hlw:uk:chap3
差分
このページの2つのバージョン間の差分を表示します。
両方とも前のリビジョン前のリビジョン次のリビジョン | 前のリビジョン最新のリビジョン両方とも次のリビジョン | ||
hlw:uk:chap3 [2012/03/21 23:08] – 外部編集 127.0.0.1 | hlw:uk:chap3 [2017/05/09 16:27] – ss12955jp | ||
---|---|---|---|
行 1: | 行 1: | ||
- | ~~bc: | + | ~~ShortTitle: |
<WRAP pagetitle> | <WRAP pagetitle> | ||
==HLW: | ==HLW: | ||
</ | </ | ||
- | {{ : | + | {{: |
- | <select 英国…> | + | |
- | : | + | |
- | : | + | |
- | : | + | |
- | : | + | |
- | : | + | |
- | : | + | |
- | : | + | |
- | </ | + | |
- | <WRAP clear></WRAP> | + | |
- | ======英国====== | + | <WRAP nodisp noprint> |
+ | ====== 英国における高レベル放射性廃棄物処分 | ||
+ | </ | ||
- | <fs x-small> | + | -->全体構成(章別)# |
- | {{: | + | |
- | </fs> | + | |
+ | <WRAP col2> | ||
+ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
+ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
+ | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | ||
+ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
+ | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | ||
+ | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | ||
+ | </ | ||
+ | |||
+ | <-- | ||
+ | |||
+ | {{INLINETOC}} | ||
+ | |||
+ | |||
+ | \\ | ||
+ | {{anchor: | ||
====== 3. 処分事業に係わる制度/実施体制 ====== | ====== 3. 処分事業に係わる制度/実施体制 ====== | ||
行 27: | 行 33: | ||
====== 3.1 実施体制 ====== | ====== 3.1 実施体制 ====== | ||
- | < | + | <WRAP round box> |
- | * 英国では、政府が高レベル放射性廃棄物等の処分における放射性廃棄物管理方針の決定、サイト選定の実施などを行っています。高レベル放射性廃棄物処分の安全規制は、保健安全執行部(HSE)等が担当しています。 | + | {{: |
- | * 実施主体は原子力廃止措置機関(NDA)です。地層処分場の計画立案及び開発は、NDAの内部組織の放射性廃棄物管理局(RWMD)が担当しています。 | + | * 英国では、政府が高レベル放射性廃棄物等の処分における放射性廃棄物管理方針の決定、サイト選定の実施などを行っています。高レベル放射性廃棄物処分の安全規制は、原子力規制局(ONR)や各自治政府が設置している環境規制当局が担当しています。 |
+ | * 原子力廃止措置機関(NDA)は、放射性廃棄物の長期管理に関する政府の政策を実施します。地層処分に関する政府の政策の実施は、NDA の完全子会社である放射性廃棄物管理会社(RWM 社)が担当しています。 | ||
</ | </ | ||
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
行 35: | 行 42: | ||
===== 実施体制の枠組み ===== | ===== 実施体制の枠組み ===== | ||
- | <WRAP rss right box 350px> | + | 英国では、英国政府〔ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)〕及び自治政府〔ウェールズ政府(WG)と北アイルランド政府〕が、放射性廃棄物の管理及び方針の決定、サイト選定プログラムの実施、ステークホルダーとの連携などに対する責任を有しています。 |
- | **[3]各自治政府が設置している環境規制当局国**の名称 \\ | + | 英国政府及び自治政府に助言を与える諮問組織として、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)があり、地層処分の具体化に向けた実施計画を独立に精査する役割が与えられています。 |
- | 連合王国を構成するイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各自治政府が設置している環境規制当局は以下の通りです。 | + | |
- | *イングランドとウェールズ:環境規制機関(EA) | + | [{{:hlw:uk:実施体制2017.png? |
- | *スコットランド:スコットランド環境保護局(SEPA) | + | <fc #080>放射性廃棄物処分の実施体制</ |
- | *北アイルランド:北アイルランド環境省(DoENI) | + | }}] |
- | + | ||
- | イングランドとウェールズは、共同で1つの環境規制当局を設置しています。 | + | |
- | </ | + | |
- | + | ||
- | + | ||
- | 英国では、エネルギー・気候変動省(DECC)、環境・食糧・農村地域省(Defra)、ウェールズ政府(WG)及び北アイルランド環境省(DoENI)が、放射性廃棄物の管理及び方針の決定、サイト選定プログラムの実施、ステークホルダーとの連携などに対する責任を有しています。英国政府及び自治政府に助言を与える諮問組織として、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)があり、地層処分の具体化に向けた実施計画を独立に精査する役割が与えられています。 | + | |
- | + | ||
- | 放射性廃棄物を処分するためには2つの許可―①放射性廃棄物を処分するための許可、②原子力施設の操業及び建設などの許可―が必要です。放射性廃棄物を処分するための許可は、連合王国を構成する各自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)が設置している環境規制当局が発給します[**3**]。この許可発給は、処分場の立地点に応じて異なり、例えば、処分場の立地点がイングランド領域内であれば、イングランドを管轄する環境規制当局が行うことになります。また、原子力施設の操業及び建設などの許可は、原子力規制局 (ONR)が発給します。ONRは、保健安全執行部 (HSE)の内部組織ですが、将来的にはHSEから独立し、原子力施設に係る安全管理や放射性廃棄物の輸送などを所管する独立した規制当局となる予定です。 | + | |
- | + | ||
- | 英国では、地層処分の実施面において、地元の主体的参加と地域とのパートナーシップが重視されており、この戦略を2008年6月の政府白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」で明確にしています。パートナーシップは法律で設置されたり、住民に行政サービスを直接提供する組織ではありませんが、地域の戦略的意思決定を行うレベルで活動し、加盟する自治体の意思決定に助言を行います。地層処分場プロジェクトについても、その立地選定から建設/操業などの課題に取り組むパートナーシップを設立することになっています。 | + | |
\\ | \\ | ||
- | <WRAP rss> | + | 英国では、放射性廃棄物を処分するためには、2つの許可 ─ ①放射性廃棄物を処分するための許可、②原子力施設の操業及び建設などの許可(原子力サイト許可) ─ の両方が必要です。 |
- | {{: | + | * 放射性廃棄物を処分するための許可は、連合王国を構成する各自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)が設置している環境規制当局が発給します。例えば、処分場の立地点がイングランド領域内であれば、イングランドを管轄する環境規制機関(EA)が行います。 |
- | 英国における放射性廃棄物処分の実施体制\\ | + | * 原子力施設の操業及び建設などの許可は、原子力規制局(ONR)が発給します。ONR は、保健安全執行部(HSE)の内部組織でしたが、2013年エネルギー法により、原子力施設に係る安全管理や放射性廃棄物の輸送などを所管する独立した規制当局になっています。 |
- | <fs 90%> | + | |
- | <fc red> | + | 英国では、地層処分の実施面において、自治体と協力して作業を進める主体的参加方式を取り入れています。自治体は、地層処分施設のサイト選定プロセスに関して実施主体と正式な話し合いを開始することができます。また、十分な情報が提供された上での地 |
- | - 規制機関欄:保健安全執行部(HSE) => 保健安全執行部(HSE)、原子力規制局(ONR) | + | 層処分施設の受け入れに関する住民の支持を調査・確認するまで、いつでも撤退できるとしています。 |
- | - 政府欄:ウェールズ議会政府(WAG => ウェールズ政府(WG) | + | |
- | </ | ||
- | + | <WRAP clear/> | |
- | <WRAP clear></WRAP> | + | |
\\ | \\ | ||
===== 実施主体 ===== | ===== 実施主体 ===== | ||
- | 英国の高レベル放射性廃棄物の処分実施主体は、原子力廃止措置機関(NDA)です。NDAは、老朽化した原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物の中間貯蔵を安全に行うために、2005年に設立された政府の外郭団体です。英国における放射性廃棄物の処分方針の策定を受けて、それらの処分を実施する役割が加えられました。処分方針の決定後に必要な法改正が行われ、2007年4月より処分実施主体となりました。同時に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分場の計画立案や開発のほか、地層処分以外の方法で処分する放射性廃棄物の全体計画立案などを行うために、NDAの内部組織として放射性廃棄物管理局(RWMD)が設置されています。NDAは、将来的にRWMDを分離・企業化する方針です。 | + | 英国の放射性廃棄物の長期管理に関する政府の政策は原子力廃止措置機関(NDA)が実施し、高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する政府の政策は放射性廃棄物管理会社(RWM社)が実施します。NDAは、老朽化した原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物の中間貯蔵を安全に行うために、2005年に設立された政府外公共機関です。英国における放射性廃棄物の処分方針の策定を受けて、それらの処分を実施する役割が加えられました。処分方針の決定後に必要な法改正が行われ、2007年4月より処分実施主体となりました。同時に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分場の計画立案や開発のほか、地層処分以外の方法で処分する放射性廃棄物の全体計画立案などを行うために、NDAの内部組織として放射性廃棄物管理局(RWMD)を設置しました。NDAは、2014年4月にRWMDを分離し、NDAの完全子会社として、放射性廃棄物管理会社(RWM社)を設立しました。 |
- | <WRAP clear></WRAP> | + | |
+ | <WRAP clear/> | ||
\\ | \\ | ||
- | ===== 安全規則 | + | ===== 安全規則 ===== |
- | <WRAP rss right 350px> | + | <WRAP rss right 300px> |
- | {{: | + | {{: |
地層処分施設の許可要件に関するガイダンス\\ | 地層処分施設の許可要件に関するガイダンス\\ | ||
<fs 70%> | <fs 70%> | ||
- | \\ \\ \\ \\ \\ \\ | ||
</ | </ | ||
- | 英国では、2009年2月にイングランドとウェールズの環境規制機関(EA)などが、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設に関する許可申請を検討する際の基礎となる原則及び要件について記載した「地層処分施設の許可要件に関するガイダンス」を策定しました。このなかで、地層処分施設の開発者・操業者が満たすべき管理要件、サイトの使用、当該施設の設計、建設、操業及び閉鎖に関して満たさなければならない放射線学的及び技術的な要件などを示しています。 | + | 英国では、2009年2月当時、イングランドとウェールズを所掌していた環境規制機関(EA)などが、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設に関する許可申請を検討する際の基礎となる原則及び要件について記載した「地層処分施設の許可要件に関するガイダンス」を策定しました。このなかで、地層処分施設の開発者・操業者が満たすべき管理要件、サイトの使用、当該施設の設計、建設、操業及び閉鎖に関して満たさなければならない放射線学的及び技術的な要件などを示しています。 |
- | <WRAP clear></WRAP> | + | <WRAP clear/> |
- | <WRAP rss right 350px> | + | <WRAP rss right 300px> |
- | {{popup>: | + | {|style=" |
- | {{:hlw:uk:safety-ea-guidance.png? | + | |+ style=" |
+ | |- | ||
+ | |style=" | ||
+ | |style=" | ||
+ | |- | ||
+ | |style=" | ||
+ | |- | ||
+ | |style=" | ||
+ | |style=" | ||
+ | |} | ||
- | < | + | < |
- | \\ \\ \\ \\ \\ \\ | + | |
</ | </ | ||
- | |||
- | |||
- | |||
地層処分の基本防護目標として「処分時及び将来において、人間の健康、利益及び環境の健全性が守られるとともに、人々の信頼を喚起し、費用を考慮した方法によって実行」するとしています。また、地層処分場が閉鎖された後の制度的な管理期間では、最も大きなリスクを受ける人間を代表する個人が、一つの地層処分施設から受ける放射線学的リスクが10< | 地層処分の基本防護目標として「処分時及び将来において、人間の健康、利益及び環境の健全性が守られるとともに、人々の信頼を喚起し、費用を考慮した方法によって実行」するとしています。また、地層処分場が閉鎖された後の制度的な管理期間では、最も大きなリスクを受ける人間を代表する個人が、一つの地層処分施設から受ける放射線学的リスクが10< | ||
行 113: | 行 110: | ||
\\ | \\ | ||
{{anchor: | {{anchor: | ||
+ | /* ################################################################################################ | ||
====== 3.2 処分に関わる法制度 ====== | ====== 3.2 処分に関わる法制度 ====== | ||
行 125: | 行 123: | ||
<WRAP left 400px> | <WRAP left 400px> | ||
- | {{zoom>: | + | {{zoom 400 position:' |
<fs 80%> | <fs 80%> | ||
</ | </ | ||
行 139: | 行 137: | ||
<WRAP left 400px> | <WRAP left 400px> | ||
- | {{zoom>: | + | {{zoom 400 position:' |
<fs 80%> | <fs 80%> | ||
</ | </ | ||
行 153: | 行 151: | ||
<WRAP left 400px> | <WRAP left 400px> | ||
- | {{zoom>: | + | {{zoom 400 position:' |
<fs 80%> | <fs 80%> | ||
</ | </ | ||
行 165: | 行 163: | ||
<WRAP left 400px> | <WRAP left 400px> | ||
- | {{zoom>: | + | {{zoom 400 position:' |
<fs 80%> | <fs 80%> | ||
</ | </ | ||
行 178: | 行 176: | ||
<WRAP left 400px> | <WRAP left 400px> | ||
- | {{zoom>: | + | {{zoom 400 position:' |
<fs 80%> | <fs 80%> | ||
</ | </ | ||
行 185: | 行 183: | ||
</ | </ | ||
+ | ################################################################################################ | ||
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
行 193: | 行 192: | ||
---- | ---- | ||
- | <fs x-small> | + | -->全体構成^ |
- | {{: | + | {{: |
- | </ | + | |
- | <select 英国…> | + | |
: | : | ||
: | : | ||
: | : | ||
- | : | ||
: | : | ||
+ | : | ||
: | : | ||
+ | : | ||
: | : | ||
</ | </ | ||
+ | |||
+ | <WRAP col2> | ||
+ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
+ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
+ | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | ||
+ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
+ | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | ||
+ | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | ||
+ | </ | ||
+ | |||
+ | <-- | ||
+ | |||
hlw/uk/chap3.txt · 最終更新: 2017/10/27 18:49 by 127.0.0.1