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hlw:us:chap3 [2015/05/11 16:49] – [事業規制] sahara.satoshi | hlw:us:chap3 [2018/05/02 12:40] – 外部編集 127.0.0.1 | ||
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- | ~~bc:3.処分事業に係わる制度/実施体制~~ | + | ~~ShortTitle: |
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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- | ====== 3. 処分事業に係わる制度/実施体制 ====== | + | ====== 3. 処分事業の実施体制と資金確保 |
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====== 3.1 実施体制 ====== | ====== 3.1 実施体制 ====== | ||
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* 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条等によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体となっていますが、ブルーリボン委員会の勧告なども受けて新しい実施主体のあり方が検討されています。 | * 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条等によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体となっていますが、ブルーリボン委員会の勧告なども受けて新しい実施主体のあり方が検討されています。 | ||
* 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関としては、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設等の許認可の審査、許認可に係る技術要件・基準の策定を担い、環境保護庁(EPA)が高レベル放射性廃棄物の処分に適用する環境放射線防護基準の策定の役割を担っています。 | * 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関としては、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設等の許認可の審査、許認可に係る技術要件・基準の策定を担い、環境保護庁(EPA)が高レベル放射性廃棄物の処分に適用する環境放射線防護基準の策定の役割を担っています。 | ||
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===== 実施体制の枠組み ===== | ===== 実施体制の枠組み ===== | ||
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===== 実施主体 ===== | ===== 実施主体 ===== | ||
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しかし、現政権のユッカマウンテン計画中止の方針に伴ってOCRWMは廃止されており、DOEの原子力局(NE)がその責任を引き継いでいます。 | しかし、現政権のユッカマウンテン計画中止の方針に伴ってOCRWMは廃止されており、DOEの原子力局(NE)がその責任を引き継いでいます。 | ||
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===== 安全規則・・・安全評価による安全性の確認(許認可申請)===== | ===== 安全規則・・・安全評価による安全性の確認(許認可申請)===== | ||
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一方、ユッカマウンテンについては、EPAは全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいてユッカマウンテンのみに適用する処分の安全基準を策定すること、NRCはこの基準に適合するように技術要件基準を変更することが1992年エネルギー政策法によって規定されました。これを受けて、EPAの「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)、NRCの「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)が、それぞれ2001年6月、2001年11月に策定されました。EPAの40 CFR Part 197では、個人に対する防護や人間侵入に対しての安全基準の他に、地下水についても保護基準を設けています。 | 一方、ユッカマウンテンについては、EPAは全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいてユッカマウンテンのみに適用する処分の安全基準を策定すること、NRCはこの基準に適合するように技術要件基準を変更することが1992年エネルギー政策法によって規定されました。これを受けて、EPAの「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)、NRCの「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)が、それぞれ2001年6月、2001年11月に策定されました。EPAの40 CFR Part 197では、個人に対する防護や人間侵入に対しての安全基準の他に、地下水についても保護基準を設けています。 | ||
- | EPAの40 CFR Part 197及びNRCの10 CFR Part 63は、2004年7月に、1992年エネルギー政策法の規定を満たしていないため、1万年の遵守期間が設定されている限りにおいて一部無効であるとの連邦控訴裁判所判決が出されました。 | + | EPAの40 CFR Part 197及びNRCの10 CFR Part 63は、2004年7月に、1992年エネルギー政策法での全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいて策定するとの規定を満足せずに1万年の遵守期間が設定されたことから、遵守期間が規定されている限りにおいて一部無効であるとの連邦控訴裁判所判決が出されました。 |
これを受けて、EPAは2005年8月に、NRCは2005年9月に、地質学的に安定な期間(処分後100 万年間で終了すると定義されている)までの性能評価を求めるとした改定案を公表していましたが、EPAは2008年10月に、処分後の1万年から100万年後までの期間について線量基準値を1mSv/ | これを受けて、EPAは2005年8月に、NRCは2005年9月に、地質学的に安定な期間(処分後100 万年間で終了すると定義されている)までの性能評価を求めるとした改定案を公表していましたが、EPAは2008年10月に、処分後の1万年から100万年後までの期間について線量基準値を1mSv/ | ||
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組織の責任の範囲については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において連邦政府に割当てられている機能に限定することが勧告されています。 | 組織の責任の範囲については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において連邦政府に割当てられている機能に限定することが勧告されています。 | ||
- | なお、連邦議会の上院で検討されている「2013年放射性廃棄物管理法」の法案では、実施主体はブルーリボン委員会が勧告する公企業ではなく、行政府に置かれる独立の連邦政府機関とすること、その長官は長期在任が可能なこと、独立の監視委員会を設置することなどが提案されています。 | + | なお、連邦議会の上院で検討されている「2015年放射性廃棄物管理法」の法案では、実施主体はブルーリボン委員会が勧告する公企業ではなく、行政府に置かれる独立の連邦政府機関とすること、その長官は長期在任が可能なこと、独立の監視委員会を設置することなどが提案されています。 |
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+ | ====== 3.2 処分費用の確保 ====== | ||
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+ | * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、1982年放射性廃棄物政策法の第111条により、廃棄物発生者及び所有者が負担することとなっており、そのために同法第302条により**放射性廃棄物基金(NWF)**が財務省に設置されています。廃棄物発生者である原子力発電事業者は、発電1kWh当たり1ミル(約0.1円)を同基金に拠出しています。処分費用の総額は2007年価格で約962億ドル(約10兆円)と見積られています。また、同基金の積立額は2015年9月末の時点で約424億ドル(約4兆4, | ||
