SR-Can (スウェーデン)

評価結果

(SR-Canプロジェクト:2006年)



q02.gif安全評価の結果はどのように示されるのですか…


SR-Can安全評価で行われている解析結果のうち、“処分場の安全性立証に求められる解析・評価”への対応として提示されているシナリオの評価結果を整理する。スウェーデンではリスク解析が求められているが、ここでは線量での評価結果を先に示し、その後リスク評価の結果を示す。

  • 擾乱を受けていない処分場についてのリスク解析 (「主要シナリオ」と「発生確率の低いシナリオ」)
    • (1)「定置孔における移流条件」と「全面腐食によるキャニスタの破損」の組み合わせシナリオ の線量評価
    • (2) キャニスタの剪断破壊が生じるシナリオ の線量評価
  • 処分場が人間活動によって擾乱を受けた場合についての線量評価
    • (3) 将来の人間活動に関連するシナリオ の線量評価
  • リスク基準の遵守の評価


(1)「定置孔における移流条件」と「全面腐食によるキャニスタの破損」の組み合わせシナリオ の線量評価

緩衝材の浸食の結果として、処分孔内で移流条件が優勢となった場合に発生する、銅(キャニスタ)の腐食に起因する損傷。イオン強度が低い氷河融水によって、ベントナイト緩衝材がコロイド化して流出・浸食される。キャニスタが地下水と接触できるようになると、水に含まれる硫黄とメタン成分により、銅製アウターシェルの腐食が進行する。アウターシェルが腐食貫通した後、鋳鉄製インサートが腐食が進み、貫通すると核種放出に至る。

銅製アウターシェルの腐食: キャニスタの側面部分において、キャニスタの半周分が幅35cmの帯状にわたって均一に腐食する。

  • Realisticな推定([HS]+[CH4]=10-6M) : 100万年までは銅製アウターシェルが腐食で貫通することはない。
  • Cautiousな推定([HS]+[CH4]=10-5M) : 100万年間での銅製アウターシェルの腐食貫通は、フォルスマルクの場合には10体、ラクセマルの場合には50体のキャニスタで生じる。  ⇒ 「主要シナリオ」としての想定
  • Pessmisticな推定([HS]+[CH4]=10-4M): 100万年間での銅製アウターシェルの腐食貫通は、フォルスマルクの場合には37体、ラクセマルの場合には120体のキャニスタで生じる。⇒ 「発生確率の低いシナリオ」としての想定

鋳鉄製インサートの腐食: 銅製アウターシェルが腐食貫通した後、インサート部が腐食貫通するまでの時間は、1,000年から10万年の間の三角形状分布で10万年にピークを持つと仮定している。このため線量評価の結果は、統計処理を行った後のものである。以下に示すFigure 12-14と12-15で示されている線量の経時変化は、1万回の個別計算(10,000 realisations)で得た値を平均したものである。

評価結果:フォルスマルクの場合

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Figure 12-14

フォルスマルクに処分場を設置した場合の線量評価結果は、Figure 12-14に示されている。黒線(図中ではCase A)が「主要シナリオ」に相当、赤線(図中ではCase B)が「発生確率の低いシナリオ」に相当する。(いずれも、太線が地圏での核種移行を考慮した計算結果、細線は考慮していない計算結果である。)

評価結果:ラクセマルの場合

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Figure 12-15

ラクセマルに処分場を設置した場合の線量評価結果は、Figure 12-15に示されている。


(2) キャニスタの剪断破壊が生じるシナリオ の線量評価

大規模な地震(例えば氷期サイクルの退氷期に発生する)によって引き起こされる、岩盤剪断運動にともなってキャニスタが損傷する。岩盤の剪断面がキャニスタと交差するように発生すると仮定し、銅製アウターシェルと鋳鉄製インサートが同時に損傷する。この損傷モードの発生確率は低いが、完全に排除することはできない。⇒ 「発生確率の低いシナリオ」としての想定

