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《米国》放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)がDOEによる独立した処分計画に対する評価報告書を公表

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2015年6月16日に、「エネルギー省(DOE)が管理する使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の独立した処分計画の実施に伴う技術的課題の評価」に関する報告書(以下「NWTRB報告書」という)を公表し、超深孔処分の計画などに対する勧告を行った。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価し、連邦議会及びエネルギー長官に対して勧告等を行う目的で設置された独立の評価組織である。

今回のNWTRB報告書の評価対象は、DOEが2015年3月24日に公表した「軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分に関する報告書」、及びその根拠とされた2014年10月の報告書「DOE管理の高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分オプションの評価」(以下「処分オプション報告書」という)である。NWTRBは評価の目的を、DOEの新しい独立した処分計画に付随する技術的及び科学的課題の評価を行うこととしている。NWTRB報告書では、以下の4点が勧告されている。

  1. 異なる母岩における廃棄物容器について、劣化後の廃棄体の性能について検討すべきである。
  2. 可能性ある処分場の地質環境について、DOE保有の使用済燃料の劣化速度に関する理解を深めるべきである。
  3. 相対的に低温の海軍使用済燃料を小さな廃棄物容器に再封入する方法及び費用・便益を評価すべきである。
  4. ボーリング孔のシーリング技術の研究を実施し、超深孔処分で対象とする廃棄体を処分するため、より強固な人工バリアが必要とされないかを評価すべきである。

超深孔処分についてNWTRBは、DOEの処分オプション報告書の基となったサンディア国立研究所(SNL)の2011年10月の報告書「高レベル放射性廃棄物の超深孔処分のリファレンス設計及び実施」に対して、2013年7月に技術的課題を指摘していた。今回のDOEの処分オプション報告書においても、開発に要する時間が示されていないこと、廃棄体の劣化速度、人工バリア、核種の半減期・移行速度、発熱量等の重要な要因を考慮せずに大きさのみで超深孔処分の対象廃棄物を選定していること、廃棄物の回収可能性を担保する廃棄物容器の健全性等を検討していないことなどを指摘し、セーフティケースの改善が必要としている。また、社会的な受容性を含め、DOEの独立した処分計画が、民間の使用済燃料の処分場開発に与えるマイナスの影響の可能性が評価されていないことも付言している。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )