諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

Learn from foreign experiences in HLW management

ユーザ用ツール

サイト用ツール


hlw:se:chap6

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
次のリビジョン
前のリビジョン
最新のリビジョン両方とも次のリビジョン
hlw:se:chap6 [2013/12/21 15:04] – 2014年版向けに更新 sahara.satoshihlw:se:chap6 [2016/03/22 18:08] – [地元協議・コミュニケーションを支える財政支援] sahara.satoshi
行 1: 行 1:
-~~bc:6.安全確保の取り組み・コミュニケーション~~+~~ShortTitle:6.安全確保の取り組み・コミュニケーション~~
 <WRAP pagetitle> <WRAP pagetitle>
 ==HLW:SE:chap6== ==HLW:SE:chap6==
行 96: 行 96:
 実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、研究開発のなかで処分場の長期安全性を評価する方法の開発を継続的に進めています。これまでにSKB社は安全評価の取りまとめを、サイト調査の候補地を選定する前(フィージビリティ調査の実施期間内)、ならびに詳細特性調査の候補地1カ所を選定する前(サイト調査の実施期間内)に実施しています。これらの安全評価を実施する目的の一つは、サイト選定プロセスにおける自治体や関係機関の意思決定に役立てることです。このことは、SKB社が3年ごとに取りまとめる「研究開発実証プログラム」の規制機関及び政府による審査・承認のサイクルを通じて決定されました。なお、政府は1995年5月に、詳細特性調査は処分場建設の一部であるとの見解を示しており、詳細特性調査の候補地1カ所を選定する前の安全評価は、処分場の建設許可申請に必要となる安全評価として位置付けられています。 実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、研究開発のなかで処分場の長期安全性を評価する方法の開発を継続的に進めています。これまでにSKB社は安全評価の取りまとめを、サイト調査の候補地を選定する前(フィージビリティ調査の実施期間内)、ならびに詳細特性調査の候補地1カ所を選定する前(サイト調査の実施期間内)に実施しています。これらの安全評価を実施する目的の一つは、サイト選定プロセスにおける自治体や関係機関の意思決定に役立てることです。このことは、SKB社が3年ごとに取りまとめる「研究開発実証プログラム」の規制機関及び政府による審査・承認のサイクルを通じて決定されました。なお、政府は1995年5月に、詳細特性調査は処分場建設の一部であるとの見解を示しており、詳細特性調査の候補地1カ所を選定する前の安全評価は、処分場の建設許可申請に必要となる安全評価として位置付けられています。
  
-SKB社が実施するこれらの処分場の長期安全性の評価結果は「安全報告書」(<acronym title="Safety Report">SR</acronym>)として取りまとめられています。この報告書は「研究開発実証プログラム」の審査と同様に規制機関に提出され規制機関が原子力廃棄物評議会といった評価機関や他の行政機関、サイト選定に関係する調査が実施されている自治体などから意見を収集するとともに、それらを踏まえた意見書を政府に提出します。+SKB社が実施するこれらの処分場の長期安全性の評価結果は「安全報告書」(<abbr>SR [Safety Report]</abbr>)として取りまとめられています。この報告書は規制機関に提出され、「研究開発実証プログラム」の場合と同様にレビューを受けます。規制機関、原子力廃棄物評議会や他の行政機関、サイト選定に関係する調査が実施されている自治体などから意見を収集するとともに、それらを踏まえた意見書を政府に提出します。
  
