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hlw:ch:chap4 [2013/03/20 14:42] – 2013年版発行を反映 sahara.satoshi | hlw:ch:chap4 [2015/05/26 20:04] – [サイト選定の第3段階の作業予定(2016年~)] sahara.satoshi | ||
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====== 4.1 処分地の選定手続き・経緯 ====== | ====== 4.1 処分地の選定手続き・経緯 ====== | ||
- | < | + | <WRAP round box> |
- | * スイスにおける放射性廃棄物処分場のサイト選定は、連邦政府が策定した**特別計画「地層処分場」**に従い、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)がサイトを提案し、連邦政府が審査する3段階の手続きで行われています。2011年12月には、第1段階の完了と第2段階の開始が公表されました。選定されたサイトは、プロジェクトの基本的事項などを定める連邦評議会による許可である概要承認の発給を受けて確定されますが、概要承認は一定数の国民の発案があった場合には国民投票の対象となります。 | + | {{: |
+ | * スイスにおける放射性廃棄物処分場のサイト選定は、連邦政府が策定した**特別計画「地層処分場」**で取り決めた3段階のプロセスで進められています。特別計画の手続きを進めていく中で、地層処分プロジェクトの具体的な姿を定めていき、最終的にプロジェクトの基本的事項を定める「概要承認」の内容を決定します。2011 年12 月から第2 段階が開始されており、6 つの地質学的候補エリアが特定されています。処分地は連邦評議会が概要承認の発給(許可)を受けて確定しますが、一定数の国民の発案があった場合には国民投票の対象となります。 | ||
</ | </ | ||
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
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===== 処分地選定の進め方…プロジェクト確定手続き ===== | ===== 処分地選定の進め方…プロジェクト確定手続き ===== | ||
- | <WRAP rss right 350px> | + | <WRAP rss right 300px> |
- | {{: | + | {{: |
- | {{popup>: | + | <fc #080> |
</ | </ | ||
- | スイスの連邦評議会は、原子力令(2005年2月施行)において、「放射性廃棄物処分に関する拘束力のある目標及び基準を“特別計画”で定める」と規定しています。この**特別計画**は、地層処分場に関するプロジェクトに限定されず、地域と環境に重大な影響を及ぼすプロジェクト―例えばエネルギーインフラや交通網など―を確定する手続きとして都市計画法で定められています(ドイツ語ではザッハプランといいます)。 | + | スイスの連邦評議会は、原子力令(2005 年2月施行)において、「放射性廃棄物処分に関する拘束力のある目標及び基準を“特別計画”で定める」と規定しています。**特別計画**とは、地域と環境に重大な影響を及ぼすプロジェクト―例えばエネルギーインフラや交通網など―を確定する手続きとして都市計画法で定められている手続きです(ドイツ語では< |
- | 地層処分場のサイト選定の段階的な手順とスケジュールは、右の図に示すように、特別計画の形で事前に取り決められます。第1段階から第3段階にかけて段階的にサイトが絞り込まれ、第3段階の最後でサイトが選定されます。選定されたサイトについて、許認可手続きの最初のものとなる「概要承認」[8]の手続きが行われます。 | + | 特別計画は「方針部分」と「実施部分」から構成されます。< |
- | 「**概要承認**」は、スイス特有の手続きであり、地層処分場を含む原子力施設の導入プロジェクトについて、立地場所やプロジェクトの基本事項などを定めています。建設許可申請前に連邦評議会が概要承認を発給します。 | + | <WRAP clear></ |
- | 2005年2月に施行された原子力法及び同令には、概要承認に関する手続きが正式に盛り込まれました。 | + | <WRAP rss box right 300px> |
- | 連邦評議会が発給する概要承認には、連邦議会での承認が必要です。また連邦議会の概要承認は任意の国民投票の対象となっており、議会の承認から100日以内に5万人の署名が集まれば国民投票にかけることができます。可決のためには、過半数の賛成が必要となります。 | + | **[8]概要承認**\\ |
