諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:us:chap3 [2014/01/14 16:02] – [安全規則・・・安全評価による安全性の確認(許認可申請)] sahara.satoshihlw:us:chap3 [2017/05/11 11:22] – [ブルーリボン委員会が勧告した実施体制] ss12955jp
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-~~bc:3.処分事業に係わる制度/実施体制~~+~~ShortTitle:3.処分事業に係わる制度/実施体制~~
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 ==HLW:US:chap3== ==HLW:US:chap3==
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-  * 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条等によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体であり責任遂行ためDOE内部に設置された民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が施策の実施に当たることとなっています。 +  * 米国では、1982年放射性廃棄物政策法の第111条等によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると定められています。具体的にはエネルギー省(DOE)が処分の実施主体となっていますがブルーリボン委員会勧告なども受けて新しい実施主体あり方が検討されています。 
-  * 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関としては、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設等の許認可の審査、許認可に係る技術要件・基準の策定を、環境保護庁(EPA)が高レベル放射性廃棄物の処分に適用する環境放射線防護基準の策定の役割を担っています。+  * 高レベル放射性廃棄物処分に関わる規制行政機関としては、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設等の許認可の審査、許認可に係る技術要件・基準の策定を担い、環境保護庁(EPA)が高レベル放射性廃棄物の処分に適用する環境放射線防護基準の策定の役割を担っています。
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-<WRAP rss> +[{{ :hlw:us:organisation-us2017.png?650 |米国の処分実施体制| 
-{{:hlw:us:organisation-us.png?720&nolink|米国の処分実施体制}}\\ +<fc #080>米国の処分実施体制</fc>   
-<fc #080>米国の処分実施体制</fc> +<fs 90%>* 全米科学アカデミー(NAS)は、処分の進め方の全般にわたる意見、勧告などを行う立場にあります。</fs> 
-</WRAP>+}}]
  
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 ===== 実施主体 ===== ===== 実施主体 =====
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 しかし、現政権のユッカマウンテン計画中止の方針に伴ってOCRWMは廃止されており、DOEの原子力局(NE)がその責任を引き継いでいます。 しかし、現政権のユッカマウンテン計画中止の方針に伴ってOCRWMは廃止されており、DOEの原子力局(NE)がその責任を引き継いでいます。
  
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 ===== 安全規則・・・安全評価による安全性の確認(許認可申請)===== ===== 安全規則・・・安全評価による安全性の確認(許認可申請)=====
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 一方、ユッカマウンテンについては、EPAは全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいてユッカマウンテンのみに適用する処分の安全基準を策定すること、NRCはこの基準に適合するように技術要件基準を変更することが1992年エネルギー政策法によって規定されました。これを受けて、EPAの「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)、NRCの「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)が、それぞれ2001年6月、2001年11月に策定されました。EPAの40 CFR Part 197では、個人に対する防護や人間侵入に対しての安全基準の他に、地下水についても保護基準を設けています。 一方、ユッカマウンテンについては、EPAは全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいてユッカマウンテンのみに適用する処分の安全基準を策定すること、NRCはこの基準に適合するように技術要件基準を変更することが1992年エネルギー政策法によって規定されました。これを受けて、EPAの「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)、NRCの「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場での高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)が、それぞれ2001年6月、2001年11月に策定されました。EPAの40 CFR Part 197では、個人に対する防護や人間侵入に対しての安全基準の他に、地下水についても保護基準を設けています。
  
-EPAの40 CFR Part 197及びNRCの10 CFR Part 63は、2004年7月に、1992年エネルギー政策法の規定を満たしていないため、1万年の遵守期間が設定されている限りにおいて一部無効であるとの連邦控訴裁判所判決が出されました。+EPAの40 CFR Part 197及びNRCの10 CFR Part 63は、2004年7月に、1992年エネルギー政策法での全米科学アカデミー(NAS)の勧告に基づいて策定するとの規定を満足せずに1万年の遵守期間が設定されたことから、遵守期間が規定されている限りにおいて一部無効であるとの連邦控訴裁判所判決が出されました。
 これを受けて、EPAは2005年8月に、NRCは2005年9月に、地質学的に安定な期間(処分後100 万年間で終了すると定義されている)までの性能評価を求めるとした改定案を公表していましたが、EPAは2008年10月に、処分後の1万年から100万年後までの期間について線量基準値を1mSv/年とする連邦規則最終版を連邦官報に掲載しました。NRCは、2009年3月に、EPAの連邦規則に整合させた10 CFR Part 63の最終版を連邦官報に掲載しています。 これを受けて、EPAは2005年8月に、NRCは2005年9月に、地質学的に安定な期間(処分後100 万年間で終了すると定義されている)までの性能評価を求めるとした改定案を公表していましたが、EPAは2008年10月に、処分後の1万年から100万年後までの期間について線量基準値を1mSv/年とする連邦規則最終版を連邦官報に掲載しました。NRCは、2009年3月に、EPAの連邦規則に整合させた10 CFR Part 63の最終版を連邦官報に掲載しています。
  
