諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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hlw:ca:chap3 [2013/03/07 15:32] – 外部編集 127.0.0.1hlw:ca:chap3 [2017/05/10 08:58] ss12955jp
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-~~bc:3.処分事業に係わる制度/実施体制~~+~~ShortTitle:3.処分事業に係わる制度/実施体制~~
 <WRAP pagetitle> <WRAP pagetitle>
 ==HLW:CA:chap3== ==HLW:CA:chap3==
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 ====== 3.1 実施体制 ====== ====== 3.1 実施体制 ======
  
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 +{{:wiki:付箋ポイント.png?100&nolink|ポイント}}
   * カナダでは、使用済燃料の管理責任を有する原子力企業が、核燃料廃棄物管理組織を設立することが規定されており、これに従い、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が使用済燃料の管理実施主体として、原子力企業により2002年に設立されました。   * カナダでは、使用済燃料の管理責任を有する原子力企業が、核燃料廃棄物管理組織を設立することが規定されており、これに従い、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が使用済燃料の管理実施主体として、原子力企業により2002年に設立されました。
   * また、核燃料廃棄物管理の監督は、天然資源省(NRCan)内の核燃料廃棄物局(NFWB)が所管しており、地層処分場に係る許認可の発給はカナダ原子力安全委員会(CNSC)が担当します。   * また、核燃料廃棄物管理の監督は、天然資源省(NRCan)内の核燃料廃棄物局(NFWB)が所管しており、地層処分場に係る許認可の発給はカナダ原子力安全委員会(CNSC)が担当します。
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 ===== 実施体制の枠組み ===== ===== 実施体制の枠組み =====
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 +[40%{{ :hlw:ca:ca-org-frame.png?300&nodirect|カナダにおける放射性廃棄物管理事業の実施体制|
 +<fc #080>カナダにおける放射性廃棄物管理事業の実施体制</fc>
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 +<fc #080>カナダにおける放射性廃棄物管理事業の実施体制</fc>
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 核燃料廃棄物管理に関わる主な行政機関として、核燃料廃棄物局(NFWB)とカナダ原子力安全委員会(CNSC)があります。NFWB は天然資源省(NRCan)の内部組織であり、核燃料廃棄物法に基づき核燃料廃棄物管理全体を監督します。 核燃料廃棄物管理に関わる主な行政機関として、核燃料廃棄物局(NFWB)とカナダ原子力安全委員会(CNSC)があります。NFWB は天然資源省(NRCan)の内部組織であり、核燃料廃棄物法に基づき核燃料廃棄物管理全体を監督します。
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 ===== 実施主体 ===== ===== 実施主体 =====
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 NWMOは核燃料廃棄物法の規定に従い、自らの活動について諮問あるいはレビューを受けるために、諮問評議会を設置しています。この諮問評議会はNWMOに対して助言を行ったり、報告書を独立して評価しています。 NWMOは核燃料廃棄物法の規定に従い、自らの活動について諮問あるいはレビューを受けるために、諮問評議会を設置しています。この諮問評議会はNWMOに対して助言を行ったり、報告書を独立して評価しています。
  
-なお、NWMO は2009年より、OPG社の委託を受けて、原子力発電所から発生する低中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)の安全評価を含む技術支援や地元コミュニケーションなどの業務を実施しています。この処分場では、核燃料廃棄物(使用済燃料)は処分されません。DGRプロジェクトにおけるNWMOの支援活動については、171ページで紹介しています。+なお、NWMO は2009年より、OPG社の委託を受けて、原子力発電所から発生する低中レベル放射性廃棄物の地層処分場(DGR)の安全評価を含む技術支援や地元コミュニケーションなどの業務を実施しています。この処分場では、核燃料廃棄物(使用済燃料)は処分されません。DGRプロジェクトにおけるNWMOの支援活動については、第6章の[[.:chap6#核燃料廃棄物以外の安全評価の実施]]で紹介しています。
  
