諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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srsr:turva-2012:sysdesc

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処分システムと安全要件

TURVA-2012

Safety Case for the Disposal of Spent Nuclear Fuel at Olkiloto - Synthesis 2012
December 2012, Posiva 2012-12, Posiva Oy




処分システムの概要

どのような廃棄物を、どのような場所に、どのような方法で処分する場合の安全評価なのか…

1.対象廃棄物

現在運転中の原子炉(BWR、VVER440)、現在建設中の原子炉(EPR)、及び計画中の原子炉(炉型未定であるが、TURVA-2012セーフティケースではEPRと仮定)の計6基から生じる使用済燃料を対象としている。TURVA-2012セーフティケースで仮定されている使用済燃料の総量は9,000tUである )。


銅-鋳鉄製キャニスタ

使用済燃料は、鋳鉄製インサートと銅製オーバーパックによって構成されるキャニスタに封入される(図4)。全てのキャニスタ・タイプの外径は1.05 mで、高さは3.5 m~5.2 mの範囲にある。

ポシヴァ社は、キャニスタの設計目標を、全てのキャニスタが定置時に損傷のない状態にあること、また数十万年間の期間にわたりこの損傷のない状態を維持することとしている。しかしながらポシヴァ社は、1ヶ所の初期貫通欠陥を伴う1体または数体のキャニスタが、その欠陥が検知されずに定置される可能性を全面的に排除することはできないとしており、欠陥を伴うキャニスタの数は、4,500体のキャニスタのうちの1体と仮定している。

2.処分場の地質環境・立地条件(評価上の設定)

フィンランドでは、2001年の政府による原則決定 )により、使用済燃料の処分がユーラヨキ自治体のオルキルオト・サイトに建設される地層処分場で行われることが明記された。


オルキルオト島(空撮写真)
オルキルオト島は、本土(写真手前側)と橋でつながってます。写真の奥の方にバルト海が見えます。

オルキルオト島は、フィンランド南西部の沿岸部に位置する面積が約10 km2の島である(図5)。オルキルオト島は、地下特性調査施設(ONKALO)の建設も含め、25年以上にわたり、使用済燃料処分候補サイトとして調査されてきた。処分場が位置する地下400~500mには、良好かつ予測の比較的容易な基盤岩及び地下水条件が見いだされることがわかっている。オルキルオト・サイトが地層処分に適している点として、以下が挙げられている。

  • 活発なプレートの縁から離れた位置にある安定した地殻構造条件。
  • 質の高い結晶質基盤岩が存在する。
  • 地下400~500mにおいて還元条件にある。
  • 地下深部の地下水流動が遅い。

3.処分概念(処分場の設計)


オルキルオト・サイトのKBS-3V設計の概略図

フィンランドでは、2001年の政府による原則決定により、使用済燃料の処分はKBS-3概念に基づいて行われることが明記された。KBS-3概念は、1980年代初期にスウェーデンの使用済燃料の処分策として考案されたものである。この概念は、多重バリアシステムに使用済燃料を処分するものであり、人工バリアと、母岩によってもたらされる天然バリアによって構成される。ポシヴァ社が建設許認可申請書に示したレファレンス設計は、定置孔に1体の使用済燃料キャニスタを鉛直方向に定置する方法(KBS-3V)に基づくものであった(図6)。


定置坑道の埋め戻し

レファレンス設計では、処分場は、オルキルオトの地下400~450mの範囲にある基盤岩に、定置坑道の床のレベルが単一のものとして建設される。使用済燃料要素は、鋳鉄製インサートを伴う銅製キャニスタに収納される。これらのキャニスタは、定置坑道の床に掘削された定置孔に1体ずつ、鉛直方向に定置される。その上でこれらのキャニスタは、基盤岩からの分離を確保する膨潤性粘土の緩衝材によって取り囲まれる。複数の定置坑道、複数の中心坑道、1本のアクセス坑道、複数の立抗及びその他の地下開口部は、閉鎖後に基盤岩内での自然条件の復旧を促す性質の物質を用いて埋め戻される。(図7)



放射線防護基準(安全評価の法令・規制要求事項)

フィンランドの原子力利用における安全確保のための基本的な枠組みは、原子力法(YEL 990/1987)及び原子力令(YEA 161/1987)によって定められている。原子力廃棄物処分における、処分施設の設計や安全基準等の安全性に関しては、「原子力廃棄物の処分の安全性に関する政令(736/2008)」で法的要件が定められている。政令736/2008に記された法的要件の実際面での履行に関するガイダンス文書を放射線・原子力安全センター(STUK)が定めている。これらのガイダンスでは、フィンランドにおける原子力廃棄物処分に関して提出されるセーフティケースが満たすべき内容、品質及び放射線学的規準に関してSTUKが期待していることが記されている。原子力廃棄物処分に関して適用されているのは、下記の5件である。

  • 指針YVL D.3 (使用済燃料の取り扱い、貯蔵及び封入に関するガイダンスが示されている)
  • 指針YVL D.5 (処分方法、処分施設設計及び操業、安全要件、さらには安全要件及び規制管理の順守の立証に関するガイダンスと、セーフティケースの作成に関するガイダンスが示されている)
  • 指針YVL D.1 (核拡散防止規制)
  • 指針YVL D.2 (核物質及び原子力廃棄物の輸送)
  • 指針YVL D.4 (原子力廃棄物管理及び廃止措置活動)

ここに表を入れる

ポシヴァ社が整備している要件管理システム(VAHA)

ポシヴァ社は、要件管理システム(VAHA)により、オルキルオトにおける使用済燃料地層処分のためにロバストな設計を開発した。要件管理システム(VAHA)は、次の5つの段階に分けられている。

  • レベル1『ステークホルダー要件』:法律、原則決定、規制要件及びその他のステークホルダー要件に基づくもの。
  • レベル2『長期的な安全確保の考え方』:安全理念及び安全機能の定義につながる。
  • レベル3『性能要件』:人工バリアに関する「性能目標」と母岩に関する「目標特性」によって構成され、安全機能が確実に履行されるようにする。
  • レベル4『人工バリア及び地下開口部に関する設計要件』: この中には「岩盤適格性分類規準」(RSC規準)が含まれ、性能要件が満たされるようにする。
  • レベル5『設計仕様』:設計、建設及び製造で使用されるべき詳細な仕様書。 
srsr/turva-2012/sysdesc.1393841799.txt.gz · 最終更新: 2014/03/03 19:16 by sahara.satoshi