諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:de:chap5 [2013/10/08 16:13] – 外部編集 127.0.0.1hlw:de:chap5 [2017/05/08 10:12] – [5.2 処分費用の見積もり] ss12955jp
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-~~bc:5.処分事業の資金確保~~+~~ShortTitle:5.処分事業の資金確保~~
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 ==HLW:DE:chap5== ==HLW:DE:chap5==
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 ====== 5.1 処分費用の確保(制度) ====== ====== 5.1 処分費用の確保(制度) ======
  
-<WRAP tip round box> +<WRAP round box> 
-  * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、全額廃棄物発生者が負担することが原子力法で定められています。処分費用を積み立てるための公的な基金制度は存在せず、廃棄物発生者である電力会社等が引当金を確保しています。現段階で発生する費用については、実施主体である連邦政府に対して、原子力発電事業者が支払ことが義務付けらてい+{{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}} 
 +  * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、全額廃棄物発生者が負担することが原子力法で定められています。 
 +  * 処分費用を積み立てるための公的な基金制度は存在せず、廃棄物発生者である電力会社等が引当金を確保し現段階で発生する費用については、処分場の設置・運営の責任を有する連邦政府に対して、原子力発電事業者が毎年支払いを行っていました。しかし、2016 年に新たな法律が制定され、公的な基金を設置し処分費用などを管理することが決定されました
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 ===== 処分費用の負担者 ===== ===== 処分費用の負担者 =====
  
-ドイツの原子力法に基づき、放射性廃棄物処分場の設置・運営は連邦政府の責任で実施されます。連邦政府はこの処分場利用て処分する放射性廃棄物の発生者から、経費を徴収することが定められていまた、廃棄物発生者連邦政府を負担す以外自らの廃棄物の処理、貯蔵処分までの輸送、放射性廃棄物管理全般に関る費用負担+ドイツでは、廃棄物発生者はこれまで引当金として放射性廃棄物管理費用を確保してきました。しかし2016 年に新たな法律が制定され、公的基金設置し放射性廃棄物管理管理することとなりした。廃棄物発生者基金に対して放射性廃棄物管理将来用と、リスクに備えための保険料を払い込む代わりに、放射性廃棄物の輸送中間貯蔵から処分までは連邦政府責任で行うこととりました。 
 + 
 +今後、資金確保を含め、放射性廃棄物管理に関責任は連邦政府に移行し、基金への払い込み完了後は、費用が増大した場合でも、廃棄物発生者が追加の負担を求められることはありせん 
  
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 ===== 処分費用の確保制度 ===== ===== 処分費用の確保制度 =====
  
-放射性廃棄物処分場については、そ施設に関した研究開発から計画、探査建設及び維持責任は連邦政府にあり連邦放射線防護庁(BfS)が実施します。これらのBfS活動のために連邦が支出した経は「**前払令**」という政令基づき、原子力発電事業者などが決められた比率に基づいて連邦政府に毎「前払納付します。+ドイツでは、これまで放射性廃棄物管理費用確保に関する公的な基金制度はありませんでした。このため原子力発電事業者などは原子炉廃止措置のための費用や、放射性廃棄物管理のために発生する将来用を引当金として確保してました。 
 +しかし、資金確保制度のあり方ついては「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」が2015年10月に設置され検討が行われた結果、2016年4月に公的基金の設置などの勧告行わまし。この勧告に基づき、201612月に公的基の設置等規定た法律が制定されました。この法律により、廃棄物発生者である電力会社は、基金に対して放射性廃棄物管理の将来費用として約174億ユーロ(約1兆9,800億円)及びリスクに備えるための保険料として約62 億ユーロ(約7,070億円)を払い込むことになります。
  
 +払い込み後は、放射性廃棄物管理費用は、この基金から支払われ、不足した場合には連邦政府が負担することになります。なお、基金で賄われる放射性廃棄物管理費用には、放射性廃棄物の輸送、中間貯蔵、処分場の建設・操業・閉鎖の費用が含まれます。
  
-<WRAP rss right 300px> +<WRAP clear/>
-{{:hlw:de:provision-breakdown-de.png?250&nolink|2002年における廃棄物発生者の引当金総額の構成}}\\ +
-<fc #080>2002年における廃棄物発生者の引当金総額の構成</fc>\\ +
-<fs 90%>放射性廃棄物管理のための引当金には、高レベル放射性廃棄物以外の管理のための費用です。</fs> +
-</WRAP> +
- +
-これ以外の放射性廃棄物管理のために必要な費用確保に関して、ドイツでは公的な基金制度はありません。このため、原子力発電事業者などは、原子炉の廃止措置のための費用や、高レベル放射性廃棄物を含む全ての放射性廃棄物の管理のために発生する将来費用を引当金として確保しています。 +
- +
-2002年に連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が各廃棄物発生者の引当金を集計した結果によると、総額で約350億ユーロ(約3兆6,100億円)です。この金額のうち、約55%が放射性廃棄物管理に必要な金額(廃止措置以外の目的で引き当てている額)とされています。 +
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 ====== 5.2 処分費用の見積もり ====== ====== 5.2 処分費用の見積もり ======
  
-ゴアレーベンでの探査活動凍結される前、同地に処分場建設するまで要する費用を連邦放射線防護庁BfSが試算した結果、処分場の設費用236,300万ユーロ(約2,430億円)(1997年末での金額)でした。 +連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)2015年公表した見積りよると、発熱性放射性廃棄物処分場建設・操業・閉鎖る費用は、約77億ユーロ約8,800億円)です。このうち、処分場の費用39億ユーロ(約4,400億円)、操業の費用が約34億ユーロ約3,900億円)、閉鎖費用が4億ユーロ(約460億円)となっています。
- +
-またゴアレーベンで調査研究費(地下探査坑道の建設を含むとして1977年~2010年末まで支出額の累積は155,900万ユーロ(約1,610億円)となっています。+
  
 +また、サイト選定法に基づくサイト選定のための費用は、20億ユーロ(約2,280億円)と見積もられています。
  
  
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 <WRAP note> <WRAP note>
-<wrap lo>備考:通貨換算には、[[http://www.boj.or.jp/about/services/tame/tame_rate/kijun/kiju1212.htm/|日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート]](平成24年12月中において適用)を使用しています。</wrap> +<wrap lo>備考:通貨換算には、[[http://www.boj.or.jp/about/services/tame/tame_rate/kijun/kiju1612.htm/|日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート]](平成28年12月中において適用)を使用しています。</wrap> 
-  * <wrap lo>1ユーロ=103円として換算</wrap>+  * <wrap lo>1ユーロ=114円として換算</wrap>
 </WRAP> </WRAP>
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hlw/de/chap5.txt · 最終更新: 2018/05/02 16:50 by sahara.satoshi