諸外国での高レベル放射性廃棄物処分

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[size=160%]TSPA-LA (米国)[/size]

評価結果

(ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書 安全解析書: 2008年)



安全評価の結果はどのように示されるのですか…

線量評価結果

ユッカマウンテン処分場のトータルシステム性能評価(TSPA)では、核種移行及び被ばくについての可能性がある全ての経路を含めて総年間線量を評価する手法が取られている。


(1) 個人防護基準に関するTSPAの結果

個人防護基準に関するTSPAの結果として、線量の最大値、線量を支配する核種については以下の結果となっている。
(注)個人防護基準は、10 CFR 63.311の図2-4-10bによる

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図6(a) 放射線防護基準に関する性能評価結果:1万年まで

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図6(b) 放射線防護基準に関する性能評価結果:1万年以降100万年まで

通常シナリオクラス・モデル化ケース

通常プロセスだけを考慮するレファレンスモデル化ケースでは、年間線量の中央値は約0.3mrem(約85万年後)、年間線量の平均値の最大値は約0.5mrem(約73万年後)と評価された。支配核種はI-129、Tc-99であり、100万年後の時点ではPu-242、Cs-135、Np-237、Se-79も合計年間線量に寄与する。


地震シナリオクラス・モデル化ケース

地震地動モデル化ケース

  • 最初の1万年間における年間線量の平均値の最大値は0.2mrem未満であり、期待される中央値の最大値は0.5mrem未満である。
  • 年間線量の平均値には、最初の1万年間はTc-99、C-14、I-129、Cl-36、Se-79が寄与し、1万年以降に最も年間線量の平均値の最大値に寄与する重要な核種はPu-242、I-129、Np-237、Cs-135、Pa-231となる。

地震断層変位モデル化ケース

  • 閉鎖後1万年間の断層変位からの年間線量の平均値の最大値は0.002mrem未満であり、100万年間で期待される線量の中央値の最大値はほぼ0.01mremである。
  • 最初の5,000年間はTc-99、I-129、その後1万年まではTc-99、Pu-239、1万年~20万年まではPu-239、100万年ではPu-242、Np-237、Ra-226が支配核種となる。


火成活動シナリオクラスモデル化ケース

火成岩貫入モデル化ケース

  • 1万年までの年間線量の平均値の最大値は0.1mrem未満であり、1万年以降の年間線量の中央値の最大値は0.5mrem未満である。
  • 最初の4,000年間はTc-99、I-129、その後の1万年まではPu-239、Tc-99、Pu-240、I-129が平均線量を支配する。
  • 溶存形態とコロイド形態で移行するPu-239が最初の15万年間で年間線量の平均値の最大値を支配し、Pu-242、Np-237、Ra-226が1万年以降から残りの期間の平均線量を支配する。

火山噴火モデル化ケース

  • 閉鎖後1万年以内の年間線量の平均値は約1×10-4mremであり、その後は期間全体で一定である、1万年以降の年間線量の中央値の最大値は6×10-5mremであり、100万年後に現れる。
  • 最初の200~300年はCs-137、Sr-90、Pu-238の短半減期核種が支配的となり、300年の時点ではAm-241が支配核種となる。
  • 1,000年~10,000年後ではPu-239、Pu-240が支配核種となり、その後はRa-226とTh-229が主要な寄与核種となる。


初期破損シナリオクラスモデル化ケース

ドリップシールド初期破損モデル化ケース

  • 最初の1万年間の年間線量の平均値の最大値は3×10-4mremで2,000年後に発生し、その後の年間線量の平均値は1万年で約6×10-5mremに低下する。
  • 1万年以降の年間線量の平均値は、1×10-4mremより僅かに大きな値となり4万年後に第2のピークを生じる。
  • 1万年以降の期間の年間線量の中央値は6万年で最大値約1×10-5mremとなる。
  • 5,000年までの支配核種はTc-99、I-129であり、その後Pu-239となる。4万年の第2のピークはPu-239によるものである。約20万年後Pu-239は減衰し、Pu-242及びNp-237が平均線量を支配する。

