hlw:ca:chap5
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- | ~~bc:5.処分事業の資金確保~~ | + | ~~ShortTitle:5.情報提供・コミュニケーション~~ |
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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- | ====== 5. 処分事業の資金確保 | + | ====== 5. 情報提供・コミュニケーション |
- | {{anchor:d1}} | + | {{anchor:e1}} |
- | ====== 5.1 処分費用の確保(制度) | + | ====== 5.1 公衆との対話 |
- | < | + | <WRAP round box> |
- | * 核燃料廃棄物の長期管理に必要な資金は、核燃料廃棄物法に基づき、使用済燃料の管理責任を有する原子力企業が資金を拠出する信託基金によって確保されます。2011年12年末の基金残高は約25億カナダドル(約2, | + | {{: |
+ | * 実施主体のNWMO は、核燃料廃棄物の長期管理アプローチの検討にあたって、約3年の国民対話と研究を踏まえて長期管理アプローチ案に反映しました。また、NWMO はサイト選定プロセスの実施にあたっては、影響を受ける利害のある地域社会と協力してサイト選定プロセスを開発・実施することを公約としています。サイト選定プロセスの策定においてNWMO | ||
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- | \\ | + | ===== 公衆の関与プログラム |
- | ===== 処分費用の確保制度 | + | |
- | <WRAP rss right 320px> | + | 2002年に制定された核燃料廃棄物法には、処分主体の設立目的が明記されました。これに基づき、カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、①連邦政府に対して、核燃料廃棄物の管理のための複数のアプローチを提案し、②採用が決定したアプローチを実施します。 |
- | {{:hlw:ca:ca-trust-funds.png?300& | + | NWMOがアプローチを提案する際には、その具体的内容や実施スケジュールに加えて“公衆の関与プログラム”を含めることが求められています。 |
+ | |||
+ | NWMO は、約3年の国民対話と研究を踏まえて2005 年に取りまとめた最終報告書『進むべき道の選択』において「適応性のある段階的管理」(APM)アプローチを提案しました。このなかでNWMO は、アプローチの実施過程の節目となる、重要な意思決定ポイントを複数設定する(下図参照)とともに、それらの時点で行われる関与プログラムの性格と範囲も明確にしています。 | ||
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+ | 実施の役目を持つNWMOは、段階的実施と適応を図る上で、専門家と一般市民の双方の参加が継続的かつ積極的、発展的であることが重要であり、それがNWMOの実施能力の向上につながると考えています。 | ||
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+ | <WRAP rss> | ||
+ | {{:hlw:ca:nwmo-hold-points.png?nodirect|「適応性のある段階的管理」における意思決定ポイント}} | ||
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- | 2002年の核燃料廃棄物法において、核燃料廃棄物の長期管理に必要な資金を確保する仕組みが導入されました。 | ||
- | 使用済燃料の発生者である原子力発電事業者3社(オンタリオ・パワージェネレーション社、ニューブランズウィック・パワー社、ハイドロ=ケベック社)とカナダ原子力公社(AECL)は、それぞれ独自に信託基金を設立し、この基金に毎年預け入れることになっています。 | ||
- | これらの信託基金からの引き出しは、処分実施主体であるカナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)だけができると定められています。 | ||
- | 2011年12年末時点で、4社の信託基金の残高合計は約25億カナダドル(約2, | + | <WRAP clear/> |
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+ | ==== サイト選定における地元とのコミュニケーション ==== | ||
+ | NWMOは2005年の報告書『進むべき道の選択』において、サイト選定プロセスでは「自主的に名乗りを上げる立地地域を特定することが、管理アプローチの実施に対する地域の協力と積極的関与の基礎を築く上で中核となる」と述べています。 | ||
+ | このことは、処分場プロジェクトの成功について国民が求めている水準の保証を提供するためには、サイトの技術的側面に対する確信だけでは足りず、影響を受ける個人と地元地域の社会的、文化的、経済的志向を尊重し続ける倫理的な方法でプロジェクトをダイナミックに展開する必要があるという考えが背景となっています。 | ||
+ | 実施には、起こりうる影響について十分情報を持ち、NWMOと協力して主要な実施決定を具体化し、方向付けることに専心する地元の存在が前提であるという認識です。 | ||
+ | 地元の“自主性”(処分場を立地する意欲)を表明する方法は自治体側の問題であるとしつつも、表明された“自主性”の程度が立地を進める上で十分か否かの判断はNWMOの責任となると考えられています。こうした考えからNWMOは、影響を受ける利害のある地域社会と協力してサイト選定プロセスを開発・実施することを公約としています。 | ||
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- | {{anchor: | + | ===== 地元協議・コミュニケーションを支える財政支援 |
- | ====== 5.2 処分費用の見積もり ====== | + | |
- | <WRAP rss right 320px> | + | NWMOは、地層処分場のサイト選定プロセスを報告書『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(2010年5月)において公表しました。このなかでNWMOは、自治体とNWMO がプロジェクト受け入れに係る正式協定に調印する前までの複数の段階において、プロジェクトへの関心を評価することに市民を参加させ、広範囲の市民の関与が達成されるように働き掛けるとし、この目的で必要なリソース(人・資材・資金)を供給することを確約しています。 |
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- | 使用済燃料の長期管理アプローチの選択肢別コスト比較\\ | + | |