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 ブルーリボン委員会が2012年1月26日に公開した最終報告書においては、過去60年間の米国の放射性廃棄物政策の歴史を検討して、輸送、貯蔵及び処分のための集中的、統合的なプログラムを実施するため、新たな、単一目標の組織が必要であるとの結論が示されています。 ブルーリボン委員会が2012年1月26日に公開した最終報告書においては、過去60年間の米国の放射性廃棄物政策の歴史を検討して、輸送、貯蔵及び処分のための集中的、統合的なプログラムを実施するため、新たな、単一目標の組織が必要であるとの結論が示されています。
 具体的な法人形態としては、議会によって設立を許可される連邦公社が最も期待できるとされ、1933年に設立されたテネシー渓谷開発公社(TVA)が既存の有用な事例とされています。 具体的な法人形態としては、議会によって設立を許可される連邦公社が最も期待できるとされ、1933年に設立されたテネシー渓谷開発公社(TVA)が既存の有用な事例とされています。
-連邦公社のような法人形態の場合、①政治的な管理の影響を受けにくい、②外部条件の変化に対応するための柔軟性などの性質をより多く有し、③費用やスケジュールを管理するための能力がより大きくなると指摘されています。また、新たな廃棄物管理法人には強力な最高経営責任者(CEO)のリーダーシップが必要とするとともに、CEOは、上院の助言及び同意によって大統領によって指名される取締役会の自己裁量で選ばれ、7年間の任期で1回の更新が可能などの具体的な提案がされています。 +連邦公社のような法人形態の場合、①政治的な管理の影響を受けにくい、②外部条件の変化に対応するための柔軟性などの性質をより多く有し、③費用やスケジュールを管理するための能力がより大きくなると指摘されています。また、新たな廃棄物管理法人には強力な最高経営責任者(CEO)のリーダーシップが必要とするとともに、CEOは、上院の助言及び同意によって大統領によって指名される取締役会の自己裁量で選ばれ、7年間の任期で1回の更新が可能などの具体的な提案がされています。
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-組織の責任の範囲については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において連邦政府に割当てられている機能に限定することが勧告されており、以下が含まれるとされています。+
  
-  * 民間及び軍事用高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分施設の立地、許認可の取得、建設、操業、最終的閉鎖対する責任。 +組織責任の範囲については、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)おいて連邦政府割当れている機能限定することが勧告さす。
-  * 直接的に貯蔵施設を立地する、それの許認可を取得する、建設する、操業することによっ民間の使用済燃料の集中貯蔵容量を提供する、あるいはそのような容量を、受入州及び他の影響を受ける行政単位の合意を得て確立し、許認可を受けて有している民間団体と契約を結ぶことよって民間の使用済燃料の集中貯蔵容量を提供することに対する責任。 +
-  * 電力会社から処分のために民間使用済燃料を受入た時点でその使用済燃料を輸送することに対する責任。 +
-  * 貯蔵、輸送及び地層処分に関連のある一般的ではな研究開発活動、ならびに放射性廃棄物管理の社会的側面に関る一般的ではない研究開発を実施することに対する責任+
  
 +なお、連邦議会の上院で検討されている「2015年放射性廃棄物管理法」の法案では、実施主体はブルーリボン委員会が勧告する公企業ではなく、行政府に置かれる独立の連邦政府機関とすること、その長官は長期在任が可能なこと、独立の監視委員会を設置することなどが提案されています。
  
  
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 ====== 3.2 処分に関わる法制度 ====== ====== 3.2 処分に関わる法制度 ======
  
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   * 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)は、処分事業の実施をエネルギー長官が行い、そのための実施主体としてDOE の内部に民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)を設置することを定めています。   * 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)は、処分事業の実施をエネルギー長官が行い、そのための実施主体としてDOE の内部に民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)を設置することを定めています。
   * 放射性廃棄物処分場としてのサイトの適合性評価に使用する規定としては、「放射性廃棄物処分場のサイト推薦のための一般指針」(10 CFR Part 960)が定められており、全ての選定段階に適用することを規定しています。ただし、1982年放射性廃棄物政策法の1987年の修正によって、ユッカマウンテンがサイト特性調査を実施する唯一の処分候補地となったのを受け、ユッカマウンテンサイトの処分場サイトとしての適合性を判定するためにDOE が適用する手法及び基準を規定した、「ユッカマウンテン・サイト適合性指針」(10 CFR Part 963)が定められています。   * 放射性廃棄物処分場としてのサイトの適合性評価に使用する規定としては、「放射性廃棄物処分場のサイト推薦のための一般指針」(10 CFR Part 960)が定められており、全ての選定段階に適用することを規定しています。ただし、1982年放射性廃棄物政策法の1987年の修正によって、ユッカマウンテンがサイト特性調査を実施する唯一の処分候補地となったのを受け、ユッカマウンテンサイトの処分場サイトとしての適合性を判定するためにDOE が適用する手法及び基準を規定した、「ユッカマウンテン・サイト適合性指針」(10 CFR Part 963)が定められています。
-  * なお、2006年及び2007 年には、ユッカマウテンでの処分量上限撤廃許認可手続迅速化など1982年放射性廃棄物政策法の修正を含めた立措置の提案がDOE からなされています。+  * なお、ブルーリボ委員会最終報告書で示された勧告を受けて、同意に基づくサイト選定プロセスによる処分場及び中間貯蔵施設開発新たな実施主体設置などを図る「2013年放射性廃棄物管理の法案の検討連邦議会上院で行われています。
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hlw/us/chap3.txt · 最終更新: 2018/05/02 12:51 by sahara.satoshi