廃棄物パッケージ初期破損モデル化ケース

  • 閉鎖後1万年間の年間線量の平均値の最大値は約4×10-3mremで1万年頃に発生する。
  • 1万年~1万5千年の期間では、商用使用済燃料からの放出の結果、年間線量の平均値が2×10-2mremで最大となる。
  • その後約30万年まで減少する。この時点でドリップシールドの破損による僅かな線量の上昇があるが、それ以前のピークを超えない。
  • その後、年間線量の平均値は減少し100万年で1×10-3mremのレベルとなる。
  • 年間線量の中央値は、1万年~1万5千年で最大値約6×10-3mremに達する。
  • 閉鎖後1万年まではTc-99、C-14、I-129が年間線量の平均値を支配し、1万年以降はTc-99、C-14、I-129の寄与が減少した後、年間線量平均値の最大値はPu-239に支配され、その後Pu-242、Ra-226、Np-237が主要な寄与核種となる。


(2) 人間侵入に対する個人防護基準に関する性能評価の結果


図7 人間侵入に対する個人防護基準に関する性能評価結果

人間侵入に対する個人防護基準に関する性能評価では、水資源開発のための探査ボーリングによる影響を受けることで、廃棄物パッケージやドリップシールドの力学的破損状況、人工バリア、不飽和帯及び飽和帯における移行現象が異なり、それぞれ通常シナリオクラスで適用されているサブモデルを用いて評価された。

探査ボーリングが掘削される時期は、保守的に20万年が設定されている。

人間侵入シナリオにおける合理的に最大の被ばくを受ける個人(RMEI)に対する年間線量の中央値の最大値は、侵入事象発生後2,500年に起き、0.011mrem未満と予測されている。

また、年間線量の中央値のリアライゼーションの5%~95%は、0.0012mremから0.029mremに分布する結果が得られている。これらの結果は、連邦規則10 CFR Part 63の線量限度の350mrem/年よりも低い結果である。


(3) 地下水防護基準に関する結果

地下水防護基準に関する結果では、以下の結果が得られている。

(a)Ra-226とRa-228の放射能濃度


図6(a)Ra-226とRa-228の放射能濃度

  • 確率論的解析のリアライゼーションのうち、僅かなリアライゼーションが放射能濃度の平均値に影響する結果となった。平均値の最も高いリアライゼーションの1万年間の濃度は約1.3×10-7pCi/Lであり、バックグランドレベル )より7オーダ低いため、バックグランドレベルとの合計値はほとんどバックグランドレベルと同じ値(0.5pCi/L)となる。このため、規制値5pCi/L未満を満足する。

(b)α核種濃度の合計値


図6(b)α核種濃度の合計値

  • 最も高いα核種の年間線量の合計値の平均値は10-4pCi/L未満であり、バックグランドレベル(0.5pCi/L)よりも低い値となっている。α核種には、Pb-210、Ra-226、Ac-227、Th-228、Th-229、Th-230、Th-232、Pa-231、Np-237、Pu-238、Pu-239、Pu-240、Pu-242、Am-241、Am-243が含まれる。バックグランドレベルとの合計値はほとんどバックグランドレベルと同じ値となり、規制値15pCi/L未満を満足する。

(c)β核種と光子放出核種の合計からの線量


図6(c)β核種と光子放出核種の合計からの線量

  • 1日当たり2Lの飲用水による核種の摂取を想定した場合、最大年間線量は全身に対し最大0.06mrem、甲状腺に対し最大0.26mremとなり、線量限度の4mrem/年を満足する結果となっている。1万年間の相対的な重要核種は、C-14、Cl-36、Se-79、Sr-90、Tc-99、I-129、Cs-135、Cs-137であるが、Sr-90とCs-137は半減期が30年未満の短半減期核種である。




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