  
行 160: 行 160:
 <WRAP rss right 320px> <WRAP rss right 320px>
 <fc #080>原子力廃棄物基金から自治体等への交付額</fc> <fc #080>原子力廃棄物基金から自治体等への交付額</fc>
-^ 交付先 ^ 交付金額(2012年度) ^ +^ 交付先 ^ 交付金額(2014年度) ^ 
-|オスカーシャム自治体      269万SEK\\ (4,030万円)| +|オスカーシャム自治体      265.8万SEK\\ (3,721万円)| 
-|エストハンマル自治体      821万SEK\\ (1億2,320万円)| +|エストハンマル自治体      681.4万SEK\\ (9,540万円)| 
-|ウプサラ県域連合          113万SEK\\ (1,690万円)| +|ウプサラ県域連合          156.0万SEK\\ (2,184万円)| 
-|カルマル県域連合           81万SEK\\ (1,220万円)| +|カルマル県域連合           89.5万SEK\\ (1,253万円)| 
-|  合計                  1,283万SEK\\ (1億9,250万円)|+|  合計                  1,192.7万SEK\\ (1億6,698万円)|
  
-<fs 80%>1SEK(スウェーデン・クローネ)=15円で換算、</fs>+<fs 80%>1SEK(スウェーデン・クローネ)=14円で換算、</fs>
 <fs 80%>四捨五入のため合計は合わない</fs>\\ <fs 80%>四捨五入のため合計は合わない</fs>\\
 <fs 70%>source: 原子力廃棄物基金理事会 年次報告書 //Kärnavfallsfonden//</fs> <fs 70%>source: 原子力廃棄物基金理事会 年次報告書 //Kärnavfallsfonden//</fs>
行 177: 行 177:
 高レベル放射性廃棄物の処分場のサイト選定に向けて、SKB社が実施する各段階での調査を受け入れた自治体では、調査に関連した議論を行う“地元協議”が開催されています。自治体は、主体的に意思決定を行うために、地元社会における影響をさまざまな角度から検討する組織を設けています。それらの組織には住民も参加しており、SKB社から調査状況の報告や質疑応答が行われるほか、住民間での情報伝達や協議の場ともなっています。こうした活動は、自治体が意思を決める上で重要なものと考えられています。自治体職員や議員、住民を含む協議組織を設置して懸案事項を協議する仕組みは、スウェーデンにおける地方自治の歴史の中で培われてきたものです。 高レベル放射性廃棄物の処分場のサイト選定に向けて、SKB社が実施する各段階での調査を受け入れた自治体では、調査に関連した議論を行う“地元協議”が開催されています。自治体は、主体的に意思決定を行うために、地元社会における影響をさまざまな角度から検討する組織を設けています。それらの組織には住民も参加しており、SKB社から調査状況の報告や質疑応答が行われるほか、住民間での情報伝達や協議の場ともなっています。こうした活動は、自治体が意思を決める上で重要なものと考えられています。自治体職員や議員、住民を含む協議組織を設置して懸案事項を協議する仕組みは、スウェーデンにおける地方自治の歴史の中で培われてきたものです。
  
-こうした自治体にとって不可欠な活動を支援するために、自治体が住民向けに行う情報提供活動の費用は、原子力廃棄物基金で賄えることが資金確保法で定められています。自治体は、予算を放射線安全機関(SSM)に申請し、交付金を事前に受け取ります。この交付金の額は、1自治体あたり年間最大500万スウェーデン・クローネ(7,500万円)まではSSMが決定し、それを超える場合には政府が決定します。+こうした自治体にとって不可欠な活動を支援するために、自治体が住民向けに行う情報提供活動の費用は、原子力廃棄物基金で賄えることが資金確保法で定められています。自治体は、予算を放射線安全機関(SSM)に申請し、交付金を事前に受け取ります。この交付金の額は、1自治体あたり年間最大500万スウェーデン・クローネ(7,000万円)まではSSMが決定し、それを超える場合には政府が決定します。
  
 交付金は主に、住民向けのセミナーなどの開催費用のほか、協議に参加する自治体の議会議員や職員の人件費として使用されています。 交付金は主に、住民向けのセミナーなどの開催費用のほか、協議に参加する自治体の議会議員や職員の人件費として使用されています。
hlw/se/chap6.txt · 最終更新: 2017/05/23 19:54 by 127.0.0.1