+ | 原子力法に基き、原子力施設の導入プロジェクトで行われる最初の許認可手続きです。 | ||
- | 「概要承認」の発給後は、地下特性調査施設の建設等、詳細な地球科学的調査が実施され、これらが実施された後、建設許可、操業許可の手続きが行われます。 | + | 1959年制定の旧原子力法では、建設許可と操業許可の2段階の手続きが定められていましたが、概要承認はそれらに先立つ手続きとして、1978年の連邦議会の「原子力法に関する連邦決議」に盛り込まれていました。 |
- | なお、2005 年の原子力法及び同令の施行前の制度では、原子力施設に関する一部の許可発給権限が州にも付与されていましたが、新たな原子力法に基づく制度では、連邦に一元化されました。連邦評議会が原子力施設に関する許可を発給する際には、関係する州の懸念をプロジェクトが極度に制限を受けない範囲で考慮するよう規定されています。 | + | 2005年施行の原子力法において、概要承認の手続きが正式に組み込まれました。旧原子力法の制度では、原子力施設に関する一部の許可発給権限が州にも付与されていましたが、新たな原子力法に基づく制度では、連邦に一元化されました。ただし、連邦評議会が原子力施設に関する許可を発給する際には、関係する州の懸念をプロジェクトが極度に制限を受けない範囲で考慮するよう規定されています。 |
+ | </ | ||
+ | |||
+ | 「**概要承認**」[8]は、原子力法に基づく原子力施設の導入に際しての最初の許認可手続きであり、スイス特有のものです。地層処分場の概要承認では、立地場所やプロジェクトの基本事項などを定めることになります。連邦評議会が概要承認を発給しなければ、実 | ||
+ | 施主体は建設許可申請をおこなうことができません。 | ||
+ | |||
+ | 連邦評議会が発給する概要承認が有効となるには、連邦議会の承認が必要です。なお、議会の承認から100日以内に5万人の署名が集まれば国民投票にかけることができ、これは「任意の国民投票」と呼ばれます。その場合、可決には過半数の賛成が必要となっています。 | ||
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- | ==== 特別計画『地層処分場』の策定 | + | ==== 特別計画で用いられる空間概念 |
- | + | <WRAP rss right 300px> | |
- | <WRAP rss right 345px> | + | {{: |
- | サイト選定における各組織の役割 | + | <fc # |
- | {{: | + | |
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+ | 特別計画では処分場の立地に関する空間概念が右図の通り示されています。 | ||
- | 原子力法では、特別計画の策定は連邦政府が行うことになっています。地層処分場に関する特別計画の策定は、2006年3月から連邦エネルギー庁(BFE)を中心として進められ、州などに対する意見聴取の結果も踏まえて、2008年4月に< | + | 特別計画第1段階で選定される“**地質学的候補エリア**”は、地質学上の要件を満たし、そのエリアの地下に処分場の建設できる可能性がある候補地の幅広いエリアです。地質学的候補エリアを包み込む“**計画範囲**”は地上施設が建設される可能性のある領域です。 |
- | 特別計画「地層処分場」では、サイト選定に関わる連邦政府や州と自治体、隣接諸国及び実施主体の役割についても規定されています。主な組織の役割は右の表に示す通りです。 | + | “**サイト地域**”は地質学的候補エリアに所在する自治体、計画範囲の境界内部に全体または一部が含まれる自治体、その他関係する自治体から構成されます。これらの自治体の代表や住民は「地域会議」へ参加します。地域会議の活動については、「[[chap6|VI.2.処分事業の透明性確保とコミュニケーション]]」にまとめています。 |
- | + | ||
- | サイト選定の進め方について、以下の優先順位で進めることも規定しています。 | + | |
- | + | ||
- | * 安全性を最優先する。人間と環境の持続的な保護を確保しなければならない。そのためには、放射性毒性が崩壊によって十分に減衰するまで放射性物質の閉じ込めを確保しなければならない。 | + | |
- | * 安全に次いで、地域開発、生態学、経済及び社会の側面を検討する。 | + | |
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
\\ | \\ | ||
- | ===== 特別計画で取り決められたサイト選定段階 ===== | + | ==== 特別計画『地層処分場』の策定 ==== |
+ | <WRAP rss right 300px> | ||
