諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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ドイツ ドイツにおける高レベル放射性廃棄物処分

ドイツにおける高レベル放射性廃棄物処分

全体構成(章別)


5. 処分事業の資金確保

5.1 処分費用の確保(制度)

ポイント

  • 高レベル放射性廃棄物の処分費用は、全額廃棄物発生者が負担することが原子力法で定められています。処分費用を積み立てるための公的な基金制度は存在せず、廃棄物発生者である電力会社等が引当金を確保しています。現段階で発生する費用については、処分場の設置・運営の責任を有する連邦政府に対して、原子力発電事業者が毎年支払いを行っています。

処分費用の負担者

ドイツの原子力法に基づき、放射性廃棄物処分場の設置・運営は、連邦政府の責任で実施されます。連邦政府は、この処分場を利用して処分する放射性廃棄物の発生者から、経費を徴収することが定められています。また、廃棄物の発生者は、連邦政府の経費を負担する以外にも、自らの廃棄物の処理、貯蔵、処分場までの輸送など、放射性廃棄物管理全般に関わる費用を負担します。


処分費用の確保制度

連邦放射線防護庁(BfS)が処分事業の実施のために支出する費用は、「前払金令」に基づき原子力発電事業者などが決められた比率に基づいて連邦政府に毎年納付する「前払金」で賄われます。これには、サイト選定及びサイト決定後の処分場建設、操業、閉鎖に至るまでの一連の費用が該当します。

なお、サイト選定法に基づく発熱性放射性廃棄物の処分場サイト選定に係る費用は、同法に基づき、原子力発電事業者が負担することになっています。

2002年における廃棄物発生者の引当金総額の構成
2002年における廃棄物発生者の引当金総額の構成
放射性廃棄物管理のための引当金には、高レベル放射性廃棄物以外の管理のための費用です。

ドイツでは、放射性廃棄物管理費用の確保に関する公的な基金制度はありません。このため、原子力発電事業者などは、原子炉の廃止措置のための費用や、全ての放射性廃棄物の管理のために発生する将来費用を引当金として確保しています。ただし、資金確保制度のあり方については、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」が2015年10月に設置され検討が行われています。同委員会は、2016年1月までに検討結果を勧告として取りまとめ政府に提出する予定です。

連邦経済エネルギー省(BMWi)が会計監査法人に委託し集計した結果によると、2015年8月現在で事業者によって引当金として確保されている資金の総額は約383億ユーロ(約5兆1,300億円)です。


5.2 処分費用の見積もり

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)が2015年に公表した見積りによると、発熱性放射性廃棄物処分場の建設・操業・閉鎖に係る費用は、約77億ユーロ(約1兆円)です。このうち、処分場の建設の費用が約39 億ユーロ(約5,200億円)、操業の費用が約34億ユーロ(約4,600億円)、閉鎖の費用が約4億ユーロ(約500億円)となっています。

また、サイト選定法に基づくサイト選定のための費用は、20億ユーロ(約2,700億円)と見積もられています。



備考:通貨換算には、日本銀行の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場のレート(平成26年12月中において適用)を使用しています。

  • 1ユーロ=137円として換算


全体構成
ドイツ
hlw/de/chap5.1458711650.txt.gz · 最終更新: 2016/03/23 14:40 by sahara.satoshi