- | <fs 70%>(出典:NWMO『進むべき道の選択』2005年11月)</fs> | + | |
- | {{: | + | NWMOは、自治体が行う住民向けの学習支援活動に資金提供を行っています。これには、住民会合の開催費用のほか、サイト選定プロセスで行われる初期スクリーニングの結果をレビューするために自治体が第三者の専門家を雇う費用、放射性廃棄物の貯蔵施設を見学するための旅費などがあります。またNWMOは、第3段階第1フェーズの調査が完了した自治体に対して、地元福祉の向上に利用できる資金として、40万ドル(3, |
- | </ | + | |
- | NWMO が使用済燃料の長期管理アプローチを研究した際(2002~2005年)には、4つの選択肢について実施開始から1, | + | <WRAP clear/> |
- | <WRAP memo> | ||
- | ①地層処分 | ||
- | ②原子力発電所のサイト内貯蔵の継続 | + | \\ |
+ | {{anchor: | ||
+ | ====== 5.2 意識把握と情報提供 ====== | ||
- | ③集中貯蔵の継続 | + | <WRAP round box> |
+ | {{: | ||
+ | * 地層処分場のサイト選定を開始したカナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、サイト選定プロセスへの参加に関心表明を行った自治体において、“ラーン・モア”(もっと学ぼう)プログラムと呼ばれる情報提供活動に取り組んでいます。 | ||
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- | ④適応性のある段階的管理(APM)…集中中間貯蔵を折込みつつ、最終的に地層処分 | + | |
+ | ===== サイト選定プロセスにおける広報活動(情報提供) ===== | ||
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+ | <WRAP rss right 320px> | ||
+ | {{: | ||
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- | 選択肢の②と③では、貯蔵施設は300 年ごとに建て替えると仮定しています。選択肢①では、30年後から地層処分を開始し、100年後から処分場を閉鎖するスケジュールを仮定したものです。 | + | 2010年5月から開始された[[chap4# |
- | 選択肢④はカナダの長期管理アプローチとして決定したものであり、30年後から30年間の集中中間貯蔵を組み込み、60年後から地層処分を開始、最大300年後まで処分場の閉鎖を延期するスケジュールを仮定しています。その後、処分場の閉鎖には25年を要するとしています。 | + | このプログラムの重点は、自治体住民に向けて「適応性のある段階的管理」(APM)の全体像や進め方のほか、地層処分場のサイト選定プロセスがどのように進むのかといった説明です。こうした情報提供や、住民との対話を図るために、オープンハウスでの展示会のほか、住民グループや先住民族コミュニティなどの求めに応じた会合が開催しています。 |
- | 「適応性のある段階的管理」(APM、選択肢④)の実施において必要となる費用は、処分の前段階である地下浅部での集中中間貯蔵施設を建設する場合には244億カナダドル(1兆9, | + | 展示会では、ポスターボードを使った説明や体験型展示、ビデオ上映が行われるほか、NWMOの専門家とコミュニティ代表者を交えた公開会合などの企画もあります。住民が寄せる質問や意見に対してNWMO の職員や専門家が直接応える機会を通じて、相互学習を図るねらいです。 |
+ | サイト選定プロセスの第2段階では、当該自治体における地層処分場立地の潜在的適合性を評価するために、既知の情報に基づいた初期スクリーニングが行われます。ラーン・モア・プログラムでは、スクリーニング結果に関する説明や質疑応答も行われています。 | ||
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- | <WRAP clear></ | + | ===== 国民意識と住民意識(主な世論調査結果) ===== |
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- | ====== ====== | + | {{:hlw: |
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+ | NWMOは、社会調査プログラムの一環としてこれまでに2回(2005年8月と2008年11月)の全国的な世論調査を実施(外部の専門会社に委託)しています。2002年設立のNWMOの最初の仕事は、使用済燃料の長期管理に向けて、国民と協力して「社会に受け入れられ、技術的に優れ、環境責任を果たし、経済的に無理のない」管理アプローチを開発することでした。 | ||
+ | 2007年6月にカナダの方針として“適応性のある段階的管理”(APM)が決定しました。世論調査は、管理アプローチの提案や適応性のあるようにアプローチを実施する上で、社会の懸念や関心を理解するためのツールとなっています。 | ||
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+ | これまでの世論調査での設問には、地層処分場の立地受け入れで生じる便益とリスクの捉え方だけではなく、原子力発電の将来、他の社会問題と比較しての核燃料廃棄物の管理の重要性に対する認識、APM の実施に関わるステークホルダーに対する信頼度なども含まれています。 | ||
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*<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | *<fs 90%>1. [[prologue|高レベル放射性廃棄物の発生状況と処分方針]]</ | ||
*<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | *<fs 90%>2. [[chap2|地層処分計画と技術開発]]</ | ||
- | *<fs 90%>3. [[chap3|処分事業に係わる制度/実施体制]]</ | + | *<fs 90%>3. [[chap3|実施体制と資金確保]]</ |
*<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | *<fs 90%>4. [[chap4|処分地選定の進め方と地域振興]]</ | ||
- | *<fs 90%>5. [[chap5|処分事業の資金確保]]</ | + | *<fs 90%>5. [[chap5|情報提供・コミュニケーション]]</ |
- | *<fs 90%>6. [[chap6|安全確保の取り組み・コミュニケーション]]</ | + | |
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hlw/ca/chap5.txt · 最終更新: 2018/05/02 15:35 by sahara.satoshi