+ | <fc # | ||
+ | {{: | ||
+ | </ | ||
- | 特別計画「地層処分場」では、サイトの評価基準を設定するとともに、右に示す3段階で構成されるサイト選定手続きを定めています。 | ||
- | 第1段階で選定される“地質学的候補エリア”は、地質学上の要件を満たし、処分場の建設の可能性がある候補地の幅広いエリアを表しています。地質学的候補エリアをほぼ包み込む“計画範囲”は地上施設が建設される可能性のある領域の範囲を示しています。“サイト地域”は地質学的候補エリアに所在する自治体、計画範囲の境界内部に全体または一部が含まれる自治体、その他関係する自治体から構成されており、“計画範囲”よりもさらに広範となっています。これらの自治体の代表や住民は「地域会議」へ参加しています。地域会議の詳細については、「[[chap6|VI.安全確保の取り組み・コミュニケーション]]」の「2.処分事業の透明性確保とコミュニケーション」において説明しています。 | ||
- | <WRAP box> | + | 地層処分場に関する特別計画は、原子力令に基づき連邦政府が策定します。方針部分の策定作業は、2006年3月から連邦エネルギー庁(BFE)を中心として進められ、州や自治体に加え、ドイツ、オーストリアなどの近隣諸国からも意見聴取がなされました。 |
- | <wrap em>特別計画「地層処分場」の3段階のサイト選定手続き</ | + | 特別計画「地層処分場」は、作業開始から約2年をかけた2008年4月に策定に至りました。 |
- | ○第1段階:複数の**地質学的候補エリア**の選定 | ||
- | * スイス全土から地質学的な基準に基づき、地下施設を設置できる可能性がある“**地質学的候補エリア**”を選定する。 | ||
- | ○第2段階:2カ所以上の**候補サイト**の選定 | + | 特別計画「地層処分場」では、サイト選定に関わる連邦政府や州と自治体、隣接諸国及び実施主体の役割についても規定されています。主な組織の役割は右の表に示す通りです。 |
- | * 第1 段階で選定された地質学的候補エリアの内から“**候補サイト**”を少なくとも2 カ所選定する。 | + | |
- | ○第3段階:処分サイトの決定と概要承認 | + | サイト選定の進め方について、以下の優先順位で進めることも規定しています。 |
- | * 候補サイトの中から**処分サイト**を決定し、概要承認手続きを実施する。必要な場合、地球科学的調査を実施してサイトに関する知見を補完する。 | + | |
- | </ | + | * 安全性を最優先する。人間と環境の持続的な保護を確保しなければならない。そのためには、放射性毒性が崩壊によって十分に減衰するまで放射性物質の閉じ込めを確保しなければならない。 |
+ | * 安全に次いで、地域開発、生態系、経済及び社会の側面を検討する。 | ||
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===== サイト選定の第1段階の進捗(2008~2011年) ===== | ===== サイト選定の第1段階の進捗(2008~2011年) ===== | ||
+ | <WRAP right 300px> | ||
+ | <WRAP rss right 300px> | ||
+ | {{: | ||
+ | <fc # | ||
+ | </ | ||
<WRAP rss right 300px> | <WRAP rss right 300px> | ||
- | 特別計画が規定する | + | <fc #080>特別計画が規定する |
- | 安全性と技術的実現可能性に関するサイトの評価基準 | + | 安全性と技術的実現可能性に関するサイトの評価基準</fc> |
- | {{: | + | {{: |
</ | </ | ||
<WRAP rss right box 300px> | <WRAP rss right box 300px> | ||
- | **NAGRAが候補サイト区域を提案する際に採用した\\ | + | **NAGRAが地質学的候補エリアを提案する際に採用した絞り込みプロセス** |
- | 絞り込みプロセス** | + | - 廃棄物を高レベル放射性廃棄物用処分場と低中レベル放射性廃棄物用処分場に割り当てる。 |
- | - スイス全土を、地質学的な特性に基づいていくつかの広域地帯に区分し、その中から処分場の建設に適した広域地帯を選定 | + | - バリア概念と安全性の概念を確定し、基準に関わる定量的及び定性的な要件と基準値を定める。 |
- | - 選定された広域地帯に存在する岩種について、処分場の母岩として適切な岩種を選定 | + | - 地質学的・構造地質学的な広域圏に関する評価を実施する。 |
- | - 選定された母岩となる岩種が、適切な深度に存在している区域を選定 | + | - 母岩及び閉じ込め機能を有する岩盤領域の評価を実施する。 |