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+ | ===== 処分費用の負担者 ===== | ||
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+ | 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条により、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を永久処分することは連邦政府の責任となっていますが、処分に要する費用は高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の発生者及び所有者の責任であると規定されています。 | ||
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+ | ===== 処分費用の確保制度 ===== | ||
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+ | 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第302条に基づいて**放射性廃棄物基金(NWF)**が財務省に設置され、また、廃棄物発生者である原子力発電事業者は、同基金に拠出金を支払うことによって処分事業に必要な費用の負担責任を果たすように規定されています。拠出金は、使用済燃料を発生させる原子力発電の販売電力1kWh当たり1ミル(0.001ドル)とされており、これは電力利用者の電気料金に反映されています。 | ||
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+ | 放射性廃棄物基金(NWF)では、下記に列挙する高レベル放射性廃棄物処分に必要な資金が確保されることになっています。 | ||
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+ | - 1982年放射性廃棄物政策法に基づいて設置される地層処分場、中間貯蔵施設、試験・評価施設のサイト選定、開発、許認可活動、廃止措置及び廃止措置後の維持及びモニタリング | ||
+ | - 1982年放射性廃棄物政策法に基づく研究開発及び実証(一般的なものを除く)を実施するための費用 | ||
+ | - 地層処分場での処分、中間貯蔵施設での貯蔵、試験・評価施設での使用のための、高レベル放射性廃棄物の輸送、前処理、パッケージへの封入 | ||
+ | - 地層処分場サイトの施設、中間貯蔵施設サイトの施設、試験・評価施設サイトの施設、並びにこれらの施設の必要施設もしくは付随施設の取得、設計、改造、建て替え、操業、建設 | ||
+ | - 州、郡及びインディアン部族への補助金 | ||
+ | - 高レベル放射性廃棄物プログラムの一般管理費用 | ||
+ | |||
+ | また、1982年放射性廃棄物政策法では、基金に組み入れられるすべての資金は財務省によって管理され、財務省短期証券と呼ばれる米国債を通じて投資運用するように定められています。2015年9月末で保有されている米国債の市場価格は約424億ドル(約4兆4, | ||
+ | |||
+ | なお、連邦控訴裁判所の2014年11月19日の判決により、放射性廃棄物基金への拠出金額を1ミル/kWh からゼロに変更する提案が2014年5月16日に有効となり、放射性廃棄物基金への拠出が実質的に停止されました。 | ||
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+ | <WRAP clear/> | ||
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+ | ===== 処分費用の見積り ===== | ||
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+ | {{: | ||
+ | DOEのトータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書\\ | ||
+ | <fs 70%>// | ||
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+ | 米国における高レベル放射性廃棄物の処分費用の総額は、2007年価格で約962億ドル(約10兆円)と見積られています。このうち、1983年から2006年の間に135億ドルが支出され、残りの826億ドルは2007年から処分場が閉鎖される2133年の間に支出されると想定されています。この見積りは、商業用の原子力発電による使用済燃料109, | ||
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+ | <WRAP clear/> | ||
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+ | <fc # | ||
+ | (2007年度トータル・システム・ライフサイクル・コスト分析報告書から作成)\\ | ||
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+ | \\ | ||
+ | ===== ブルーリボン委員会が勧告した資金確保策 ===== | ||
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+ | ブルーリボン委員会が2012年1月26日にエネルギー長官に提出した最終報告書においては、長期的な措置として、新たな廃棄物管理組織が単年度予算から独立し、連邦議会の監督のもとで、自らの民間放射性廃棄物関連の義務を果たすことができるよう、基金の未使用残高を新たな廃棄物管理組織に移管するための法律が必要であると勧告しています。 | ||
+ | |||
+ | この勧告を受けて検討されている連邦議会上院の法案やDOE の処分戦略では、これから支払われる拠出金は今までの放射性廃棄物基金とは別の新しい基金に払い込み、特に法律で禁じられなければ実施主体が処分のため自由に使えるような制度改革が提案されています。 | ||
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+ | /* ##################################################################################################### | ||
====== 3.2 処分に関わる法制度 ====== | ====== 3.2 処分に関わる法制度 ====== | ||
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- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
===== 安全規制 ===== | ===== 安全規制 ===== | ||
行 124: | 行 204: | ||
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- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
===== 資金確保 ===== | ===== 資金確保 ===== | ||
行 138: | 行 218: | ||
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- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
===== 環境 ===== | ===== 環境 ===== | ||
行 151: | 行 231: | ||
</ | </ | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
===== 原子力責任 ===== | ===== 原子力責任 ===== | ||
行 164: | 行 244: | ||
</ | </ | ||
- | <WRAP clear></WRAP> | + | ##################################################################################################### |
+ | <WRAP clear/> | ||
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行 187: | 行 268: | ||
*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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hlw/us/chap3.txt · 最終更新: 2018/05/02 12:51 by sahara.satoshi