諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:us:chap5 [2013/03/11 17:09] – 2013年版発行を反映 sahara.satoshihlw:us:chap5 [2017/05/13 15:04] ss12955jp
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-~~bc:5.処分事業の資金確保~~+~~ShortTitle:5.処分事業の資金確保~~
 <WRAP pagetitle> <WRAP pagetitle>
 ==HLW:US:chap5== ==HLW:US:chap5==
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 ====== 5.1 処分費用の確保(制度) ====== ====== 5.1 処分費用の確保(制度) ======
  
-<WRAP tip round box> +<WRAP round box> 
-  * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、1982年放射性廃棄物政策法の第111条により、廃棄物発生者及び所有者が負担することとなっており、そのために同法第302条により**放射性廃棄物基金(NWF)**が財務省に設置されています。廃棄物発生者である原子力発電事業者は、発電1kWh当たり1ミル(約0.1円)を同基金に拠出しています。処分費用の総額は2007年価格で約962億ドル(約76,000億円)と見積られています。また、同基金の積立額は20101月末の時点で約358億ドル(約28,300億円)です。(1ドル=79円として換算)。+{{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} 
 +  * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、1982年放射性廃棄物政策法の第111条により、廃棄物発生者及び所有者が負担することとなっており、そのために同法第302条により**放射性廃棄物基金(NWF)**が財務省に設置されています。廃棄物発生者である原子力発電事業者は、発電1kWh当たり1ミル(約0.1円)を同基金に拠出しています。処分費用の総額は2007年価格で約962億ドル(約10兆円)と見積られています。また、同基金の積立額は20159月末の時点で約424億ドル(約44,100億円)です。(1ドル=104円として換算)。ただし、裁判所の判決に基づいて、2014年5月より同基金への拠出が停止されました
 </WRAP> </WRAP>
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   - 高レベル放射性廃棄物プログラムの一般管理費用   - 高レベル放射性廃棄物プログラムの一般管理費用
  
-また、1982年放射性廃棄物政策法では、基金に組み入れられるすべての資金は財務省によって管理され、財務省短期証券と呼ばれる米国債を通じて投資運用するように定められています。。2012年9月末で保有されている米国債の市場価格は387億ドル(約3600億円)です。+また、1982年放射性廃棄物政策法では、基金に組み入れられるすべての資金は財務省によって管理され、財務省短期証券と呼ばれる米国債を通じて投資運用するように定められています。2015年9月末で保有されている米国債の市場価格は約424億ドル(約44,100億円)です。
  
 +なお、連邦控訴裁判所の2014年11月19日の判決により、放射性廃棄物基金への拠出金額を1ミル/kWh からゼロに変更する提案が2014年5月16日に有効となり、放射性廃棄物基金への拠出が実質的に停止されました。
  
  
-<WRAP clear></WRAP>+ 
 +<WRAP clear/>
  
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 ====== 5.2 処分費用の見積り ====== ====== 5.2 処分費用の見積り ======
  
-<WRAP rss right 350px+<WRAP rss right 300px
-{{:hlw:us:doe-tslcc2007-image.png?200|}}\\+{{:hlw:us:doe-tslcc2007-image.png?200&nolink|DOEのトータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書}}\\
 DOEのトータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書\\ DOEのトータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書\\
 <fs 70%>//Analysis of the Total System Life Cycle Cost of the Civilian Radioactive Waste Management Program, Fiscal Year 2007//</fs> <fs 70%>//Analysis of the Total System Life Cycle Cost of the Civilian Radioactive Waste Management Program, Fiscal Year 2007//</fs>
 </WRAP> </WRAP>
  