- | - 選定された区域の中から、擾乱の有無や母岩の厚さ等を考慮して、地質学的候補エリアを選定 | + | - 岩盤形状の評価及び地質学候補エリアの提案を作成する。 |
+ | </ | ||
</ | </ | ||
- | |||
特別計画に基づくサイト選定の第1段階は、2008年10月に、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が処分場の**地質学的候補エリア**を提案したことを受けて始まりました。 | 特別計画に基づくサイト選定の第1段階は、2008年10月に、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が処分場の**地質学的候補エリア**を提案したことを受けて始まりました。 | ||
- | 特別計画では右表に示すように、安全性と技術的実現可能性に関するサイトの評価基準が定められています。この基準に基づき、NAGRA はスイス全土を右下の囲みに示したプロセスによって絞り込むことで、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の地質学的候補エリアを3カ所提案しました。 | + | 特別計画(の方針部分)では右表に示すように、安全性と技術的実現可能性に関するサイトの評価基準が定められました。NAGRAはこの基準に従って全国から絞り込みを進め(右段の囲み記事を参照)、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の地質学的候補エリアを3カ所提案しました。 |
- | 第1段階では、NAGRAの提案に対する規制機関等による審査、及び連邦エネルギー庁(BFE)が作成する成果報告書の草案に対する意見聴取などが行われました。これらの成果に基づき、2011年11月に、連邦評議会が、NAGRA が提案した3カ所の地質学的候補エリアを承認したことにより、119 ページに示す地質学的候補エリアが確定しました。 | + | |
- | 高レベル放射性廃棄物の地層処分場の地質学的候補エリア3カ所は、いずれも地下400 ~ 900mの範囲に、地層処分場の母岩となるオパリナス粘土が十分な厚さで存在していると評価されています。 | + | 第1段階ではNAGRAの提案に対する規制機関等による審査、及び連邦エネルギー庁(BFE)が作成する成果報告書とファクトシートの草案に対する意見聴取などが行われました。審査や意見聴取を踏まえ、成果報告書とファクトシートが改訂されました。2011年11月に、連邦評議会が、NAGRA が提案した3カ所の地質学的候補エリアを承認したことにより、第1段階が終了し、地質学的候補エリアが確定しました。 |
- | なお、低中レベル放射性廃棄物の地層処分場については地質学的候補エリアが6カ所選出され、そのうち3カ所は高レベル放射性廃棄物について選出された地質学的候補エリア3カ所とほぼ重なっています。 | + | |
+ | 高レベル放射性廃棄物の地層処分場の地質学的候補エリア3カ所は、いずれも地下400~900mの範囲に、地層処分場の母岩となるオパリナス粘土が十分な厚さで存在していると評価されています。なお、低中レベル放射性廃棄物の地層処分場については地質学的候補エリアが6カ所選出され、そのうち3カ所は高レベル放射性廃棄物について選出された地質学的候補エリア3カ所とほぼ重なっています。 | ||
+ | |||
+ | 第1段階では地質学的候補エリアの確定作業と並行して、第2段階での“候補サイト”の選定作業に必要な検討が行われました。これらの主要な成果として、BFEは次の点を示しています。 | ||
+ | |||
+ | * 地層処分場による環境的・経済的・社会的影響調査のために第2段階で使用する「地域開発面の評価手法」の開発 | ||
+ | * 処分場の地上施設が建設される可能性のある「計画範囲」の確定 | ||
+ | * 地質学的候補エリアの安全性に関する安全規制当局の審査 | ||
+ | * 第2段階以降で実施される地域参加プロセスに参加する自治体の確定 | ||
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+ | <WRAP rss> | ||
+ | <fc # | ||
+ | {{: | ||
+ | </ | ||
+ | |||
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+ | {{: | ||
+ | /* ========================================================= | ||
<WRAP rss 250px left> | <WRAP rss 250px left> | ||
