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====== 5.1 処分費用の確保(制度) ====== | ====== 5.1 処分費用の確保(制度) ====== | ||
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- | * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、全額廃棄物発生者が負担することが原子力法で定められています。処分費用を積み立てるための公的な基金制度は存在せず、廃棄物発生者である電力会社等が引当金を確保しています。現段階で発生する費用については、実施主体である連邦政府に対して、原子力発電事業者が支払うことが義務付けられています。 | + | {{: |
+ | * 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、全額廃棄物発生者が負担することが原子力法で定められています。 | ||
+ | * 処分費用を積み立てるための公的な基金制度は存在せず、廃棄物発生者である電力会社等が引当金を確保し、現段階で発生する費用については、処分場の設置・運営の責任を有する連邦政府に対して、原子力発電事業者が毎年支払いを行っていました。しかし、2016 年に新たな法律が制定され、公的な基金を設置し処分費用などを管理することが決定されました。 | ||
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===== 処分費用の負担者 ===== | ===== 処分費用の負担者 ===== | ||
- | ドイツの原子力法に基づき、放射性廃棄物処分場の設置・運営は、連邦政府の責任で実施されます。連邦政府は、この処分場を利用して処分する放射性廃棄物の発生者から、経費を徴収することが定められています。また、廃棄物の発生者は、連邦政府の経費を負担する以外にも、自らの廃棄物の処理、貯蔵、処分場までの輸送など、放射性廃棄物管理全般に関わる費用を負担します。 | + | ドイツでは、廃棄物の発生者は、これまで引当金として放射性廃棄物管理費用を確保してきました。しかし、2016 年に新たな法律が制定され、公的基金を設置し放射性廃棄物管理費用を管理することとなりました。廃棄物発生者が、基金に対して放射性廃棄物管理の将来費用と、リスクに備えるための保険料を払い込む代わりに、放射性廃棄物の輸送、中間貯蔵から処分までは連邦政府の責任で行うこととなりました。 |
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+ | 今後、資金確保を含め、放射性廃棄物管理に関する責任は連邦政府に移行し、基金への払い込み完了後は、費用が増大した場合でも、廃棄物発生者が追加の負担を求められることはありません。 | ||
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===== 処分費用の確保制度 ===== | ===== 処分費用の確保制度 ===== | ||
- | 放射性廃棄物処分場については、その施設に関連した研究開発から、計画、探査、建設及び維持の責任は連邦政府にあり、連邦放射線防護庁(BfS)が実施します。これらのBfSの活動のために連邦が支出した経費は「**前払金令**」という政令に基づき、原子力発電事業者などが決められた比率に基づいて連邦政府に毎年「前払金」を納付します。 | + | ドイツでは、これまで放射性廃棄物管理費用の確保に関する公的な基金制度はありませんでした。このため、原子力発電事業者などは、原子炉の廃止措置のための費用や、放射性廃棄物の管理のために発生する将来費用を引当金として確保していました。 |
+ | しかし、資金確保制度のあり方については、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」が2015年10月に設置され検討が行われた結果、2016年4月に公的基金の設置などの勧告が行われました。この勧告に基づき、2016年12月に公的基金の設置等を規定した法律が制定されました。この法律により、廃棄物発生者である電力会社は、基金に対して放射性廃棄物管理の将来費用として約174億ユーロ(約1兆9, | ||
+ | 払い込み後は、放射性廃棄物管理費用は、この基金から支払われ、不足した場合には連邦政府が負担することになります。なお、基金で賄われる放射性廃棄物管理費用には、放射性廃棄物の輸送、中間貯蔵、処分場の建設・操業・閉鎖の費用が含まれます。 | ||
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- | 2002年における廃棄物発生者の引当金総額の構成\\ | + | |
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- | これ以外の放射性廃棄物管理のために必要な費用確保に関して、ドイツでは公的な基金制度はありません。このため、原子力発電事業者などは、原子炉の廃止措置のための費用や、高レベル放射性廃棄物を含む全ての放射性廃棄物の管理のために発生する将来費用を引当金として確保しています。 | + | |
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- | 2002年に連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)が各廃棄物発生者の引当金を集計した結果によると、総額で約350億ユーロ(約3兆6, | + | |
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====== 5.2 処分費用の見積もり ====== | ====== 5.2 処分費用の見積もり ====== | ||
- | ゴアレーベンでの探査活動が凍結される前に、同地に処分場を建設するまでに要する費用を連邦放射線防護庁(BfS)が試算した結果では、処分場の設置費用は約23億6,300万ユーロ(約2,430億円)(1997年末での金額)でした。 | + | 連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)が2015年に公表した見積りによると、発熱性放射性廃棄物処分場の建設・操業・閉鎖に係る費用は、約77億ユーロ(約8, |
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- | また、ゴアレーベンでの調査研究費(地下探査坑道の建設を含む)として、1977年~2010年末までの支出額の累積は約15億5,900万ユーロ(約1,610億円)となっています。 | + | |
+ | また、サイト選定法に基づくサイト選定のための費用は、20億ユーロ(約2, | ||
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hlw/de/chap5.txt · 最終更新: 2018/05/02 16:50 by sahara.satoshi