-米国における高レベル放射性廃棄物の処分費用の総額は、2007年価格で約962億ドル(約76,000億円)と見積られています。このうち、1983年から2006年の間に135億ドルが支出され、残りの826億ドルは2007年から処分場が閉鎖される2133年の間に支出されると想定されています。この見積りは、商業用の原子力発電による使用済燃料109,300トン(重金属換算、以下同じ)、政府が所有する使用済燃料2,500トン及びガラス固化体19,667本(10,300トン相当)の受け入れ及び処分に伴うすべての費用を回収することを前提として試算されています。したがって、1982年放射性廃棄物政策法での処分量の制限とは異なり、全部で122,100トン以上の受け入れが可能な一つの処分場での処分が仮定されています。費用見積額の内訳としては、地層処分費用が約647億ドル(約51,100億円)、廃棄物受け入れ・輸送費用が約203億ドル(約16,000億円)など、さまざまな費用が想定されています。(1ドル=79円として換算、以下同様+米国における高レベル放射性廃棄物の処分費用の総額は、2007年価格で約962億ドル(約10兆円)と見積られています。このうち、1983年から2006年の間に135億ドルが支出され、残りの826億ドルは2007年から処分場が閉鎖される2133年の間に支出されると想定されています。この見積りは、商業用の原子力発電による使用済燃料109,300トン(重金属換算、以下同じ)、政府が所有する使用済燃料2,500トン及びガラス固化体19,667本(10,300トン相当)の受け入れ及び処分に伴うすべての費用を回収することを前提として試算されています。したがって、1982年放射性廃棄物政策法での処分量の制限とは異なり、全部で122,100トン以上の受け入れが可能な一つの処分場での処分が仮定されています。費用見積額の内訳としては、地層処分費用が約647億ドル(約67,300億円)、廃棄物受け入れ・輸送費用が約203億ドル(約21,100億円)など、さまざまな費用が想定されています。(1ドル=104円として換算)
  
-<WRAP clear></WRAP>+<WRAP clear/>
  
 <WRAP rss> <WRAP rss>
-{{:hlw:us:total-system-lifecycle-cost-2007.png?720&nolink|}}\\ +{{:hlw:us:total-system-lifecycle-cost-2007.png?720&nolink|年度別にみた費用の概要}}\\ 
-年度別にみた費用の概要\\ +<fc #080>年度別にみた費用の概要</fc>\\ 
 (2007年度トータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書から作成)\\ (2007年度トータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書から作成)\\
 <fs 90%>※同報告書では、2017年に処分場の操業を開始する前提で費用見積を実施</fs> <fs 90%>※同報告書では、2017年に処分場の操業を開始する前提で費用見積を実施</fs>
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 ===== ブルーリボン委員会が勧告した資金確保策 ===== ===== ブルーリボン委員会が勧告した資金確保策 =====
  
-ブルーリボン委員会が2012年1月26日に公開した最終報告書においては、長期的な措置として、新たな廃棄物管理組織が単年度予算から独立し、連邦議会の監督のもとで、自らの民間放射性廃棄物関連の義務を果たすことができるよう、基金の未使用残高を新たな廃棄物管理組織に移管するための法律が必要であると勧告しています。+ブルーリボン委員会が2012年1月26日にエネルギー長官に提出した最終報告書においては、長期的な措置として、新たな廃棄物管理組織が単年度予算から独立し、連邦議会の監督のもとで、自らの民間放射性廃棄物関連の義務を果たすことができるよう、基金の未使用残高を新たな廃棄物管理組織に移管するための法律が必要であると勧告しています。 
 + 
 +この勧告を受けて検討されている連邦議会上院の法案やDOE の処分戦略では、これから支払われる拠出金は今までの放射性廃棄物基金とは別の新しい基金に払い込み、特に法律で禁じられなければ実施主体が処分のため自由に使えるような制度改革が提案されています。 
  
  
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 <WRAP note> <WRAP note>
-<wrap lo>備考:通貨換算には、[[http://www.boj.or.jp/about/services/tame/tame_rate/kijun/kiju1212.htm/|日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート]](平成24年12月中において適用)を使用しています。</wrap> +<wrap lo>備考:通貨換算には、[[http://www.boj.or.jp/about/services/tame/tame_rate/kijun/kiju1612.htm/|日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート]](平成28年12月中において適用)を使用しています。</wrap> 
-  * <wrap lo>1米ドル=77円として換算</wrap>+  * <wrap lo>1米ドル=104円として換算</wrap>
 </WRAP> </WRAP>
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hlw/us/chap5.txt · 最終更新: 2017/10/27 18:43 by 127.0.0.1