**高レベル放射性廃棄物の処分場の\\ 地質学的候補エリア**(3カ所) | **高レベル放射性廃棄物の処分場の\\ 地質学的候補エリア**(3カ所) | ||
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|ヴェレンベルグ | |ヴェレンベルグ | ||
</ | </ | ||
- | |||
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
- | {{: | ||
- | |||
- | /* | ||
<WRAP rss 320px> | <WRAP rss 320px> | ||
{{: | {{: | ||
行 169: | 行 189: | ||
3カ所の地質学的候補エリア}}\\ (高レベル放射性廃棄物の処分場の地質学的候補エリア) | 3カ所の地質学的候補エリア}}\\ (高レベル放射性廃棄物の処分場の地質学的候補エリア) | ||
</ | </ | ||
- | */ | + | ========================================================= |
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
行 176: | 行 196: | ||
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- | 第1段階では地質学的候補エリアの確定作業と並行して、第2段階での“候補サイト”の選定作業に必要な検討が行われました。これらの主要な成果として、BFEは次の点を示しています。 | ||
- | |||
- | * 地層処分場による環境的・経済的・社会的影響調査のために第2段階で使用する「地域開発面の評価手法」の開発 | ||
- | * 処分場の地上施設が建設される可能性のある「計画範囲」の確定 | ||
- | * 地質学的候補エリアの安全性に関する安全規制当局の審査 | ||
- | * 第2段階以降で実施される地域参加プロセスに参加する自治体の確定 | ||
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- | ===== 第2段階の進捗状況と作業予定(2011~2015/ | + | ===== サイト選定の第2段階の進捗状況と作業予定(2011~2017年) ===== |
+ | <WRAP rss right 300px> | ||
+ | {{: | ||
+ | <fc # | ||
+ | </ | ||
- | 2011年12月からは、サイト選定手続きの第2段階が開始されており、完了までに4年の期間が必要と見込まれています。2012年1月にNAGRAと連邦エネルギー庁(BFE)は「計画範囲」に含まれる20カ所の地上施設区域の案を公表しました(119 ページに丸印で示された点です)。設置区域は、安全性及び技術面からの現実性、土地利用に関する適合性及び環境との適合性、地域との調和を考慮して提案されました。BFE の主導で設置され、自治体の代表や住民が参加する「地域会議」は地上施設の設置区域について独自の提案をすることができるとされています。NAGRA はこれらの提案の成果を踏まえ、2013年秋以降に各「計画範囲」ごとに、地上施設の設置区域を最低でも1カ所提示することとなっています。 | + | 2011年12月にサイト選定手続きの第2段階が開始されました。2012年1月にNAGRAと連邦エネルギー庁(BFE)は「計画範囲」に含まれる20カ所の地上施設区域の案を公表しました。設置区域は、安全性及び技術面からの現実性、土地利用に関する適合性及び環境との適合性、地域との調和を考慮して提案されました。BFEの主導で設置され、自治体の代表や住民が参加する「地域会議」は地上施設の設置区域について独自の提案をしました。 |
+ | NAGRAはこれらの提案の成果を踏まえ、14カ所を追加検討し、2013年秋から2014年5月末にかけて、地上施設の設置区域を6つの計画範囲について合計7カ所を提案しました。 | ||
- | BFEは2012年6月に地層処分場が立地する地域に与える経済影響に関する第1回目の中間報告書を公表しました。同報告書は、6カ所の地質学的候補エリアを包含する形で設定されている「サイト地域」を対象に①地元経済、②雇用、③観光業、④農業、⑤税収、⑥対価(交付金)について分析しています。 | ||
- | いずれのサイト地域でも経済的にプラスまたはマイナスの影響のどちらも小さいと結論付けています。今後、NAGRA が各「計画範囲」ごとに最低1カ所の地上施設の設置区域を提示した後、BFEが環境影響と社会影響に関する調査を実施し、2013年夏に社会・経済・環境影響に関する最終報告書を作成するとしています。 | + | BFE は2012年6月に地層処分場が立地する地域に与える経済影響に関する第1回目の中間報告書を公表しました。同報告書は、6カ所の地質学的候補エリアを包含する形で設定されている「サイト地域」を対象に①地元経済、②雇用、③観光業、④農業、⑤税収、⑥対価(交付金)について分析しています。いずれのサイト地域でも経済的にプラスまたはマイナスの影響のどちらも小さいと結論付けています。 |