  
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 ===== 安全規則 ===== ===== 安全規則 =====
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 +**カナダ原子力委員会(CNSC)の規制文書**\\
 +その文書の性質により、以下の4種類があります。
 +  *①**規制方針**(Regulatory Policy): 文書番号の冒頭に「P」が付されます。規制方針は、規制に対するCNSCの取り組みの根底にある理念、原則あるいは基本的な諸要素を示すものです。CNSCのスタッフに対して規制活動の方向性を示すと同時に、事業者を含むステークホルダーに公表するものです。
 +  *②**規制基準**(Regulatory Standard): 文書番号の冒頭に「S」が付されます。規制基準は、規制要件を示すものです。法的拘束力を有する手段によってこの規制規準の適用が指定されている場合、この規制基準を順守する必要があります。
 +  *③**規制指針**(Regulatory Guide): 文書番号の冒頭に「G」が付されます。規制指針は、法律や規則、規制基準などで規定された通りに、CNSCが求める規制要件を満足するための方法を許可所有者などに示すものです。
 +  *④**規制通知**(Regulatory Notice): 文書番号の冒頭に「N」が付されます。規制通知は、許可所有者などに対して、重要な問題に対して適宜適切な対応ができるように情報を提供するために発行されます。
 +</WRAP>
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 原子力安全に関しては「カナダ原子力安全委員会(CNSC)の設置及び関連法の改正のための法律」(原子力安全管理法、1997 年3 月20日)により、安全規制当局としてCNSC が設置されています。 原子力安全に関しては「カナダ原子力安全委員会(CNSC)の設置及び関連法の改正のための法律」(原子力安全管理法、1997 年3 月20日)により、安全規制当局としてCNSC が設置されています。
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 ====== 3.2 処分に関わる法制度 ====== ====== 3.2 処分に関わる法制度 ======
  
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 ===== 安全規制 ===== ===== 安全規制 =====
  
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-  * 「連邦の環境評価プロセスの確立のための法律(環境影響評価法)」に基づいて、放射性廃棄物処分場を含む原子力施設の建設に際しては環境影響評価(EIS)が実施されます。 +  * 「特定の活動の環境セスメントと重大な環境上悪影響防止に関する法律(2012年環境アセスメント法)」に基づいて、放射性廃棄物処分場を含む原子力施設の建設プロジェクトに際しては環境アセスメントが実施されます。環境アセスメントの所管当局は、カナダ原子力安全委員会(CNSC)です。 
-  * 環境影響評価法では、カナダ環境影響評価庁、CNSC または国家エネルギー委員会により環境影響評価が必要であると判断されたプロジェクトについて、潜在的な環境悪影響の特定、悪影響を緩和する措置提案し、環境への影響最小限にすることを目的とて環境影響評価を行なうこととされています。 +  * CNSC は、環境アセスメントにおいてプロジェクトが重大な環境の悪影響を引き起こ可能性があかどうか判断し、決定説明書発行します。決定説明書は、指定プロジェクトに関連す原子力安全管理法第24条基づいて発行される許認可(ライセンス)一部なります。 
-  * 放射性廃棄物処分場を含む原子力施設建設について原則的に、プロジェクト選定され専門家で構成される評価パネルによって審査されます。評価パネル審査いては、聴聞会やパブリックコメントを実施することが義務付けらており、評価パネルはこれらの公衆の意見を考慮して、審査結果を環境大臣に提出すこととされています。また、評価パネル審査は、パネルでの審査が決定されてから原則的に2年以内に完了するこが定められています。+
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-  * 原子力損害賠償に関しては、原子力損害の民事責任に関する法律(原子力賠償法)において規定されています。原子力賠償法では、原子力事業者に対して、自身の施設における事故で発生した損害を、1 件の事故につき7,500万カナダドル(60億円)まで賠償する責任を課しています。また、原子力賠償法の適用範囲や原子力事故から生じる補償請求の処理のための委員会の設置、責任賠償額が7,500万カナダドルを超える場合の措置等が定められています。+  * 原子力損害賠償に関しては、原子力損害の民事責任に関する法律(原子力賠償法)において規定されています。原子力賠償法では、原子力事業者に対して、自身の施設における事故で発生した損害を、1 件の事故につき7,500万カナダドル(60億円)まで賠償する責任を課しています。また、原子力賠償法の適用範囲や原子力事故から生じる補償請求の処理のための委員会の設置、責任賠償額を超える場合の措置等が定められています。 
 +  * 2013年12月に署名した原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)を受けて、賠償額が現在の7,500万カナダドルから10億カナダドルに引き上げられる見通しです。
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hlw/ca/chap3.txt · 最終更新: 2018/05/02 15:24 by sahara.satoshi