  • 悲観的な推定では、キャニスタ6,000体のうちの1体が損傷する確率について、最初の氷期サイクルが終わる12万年時点での値は、フォルスマルクの場合は0.014、ラクセマルの場合は0.0077と見積もっている。また100万年時点での値は、フォルスマルクの場合は0.117、ラクセマルの場合は0.0645と見積もっている。
  • キャニスタの周囲の緩衝材(ベントナイト)も岩盤剪断運動の影響を受ける。解析上は実質的な厚さが35cmから20cmに減少(15cm分減少)すると仮定している(緩衝材での核種移行は、移流条件ではなく拡散条件が維持される)。
  • キャニスタを破断するような大規模な岩盤剪断運動後における岩盤特性の評価は困難であるため、天然バリア(地圏)での核種移行遅延はないと仮定している。

評価結果

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Figure 10-51

キャニスタの剪断破壊が生じるシナリオの線量評価は、Figure 10-51に示されている。黒太線がフォルスマルク、赤太線がラクセマルについて評価した結果である。

  • 2つの候補地(フォルスマルクとラクセマル)を比較すると、ラクセマルに比べてフォルスマルクのほうがキャニスタの損傷発生確率はフォルスマルクのほうが大きいが、サイトの生物圏条件を考慮した線量換算係数が小さいため、線量の数値はフォルスマルクのほうが小さくなっている。
  • 線量の経時変化グラフは、3万年以降では上に凸の形状になる。これは、使用済燃料に含まれるU-238系列核種の崩壊連鎖が進み、娘核種Ra-226の寄与が大きくなるためである。
    U-238(4.47×109年)→ U-234(2.46×105年)→ Th-230(7.70×104年)→ Ra-226(1,600年)


(3) 将来の人間活動に関連するシナリオ の線量評価

SSI一般勧告(SSI FS 2005:5)によると、将来の人間活動に関して、処分場の損傷による放射線量を評価・算定する必要があり、侵入者自身が受ける影響を評価する必要はない。

SKB社はSR-Can安全評価においては、将来の人間活動の代表的ケースとして以下の3つを挙げている。ただし、SR-Can安全評価では、最初に挙げている「ボーリングによるキャニスタの貫通」ケースについてのみ、線量計算ケースを設定して評価結果を示しているにとどまっている。

  • キャニスタを貫通するボーリングの後(計算上は1ヶ月後)における現場周辺(半径3m)での公衆被ばく(ボーリング作業者とは別人の被ばく)
  • 処分場周辺の岩盤施設
  • フォルスマルクサイト周辺の鉱山

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Figure 12-18


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Figure 12-19

「キャニスタを貫通するボーリング実施後における現場周辺での公衆被ばく」シナリオでは、放射線被ばくに至る2つの経路(汚染源)を考えている。それぞれの被ばく経路による線量評価結果を右に示す。

  1. キャニスタを貫通しているボーリング孔内に貯まった汚染水 → 飲用井戸として使用されて被ばくに至る
    Figure 12-18
  2. ボーリング作業時に発生した掘削くずが散乱した土壌汚染現場 → 農耕地として利用されて被ばくに至る
    Figure 12-19

いずれの評価でも、キャニスタを貫通するボーリングが実施される時期は、処分場の閉鎖後300年以降としている。



リスク基準の遵守の評価

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Figure 13-2

SR-Can安全報告書では、フォルスマルクおよびラクセマルの年間個人リスクの総和は、Figure 13-2に示されている。

  • リスク評価の結果は、線量評価の結果にSSI一般勧告で指定されているリスク換算係数(実効線量1シーベルト当たり7.3%)を乗じて算出している。
  • リスク総和は、上記の(1)と(2)のシナリオの結果を足し合わせている。
  • 将来の人間活動シナリオ(3)の結果は、リスク総和の対象としていない。これは、SSIの規則/一般勧告の内容と合致している。





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