+ | NAGRA が6 つの計画範囲について7カ所の地上施設の設置区域を提示した後、BFE が環境影響と社会影響に関する調査を実施し、2014年11月に社会・経済・環境影響に関する最終報告書を公表しました。 | ||
+ | 最終報告書でBFEは、それぞれの地上施設の設置区域案を相互比較できる形で評価結果を取りまとめています。環境影響及び社会影響については、差異の大きい評価項目があると結論付けています。 | ||
- | また、第2段階では地元の州と関係する自治体がBFEに協力する形で、地域参加プロセスが本格的に進められます。第2段階における地域参加プロセスでは、関係する自治体が下に示す点について取り組みを進めることになっています。 | + | 2014年には、右上のフロー図中に示すとおり、NAGRA が予備的安全評価とサイトの比較作業を実施しました。 |
+ | NAGRAは科学的・技術的な基準に基づいて絞り込みを行い、2015年1月末に「チューリッヒ北東部」及び「ジュラ東部」の2つを提案しました。NAGRA はいずれについても不透水性の岩盤が適切な深度にあり、氷河等による侵食の影響を受けず長期に安定して存在しているため、放射性廃棄物を安全に閉じ込めることができるとしています。第2段階の完了は2017 年半ばと見込まれています。 | ||
+ | <WRAP clear></ | ||
- | <wrap em>第2段階の地域参加プロセスにおける自治体の取り組み事項</wrap> | + | <WRAP rss right 300px> |
+ | {{: | ||
+ | </WRAP> | ||
- | - 関係する自治体はNAGRAが提案した地上施設の構成及びレイアウトを検討し、設計、配置及びアクセスに関する見解を表明する。 | ||
- | - BFEが実施する環境的・経済的・社会的影響に関する評価に際して、自治体がBFEを支援する。 | ||
- | - 自治体は地域の持続可能な開発に関する戦略、措置及びプロジェクトを取りまとめる。また、既存の戦略とプロジェクトを更新する。 | ||
+ | <WRAP clear></ | ||
+ | \\ | ||
+ | ===== サイト選定の第3段階の作業予定(2017年~) ===== | ||
+ | <WRAP rss right 300px> | ||
+ | {{: | ||
+ | <fc # | ||
+ | </ | ||
+ | 第3段階では、右図の流れでNAGRAが概要承認申請書をBFEに提出し、高レベル放射性廃棄物用処分場と低中レベル放射性廃棄物用処分場のサイトを提案します。低中レベル放射性廃棄物用処分場が高レベル放射性廃棄物用処分場と同じサイトで提案される可能性もあります。 | ||
+ | 「概要承認」の連邦議会による承認後は、地下特性調査施設の建設等の詳細な地球科学的調査が実施され、実施後は建設許可、操業許可の手続きが行われます。 | ||
<WRAP clear></ | <WRAP clear></ | ||
+ | ===== 環境影響評価 ===== | ||
+ | |||
+ | 環境影響評価は、特別計画及び環境影響評価に関する政令に基づき、予備調査、第1ステージ、第2ステージの順序で進められます。まずNAGRAはサイト選定第2段階で環境影響の予備調査を実施し、環境影響評価の第1ステージの仕様書を作成します。サイト選定第3段階では概要承認を申請する際にNAGRAが環境影響評価第1ステージの報告書を提出し、第2ステージの仕様書を作成します。建設許可を申請する際には環境影響評価第2ステージの報告書を提出します。 | ||
+ | |||
+ | |||
+ | |||
+ | |||
+ | <WRAP clear></ | ||
\\ | \\ | ||
{{anchor: | {{anchor: | ||
====== 4.2 地域振興方策 ====== | ====== 4.2 地域振興方策 ====== | ||
- | < | + | <WRAP round box> |
+ | {{: | ||
* 地層処分場プロジェクトに関する確定手続きである特別計画において、その手続きが完了して地層処分場の建設地が確定した後に、地元への交付金について検討することを明記しています。 | * 地層処分場プロジェクトに関する確定手続きである特別計画において、その手続きが完了して地層処分場の建設地が確定した後に、地元への交付金について検討することを明記しています。 | ||
</ | </ |
hlw/ch/chap4.txt · 最終更新: 2017/10/27 18:38 by 127.0.0.1