で決定済みである 2 。第2段階では、それぞれの計画範囲の中で、少なくとも1カ所の地上施設の設置区域を決定することになっている。

地上施設の設置区域を議論するための場として、計画範囲ごとに、その範囲内に位置する自治体、並びにその一部を管轄領域に含む自治体の代表で構成される「地域会議」が設立されている。この地域会議は、連邦エネルギー庁(BFE)が主導して設置する会議体であり、州と自治体の当局のほか、一般市民も参加して構成されている(場所によっては、計画範囲外の隣接自治体も参加する場合があるほか、隣国ドイツの代表者も参加する)。各地域会議での議論は、2012年1月から開始されている。特に、2012年1月に実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が、計画範囲ごとに3~4カ所の地上施設の設置区域案を提示してから議論が本格化している。

今回のプレスリリースでBFEは、地上施設の設置区域に関する検討を含むサイト選定手続きの第2段階のスケジュールを以下の通り示している。当初、BFEは2012年秋に「地域会議」の検討が終了すると見込んでいたが、プレスリリースによればこれが2013年4月末にずれ込む(約6ヶ月)としている。

スイスにおける地上施設の設置区域についての検討スケジュール

〔※連邦エネルギー庁(BFE)の2012年10月8日付けプレスリリースを基に作成〕

2012年1月~10月末 「サイト地域」を含む州は地上施設の設置区域の候補となりうる場所の評価基準に関する統一的な見解を提示。6カ所の「サイト地域」は、各地域で設置することになっている地域会議における作業等を継続。
2012年11月初旬~中旬 州による評価基準の策定後、NAGRAは地域ごとに、この基準に対応する、地上施設の設置区域の候補となりうる場所を確認し、結果を提示。
2012年11月中旬~12月 BFEの主催で開催するワークショップで、各「サイト地域」個別に、地上施設の設置区域の候補となりうる場所を公表。「地域会議」は独自の地上施設の設置区域の提案を行うかどうかについて決定。
2012年12月~2013年初頭 「地域会議」が独自の提案を行うことを決定した場合、NAGRAは新たに提案された地上施設の設置区域について概略的な調査を実施し、結果を「サイト地域」と州に提示する。
2013年4月末頃 「地域会議」は、地上施設の設置区域に関するNAGRAの提案、及び独自の提案を行った場合は自らの提案について評価。州も独自に評価を実施。
2013年5月頃 NAGRAは各「サイト地域」について、地上施設の設置区域を最低でも1カ所提示。

 

【出典】


  1. 特別計画「地層処分場」の「2.2.2 地質学的候補エリア、計画範囲、サイト地域」及び「略語一覧、用語」によると、サイト地域は、候補エリア所在自治体(地質学的候補エリアが領域の一部あるいは全体にわたって含まれる自治体)、並びに計画範囲(建設される可能性のある地上施設の配置を考慮して、地質学的候補エリアの広がりによって確定される地理的領域)の境界内に全体が含まれるか、それを管轄領域の一部に含む自治体によって構成される。また、事情によってはその他の自治体がサイト地域に含まれることもある。[]
  2. 特別計画「地層処分場」に基づき、第1段階ではBFEが連邦国土計画庁(ARE)、サイト地域を含む州とともに計画範囲の確定を行い、以降の議論に参加する権利をもつ自治体の範囲や条件が決められた。また、影響を受ける地方自治体や住民が地域参加プロセスに加わるための準備が行われた。[]

(post by yamamoto.keita , last modified: 2023-10-11 )